オグリキャップら三強がG1戦線でしのぎを削り合い、日本において二回目となる競馬ブーム訪れていた時。
アメリカでも熱いライバル対決が起こっていた。
『サンデーサイレンス!!コーナーで仕掛けた!!しかしイージーゴアが前を塞ぐ!!これは苦しいか!?』
「しゃらくせぇ!」
『サンデーサイレンス!!それを更に外から捲りにかかる!!ブラッシングジョンが先頭で直線に向う!!サンデーサイレンスは2番手!!イージーゴアは外に出して直線に勝負を賭ける形!!』
大歓声がガルフストリーム競馬場を包む。その歓声は二人のウマ娘に向けられたものだった。それはイージーゴアとサンデーサイレンス、二人のウマ娘は全てが真反対な存在であった。
良家と庶民、重戦車と期待された体躯と走れる訳無いと言われた脚、東海岸と西海岸、直線とコーナー。
現在二人は3勝してサンデーサイレンスが2勝、イージーゴアが1勝。サンデーサイレンスが勝ち越しているものの関係者らは競馬場の適正による差によるとの判断をしており、アメリカの競馬界ではどちらが強いかの論争でもちきりである。
『サンデーサイレンスがブラッシングジョンを躱して先頭に立つ!!そのまま差を広げる!!』
それもこのレースで決着がつく。
この二人が4戦目にぶつかったのは「BCクラシック」。賞金も出走するウマ娘も最高峰、正真正銘アメリカダート最強決定戦である。
「サンデーェェェサイレンスゥゥ!!!」
『残り200m!!外から!外 か ら イージーゴアが差を詰める!!』
因縁の対決、今日勝利の女神は。
『しかし!!サンデーサイレンス!!サンデーサイレンスがリードしたままゴールイン!!年度代表馬はサンデーサイレンスで間違いないでしょう!!』
サンデーサイレンスに微笑んだ。
――――筈だった。
「なんで俺にオファーが来ねぇんだよ!!!」
伝説となったBCクラシックから約一年、サンデーサイレンスとイージーゴアは怪我により現役を引退していた。
アメリカダートクラシック路線は他の国の三冠よりも遥かに苛酷なローテで走る事になる為故障するウマ娘が多い。それを前哨戦やBCクラシックを含めて走りきったサンデーサイレンスとイージーゴアの故障は別段おかしい事では無い。
そもそもアメリカ競馬はレースよりもセカンドキャリアが重視される。
強いウマ娘がトレーナーや教官等の専門家になり次世代を育成する。
アメリカ競馬のレベルが世界的に見ても高レベルなのは高回転の世代交代によるノウハウの備蓄による所が大きいのだ。
しかしサンデーサイレンスにはそのセカンドキャリアの誘いが殆ど来なかったのだ。
「俺は二冠馬でBCクラシックも勝って年度代表馬だぞ!?なんでだよ!!」
「まぁまぁ落ち着いてくれサンデー」
「何だよトレーナー!!」
「面白いオファーが一つある、―――日本だ」
「はぁ?あんな競馬の発展途上国に行って何になんだよ!!」
「まぁ最後まで聞けよ。日本のトレセン学園で教官を務めれば契約金で1100万ドル出すそうだ」
「だから俺は――――1100万ドル???日本円じゃなくてドル???」
日本円にして16億円。それも契約金、つまり前金でだ。サンデーサイレンス自体が稼いだ賞金が約500万ドルなので殆ど倍の金額だ。
「でも書類には日本からのオファーなんて書いてないぜ?」
「あぁ、断っていたオファーだからな」
実はサンデーサイレンスがまだ現役でクラシック路線で走っていた時、日本のURAの理事長が既にサンデーサイレンスに目をつけていたのだ。
『確証ッ!!彼女の存在は日本競馬を進化させる逸材ッ!!』
しかしトレーナーはサンデーはアメリカで活躍すると思い断っていたのだ。
しかしあまりにもアメリカ国内からのオファーが無い為、苦渋の決断として断った筈の案件を再度頼み込んだのだ。
「………そこまでされちゃ断われねぇな」
「すまないな。アメリカ人として今回の事を恥と思うよ」
アメリカでは走りそうも無い見た目で王者になった「特異」な存在である走りは次世代に継承不可能なものとして不要とされたのだ。
「目に物見せてやろう。君というウマ娘を不要と判断したアメリカ競馬にサンデーサイレンスを見せつけてやれ」
「あぁ!!俺を手放した事を後悔させてやるぜ!!」
これは一人の醜い黒鹿毛のウマ娘が運命に噛みつき、
初の小説なので変な所あるかも。
真面目なサンデーさんはここまで。次回からハジケます。ステゴやディープの親父なんだから当たり前だよなぁ?