英雄伝説・黒葉の軌跡   作:八葉と黒神の剣聖

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剣帝との再会

 里に帰ってきて早くも一年が経った。

 溜まりに溜まった仕事と代理戦争を片付けつつ、リベールでのやり残しがあったのでとんぼ返りしたりなど慌ただしい生活を送っていた。

 それもようやく落ち着いてきたと思いきや、年末に近づいてきたので色々と忙しい時期に。

 そんな中、暫く音信不通だったレオンハルトが共和国に遊びに来たので、ベルのお店で落ち合うことになった。

 

 

「しかし…会うのはリベール以来か…。どこで何をしていたかは置いておき、ちょうど頼みたい事もあったし、手伝ってもらうかね」

 

 

 これからの事を色々と考える中、ちょっとやりたい事が出てきている。

 というのも、訳あってリベールにとんぼ返りし、そのあとにジジイが滞在していた帝国のユミルに寄ったのだが、その時に顔を会わせた弟弟子を見てあることを思いついた。

 それを実行に移すには修行相手が必要なので彼に頼もうと思っている。

 

 

「魔人化せずとも彼女の神気を己が身と一つにする。それに必要なのは七の型の無の呼吸。それが出来れば姿を変えずとも…いや、どっちにしても姿は変えないといけないか。あとは…っと来たな」

 

 

 レオンハルトの姿が見えたので手を振ると、彼も笑みを浮かべながら手を挙げてくる。

 様子を見る限り元気そうだし、腕も相当上げた様子。

 その辺りも聞いておかないとな。

 

 

「よ。元気そうだなレオンハルト」

「そっちもな。聞いたぞ。リベールにとんぼ返りして、クローディア姫と色々あったそうだな」

「もしかして鋼の姉さんか?あの事に関しては面倒ごとを置いて行った教授と手を出した博士が悪いだろ。しかも当初の予定では俺とユリアさんで制圧する予定だったのに何でかクローディアが…って。その話はナシにしない?というかそっちこそ≪影の国≫って奴に巻き込まれたんだろ?ちょっと前にレンを追って来たヨシュア達に聞いたけど」

「……。その話はやめておこう。それよりお互い情報交換しないか?こちらも君に伝言を預かっていてな」

「了解。こっちも伝えたいことがあるから中入ろうよ」

 

 

 お店に入ってカウンター席に座ると、ベルがさっそく何飲むか聞いて来たので、俺はいつも頼んでいるカクテルを頼み、レオンハルトは一通り注文書を見たのち、俺と同じものを頼んでいた。

 

 

「そういえばレンだけど…こっちに帰ってきてすぐに見つけたぞ」

「何?ヨシュア達もまだ見つけていないと言っていたが?」

「だろうな。顔見知りの≪裏解決屋≫のところに暫くいたが今はクロスベル。あの人形師のところ」

「マイスターか。あの人の所はいい隠れ家になる。しかし…(確かクロスベルにはレンの…)」

「心配事?アークライドはレンに手を出していないから心配するな。そもそもアイツにはエレインが居るし」

「いや、心配事はそっちではなく、クロスベルにはレンの家族が居てな。もしかするとその辺も関係しているかもしれないと思っただけだ」

「そっか……(待てよ、確かクロスベルって結構面倒ごとが多くなかったか?)」

 

 

 噂程度だが、クロスベルの近況はこちらにも流れてくる。

 ルバーチェ商会と黒月。

 ろくに警察が機能しておらず、遊撃士だよりになっていること。

 あとは…確か教団の残党と思わしいき連中がいるって噂か。

 

 

「クロスベルは色んな話があるわね~。行くなら気を付けた方がいいわよヤクモちゃん。はいいつもの」

「そうだな。あまり滞在はしない予定だけど…ありがとうベル」

「余計な心配かもしれないけどね。レオンハルトちゃんもどうぞ」

「…あぁ(ベルモッティだったか。中々見ないタイプの人間だが、妙に信頼できるな)」

 

 

 クロスベルは昔から大変だからね。

 共和国と帝国に挟まれて、色んな謀略があるだろうし、両者の言い分も聞かないといけないだろうし。

 一番きついのはガレリア要塞にある列車砲かな。

 中々無法な兵器だよねあの大砲。

 

 

