高校のテスト期間が終わり、テスト勉強から解放された学生組は仕事やプライベートを満喫していた。
高校生である翼も学年1位とはいかなかったが、学年2位という好成績を修めていた。
真乃、灯織、めぐるは前回より順位を上げる結果となり、勉強会は大成功となったが、全てが上手くいったわけではなかった。
参加したメンバーが翼以外全員高校1年生で、しかも彼が誘って勉強会を開催したという事実が問題だった。
後日、その事実を知った凛世が、同じ高校1年生の中で自分だけが誘われなかったことにショックを受けるという悲しい事件があったのだ。
もちろん、他の放クラメンバーが黙っているわけもなく…。
「ただいま、戻りまし──」
「翼!ようやく戻ってきやがったなっ!」
「じゅ、樹里!?」
「翼くん、きっちり説明してもらうからね!」
「ち、智代子まで!?一体どうしたんだ?」
「アナタの返答次第ではただでは済まないわよ、翼!」
「す、すまない!とりあえず誰か事情を教えてくれないか!?」
樹里、智代子、夏葉に詰め寄られた翼は、彼女たちが納得するまで小一時間釈明することになる。
そして最終的には、凛世の望みを1つ叶えることで今回は許してもらえることになった。
◇◆◇◆◇◆
事務所の休憩室。
樹里たちは気を利かせて外へと出かけ、翼と凛世の2人だけとなった。
そこで翼は、凛世の願いを叶えるために流行りの曲を歌い始める。
「♪~♪~」
「あぁ…なんと…美しい旋律…」
うっとりとした表情で翼の歌声に耳を傾ける凛世。
その手にはしっかりと携帯電話が握られており、そのカメラレンズは彼の歌を姿を捉え続けていた。
1曲を最後まで歌い切った翼は、申し訳なさそうな表情で凛世に声をかける。
「その、すまん…こんなことならしっかり練習していればよかった」
「いいえ…凛世は今…とても幸せな気持ちでございます…」
凛世が望んだもの───それは『翼の生歌』であった。
「そ、そうか…。まぁ凛世が喜んでくれたのならよかったよ」
「ふふっ…はい…とても…」
今の歌はとても世に出せるものではないが、それでも凛世が満足してくれたのを確認し、翼はほっとした表情を浮かべる。
同時に、過去にも似たようなことがあったのを思い出した。
(そういえばプロデューサー時代のときも、凛世はよく俺の歌をリクエストしていたな。ただなぁ…)
「凛世、悪いが今回撮影した動画はあまり他人には見せないでほしい。正直未熟な歌をみんなに見られるのは恥ずかしいんだ」
「もちろんでございます…この動画は…決して誰にもお見せしないと…お誓いいたします…」
許可をもらって翼の生歌動画を撮影した凛世は、彼のお願いに対して真剣な表情でそう答える。
「ありがとう、助かるよ。はは、次の機会に備えてしっかり練習しておかないとな」
その一言に、凛世はすぐに反応する。
「…!つ、次も…期待してよろしいのでしょうか…?」
いつもより大きな声を出してそう尋ねる凛世に、翼は照れくさそうに頬を搔きながら答える。
「俺の歌なんかでよければ、またいつでも…いや、次はもうちょっと上手くなってからかな?まぁ、凛世が望むのならいくらでも歌うさ」
「マネージャーさま…!凛世は…凛世は…とても幸せでございます…!」
彼のその言葉を聞いて、凛世は心底幸せそうな笑顔を浮かべるのであった。
杜野凛世───放課後クライマックスガールズに所属するアイドルの1人で、落ち着いた佇まいの大和撫子である。
実家は由緒ある呉服店のため和服を普段着にしており、俗世に疎い一面を持つ。
そんな彼女がたまたま東京に訪れた際に、2つの運命の出会いを果たす。
1つは異郷の地で履物の鼻緒が切れて途方に暮れる彼女を、とある女性が救いの手を差し伸べた。
彼女は283プロのプロデューサーであり、凛世をアイドルにスカウトした。
それが1つ目のターニングポイント。
そしてもう1つは、とある男性との出会い。
不運が重なった結果危うく怪我をしそうになった凛世を、彼は身を挺して助けてくれた。
その青年は東京の高校生であり、近くの会場でアイドルのライブを観てきた帰りであった。
