無事書けましたので続きをどうぞ。
「…なによ」
「いや?相変わらず立派な温室だと思っただけさ」
棘を感じさせる態度の少女はミオリネ・レンブラン。ここは彼女の為の温室であり、そこにやって来たアムロに対してジットリとした目を向けた。
「また来たわけ?ホント、何度も何度もよくやるわねあんた」
「生憎気難しい友人を持ってしまったからな」
「…そ。だったら早く帰ってくれる?クソ親父には変わりないって言っといて」
「様子を見に来たと言えばそうだが…デリングから君が来年からアスティカシアに入学すると聞いた」
あからさまに不機嫌そうな顔をしながらミオリネは答える。
「ああアレ?あんの過干渉クソ親父、自分が理事してる学園に入れた挙句決闘制度導入して1番強いやつを私の婚約者にするっていきなり言い出して………アンタなら知ってるか」
「ああ。君の結婚相手をどうするつもりなのか決めてるのか、と聞いたらそう答えられた。…まさか決闘制度を導入して決めるとは想像もつかなかったが」
「その口ぶりだと婚約者を決められるのは当たり前みたいに聞こえるけど?」
「人は生まれで何もかもが決まる事など無いが、生まれを変える事は出来ないからな。まして君は御令嬢だ」
「嫌になるわ…好きでこんな立場に生まれたワケじゃないってのに」
「それについては仕方ないと割り切る他ないな。それなりの『責任』がある立場に生まれた以上は」
「そんなもの無いわよ」
「君がこの温室で野菜を育てているのも、君が育ってこうして生きているのも。形は歪でもデリングの庇護下にあったからだ。立場のある親の元で育った以上、少なからず成さなければならない事はある」
「はっ!そういうやつを見た事でもあるのかしら?」
この言葉にアムロは少し目を瞑った。脳裏に浮かぶのは自分の生まれ故に他人から人生を狂わされ、1人の少女の影を追い続け、自分と戦う為だけに世直しの看板を掲げて戦争を起こし、最後は道連れ同然だった赤い男を…
「ああ、そうだ。知っている。君には奴のようにはなってほしくないし…そうだな、君に言葉をかける時は少なからず奴の事を意識していたかもしれない」
「…初めて見たわ、アンタのそんな顔。お人好しのアンタにそんな顔させるなんて相当面倒くさいやつだったのね」
「ナイーブと言ってやってくれ」
とことん不思議な男だ、ミオリネは思う。この男がこのベネリットグループに来たのは約一年程前の話だ。宇宙地球問わず大々的に報道された謎のオーロラ現象、その中心に突如として現れた謎のMSとそのパイロット。無論、すぐさま捕まったが、どういう訳かドミニコス隊との実戦形式での模擬戦を行う事になり、そこで『圧倒的な勝利』をした事で父が無理矢理作った『秘匿試作MS開発研究員兼テストパイロット』のポストに就き今に至る。
それからは父に言われたのか時々自分の元にやって来ては他愛も無い話をして、愚痴を吐いて…と、実際のところ結構甘えてしまっている自覚もある。もしも兄がいたらこんな感じなのだろうか、と最初こそ思ったのだが…少し考えてみれば、アムロのような大人が自分の周りにいないと気づいた。
アムロには周りの大人達の硬すぎる雰囲気や隠しているつもりだろうドロドロと汚れたそれを感じないのである。自分に負けず劣らず特殊な立ち位置にいるくせに、アムロは『普通』の人間だった。
「ま、そんな奴はどうでもいいけど。どうせ入学した所で浮くだけよ。…ろくに友達なんて作れる筈ないし…」
「そうかな?例え同じ趣味趣向を持たなくても、立場が違っても友人になる事は出来るさ」
「それに友好関係なんて縛ってくるでしょ」
「その事については『私にバレないようにやれ』だそうだ。意訳するなら余計な事にならなければ好きにしろ、かな」
「…………」
アムロが来てから父は変わった。今までどんな罵倒をぶつけた所で立板に水だったのに憎まれ口の一つでもぶつければ何というか…微妙な顔をするようになった。正直それを初めて見た時は目を疑ったものだが、それをきっかけに徐々に親子関係が変わりつつある。
「…それこそ立場が許さないっての」
「まあ、そこは俺もフォローはするさ。それに恐らくだが、決闘で君を勝ち取った人物には道化を演じさせるつもりだろう。デリングなら後で幾らでも引っ繰り返せる」
「…安心…していいのかしら、それ」
「…良いんじゃないか?」
「簡単に想像できる辺りやっぱりあいつダブスタクソ親父よ…っていうか」
「なんだ?」
「今さらっとフォローするって言ったけど、どういう意味よ」
「…そういえば言ってなかったな。
君の在学中は俺もアスティカシアに教官として赴任する事になった。向こうでもよろしく頼むよ」
やっぱり過干渉クソ親父だ、あのバカ親父!
本編のストックが5話しかないからまだ1話まで辿り着きません。というかガンダムの小説なのにMS戦がまだ無いとか…
次回予告は
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いる
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いらない