社畜の妄想を文字に起こしてみた二次創作作品です。
続くかどうかは皆さんからの評価や感想、及び仕事の進捗や体調と相談しながら決めたいと思います。
一話 ウミウミの海兵は歩み始める
〇月✕日
悲報。
俺氏、主人公が嫌いすぎる世界に転生した件について。
ただ、幸いなことに、その嫌いすぎる主人公本人に転生することはなかった。
今は、ちょっとだけ裕福な元海軍将校の両親の元で、悠々自適のショタ生活を過ごしている。
・・・・・・察しの言い方ならもう俺が転生した世界がわかったと思う。
というか、『海軍将校』というワードが作中に絡む作品なんて、俺が転生したこの作品か、艦こ〇くらいしか存在しないと思う。
そう俺は、女の人の美醜の差が激しかったり、人体骨格無視してたり、ただの人間が身長3mになったりする上に、たった二年で筋肉ゴリゴリになることから、空気にプロテインが含まれていると揶揄されるあのONE PIECEの世界に転生してしまったのだ。
どうせなら、同じジャンプ作品でも呪術廻戦とか、ジョジョがよかった。
というか、死んで転生できるなら、せめてあのクソ上司に退職届を叩きつけてから死にたかった。と思う今日この頃だが、生まれてしまったものは仕方ない(パワーワード)。俺には、現状この第二の人生をエンジョイするという選択肢しか存在していないのだ。
それに、転生のショックか知らんけど、前世の記憶ほとんど無いしな!!!
あるのは、うっすらとしたONE PIECEの知識と生活に必要な各種技能の知識くらいだ。あと、自分がアニオタだったことやアニメ関連の知識はガッツリ覚えてる。
社畜だったこともな。
さしあたって重要なのは、俺の人生設計についてだ。
なにせ、エンジョイするなんて言ってみたが、この世界はリアルに一般人に人権が存在しない。
天竜人に会えば、奴隷ルート。
一般的な海賊に会えば、紆余曲折のうちに奴隷ルート。
善良な海賊に会ったところで、天竜人や一般海賊にエンカウントしたらやっぱり奴隷ルート。
はぁ~なんて人の命と尊厳が軽い世界なんでしょう(ブチギレ)
考えすぎ?いや、よく考えてほしい。
一瞬で地面を十回以上蹴ってその反動で高速移動するなんてことが、現実でできるか?いや、できない(反語)。
だが、事実として、この世界にはそんな輩がゴロゴロいる。一部の上位陣に至っては、カンタンに地形を変える。
そんな世界で、孫に囲まれて老衰するなんて死に方ができるのは良いとこ天竜人か、よっぽどの豪運を持つ人間だけだろう。
つまり、この世界で文化的な文明人として生きるためには、兎にも角にも腕っ節がないといけない。転生モノの二次創作にありきたりな原作介入をする場合としても、やっぱりある程度の実力は必要だ。
と言うわけで、俺は将来の選択肢を増やすために、まず身体を鍛えることにした。
戦わなければ、生き残れない!!!
◎月✕日(一週間後)
初めての日記の最後に『身体を鍛える』と書いてから一週間が経った。
俺は、既に、この世界に転生したことを後悔している。
「へぇ、特訓。――シン君もそういうことを言う歳になったんだねぇ。じゃ、早速覇気を覚えようか」
と仰るパパ上による連日連夜の覇気修行。
マジなんなん。
いや、いきなり三歳になったばっかの俺が、元海軍将校(少将)の父に特訓を頼んだのも悪いのかもしれんけど。何?いきなり覇気の習得を目ざすとか頭ルフィか?
と言いながらも、実はこの覇気修行。よくよく考えると実に理に適っている。
まず、俺はさっきも言ったとおり、絶賛成長期の三歳児だ。他の子供より若干知能が発達してる以外はゴミレベルの性能と言っていいだろう。
そんな俺がいきなり筋トレなり、武術の型の練習をしたところで身体を壊すのが関の山。最悪、成長が阻害されて身長が伸びないなんてことにもなりかねない。
だが、覇気の修行はイメージと精神力さえあれば座っていてもできる。
・・・・・・それにしたっていきなり見聞色の修行は辛い。
新聞紙を丸めた筒で叩かれるだけだが、毎日何百と殴られ続けてるから頭はたんこぶだらけだ。
ぬぐぐ、だがこの世界で生き残るためにも修行を辞めることはできねぇ!!やるしかねぇよなぁ!!!
●月✕日
「貴方ー、お弁当忘れてるわー」
ビュオンッ―!!