その事実を知った凛世は、先程スカウトされたことを彼に明かし、どうすべきかを相談した。
初対面のはずだが、不思議と目の前の男性は信頼できると思えたのだ。
『アイドルになるかどうかは、最後にはりん…いや、杜野さんが決めるべきだ』
『凛世が…決める…ですが凛世は…アイドルについて、よく知りません…』
『アイドルというのは、簡単に言うとみんなに希望を与える存在なんだ』
『希望を、与える…』
その言葉を聞いて、凛世の胸はドクンと高鳴った。
『杜野さんはアイドルに向いていると思うよ』
『…凛世が…アイドルに向いている…本当でございますか…?』
『うん、杜野さんにはアイドルの才能があると思う。それにアイドルになれば、素敵なファンや大切な仲間との出会いが待っている。それらは、君の世界を今まで以上に明るくさせるはずだ』
『凛世の世界が…明るく…』
ドクン、ドクンと凛世の鼓動が高まる。
『もちろん、楽しいことばかりじゃない。時には辛いことも経験するだろう。だから最初に言った通り、最後の選択は君自身でするべきなんだ』
『……』
アイドルに対して興味を持ち始めた凛世であったが、自分自身で決めるべきだと言われ、深く悩む。
重要なことは全て両親が決めてきた彼女にとって、即断するのは難しかった。
『将来に関わることだから、焦らず考えてくれ。ただ、これだけは言わせてくれ───例え君がどんな選択をしても、俺はその選択を応援する』
『本当で、ごさいますか…?』
『もちろんさ。そうだ、ごほん…』
『…?』
少し恥ずかしそうな雰囲気で咳払いした翼を、凛世は不思議そうに見つめる。
凛世が見つめる先で、彼は静かに詠み始める。
『大野路は 繁道茂路 繁くとも 君し通はば 道は広けむ』
『!その唄は、万葉集の…』
それは一千年以上前の短歌。
草木が繁りに繁って狭い大野の道でも、君が通るなら道は広がるという意味があり、困難な道でも貴方なら切り開けるという応援を込めた短歌。
『──昔の知り合いに俳句や短歌が好きな子がいてな、その子が好きだった唄の1つなんだ』
『…凛世も…この短歌は好きでございます…』
『はは、それはよかった。どうしても今の君にこれを贈りたかったんだ。杜野さんなら大丈夫だよって言葉だけでなく、唄でも伝えたくて』
『ふふ…ありがとう…ございます。本当に…本当に…嬉しく思います…』
そして凛世は、アイドルの世界に飛び込むことを決意した。
放課後クライマックスガールズが結成されてしばらく、一連の経緯を聞いた智代子が「まるで少女漫画みたいな出会いだね、凛世ちゃん!」と興奮した様子を見せる一幕があったとか、なかったとか。
◇◆◇◆◇◆
おまけ キャラクター紹介
《所属ユニット》
☆名前
年齢:〇歳(学生なら〇年生)
趣味:宣材プロフィールから引用
特技:宣材プロフィールから引用
親愛度:主人公への現時点での親愛度。最低がLv.0で最高がLv.5
印象:主人公に対する現時点での印象。
エピソード:主人公との出会いや思い出。
《イルミネーションスターズ》
☆櫻木真乃
年齢:16歳(高校1年生)
趣味:お出かけ、公園で日向ぼっこ
特技:鳥に好かれること
親愛度:Lv.3
印象:頼りになるマネージャーさん。
エピソード:年上の男性ということで初めは緊張していたが、今では自然体で話すことができている。ペットであるピーちゃん(ギンバト)と彼が戯れている光景が最近の真乃のお気に入り。
☆風野灯織
年齢:16歳(高校1年生)
趣味:音楽鑑賞、綺麗な景色を探すこと、占い
特技:料理、スケジュール管理
親愛度:Lv.4
印象:自分のことを見守ってくれる優しい方。
エピソード:ファンレターの件をとても感謝しており、そのときの恩を少しずつでも返していきたいと考えている。最近は自分が作った料理を美味しそうに食べてくれるのがとても嬉しい。ただ、現状で満足せずに他にもできることがないか模索中。
☆八宮めぐる
年齢:16歳(高校1年生)
趣味:人と話すこと、身体を動かすこと
特技:スポーツ全般
親愛度:Lv.3
印象:大切なお友達!
