シャニP、樋口円香の兄に転生する   作:リィンP

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プレイ・ゲーム(甜花)

 

 先日、休憩室で円香と仕事の話をしていた翼であったが、その場にもう一人のアイドルがいたことに彼は気付かなかった。

 

 実は甜花がソファの裏で寝ていて、途中で目を覚まし、自分達の話を聞いていたようであった。 

 

 彼女の存在に最後まで気付かないまま翼が退室していった後、鳴り響いた機械音で彼女の存在が明るみになった。

 

 しかし、円香が声をかける前に「ひぃーん」と気の抜けた悲鳴をあげて甜花は逃げてしまい、流石の円香も面食らったようであった。

 

 以上のことを妹から報告された翼は、慌てて甜花にメッセージを送り、彼女に気付かないまま話し込んでしまったことを謝罪した。

 

『あ、謝らないで翼さん。甜花…気にしてないから』

 

『甜花…ありがとうな』

 

『うん…ゲームのゲリライベントには参加できなかったけど…元々甜花がお昼寝し過ぎちゃったせいだし…全然、気にしてない…』

 

『甜花…その、なんだ…明日はオフだし、一緒にゲームでもやるか?』

 

『っ!や、やる!!』

 

 そんなやり取りをした翌日、翼は甜花の希望で大崎家に訪れていた。

 

「にへへ、翼さん…腕あげたね…!」

 

「まぁ甜花に手解きしてもらったしな」

 

 リビングのテレビで対戦ゲームを行う翼と甜花。

 2人の表情は生き生きとしており、特に甜花の方は上機嫌な様子であった。

 

「翼さんは筋がいい…甜花も油断してたら負けちゃうかも」

 

「はは、それは嬉しい言葉だな。よし、次こそ勝って見せるぞ」

 

「甜花、負けない…!」

 

 そして、また次のラウンドが始まる。

 翼は最初の頃より善戦するが、歴戦のゲーマーである甜花には敵わず、連敗を繰り返した。

 

「甜花は本当にゲームが上手だな。俺も以前より上手くなった実感あるけど、まだまだ甜花には敵わないよ」

 

「にへへ、ありがとう。あのね、翼さん…その…甜花とゲームしていてつまらなくない?」

 

 幸せそうに笑っていた甜花であったが、その表情が急に曇り、不安げに翼へ問いかけてきた。

 

「ん、どうしてそんなこと聞くんだ?」

 

「翼さん、普段ゲームしないのに甜花の対戦に付き合ってくれるから。甜花は嬉しいけど…翼さんの方は無理しているのかもって…」

 

 クッションに半分顔を埋めながらそう自分の気持ちを吐露する甜花に、翼は心配させないようその頭を優しく撫でる。

 

「そんなことを思っていたのか。甜花は本当に優しいな」

 

「つ、翼さんの方が優しいと思う…!だから甜花…どうしても不安で…」

 

「大丈夫だよ、甜花。その心配は杞憂だ」

 

「ほ、本当…?」

 

「あぁ、甜花とこうしてゲームで遊ぶのは凄く楽しいよ」

 

「に、にへへ…それならよかった…!」

 

 クッションから顔を上げて満面の笑みを浮かべる甜花。

 その彼女の笑顔を見て安心した翼は、頭を撫でるのを止めて座り直した。

 

「まぁ、負け続けるのは流石に悔しいけどな」

 

「あうぅ…ごめんなさい…」

 

「はは、いつか甜花から一本取れるよう頑張って精進していくさ」

 

 嫌味なくそう発言する翼に、甜花の心は温かな気持ちで満たされていくのを感じた。

 

「翼さん…そ、そうだっ!このゲームなら協力プレイできる…!」

 

 もっと楽しく遊べるゲームの存在を思い出した甜花は、急いで自室から目的のものを取ってくると、じゃーんと言わんばかりに翼に披露した。

 

「お、最近CMでも見かけるゲームじゃないか。確かクラスの友達も面白いって言っていたよ」

 

