On The Road ~仮面ライダーディケイド・AFTER CHRONICLE~ 作:地水
【ロストワールド】、某所。
荒廃した光景が広がる地上……そこに時空のゆがみと言うべき灰色のオーロラが出現した。
灰色のオーロラ――次元の橋と呼ばれるそれは、まるで風になびくカーテンの如く揺らめきながら姿を現すと、そこから三つの人影が出てきた。
1人は元気良さそうな雰囲気の男性。
1人は飄々とした態度の男性。
そして三人目は真面目そうな長髪の女性だった。
「ここが、士君がいるという世界ですか」
「そうだよ。ここは様々な次元の世界が混じり合って出来上がった場所、いわゆるロストワールドとも呼ばれているんだ」
「まるで滅亡したような世界だな……人っ子一人もいない」
小野寺ユウスケ。
海東大樹。
光夏海。
彼ら3人は士と共に旅をしてきた仲間であり、同時に仮面ライダーでもある。
彼らの目的はたった一つ、いなくなった士を探しに来たのだ。
荒廃した街の光景を見回しながら海東は呟く。
「まあ本来人っ子ひとりもいないはずさ。ここは人間が意図的に来れるような場所じゃないからね」
「こんなところに士くんがいるなんて……きっと寂しい思いしていますよ」
「まあ、そうだね夏メロン。僕らはいちはやく士に会わなくちゃならない」
孤独に支配されているであろう士の事を心配する夏海と、お宝以外の物事には興味ないと言っていいほど自分勝手な一面を持つ割りには珍しく他人の心配する海東。
それほど今の状況に切羽詰まってるだろうと、ユウスケと夏海は理解するだろう。
そうして彼ら3人がロストワールドの街の中を進んでいると、最初に何かを感じ取ったのはユウスケだった。
この世界にはいないはずの人のような気配を感じたユウスケは走り出した。
「誰かいる!!」
「ユウスケ?」
「何か見つけたようだね、急ごう」
先に向かったユウスケに続いて、夏海と海東も向かう。
三人が走っていると、次第に喧噪を聞こえてくる。
やがて辿り着いた先にいたのは、一体の巨大な怪物と戦う一人の仮面ライダー。
鮮やかなグリーンと黒を基調色とした細身のボディに首に純白のマフラーを巻いている。
両の手で構えているのは大型の槍型武器で、取り付けられた刃によりその巨大な怪物を切り裂いていた。
謎の仮面ライダーが戦う光景を見て、夏海は海東へと訊ねた。
「あの仮面ライダーは一体?」
「恐らく僕達の他にこの世界へとやってきた仮面ライダーだ……それに見覚えがある。あれは確か、仮面ライダーディサルド」
海東は目の前で戦う仮面ライダー……『仮面ライダーディサルド』の名を口にした。
一方でディサルドは手に持った槍・ディサルドドライバーを構え、再び怪物へと立ち向かう。
「とりゃあ! てやぁっ! はぁっ!」
自分より巨大な相手にも拘らず、ディサルドは斬り付けていく。
まるで物語に登場する英雄がの如くの活躍ぶりで追い詰めていき、そして鋭い一撃を叩き込む。
怪物は文字通りの痛手を負い、身動きができなくなり、それを見てディザルドはディサルドドライバーの太刀打の部分に設けられた装填口にライダーカードを装填する。
【FINAL-ATTACK-RIDE…DE・DE・DE・DESSALD!】
「てりゃああああ!!」
電子音声が鳴り響いた後、怪物の周囲に展開されていく光のエフェクトでできた巨大なカード。
ディサルドは前方に出現した光のカードへと思いっきり突くと、怪物の間に展開したカードからいくつもの槍が放出される。
数多の光の槍による刺突『ディメンショントラスト』が怪物へと炸裂。
断絶魔を上げながら怪物の体は跡形もなく消滅……戦いを終えたディサルドはディサルドドライバーの石突を地面へとつけて一息ついた。
「ふぅ……これで4体目。もうこれじゃあアイツを探すのに時間かかるわ」
「あれ、もしかして……女性の方なんですか?」
「ん?」
戦っている光景を見られていたことに気付いたディサルドは変身を解く。
その膝にまで届く綺麗な黒髪をポニーテールが特徴的なその美女は三人に近づいて訊ねた。
「貴方達は一体?」
「えっと、私達この世界に人を探しに来ました」
「へぇ、奇遇ね。私も人捜しに来たの。私はルキナよ。よろしく」
ディサルドだった女性――『ルキナ』はにっかりと笑って握手を求めてきた。
その活発な口調の彼女は夏海の手を握ると、三人へと訊ねた。
「ねぇ、貴方達は誰を探しているの? このロストワールドにやってきたってことは、その尋ね人ってただ物じゃないのはわかってるけど」
「俺達が探しているのは門矢士……仮面ライダーディケイドなんだ」
「えっ……ディケイドって、あの? ロストワールドにやってくるなんて何があったの?」
ユウスケが告げた尋ね人の名前を聞いて、驚きの声を上げるルキナ。
どうやらディケイドの名前は他の世界のライダーにも轟いているようだが、彼がロストワールドへ漂流してきた事に驚く。
ユウスケはその問いを聞いて気まずそうに笑い、ルキナはユウスケの浮かべた表情に何かを悟った。
「ごめんなさい。聞いちゃまずかったね……」
「いいえ、気にしないでください! ルキナさんは何故ここへ?」
「あなた達と同じ……このロストワールドで探さなきゃいけない相手がいるの」
ルキナは簡潔に自分の目的を一同へと述べる。
その際に彼女が見せた真剣な表情を見て、ユウスケと夏海は何らかの通じる物を感じた。
それは海東も同じで、彼はルキナへととある提案を口にした。
「ディサルド。君も人探ししているのならば、僕達と協力をしてくれ。いくら君が強いからってこの世界で一人で戦うのは得策じゃない」
「あはーん……つまりあなた、手を組みたいってわけ?」
「誰かにお願いするのは僕の柄じゃないが、そう受け取ってくれて構わない。人は誰しも、失いたくないお宝があるからね」
海東はいつもの余裕ぶった態度でルキナにそう告げた。
人によっては反感を買いかねないその対応だが、ルキナはジーっと海東の表情を見て、少し考えた後納得した表情を浮かべる。
そして元気な笑顔でルキナは三人へ返答した。
「いいわ、貴方達に協力する。その代わり私の人探しにも協力してね?」
ニッと綺麗な白い歯を見せながら、ルキナは笑みを向ける。
荒廃した世界にて出会った新たなる仮面ライダーに、ユウスケ・夏海・海東の三人は頼もしい協力者を得た。