入学した自分の後に新しくやって来たそれはとても立派で大きく強そうでーーーーと思考の海に落ちようとするニカ・ナナウラに背後から声が掛かる。
「大丈夫か?ニカ」
「はっ⁉︎すみませんアムロ先生、つい見惚れちゃって…」
「ジェガンがいい機体なのはそうだが、流石にここで惚けるのは危ないからやめた方が良いぞ」
「はい、気をつけます!」
2人がいるのは地球寮の増設されたMSドック。本日付でジェガンが納入されたのである。
事前にアムロからベネリット社の新型を地球寮で運用し、そのデータを推薦元に送って良いと言われていたが、実物を見るまでは誰もが信じられない様子だった。
が、いざ納入されたそれはピカピカの新品で新型。メカニック科の面々は興奮を抑えられない様子だ。
「このジェガンがこれからどう進化していくのか、どう派生していくのか。それも地球寮のみんな次第だからな」
「はい!それにしても渡されてるデータを見ただけでも既存のMSとは全然違いますね…」
「月と水星で採掘されるパーメットを使用せず、装甲には地球で生成可能なチタンを用いたチタン製合金を採用している。コンセプトは『次世代量産型』で尚且つ地球・宇宙問わず作る事が出来るという点が重要だ」
「見れば見るほど地球向けっていうか…昔にもパーメットを用いないMSはありましたけど、完成度が段違いですよ」
アド・ステラのMSも最初からパーメットを利用していた訳ではなく、最初期のMSは操作はもっと複雑だった。が、制御が容易な元素であるパーメットの発見によりかなりの量の工程を省いて制御出来るようになった為に、MSは広く普及した。
「当然だ。従来の操作性と変わらず、且つパーメットを必要としないシステム。ここら辺は元から思案されていたもので、限られた資源である筈のパーメットが無くなった後の為にと作られていたが、今回ジェガンを作るにあたり金と人員を惜しみなく注ぎ込んだ結果さ」
「採掘資源ですもんね、パーメット。言われてみれば無くなった後の事なんて考えてなかったなぁ」
「だが今こうして考えた事でそれにも備えられるようになる。この積み重ねが大事だ」
「そうですね」
そう語るアムロはパイロットスーツに身を包んでおり、この後ジェガンの性能テストが待っている。
「アムロ先生もやっぱりこの機体に乗るの、ちょっと楽しみだったりするんですか?」
「…そうだな。僕も機械弄りが好きな子供だったし、ゼフィランサスやジェガンの設計にも幾らか関わらせてもらっている。少なからず心が躍るさ」
「私も凄く楽しみです!この子はどこまで動けるんだろうって」
「…先生、ニカ。準備終わったから来て」
「すまない、ティル。すっかり話し込んでしまった」
「みんな気にしてない。…それに話、結構聞こえてたけど」
「あはは…、声大きすぎだね、私」
「…色々聞けて、寧ろ楽しみになった。早く行こう」
「アムロ・レイ。ジェガン、出るぞ!」
借りられた演習場でジェガンが動き出す。まず試運転として演習場をぐるりと飛んで一周する。
演習場の中にいるのは地球寮の面々だが、遠目からこの光景を眺めている者は多い。地球寮が演習場を借りる事自体滅多に無い上に、その機体は見た事も無い新型。しかも乗るのは寮監のアムロときた。
「思ったよりギャラリーが多いな。まあ良い、ニカ。最初は何から始める?」
『では、加速と急停止を繰り返しながら10周程お願いします』
「分かった」
急加速と急停止、更に旋回と…様々な動きを混ぜて動きを試しているうちに10周は終了する。
『続いてダミーターゲットを投影します。全装備を使用し破壊してください』
「よし…腕の見せ所かな」
左手にサーベルを抜刀し、より加速する。投影されたターゲットは50。最初のテストには少々数が多い気がしないでもないが、生徒達の為と思えば文句はない。
「数が並んだところで…!」
ジェガンの装備はビームサーベル、ビームライフル、バルカンにグレネードの4つだ。手始めに加速をそのままにバルカンを発射。破壊判定は8つ。
「切り込むか…!そこ!」
ここでビームサーベルを発振。射撃と交えつつまばらに散るそれを斬り伏せる。出た判定は12。
「固まっているな…ならば!」
残る30のターゲットは密集して配置されており、いささか極端な配置に見えたが、こうしたMSのテストの経験が無い寮生達ならこういう事もあるだろうと思い。徐にビームサーベルを密集の中心に投げた。
『え、アムロ先生⁉︎』
「大丈夫さ。ビーム・コンフューズ!」
回転するように投げたサーベルに向かって放たれたビームは拡散してターゲットを破壊し尽くす。回転が終わる前に投影された撃墜判定の表示を突っ切り、サーベルを回収し、着地する。ここまでアムロはスラスターをふかしっぱなしだった。
「さて、まだテストしたい項目はあるかな?」
『…はっ!今日はもう充分なデータが取れました、戻ってもらって大丈夫です!』
「そうか。では戻ろう」
…この時ニカはジェガンの動きをじっくりと見てしまい返事が少し遅れたのだが、彼女を責める事は出来ない。地球寮の面々は勿論、ギャラリー達も同じだったからだ。尚、その中にはアムロの『教え子』もいた事は言うまでもない。
決闘、寮長、学業。
色々忙しい中でようやく取れた時間で先生からの特別授業がようやく始まる!肝心の内容は…⁉︎
次回、「グエルの奮闘」
初見殺し多過ぎませんか、先生⁉︎
ごめんなさい一回やってみたかったんです。
次回予告は
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いる
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いらない