「ふふふ…1人でやっても面白いけど、2人以上でやる方がより楽しいと評判のこのゲーム…一緒にやってくれる…?」

 

「もちろん。友達から話に聞いたときから興味があったから、一緒にプレイできるのは嬉しいよ」

 

「うんっ…じゃあ準備するから少し待っててね」

 

「ふふ、楽しそうね2人とも。もしよかったら、お菓子もあるわよ」

 

 そう2人に声を掛けてきたのは、甜花と甘奈の母親であった。

 その手には美味しそうなクッキーとジュースがあり、ちょうど机の上に用意しているところであった。

 

「あ、ママのお手製クッキー…!えへへ、ありがと…!」

 

「すみません、お母さん。自分の分まで用意していただいて」

 

「いいのよ、翼くん。今後も娘たちと仲良くしてくれると嬉しいわ」

 

 お礼を告げる翼に、甜花の母親は好意的な態度を見せる。

 

「はい。友達としてはもちろん、マネージャーの方でも全力で甜花さんと甘奈さんをサポートしていきますので、よろしくお願いします」 

 

「あらあら、娘たちから聞いていたけれど、本当にその年でマネージャーをやっているのね。しかも、話で聞いていた以上に立派だからとても驚いたわ」

 

 丁寧に挨拶をする翼を前にして、軽く驚いている様子の甜花母であったが、彼を見つめるその視線は優しさに満ちていた。

 

「いえ、自分なんかまだまだ未熟で…甘奈さんや甜花さんに助けてもらうこともありますから」

 

「甜花…助けてもらっているばかりな気がする…」

 

「そ、そんなことないぞ?」

 

「翼さんの目、泳いでる…!」

 

 翼と娘である甜花のやり取りを見て、甜花ママは上品に笑みを浮かべる。

 

「ふふ、甜花が男友達を連れてくるのは前代未聞だったから、不安でこっそり見守っていたけれど、考えすぎだったみたいね」

 

「にへへ、翼さんは品行方正で有名だって、浅倉さんが言ってた」

 

「まさか透が、甜花にそんなことを言っていたのか?」

 

「えっと、甜花だけじゃなくて…浅倉さんはみんなに翼さんのこと話しているよ…?」

 

 透の会話レパートリーは乏しいのだが、翼の話であれば十数年以上の付き合いがあるため、大量の会話ネタを持っている。

 話題に困ったら彼の話をすれば盛り上がること間違いなしのため、翼について話すことが多かった。

 

 もっとも、食い付きのよすぎる一部のアイドルには「あー…ふふ、忘れた」と打ち切ってしまうこともあるようだが。

 

「…後で透に聞いてみるか」

 

 そう翼は呟いた後、一旦ゲームを終了して甜花ママが用意してくれたお菓子を甜花と一緒にいただくことにした。

 

「ふふ…でも本当に嬉しいわ。こんなに楽しそうに甜花が家族以外の人と過ごすなんて、初めてのことじゃないかしら」

 

「そ、そうかな…?」

 

「えぇ、むしろ友達というより兄妹に見えるくらい仲睦まじく感じたわ。お兄ちゃんオーラ、っていうのかしら…翼くんからはそんな雰囲気が漂っているよねぇ」

 

 まじまじと年上の女性に見つめられた翼は、照れくさそうに頬を掻きながら口を開く。

 

「あはは、一応これでも兄なので…まぁ妹には鬱陶しく思われているかもしれませんが」

 

「そ、そんなことない…!」

 

「甜花…?」

 

 突然大きな声を出した甜花を、翼は不思議そうな表情で見つめる。

 

「ひ、樋口さんも翼さんのこと、好きだと思っているはず…!」

 

「そ、そうかな…?」

 

「うん、同じ双子だからわかる。甜花はなーちゃんのこと好きで、なーちゃんも甜花のこと好き。翼さんは樋口さんのこと好き?」

 