「いやぁ、ごめんね」
「はい、お弁当。全く、“剃”が使えるからって、出かけるのが遅すぎるんじゃなくて?」
「ごめんごめん。これからはもう少し早めに農地に向かうようにするよ」
「私、貴方がそう言って守ってくれた記憶が無いわよ」
目を細める母に、母に図星を突かれ苦笑いする父。
微笑ましい光景だと思う。
息子である俺も、隣で武装色の特訓をしてなきゃ「微笑ましい」と素直に言えたと思う。
ぐぬぬ、一向に新聞紙で岩が砕けん・・・・・・。いや、俺はできる子。こんくらいやってやらぁ!!
やってやらぁ・・・・・・。
――アマゾンリリーの人たちは普通に覇気使えるとかウソだろ。
★月✕日(四年後)
七歳になった。
パパ上のスパルタ教育が実を結び、俺は四年という歳月を経て、ようやく二色の覇気が使いこなせるようになった。
・・・・・・使いこなせるって言っても、武装色と見聞色のオンオフが可能になった程度だけどな。
ただ、これでも一般的な覇気の習得スピードから考えればかなり早いほうで、パパ上は泣いて喜んでいた。
「シン君は本当にすっごいねぇ。これなら将来は立派な海兵になれるよ」
――う、う~ん。それは保証できないかもだけど、とりあえず六式使いにはなりたいなぁ僕。なーんてことを思っていると、パパ上は
「じゃあ、今度は覇気を使った武術―六式を覚えよっか」
と自然に六式習得へ舵を切ってくれた。
そんなわけで、最近はさわり程度に六式をパパ上から学んでいる。
――まさかパパ上が六式使いだったとはなぁ・・・・・・。剃は使ってたから、せいぜい三式使いくらいだと思ってたんだが。
もしかして、今世の俺って滅茶苦茶豪運なのかもしれない。ハッ、これが転生特典って奴か!?
□月✕日
あー、痛々しいわ。昨日の俺。精神年齢はとっくにアラフォーなのに転生特典とか口走ってワクワクするの、本当に無いわー。
いくら、俺の精神が肉体に引っ張られてるらしいからと言って、あのテンションの上がりようはキモいと言わざるを得ないわー。
あの後、蒲団の中で身もだえしていた記憶早く忘れたい。
社畜やってるときは、『人は生きているだけで、他者に迷惑をかけるのだから、なるべく他者に迷惑をかけないように心がけて生きるべき』がモットーだったのになー。
・・・・・・でも、昨日の俺の暴走もわからないわけでもない。
なにせ、六式使いは原作でもほんの少ししか出てこないレアキャラだ。俺の記憶が正しければ、十人もいなかったと思う。
そんな人が農作業の傍らとはいえ、一日中つきっきりで覇気や六式を教えてくれるなんて、贅沢以外の何物でも無いだろう。特にONE PIECEファンの俺からすれば、垂涎モノだ。
ああ、まあ、主人公が嫌いな作品のことよく覚えてるなって思うかもしれない。
普通に考えたら主人公が嫌いな作品=嫌いな作品だしな。俺も基本はそうだし。
ただ、俺の例外って言う枠にONE PIECEという作品は嵌まった。それだけのことだ。
なーんてカッコつけてみたけど、ぶっちゃけONE PIECEって最高だと思う。構成や設定、伏線もイカしてるし、覇気の設定とか控えめに言って神。
ただなー、やっぱりルフィは嫌いなんだよ。というか、海賊は基本的に嫌いだな。
でも、海軍の人たちは好きだ。特に、アレ。ハンニャバル副署長は本当に素晴らしい人だと思う。
ちょっと野心が強すぎるし、結構ゲスな人間ではあるが。
あの人の本質は海賊という存在悪を許してない正義漢であるということだと俺は思っている。
「何を・・・貴様らシャバで悪名上げただけの・・・・・・海賊に謀反人・・・・・・!!!何が兄貴を助けるだ!!社会のゴミが綺麗事抜かすな!!!貴様らが海へ出て存在するだけで・・・!!!庶民は愛する者を失う恐怖で夜も眠れない!!!」
マジで痺れる台詞だよな。
嘗ての親の名前すら忘れた俺でも、この台詞だけは今も諳んじることができる。それだけ、印象深い台詞だし、思い出に残ってるシーンでもある。
――世界政府の上層部は腐ってるけど、ハンニャバル副署長に会えるのなら、海軍になるのもいいかもしれんね。
***
「さて、と。今日はここまでにしてさっさと寝るかぁ」
そう言って、俺――シンカイは、ペンを置いた。
俺がこうして日記を書き始めたのは、三歳の頃からだった。
「しかし、最初は酷かったよなぁ。日記」
思い出すのは、日記を書き始めた当初の記憶。
