シャニP、樋口円香の兄に転生する   作:リィンP

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VERY HAPPINESS!(雛菜)

 

 

 透がアイドルになったことを知った円香、雛菜、小糸の3人。

 

 彼女たちが何を感じ、思ったのかは当人しか分からない。

 

 しかし、彼女たちの内心で大きな変化が起きたのは確かであった。

 

 

 円香は283プロの事務所に直接アプローチをかけ、透同様スカウトを受けた。

 

 雛菜、小糸は283プロのアイドル募集を見つけ、それに応募した。

 そして見事、書類審査を突破した2人は283プロによる面接を受けることになったのであった。

 

 

 

 そして円香がアイドルとしてスカウトされてから1週間ほど経過した今日───翼たち幼馴染5人組はオシャレな格好で外を歩いていた。 

 

「雛菜と小糸も283プロに応募していたなんて、昨日言われるまで知らなかったよ。どうして教えてくれなかったんだ?」

 

「あは~、翼先輩を驚かせようと思って、今まで黙ってたんだ~!ねぇ、小糸ちゃん~」

 

「ご、ごめんね翼くん。どうしてもって雛菜ちゃんが言うから…」

 

 悪気がまったくない雛菜に対し、小糸は申し訳なさそうな顔をして翼に謝る。

 

「別に小糸は悪くないでしょ。すべて雛菜が悪い。ついでに翼も」

 

「お、俺も悪いのか…」

 

「あは~、一緒に怒られちゃいましたね、翼先輩~~♡」

 

「ふぁ、ねみぃ…」

 

「と、透ちゃん、しっかり前見て歩かないと危ないよ!」

 

 翼たち5人はいつもと変わりない会話を続けながら、雛菜と小糸が面接を受ける建物へと自分たちのペースで歩いていくのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「もうすぐ面接会場に着くと思うけど、小糸と雛菜…心の準備はできているか?」

 

「う、うん、大丈夫…だと思う!」

 

「あは~、雛菜も大丈夫~!」

 

「そうか。それにしても、雛菜はいつもと変わりないな」

 

「雛菜、なんでもそれなりにできるからね~。いつも通りの雛菜を見せれば、何も問題ないってわかってるから~」

 

「雛菜ちゃん、凄い自信だね…私も見習わなくちゃ…!」

 

「小糸ちゃんは緊張しすぎだよ~。あは~、アイドルになるの楽しみ~~♡」

 

「はぁ…雛菜、もう受かった気でいるの?」

 

 緊張を隠せていない小糸と異なり、いつも通りの様子で笑っている雛菜。

 まったく緊張感の欠片もない彼女の様子に、円香は思わずため息をついた。

 

「あは~、いつも無愛想な円香先輩がアイドルになれたんだから、雛菜も大丈夫でしょ~~♡」

 

「は?それどういう意味」

 

 雛菜の不用意な発言により、円香の纏う空気がピリピリしたものになる。

 

「雛菜、円香をからかうのはそこまでだ」

 

 そんな2人の様子を見かねた翼は口をはさむことにした。

 

「あは~、翼先輩がそう言うなら、このくらいにしま~す」

 

「…それと雛菜、俺からも1ついいかな?」

 

「ん、なぁに~?」

 

 雛菜に話しかけながら、翼は前の記憶を想起する。

 

「───雛菜が考えているほどアイドルの世界は甘くないよ。それだけは理解しておいてほしい」

 

 市川雛菜という少女には紛れもなくアイドルの才能がある。

 

 前の記憶では、雛菜はWING優勝を果たした。

 それに、いくつものテレビや雑誌などに出演して、多くのファンを獲得していた。

 

 それでも、アイドルの頂点へと駆け昇っていく間に、彼女の進む道に多くの壁が立ちはだかったのは今でも彼の脳裏に刻まれている。

 

 アイドルとして活動する中で、幸せなことばかりではなかった。

 その度に悩み、考え…時間をかけて雛菜なりの答えを出してきたのだ。

 

 

「雛菜にはそのことを分かった上で、この後の面接に臨んでほしいんだ」

 

「……あはっ、わかった~~!」

 

 自分のことを誰よりもよく見ている彼からの助言、それを聞いて雛菜は少し照れ臭そうに返事をした。

 

「…ねぇ、翼先輩?」

 

「ん?」

 

「雛菜のこと、これからもずっと見ててね」

 

「───あぁ、もちろんだ」

 

「あは~~♡雛菜、がんばる~!!」

 

 雛菜はとびきりの笑顔を浮かべた。

 

 そんな雛菜を見て、溜飲が下がったのか円香は怒りの気配を発散させる。

 

「…さすが、ミスター人たらし」

 

「ん、円香、何か言ったか?」

 

「…何も言ってない」

 

 小声で何かを呟いた円香は、兄の問いかけを無視して歩き続ける。

 

 その後、少しして目的地が見えてきた。

 

「あ、みんなっ!面接する場所、あそこじゃないかな!」

 

 手元の資料と目に映る風景を見比べながら歩いていた小糸が声を上げる。

 

「グー、よくわかったね、小糸ちゃん」

 

「えへへ、ま、まぁね!」

 

「えっと、雛菜が10時からで、小糸ちゃんが10時半か~」

 

「うし、行くか」

 

 283プロから送られてきた書類を改めて確認する雛菜と小糸。

 

 そんな2人の横で、ようやく目をパッチリと開けた透が気合を入れながら建物の中に足を進めようとした。

 

「いや、浅倉は行くな」

 

「えっ」

 

「えっ、じゃない。私たちはこれから事務所に行く用事があるでしょ」

 

「あ~…そうだった」

 

「もう、しっかりして」

 

 円香はため息をつきながら、透の肩を引っ張る。

 

「それじゃあ、雛菜、小糸ちゃん。またね」

 

「あは~、終わったらチェインしますね、透先輩~♡」

 

 雛菜は嬉しそうに手を振って透と円香を見送る。

 

「小糸、緊張しすぎないようにね」

 

「う、うんっ!」

 

「あと雛菜は調子乗らないように」

 

「雛菜の扱い、小糸ちゃんと全然違う~~!」

 

「それじゃあ、透と円香もお仕事頑張ってな」

 

「うい~、翼も来てね、面接が終わったら」

 

「いや、だから俺は行かないって」

 

 あくまで彼が今日来た理由は雛菜と小糸の付き添いである。

 

 彼女たちの面接が無事に終わったら家に帰るつもりなため、283プロの事務所に寄るつもりはなかった。

 

「ふふ、来るよ、翼は」

 

 首を振りながら断る翼を見ているはずだが、透は気にした様子はない。

 

「…その根拠はどこから来てるんだ」

 

「んー、勘?」

 

「勘、か……はは、透らしいな」

 

 透らしい回答に、翼は思わず笑みをこぼす。

 

 そして、透と円香は翼たちに背を向けて歩き始める。

 

「…フォローよろしく」

 

「あぁ、円香も頑張ってな」

 

 円香と翼はすれ違いざまに、皆には聞こえない声の大きさで短い会話を交わす。

 

 短いやりとりだが、2人にとってそれはいつも通りのことだ。 

 多くを語らずとも、認識を共有し、理解し合っている。

  

 翼と円香───前の記憶ではプロデューサーとアイドルだった2人。 

 

 今回、関係性が大きく変わった彼らだが、そこには家族としての『絆』が確かに築かれているのであった。

 

 

 





今日の裏話③

彼のことを一番理解してるのは自分(円香)

彼に一番理解されているのは自分()

彼が一番見てくれているのは自分(雛菜)

彼から一番頼りにされているのは自分(小糸)だと4人は思っていたりする。



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