「今日も進歩は上々だな。地球側からの反応はどうだい?」
「…みんな良い返事を貰えてる。現状開発中の機体は取り敢えず各企業で各パーツを製作して最後に集めて組み上げる形になる」
「基礎は既存の物とそこまで変わらないからな。その試作型が上手くいくかどうかでこれからの地球企業の評価は決まる」
「…本当ありがとうございます」
「気にしないでくれ、ティル。好きでやっている事だ」
地球寮、ジェガンのドック前にて。
いつものようにジェガンのテストをしている地球寮の面々である。
アムロとティルが話しているのは開発中の地球産MSについてだ。
「今の進行具合だとどれくらいで出来上がりそうなんだ?」
「新学期には間に合うそうで…しかもSPを用意する予定です」
「確か精密狙撃と高性能型のミックス機だったか。ずいぶん速いな」
「あとは組み上げてテストするだけなので」
地球産のMSは基礎そのものは既存のそれを流用している為、ソフトそのものは大部分が完成…というか移植される形になっており、細かな調整はハード側…MS本体の完成を待つ必要がある。
「いよいよか…楽しみだな」
「元々この計画自体は前からあったんですが、コンセプトとそのモデルが明確になっていなかったので放置されてました。ジェガンのデータにより一気に進んだ形になりますね」
「結局、何であれ思い切りって大事だとよく思うよ」
「そうですね」
「先生ー!」
「ニカ。どうかしたかい?」
「あのですね、ジェガンのプランについての話なんですけど」
「…じゃ、僕はこれで」
ニカが近づいて来たのを見てティルはすぐに場を離れた。ティルは空気も読めるし気を使える男である。
「もう考えついたのかい?」
「はい!…まあ、みんなにも意見貰ったし、色々流用してるんですけど」
「見せてくれ」
タブレットに表示されているのは『ジェガン強襲型』のプランだった。
画像のデータでは前面に装甲を増加し実弾兵器としてバズーカとミサイルを増設する、とされている。
「それなりに良い出来だと思うが…流用したというのは?」
「これ、元々前の三年生…去年在学していたパイロット科の生徒がデミトレーナーに『こんなのが欲しい』って挙げた要望だったんです」
「パイロットからのか。確かにそれなら参考にするのも頷ける」
「ただ旧式のデミトレーナーだと出力やソフトの面で用意した所で扱えない物だって事でそこで終わっちゃったらしくて。ジェガンならどうかなーと思ってそれっぽく形にしてみたんです」
「なら何故このような構成になったかは説明できるな?」
「はい。まず突撃する機体なので被弾前提で前面のみ装甲を追加しています。これは耐ビームコーティングを施したいですね。実弾装備のバズーカとミサイルはこちらも使い捨て前提として用意しています」
「と、なると最後は元の装備であるビーム兵器で戦う事になるな」
「コンセプトとしては近接戦をする上で多少の被弾を気にせず戦う、又は装甲が傷付いてもビーム兵器を用いた最後の詰めを万全な状態で行わせる為になるべく場を荒らす、といった感じです」
「うん、及第点だ。これならそこまでコストも掛からないし、特別な仕様の火器を新造する必要も無い。
基本を抑えた良案だ。このデータは上への報告に上げても良いかな?」
「はい!」
後はデリングに報告する際に自分が一押し二押しすれば候補案に上がるくらいはするだろう、と考えながらデータを受け取る。
現状のベネリット社では各機能を向上させたエース仕様も作られているが、通常のジェガンと使い分けが効くならこちらの方が汎用性は上だ。どう転がるかは向こう次第なのでそれもまたお楽しみといった所だろう。
「ニカの懐きっぷりはすごいね」
「この学園でほぼいない尊敬できる先生だしなぁ」
「…尻尾、見えるよね」
「俺と先生で何が違うってんだ…!こないだのも全部外れるし…!」
「答え出てんだろ。まず
それを見守る地球寮の面々の視線は生暖かいものであったが。
ちなみにこの場にいないミオリネは言い合いじみた親子のコミュニケーションをとる為に通信している。
どんな内容かをミオリネの愚痴で大体知ってしまうのは地球寮のお約束である。
年一のインキュベーションの招待状が届いた。
社交場は正直好きじゃないけど…
これも令嬢としての務めかしら。
次回。「新たな扉」
やってみようとすれば、案外道は開けるものよ。
次回予告は
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いる
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いらない