ONE PIECEを好きな人間なら言うまでも無いが、このONE PIECE世界は、音声言語が日本語なのに、文字が英語だ。口から出る言葉は日本語なのに、名前は英語で書かなきゃならんのである。マジクソ。
この環境に適応するのに、俺は膨大な時間を要した。
具体的には四年ほど、フレッシュな幼児の脳味噌でも、根っから染みついた母国語の癖を抜き去るのには、時間がかかった。・・・・・・うん、かかりすぎだと自分でも思うけど、これはもう仕方ないと割り切ることにした。だって、実際問題できてねぇんだもん。
そのため、練習に使われていた日記(別にONE PIECE文法の練習の為だけじゃないけどな)は、日本語と英語が中途半端に混ざったよくわからない暗号めいたシロモノになっている。まあ、この世界にいる天才連中のことを考えたら、今の日本語英語交じり文は割とありかもしれんと思っていたりする。・・・・・・なにせ、俺が日記に書いた――正確には書いてしまった内容は、この世界でも極一部の人間しか知らない情報。それを万が一にも解読され、他者に読まれでもした場合。
いいとこ暗殺。悪くて拷問。天竜人のペットになる人生がマシと感じられるような、体験をさせられること間違いなしだ。まあ、そんなお偉いさんの目に俺の日記が入ればの話だけどな。
◇月✕日(三日後)
・・・・・・久しぶりに日記を開いた。
正直、あと数日の命である俺に、もう日記なんて書く意味はない。だけど、せめて、俺以外の人が俺を守るために戦ってくれた人を思い出せるように、俺の短い第二の人生の締めくくりをここに記録しようと思う。
***
最後に日記を書いた日の次の日。
俺たちが住んでいるこの島に海賊が現れた。
その二〇〇人もほとんどがじいさんばあさんだし、イノシシ以上に大きな獣も出ないから、武器はおろか戦闘技能を真面に扱える人材はごく僅かしかいなかった。
だから、せめて父さんや自警団の皆の邪魔にならないように、俺たちは必死に逃げた。
けど、ダメだった。
見たことも聞いたことも無い悪魔の実の能力によって、俺以外の人間は瞬く間に塵に分解されてしまった。
俺は、とっさに武装色の覇気で全身を防御したお蔭で助かったけれど、その直後に海賊の一撃をモロに喰らって、島の中央にある大樹の麓まで吹き飛ばされてしまった。
俺が意識を失う直前、大樹にぶつかった痛みで歪む視界の中に、父さんは写ってなかった。
***
目を覚ますと、目の前にはボロボロになった父さんがいた。
左腕は肘から先が無く、右の脇腹は大きく抉られていた。
浅く呼吸をしていることから、生きてはいるとわかる。だが、それだけだ。
父さんが歩いて来ただろう道のりには、目を逸らしたくなるほどの血痕が残っていた。
これでは、もう――
「・・・・・・全く、昔から聡い子・・・だとは思ってた・・・けど、受け入れるのが・・・・・・早すぎ・・・でしょ」
俺が父親との早すぎる離別を受け入れようとしたその時。
父さんは、擦れた声でゆっくりと言葉を紡いだ。
こういったとき、俺が未だ持っている――今ではもう、ほとんど思い出すことのできないうっすらとした――前世の記憶では、映画や創作物では「喋るな、傷口が開く」とか、「まだ、大丈夫きっと助かる」っていう見え透いたウソを口にしていた覚えがある。
けれど、俺には、そんな見え透いたウソすら言うことができなかった。
言ってしまえば、俺と父さんが――俺とココット島の皆が、何年も何年も積み重ねた全ての時間が、ウソになってしまう。
そんな気がした。
「・・・シンカイ。見ての通り・・・僕に残された時間は・・・もう無い。だから、心して聞いてほしい」
「ああ、わかったよ父さん」
俺は父さんの右手を両手で力強く握った。
父さんは、力なくそれでもしっかりと俺の手を握り返してくれた。
「・・・・・・君は、本当に・・・・・・本当に、不思議な子だった」
父さんはぽつりぽつりと言葉を紡ぎ出した。
「・・・他の子供達が興味を持つような玩具や、絵本には目もくれないくらい大人びているのに、嬉々とした顔で修行したいなんて言い出すし」
・・・・・・まあ、ONE PIECEファンとして、覇気を習得できると思うとテンション上がったのは事実だけどね。父さん、何も死にかけてる時にそんなこと言わないでもいいじゃない。
「教えてないような難しい言葉を使うくせに・・・、字が下手で文章も綺麗に書けないし」
「あの、いや、それは本当に申し訳ないと思うんだけど、それ今言うことかな父さん!?」