 甜花に問いかけられた翼は、迷うことなく返答する。

 

「あぁ、もちろん」

 

「にへへ、それなら樋口さんも翼さんのこと好き…きっと樋口さんはクールな人だから口に出さないだけだと思う」

 

 甜花と甘奈。

 生まれた時からずっと一緒にいる彼女たちは、とても仲良しな双子の姉妹である。

 しかし、残念ながら全ての双子が彼女たちのようにお互いのことを好きでいられるわけではない。

 

 それでも、甜花の目から見て翼と円香の関係は自分たちと何も変わらないように思えたのだ。

 

「…そうか、ありがとうな、甜花」

 

「うん、双子のことは甜花詳しいから、頼ってくれて大丈夫…!」

 

「はは、それは頼ましいな」

 

「ふふ、これ以上邪魔するのも悪いし、ママは買い物に出掛けるわね」

 

「あ、うん…わかった」

 

「何かあったら連絡してね。それと翼くん、我が家だと思って寛いでくれていていいからね」

 

 甜花母はウインクしてそう言い残すと、リビングから出て行くのであった。

 

「甜花のお母さんは優しい人だな」

 

「うん、ママは優しくて綺麗…ただ怒るとすごく恐い…!」

 

「…夜遅くまでゲームは控えような、甜花」

 

 翼の言葉にビクンと身体を震わせた甜花は、恐る恐る言葉を返す。

 

「な、何でわかったの…!?もしかして、翼さんってエスパー…?」

 

「いやいや、甘奈から聞いていただけだよ。夜更かしは身体に悪いって心配していたぞ」

 

「うぅ…気を付けます…」

 

 話しながらもクッキーを食べ終えると、翼は甜花と一緒に先程話していた協力ゲームを始めるのであった。

 

 そして2人が時間を忘れてゲームに熱中していると、気付けば太陽は沈みかけ、外は暗くなっていた。

 買い物から帰ってきた甜花母から夕食を誘われた翼であったが、流石にそこまでしてもらうのは悪いと思い、丁重に断って帰路に就くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ① ニアピン甘奈

 

 

「ただいまー☆」

 

「おかえり、なーちゃん」

 

「甘奈、惜しかったわね。翼くん、少し前に帰ったわよ」

 

「えー、翼くんもう帰っちゃったんだ…。甘奈も会いたかったなぁ」

 

「にへへ、協力プレイ楽しかった。今度はなーちゃんも一緒に遊ぼうね…!」

 

「うんっ、楽しみにしてるね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ② 翼が見た夢

 

『お兄ちゃん、おはよー☆』

 

『お兄ちゃん、今日の朝食は甜花が作ってみた…!』

 

『お兄ちゃん、ピーマン苦手だった?それじゃあ、甘奈がもらっちゃおうかなー』

 

『お兄ちゃん、約束通り今日は夜までゲームしようね…!』

 

「──はっ!ゆ、夢か…。それにしても、甘奈と甜花が妹なんて変な夢だったな」

 

「へぇ、それは本当に奇妙な夢」

 

「ま、円香…!?どうして俺の枕元に立ってるんだ…ッ」

 

「寝言で妹がどうのこうのうるさかったから、気になっただけ。それより今の言葉だけど」

 

「えっと、寝惚けて変なことを言ったみたいだな…あはは」

 

「えぇ、本当に。夢はその人の内なる願望を現すみたいだけど、それが本当ならアイドルを自分の妹にしたいという隠れた欲望があることになる。ちなみに、何か釈明は?」

 

「……その、今更説得力はないと思うけど、俺の妹は円香だけだと思ってるよ」

 

「本当に今更」

 

「だ、だよな…」

 

「………」

 

「その、久しぶりに兄妹水入らずでどこか遊びに行かないか?」

 

「…いきなり、何?」

 

「いや、昔はよく色々な場所に2人で行っていたことを思い出してな…それで、どうかな?」

 

「………つまらないところだったら、許さないから」

 

 

 

 

 





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