エピソード:初対面ですぐに仲良くなり、今では一緒の高校だったらよかったのにな~と思うくらい仲が良い。いつか真乃と灯織と翼の4人で遊びに行けたらいいなと思っている。
《アンティーカ》
☆月岡恋鐘
年齢:19歳
趣味:うちの手料理、何でも絶品たい!
特技:そっくりな似顔絵ば描けるたい!
親愛度:Lv.3
印象:と~てもいい子ばい!
エピソード:寮に遊びに来た翼に度々料理を振る舞うことがある。彼の真面目で優しい人柄を気に入り、とても可愛がっていたりする。
☆田中摩美々
年齢:18歳(高校3年生)
趣味:放浪、人をからかう
特技:自分で髪を切る
親愛度:Lv.3
印象:弄りがいがあって面白い~
エピソード:初対面からイタズラを行い、優しく叱られた経緯がある。からかった彼のリアクションが気に入っているようで、会うたびにイタズラを仕掛けている。
☆白瀬咲耶
年齢:18歳(高校3年生)
趣味:色々な所に出かける
特技:自分を最大限カッコ良く見せる立ち振る舞い
親愛度:Lv.3
印象:とても魅力的で素敵な男性
エピソード:年齢に見合わない落ち着いた所作に一目置いている。彼の細やかな気遣いを嬉しく思っている。美味しかった彼の手作りクッキーのお返しに、最近紅茶をプレゼントした。
☆三峰結華
年齢:19歳(大学1年生)
趣味:アイドルライブ鑑賞、カメラ、アニメ、ゲーム、アニメ、読書
特技:勉強、推しにいち早く認識されること
親愛度:Lv.2
印象:不思議な男の子
エピソード:現時点ではそれほど接点はないが、アンティーカの他のメンバーが彼のことを気に入っているのもあり、好印象を持っている。ちなみに彼のことは『つばつば』という愛称で呼んでいたりする。
☆幽谷霧子
年齢:17歳(高校2年生)
趣味:かわいいもの全般の収集、手芸、献血
特技:包帯を綺麗に巻く、足音を立てない、りんごの皮むき
親愛度:Lv.2
印象:優しいマネージャーさん
エピソード:現時点ではそれほど接点はないが、会うたびに自分のことを気遣ってくれるので温かい気持ちになる。時間があればもっと話してみたいと思っている。
《放課後クライマックスガールズ》
☆小宮果穂
年齢:12歳(小学6年生)
趣味:日曜日朝の子供向け番組を見る事、グッズ集め
特技:好きな番組の決め台詞を数多く覚えている
親愛度:Lv.3
印象:本当のお兄ちゃんみたいです!!
エピソード:よくジャスティスⅤを事務所で一緒に観て、盛り上がっている。自分が知らないことをいつも分かりやすく教えてくれるので、キラキラした目で尊敬している。
☆園田智代子
年齢:17歳(高校2年生)
趣味:スイーツ店巡り
特技:たくさん食べれること
親愛度:Lv.3
印象:カッコいいし、優しいし、面白い!
エピソード:初対面のときからフィーリングが合い、すぐに気軽に話せる仲となった。よく新作のチョコをお裾分けしてくれるので、営業先で美味しそうなスイーツがあったらお土産に買ってきたりしている。
☆西城樹里
年齢:17歳(高校2年生)
趣味:洋楽、ゲーム
特技:スポーツ全般、(中2までは)バスケ
親愛度:Lv.3
印象:頼りになるけど、時々抜けてるところもあるヤツ
エピソード:スポーツ好きという共通点もあり、すぐに意気投合した。機械関係でわからないことをよく教えてもらっている。最初は大人顔負けの仕事振りを見て完璧超人かと思っていたが、抜けているところもあるのを知って逆に安心した。
☆杜野凛世
年齢:16歳(高校1年生)
趣味:少女漫画、芸道全般
特技:折り紙、百人一首
親愛度:Lv.4
印象:とても素敵な殿方でございます…
エピソード:283プロに入る前から出会っており、階段から落ちそうになったところを間一髪のところで助けられた過去を持つ。その後、翼の言葉を聞いてアイドルになることを決意した。その一連の経緯を聞いた智代子は『少女漫画顔負けの出会い』と評した。彼のことを慕っており、最近撮影した歌の動画は毎日欠かさず再生して聞いている。
☆有栖川夏葉
年齢:20歳(大学2年生)
趣味:トレーニング、ストレッチ
特技:トータルコーディネート
親愛度:Lv.3
印象:仕事仲間であり、大切な友人
エピソード:初対面のときから鍛えていることを見抜き、好印象を抱いていた。自分が勧めたトレーニングをサボることなく継続してこなしてくれるのが凄く嬉しい。最近では、そんな彼のために新しいトレーニング方法を考えているようである。
《アルストロメリア》
☆大崎甘奈
年齢:17歳(高校2年生)
趣味:ショッピング、ネイル、自撮り
特技:早起き、倹約
親愛度:Lv.2
印象:めちゃカッコいいー☆
エピソード:甘奈のネイルや自撮り写真の加工を褒めてくれるので好印象を抱いている。最近ではアドバイスを求めることが多くなった。姉の甜花が翼とゲームする時間が増え、姉妹で過ごす時間が減ったことに複雑な気持ちを抱いている。
☆大崎甜花
年齢:17歳(高校2年生)
趣味:お昼寝、ネットサーフィン、アニメ、ゲーム
特技:特に無い
親愛度:Lv.3
印象:ゲ、ゲーム仲間…!
