異世界追放エンチャンター、現代日本でアニメ観たりモンスター討ったり。   作:あるなし

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08 革命騎士団2/エンチャンター8

<???/女性、革命騎士団団長>

 

 

 ほう、三席もくたばって団が動揺していると。

 

 いいじゃないか。そも、暴力で秩序をどよもそうという集団が安定していてなんとする。

 

 揺らげ。騒げ。無様を踊れ。こんなはずではなかったと、どうしてお前らだけがと、泣き叫びながら八つ当たりせよ。考えなしに平和という至宝を台無しにしてしまえ。どうせ貴様らには失うものなど何もないのだから。

 

 大義? 知らんな。知っていた次席はもうおらんのだろ?

 

 そんなものはなくとも、そうら、破滅の用意はこの通りだ。

 

 五百個のUSBメモリ……その一つ一つに異形を封じてある。多少とも術式に触れた者ならば解放可能という代物だ。一人につき一つ、仲良く分けろ。余るようなら下部組織にもくれてやれ……そうさ、同時多発テロというやつだ。方々で暴れさせるのがいい。大いに場が温まる。

 

 盛り上がるな。通常戦力も異能戦力も集まってこよう。それらを蹴散らすのも愉快だが、返す刀で都庁をでも落としてみるか。無論、その後は国家中枢だ……ん?

 

 どうした? 笑ったらどうだ? そういう滅茶苦茶をするために集まったのだろう? ええ?

 

 そうか。冷静だな。退き口を気にするようでは生き苦しかろう。

 

「出でよ」

 

 おい、聞いていたな? 以後は貴様が差配しろ……ほう、いいな。はかどるようならそうしろ。酒でも麻薬でも出し惜しみせず配ってしまえ。仮装? 好きにしろ。ハロウィンであろうが百鬼夜行であろうが、つまるところ何でもいいのさ……よし、行け。

 

「……まあ、こんな具合さ。この世の地獄を創ってやるぞ」

 

 やれやれ。つとめて凶悪な声を電波にのせてやったつもりだが、鼻を鳴らされてしまった。極まった年寄りというのは始末におけない。

 

「実行日か。特に定めてはいないが、諸々の準備が済むまで一週間はかかるのではないかな……これはしたり。急かされるかと思えば……クク……ハハハ! 私がせっかちな若造であるかのような物言いではないか! アハハハハ!」

 

 ドア向こうの気配が右往左往したな。さもあれ、久々に声を出して笑ったぞ。

 

「ほほう、まだ歪むだと? なんと、まだまだ序の口? 目を見張る予見だな……余程に物凄まじい儀式系術式を執り行っているらしい……二週間は様子を見よう。歪みの度合いをな。私には肌身でそれがわかるのさ……ふん、どちらが死に損ないか。さっさとくたばれ」

 

 執念だな。武が洗練の先にむしろ簡素化するのに対し、知のそれは複雑化していく。合理の重層に想いを差し挟み続けていく。老知こそ畏るべし。若者の無謀よりも強く長く深く、世界を捻じ曲げえる。そうと知っていた気もする。あるいはそれを羨んでいた気も。

 

 まあ、いい。望むところだ。

 

 誰も彼も、のべつまくなしに、狂い奔ればいいのだ。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

<鈴村圭(ケイ)/男性、個人事業主、ノーマル性癖>

 

 

 第二話にして初めてオープニングアニメ……それなりにある手法だが。

 

 いやあ、きっついな!

 

 魔鎧が何なのか先にわかってしまったじゃないか! すごくカッコ良く瞬時装着したけれど、これ、あれだろ? 魔導甲冑だろ? モンスターを錬金術で武具化するやつ。チラッと見えたもの、古代種の黒ドラゴンが。

 

 聖堂め、何てものをこさえたんだ……若年ワイバーンの魔導甲冑ですら適合者は数千人に一人。しかも寿命を五十年以上削られる始末。鈴村圭を時限兵器に仕立てたというのか。

 

 そりゃあ、勇者も泣くよ。オープニング中ずっと泣いているじゃないか。

 

 幼馴染聖女も魔女伯爵も表情が暗い。それはそうだろう。聖剣の代わりがこれでは立場がないよ。骸骨海岸戦以降、明確に否定された戦術なんだから。

 

 まあ、でも、それしかなかったのか……追い詰まっていたわけだし。

 

 いっそ、こっちの世界のように爆弾があればよかったんだ。抱えて運べるサイズのやつが。魔術ではどうしても個人の資質に左右されてしまう。大威力の魔術を使える人間に捨て身の突撃なんてさせられない。さりとて安い命では弱い打撃にしかなりやしない。

 

 命は平等、か。素敵な理屈だけれど。

 

 きついなあ……曲がデス寄りのハードロックであることは、数少ない救いだ。これでキャピキャピした感じのやつだったら右往左往してしまう。戦場の現実なんて、叫び出したいようなものばかりさ……こっちの戦争もひどいらしいなあ。

 

 さて、本編。

 

 女傑騎士は早々に退場したわけだが、勇者一行はどこへ後退できたのやら……鈴村圭の「知らない天井」からスタートか。強行軍で倒れたのかな。ありそうな話だ。

 

 ん、机の上のそれは……遺書だ。俺が最後に書いたやつだ。

 

 それを読む。うお、朗読!? 有名声優による、書いている時の俺をイメージした迫真の声劇!? きついきついきつい! ああやめて、そんな風に情感たっぷりに読まないで……おおお……そりゃその通りの文面だったけれども、もっとこう、乾いた感じの心情で書いたんですよ? 「やってらんねー」くらいのメッセージ性です。そんなに御涙頂戴の切々たるものじゃないんですよ。筆者の、筆者の主題というやつをもっと読み取って……あああ! 

 

『俺が憑依してしまったこの人は……ケイ・ベルソンは……必死に生きていたんだ』

 

 え? ああ、はい。それはそう。誰だってそうだと思うけれど。

 

『なのに……不公平に扱われ、理不尽に犠牲を強いられた……誰も味方しなかった』

 

 まあ、そう。そっちの世界は基本的に不公平で、どっちの世界でも戦争は理不尽だから。

 

『…………ふざけるなよ』

 

 ごめんなさい。もだえざるをえない朗読だったんだ。背筋を伸ばします。

 

『ふざけるな、どいつもこいつも。何が、良かっただ。何も良くない。助かってなんていないんだ。彼の心はもうここにないんだぞ。消えてしまったのに、嗤いやがって……馬鹿にして!』

 

 ちょ、待て。待ってくれ、鈴村圭。

 

 今の回想シーン、おかしかったぞ? 勇者、そんな嘲笑う感じじゃなかったぞ? 幼馴染聖女も、魔女伯爵だって、初めて見るレベルですごく心配していたぞ?

 

『クソ! ふざけやがって!!』

 

 まさか、お前……お前の目には、そう映るのか? そういうことなのか!?

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