「共和国は変わらずか?様々な勢力が蠢いているようだが」

「変わらずだよ。マフィアに黒月。先日は赤い星座もいたな。あとは反移民団体」

「確かロックスミス大統領が積極的に東方からの移民を受け入れていたな。近頃は砂漠化もひどいと聞く」

「そう。でもそれを嫌がる連中が居てな。あの手この手でロックスミスの旦那にちょっかいかけてくるんだよ。近頃はこの手の仕事が多い」

 

 

 

 なんでも議員の中に反移民団体と通じている連中が多いうえに、横領や横流し、武器の密輸とか度が過ぎたことをしているらしい。

 だけど、最近はCIDが設立されたから大きな動きはかなり減っているけど、それでも目を盗んで活動していて、この手の連中は俺達で狩っている。

 

 

「今日も仕事入っててさ。キリカの姐さんに頼まれてて。年末に向けて忙しいってのに仕事が大量。せめてもの救いは代理戦争が暫くないことぐらいか」

「それなら付き合おうか?君に助けられた件を返すいい機会だ」

「そういうのはいいって。別で頼みたいことあるし。手を貸すと面倒な連中に目を付けられるぞ。今夜は特にな」

「ほぅ、面白い奴でもいるのか?」

「今日は多分。知り合いのばあさんから『孫が天狗になってるからちょっと折ってやってくれ』って頼まれててな。興味あるなら見に来てもいいけど」

 

 

 今日のターゲットは横領の証拠とある怪盗の相手、後は当代の≪銀≫だろうか。

 後者は出てくるかは分からないが、前者は確実に出てくる。

 今回はかなりの大物がターゲットだし、名声を上げるには格好の相手だろう。

 

 

「見に来るだけなら止めない」

「では同行させてもらおうか。無論手は出さない」

「了解。じゃあアジトに戻るか。じゃあベル。またいつも通りに」

 

 

 カウンターで接客中のベルに手を振ってから首都にあるアジト…もとい、借りている住居ビルに移動する。

 空いている部屋の鍵をレオンハルトに渡し、俺は一階にある作戦会議室で今日の依頼の内容を確認。

 

 

「大統領に対抗している議員がマフィアと結託して反移民団体にミラや武器を横流し…。加えてその報酬を倍で貰ってるか」

 

 

 本来ならCIDの仕事なんだけど、設立して間もないから手の回っていない所が多く、また規模が多いと中々行動に移せないらしく困っているらしい。

 ので、今はその手を中心に引き受けている。

 

 

「念には念を…。裏に居るマフィアが面倒な相手だし。頭が変わって≪庭園≫連中を引きこんだからやりずらい」

 

 

 書類に目を通しながらコーヒーを二人分淹れていると、二階から大きな欠伸をしながらシズナが降りてくる。

 どうやらお疲れの様子だったのでコーヒーを追加でもう一杯淹れて、冷蔵庫で冷やしていたサンドイッチをテーブルに置く。

 

 

「おはよう。コーヒーとサンドイッチ。ちょっと冷たいけど」

「ありがとヤクモ。それと…えいっ!」

「おっと」

 

 

 大きく両手を広げて抱きしめてくるシズナ。

 そのまま首辺りに顔を埋めて腕の力を強めてくる。

 そんな彼女の頭を撫でていると、レオンハルトが二階から降りてきた。

 

 

「むっ…取り込み中だったか?」

「いいよ。いつもの事だし。というか君の事だからヨシュアとエステルで見慣れてるでしょ」

「……あの二人ももう少し周りの目を気にしてほしいのだが」

「あー…それは確かに。それとこっちに関しては文化的な物だから、結構日常茶飯事。チヨメだってそうだし。ほら離れるシズナ」

 

 

 シズナの背中を軽く叩いて伝えると、少し頬を膨らましながらも離れて、レオンハルトと向き合う。

 一触即発…かと思いきや、普通に自己紹介して、普通に世間話をしてから、シズナはコーヒーとサンドイッチを持って二階へと上がっていった。

 

 

「予想していたよりも年頃の女性だったな。少し子供っぽさが残っているが」

「チヨメとは逆だな。個人的にはもう少し大人になってほしいけど」

「それもまた彼女の良いところだろう。守りがいがあるんじゃないのか?」

「ま…それもそうだな。それよりこの書類見ておいて。今日の依頼だから。その間に俺は準備してくるよ」

 

 

 書類を渡してから、仕事の準備に取り掛かるのであった。

 

 

 

 

 

 

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