エピソード:初めは距離があったが、甜花が好きなゲームを翼がやっていることを知ってからは一緒に遊ぶようになった。協力プレイや対戦プレイをする内に気軽に話せるほど仲良くなった。
☆桑山千雪
年齢:23歳
趣味:雑貨作り
特技:裁縫、道案内
親愛度:Lv.3
印象:素直で優しい男の子
エピソード:初対面のときから好印象を持っていた。手芸を教えるようになり、彼の優しい性格をよく知ってからは、弟のように可愛がっている。
《ストレイライト》
☆芹沢あさひ
年齢:14歳(中学2年生)
趣味:人間観察、人に話しかけること
特技:記憶力がいい
親愛度:Lv.3
印象:一緒にいるとワクワクするっす!
エピソード:いつも優しく見守られているのを感じている。危険な行動をしたときは厳しく叱られることもあるが、丁寧に理由を説明してくれるので嫌ではない。多くの人が自分から離れていく中で、共に居てくれる翼のことを信頼している。
☆黛冬優子
年齢:19歳(専門学生)
趣味:お友達とおしゃべり♪
特技:みんなと仲良くなること♪
親愛度:Lv.3
印象:すっごくカッコいいです♪(わかっていると思うけど、お世辞だからね)
エピソード:偶然猫を被っていることを知られてしまうが、翼は彼女に対して優しい態度を変えなかった。絶対裏があるはずだと疑った冬優子であるが、彼が本心から素の彼女を幻滅せずに受け入れてくれたことが分かった後は、ビジネスパートナー兼男友達として頼りにしている。
☆和泉愛依
年齢:18歳(高校3年生)
趣味:友達と遊ぶ、最近の曲を聞く
特技:何時間でも電話できること
親愛度:Lv.2
印象:包容力がスゴい!大人の男性って感じ~
エピソード:分からないことをいつも教えてくれるので、頼りにしている。あさひと冬優子と翼のやり取りを見るのが大好きで、まるで家族みたいだと微笑ましく思っている。
《ノクチル》
☆浅倉透
年齢:17歳(高校2年生)
趣味:映画やドラマを見ること
特技:人の顔を覚えること
親愛度:Lv.5
印象:翼
エピソード:ふふ、内緒。
☆福丸小糸
年齢:16歳(高校1年生)
趣味:読書
特技:勉強
親愛度:Lv.5
印象:ずっと一緒にいる大切な幼馴染
エピソード:思い出はたくさんあるけれど、どれも自分にとっては宝物。これからも5人で過ごしていきたいと切に願っている。
☆市川雛菜
年齢:16歳(高校1年生)
趣味:なんでもそれなりに好き~
特技:なんでもそれなりにできる~
親愛度:Lv.5
印象:大好きな先輩!
エピソード:どれもしあわせ~な思い出ばかり。中学にあがるまでは、円香のように彼の妹だったらいつも一緒に居れてよかったのにな~と考えていた。
☆樋口円香
年齢:17歳(高校2年生)
趣味:特にないです
特技:特にないです
親愛度:測定拒否
印象:愚兄
エピソード:言いたくありません。
これにて第2部『W.I.N.G.(前編)』終了になります。
次の第3部でW.I.N.G.は完結予定ですが、全てのアイドルを出せるか怪しいため、先にキャラクター紹介だけでも載せておきます。
ちなみにシーズとルカはまだ未加入なのでいません。