On The Road ~仮面ライダーディケイド・AFTER CHRONICLE~ 作:地水
【ロストワールド】、某所。
襲い掛かる怪人達を倒しながら、士とカイルは荒廃した街を彷徨っていた。
彼ら二人は変わらぬ廃れた風景に飽き飽きしながら、会話を続けていた。
「そう言えばカイル、お前はなんでこの世界にいるんだ? 何故ロストワールドへ辿り着いたのか?」
「そうだな……さっき話してくれたお前の事情と似ている。色んな世界を旅していた時にある事件にあってな……戦う羽目になって、色々あって、気付いたらこの世界に迷い込んでいた」
先程出会ったにも拘らず、まるで友人のように語り合う士とカイル。
何処か互いに親近感を覚えた二人は次第に打ち解けていた。
だが、カイルのある事が気になった士はその事について訊ねた。
「お前、一人で旅をしているのか?」
「……いや、もう一人いる。アイツと再会するために俺はこの世界でも戦っている」
「そうか」
士は仮面の下から垣間見えたカイルの瞳を伺って納得したように答えた。
その決意に秘めた強い意志を感じ取り、自分の帰りを待つ旅の仲間を再確認する。
ユウスケ、夏海、海東。
それに光写真館の仲間や、今まで旅してきた仮面ライダー達の世界にて出会った人々も士の脳裏によぎった。
彼らとまた旅がしたい……そう思えるほど、あの日、あの時の旅は自分にとってかけ外のないものへと変化していた。
先程までは死んでいたか生きていたかもわからない心境だったが、今は生きて会いたいと思っている。
そのためにはこの誰もいない世界から脱出する。また再び彼らに会うために。
士がそう内心思いながら、カイルと共に歩いていく。
そうしてたわいのない会話をしながら何処かへ向かっていると、ある気配を感じ取った。
「……士」
「ああ、わかってる」
「「――ッ!!」」
士とカイルがそれぞれ別方向へと飛び出すと、その瞬間先程まで彼らがいた場所が爆発。
地面が抉れるほどのその威力に目を見開きながら驚きつつも、攻撃が放たれた場所へと視線を向ける。
そこにいたのは、一人の仮面ライダー。
黒と緑で彩られたボディ、胸部につけられた時計のベルトにも見える金色の装飾、腰部には時計を思わせるアイテムを装着した変身ベルト。
そして頭部につけられた仮面には『ライダー』と赤い文字が刻まれていた。
自分達を攻撃してきた仮面ライダーを見て、士は訝しみながらその名前を呟いた。
「仮面ライダーバールクス、だと? なんでアイツがここに?」
「あのライダーを知っているのか?」
「まあな……だがアイツはソウゴが、ジオウが平成ライダーと共に倒したはずだ。なんで今更ここに……」
自分のよく知る仮面ライダー『仮面ライダージオウ』をはじめとした平成を駆け抜けた仮面ライダーによって倒されたはずの敵に、戸惑いを隠せない士。
だが、さらに彼らを混乱させる光景が目の前に広がった。
バールクスの背後から別の仮面ライダー達が出てきたのだ。
一人は白いボディに『E』を思わせる三本の鋭い角を生やした黄色い複眼の仮面ライダー。
一人は黒と金色の装飾を持ち、腰部と肩に長いマントを靡かせた神秘的な仮面ライダー。
新たに登場した彼ら二人を見て、今度はカイルが驚く。
「エターナルにソーサラー!? アイツらはダブルとウィザードが倒したはず……」
「なるほど、大体わかった。どうやら仮面ライダーに恨みを持つのは何も怪人だけじゃないってことか」
士はカイルが口にしたライダーの名前を聞いて一人納得する。
白いライダー――仮面ライダーエターナルと、黄金のライダー――仮面ライダーソーサラーは、自身の武器を構えて走り出した。
こちらへと迫ってくる二人のライダーに、士はライドブッカー・ガンモードを構えて、カイルはディシルドドライバーを構えて立ち向かう。
「おらよっ!!」
ソーサラーの振り下ろしたハルバード型武器・ディースハルバードをディシルドドライバーで受け止めつつ横流しして逸らし、その勢いを乗せたまま体を回転して殴打を叩き込む。
その横では士はライドブッカーから光弾を発射していくが、エターナルはナイフ型武器・エターナルエッジで斬って受け流して迫る。
士は舌打ちを撃ちながらライドブッカーを剣の形をしたソードモードへ変形させると、振り下ろされたエターナルエッジの刃を受け止めた。
「チッ、……あぶないなぁッ!」
エターナルの握るエターナルエッジによる攻撃をさばき切ると、士はお返しと言わんばかりに横薙ぎの斬撃を繰り出した。
鋭いキレを宿したその一撃はエターナルの胴体へと炸裂するが、後方へと投げ飛ばされた後、上手く着地して態勢を立て直した。
特に何ともない様子を見て、士は眉を顰めた。
「チッ、おいカイル。変身するぞ」
「ああ、このままだと埒が明かないな」
士とカイルはそれぞれのライダーカードを取り出し、愛機であるドライバーへと装填しようとする。
だが、突如鳴り響いたけたたましいプロペラ音を耳にして、上空へと顔を上げた。
そこには色を失った大空を飛んでいる一機の戦闘機の姿があった。
操縦席には、一人の仮面ライダーの姿があり、彼は急降下しながらこちらへ向かって突撃しようとしてくる。
「ぐあっ!?」
「がぁっ!?」
戦闘機の直撃は避けられたが、一気にピンチへと追い込まれた士とカイルは地面へと転がる。
バールクス、ソーサラー、エターナルの三人の前に新たなる仮面ライダーが降り立った。
パイロットスーツを思える見た目に赤い複眼を宿したその仮面ライダー……仮面ライダー4号は、士とカイルへとゆっくりと迫る。
「チッ、こんなところで……」
「ああそうだ……ルキナ、俺は、お前に……!」
悔しそうな表情を浮かべる士とカイル。
だが4号は二人の睨む視線を他所に辿り着くと、その手を首元へと呼ばそうとした。
やられる……そう思った瞬間、二人の元へ声が聞こえてきた。
「「士/士君!!」」
「カイル!!」
聞き立った声が、待ち望んでいた声が聞こえてきた。
その瞬間、二人へ迫る4号を蹴散らすように、光の刃と光弾が炸裂する。
4号が吹き飛ばされた後、士達は後ろを振り向いた。
そこにいたのは、自分達が一番会いたかった人であった。