何でも許せる人だけどうぞ。
「また親子喧嘩か?デリング」
「…ああ」
そう話を振った男は茶髪の天然パーマで、話を振られた男は壮年の威厳ある容姿だ。実際、壮年の男は傍目には分からない程僅かではあるが疲れた顔をしていた。尚、これが普段の顔との差が分かるのは天然パーマの男だけである。
2人の男が話す場所は総裁室。来客用の1人用ソファーに対面する形で座って語らう2人の他には誰もいない。
その理由は壮年の男がこの部屋の主であり巨大企業複合体「ベネリットグループ」総裁兼監査組織カテドラル統括代表、デリング・レンブランであるからだ。
本来ならばSPに常に護衛される立場なのだが、デリング本人が『この場では必要ない』と言い切ってしまった為に、今SP達は部屋の外でさながら門番のように構えている。
無論、内外共に『敵』が多い以上、警備上の問題があるとそれなりの人間の反対があったのだが、独裁者であるデリングがそれを跳ね除けるのは当然の事だった。
「そう疲れた顔をするなら一度時間を作って本音をぶつけあえと何度も言ってるんだがな」
「使える時間は無い。それにお前程目が良い人間は他にいない以上誰も気づかん」
「まあ彼女も呼んで来るかといえば怪しいところではあるが…そういう意味では独裁者として振る舞い続けるのも大変だな。俺には出来る気がしない」
「…だろうな。想像もつかん。お前がそう振る舞えるような人間なら今こうして語る事など有り得ん」
「それはそうだな…全く上手く『独裁者』を利用する。もう少し娘の為に使ってやれよ」
そこまで言って男はチラリと時計を見る。時計はこの毒にも薬にもならない雑談をするこの時間が終わる事を告げていた。
「そろそろ時間だな。俺も開発中のMSとMAを放っておく訳にもいかない」
「ああ…良い報告を待つとしよう」
「俺も彼女との事について良い話を聞ければ良いがな」
互いに薄らと笑みを浮かべ、男は席を立った。無言のまま部屋を出るのを見てデリングもまた執務机に戻る。無機質な機械音と共に開いたドアを通って総裁室を出た。
男はSP達が自分を見る目に疑惑の色がある事を認識しつつも、何でもないように振る舞いその場から去った。
「入れ」
デリングの一言でSP達は警護をする上での定位置へと戻る。これがここ最近のデリングの日常である。…本人は知る由もないが、男との語らいの時間を時々作ってから纏う雰囲気が少し変わった、というのはグループ内の人間の間で専らの噂だ。
去った男は様々な種類のMSが並ぶドックに向かっていた。中に入れば今も数多くの技術者達が忙しく動き回っている。一先ず戻ってきた事を伝える為に近くの作業員に声をかけた。
「おつかれ。現状での進み具合はどうかな?」
「あっ、おつかれさまです!現状は進歩良好です!」
「それは良い。僕もすぐに作業に戻る」
そう言って男は建造中のツインアイに2本のアンテナが特徴的な機体に眼を向けた。その隣には建機を思わせるガッシリとした重機のような機体もある。
「いよいよ、ですね…!」
「ああ。GUNDフォーマットがかつて掲げた人の身体の拡張としての機能…それを成す純然たる作業機械として作られたMAの完成は、進化をしていく中でMSのそれとは違う答えになる。…これが兵器の道へと進まない事を願うよ」
「きっと進みませんよ、
アムロさん!」
続くかは未定。もし次絡むならお嬢様かな?
次回予告は
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いる
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いらない