「あ・・・そうだね。ふふ、・・・・・・なんでだろうね。最後だって、わかっているのに、口から出るのはいつもの不満ばかりだ」
・・・・・・親を殴りたいと本気で思ったのは、生まれて初めてだった。
「・・・・・・どこか大人っぽくて、・・・あんまり僕たちに甘えてくれない・・・なんていうか、チグハグな子供だった。まるで、この世界を知ってる別の世界の人の魂を持っているように感じる時もあった。・・・・・・そんなこと、あるわけ無いのにね」
「そう、だな。・・・・・・俺って、変な子供だったな」
擦れた声で笑う父に釣られて、俺も思わず頬が緩んでしまった。少しだけ、俺の声が震えた気がしたのはきっとそのせいだと思う。
「でも、・・・ね。僕は、・・・・・・僕ら夫婦は君が子供で楽しかった。・・・君がいてくれた七年間は・・・本当に、幸せだった。だから、シンカイ。――君は、周りのことなんて気にしなくてもいい。誰かに迷惑をかけてもいい。それを背負う覚悟があるのなら、君は・・・君が正しいと思う生き方を貫きなさい」
・・・・・・その言葉を最後に、父さんは息を引き取った。
言いたいことは沢山ある。「俺が転生者ってことになんで気がついたのか」とか、「疑いながら育ててくれてありがとう」とか、本当に沢山の伝えたい言葉があった。
「ああ、俺は――俺がやりたいことをやるよ。島の皆の命も、全て背負って生きていく」
ただ、どんな言葉よりも早く、俺はそう口にしていた。
・・・・・・俺は、ずっと“自分がONE PIECEの世界で生存し続けること”について悩んでいた。
なにせ、俺のモットーは、『人は生きているだけで、他者に迷惑をかけるのだから、なるべく他者に迷惑をかけないように心がけて生きるべき』だったからな。
そんな、誰かに迷惑をかけた責任を背負えるような強さを、俺は持ってなかった。
でも、今の俺は違う。
背負うための強さは、もう貰った。
やりたいことも、見つかった。
なら、進むしかない。
どんなに苦しくても、悲しくても。俺に進めと言ってくれた人達の為に、俺に歩けと言ってくれた人達のことが世界から忘れられないようにするために。
***
「――と、こんな感じで良いか」
俺は、日記の近くに埋もれていたインクとペンを使って、残り少ない日記にこの島で起こった最後の惨劇と、自分の決断について書き終え、筆を置いた。
「これで、とうとうやることが無くなったか」
父さんや島の皆が死んでから二日が経った。
一日目は遺体をまとめて焼いてから、骨を埋葬した。・・・・・・本当なら、個人個人にお墓を作って埋葬すべきなんだろう。
だけど、俺の母さんも含め、遺体が残っていない人の方が多かったし、死んだ後も離れ離れにならないようにと願いをこめて、一つのお墓に埋葬した。
二日目の今日は、島を出るための準備を始めようと、島の集落からモノを物色しようと思っていた。
だが、その時に、ふと腹の虫が鳴き始めたので。飯にしようと家の食料庫を開けた。
・・・・・・中身は空だった。
その時、既に俺は嫌な予感がしていた。だが、この嫌な予感を振り切るかのように頭を振って、集落中の家に押し入り食べ物を探した。
結果は全滅。おそらく、あの海賊連中が根こそぎ持って行ったのだろう。食料の他に、酒や金目のものなんかもほとんど残っていなかった。第一、あの分解の能力者のせいで真面な形で残っていた家の方が少ないくらいだった。
そんなわけで、俺は唯一見つかった日記とペンを使って日記を書き記していたと言うわけだ。
……いやぁ、これはダメかもわからんね。
登場人物紹介
バウナラ・シンカイ
出身地 西の海 ココット島
外見 モンストのハレルヤ(七歳現在※十一月二日加筆)
本作の主人公
肉体年齢七歳
七歳の時点で武装色と見聞色の覇気を習得済みな上に六式も習得間近というチートっぷり。また、前世の記憶は都合が良い感じに、転生のショックで消えているというご都合っぷり。
細かいことは海王類の胃の中です。
サクサク展開とありながらも現時点ではタイトル詐欺な鈍足っぷりなため、期待せずお待ちください。
本作にご期待いただける方は、是非高評価と感想をお願いします。
今後ともよろしくお願いします。
オリ主以外に転生者が登場しても…?
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よくない
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よい