仕事や他の趣味等に時間を取られてモチベーションが下がっておりましたが、今後もぼちぼち更新していくつもりなので今後とも宜しくお願いします。
アスティカシア学園、戦術試験区域。
普段のドックから場を移し、地球寮の面々は新入生であるチュチュとリリッケの入寮から少し遅れて納入されたガイアスの動作確認を行なっていた。
『イヤァーーーーッホウ‼︎』
「…チュチュー、射撃してー?」
『ヒャッホウ!ハハハハハ!』
「チュチュ?」
『ごめんなさいニカ姐』
投影されたターゲットを切り刻みまくっていたチュチュ…ガイアスは空中でピタリと動きを止めた。従来のMSならそのままでは落下していくのみだが…ガイアスは異なる。新型のフライトユニットは大気圏・重力下でも自由な飛行を行えるのだ。
「もう…じゃあちゃんと撃ってね、射撃のデータ取るから」
『りょーかい、っと!』
完全に静止していた状態からの急加速も従来のそれに比べて少ない負担で行えるのもガイアスの利点だ。
先程は斬撃に使用していた長物…メガ・ランチャーを用いての射撃はどれも吸い込まれるようにターゲットに命中していく。
「…見た事ないテンションですね」
「チュチュは性格的にも適性的にも近距離戦の方が向いているから、アレだけ自由に動く機体は乗っていて楽しいだろうな」
「一応狙撃仕様なんですけどね」
「もはやその為の装備すら近接戦に転用している程だ」
メガ・ランチャーはガイアスにとってはオプション装備である。何故近接戦が得意なチュアチュリーに狙撃仕様が送られたのかは正直誰も分かっていないのだが、目玉の装備であるメガ・ランチャーを持たせる為だとメカニック科とアムロには認識されている。
「それにしても動き方が全然違いますね」
「ここまで自由に動けるものとは俺も思っていなかったが…想像以上だ」
「…僕の推薦元も気合入れて作ったって言ってましたよ」
「うわっ、ティルいたの?」
「…いたよ」
「テスト開始からずっといたぞ」
空気に溶け込んで黙々と作業していたティルにニカが驚くが、その時地球寮生とアムロしかいない筈の訓練場にハインドリーが現れる。
『なんだアイツ?ニカ姐なんか知ってる?』
「知らない…!この時間は地球寮が貸切で使う許可は取ってるのに…!」
「…先生」
「シャディクの差し金…いや嫌がらせか」
「……………」
機体がハインドリーの時点でほぼ間違いないだろうとアムロは判断する。そして十中八九使い捨ての駒なのだろうとも。
「「「「先生!」」」」
「戻って来たか、皆」
「それはともかくこれ見てくれ。嵌められたみたいだぞ」
そう言いながらアリヤが見せたのは対峙するガイアスとハインドリーの映像…つまり今この状況の中継だった。配信しているのは言わずもがな決闘委員会だ。
『なんなんだよお前?いきなり決闘とか頭沸いてんのな』
『五月蝿い、もう決闘は始まってるんだ!その機体を奪って俺をコケにしたあのホルダーを引きずり下ろしてやるんだ!』
『…目当てはコイツか』
『その機体はアーシアン如きには勿体無いんだよ!』
『作ったのはアーシアンだろ、アホかお前』
『黙れ、金を出したのはスペーシアンだ!』
この一連のやり取りをしている間にもハインドリーは乱射しており、ガイアスはそれを全て避けている。滞空するガイアスをまともに狙えていないようだ。
『あっそ。つーかノーコンかよ…先生!』
「頭部のみを破壊してくれ、チュチュ。俺に考えがある。…身の程を教えてやるといい」
『りょー…かい…!』
『ぐえっ⁉︎』
その返事と同時に急加速をしながら蹴りを叩き込む。当たりもしないのに出鱈目に撃っていたハインドリーは防御する事も出来ず直撃を喰らい吹き飛ばされる。
『この、やろ…!』
『一生そうやって恨み言吐いて這いつくばってろ、バーカ』
バシュュュュン‼︎
倒れたハインドリーにビーム・ランチャーが直撃し頭部のみを吹き飛ばすと同時に、決闘終了が表示された。
「…まあ、こんなものか。簡単に動かせる程度の奴にアレを奪えるとは思わなかったが…想定以上の機体らしい」
自分以外誰もいない決闘委員会のラウンジでそう呟くのは今回の決闘を仕組んだシャディクだ。既にアムロから釘を刺されている上に一度ミオリネから飛び蹴りも喰らったが。
今回の急な決闘は情報収集をするのが半分、あわよくばガイアスを奪い取るのが目的だった。
が、簡単に餌を下げて釣られる上に簡単に尻尾切りできる程度の『使われる人間』では役者不足だったようだが、今回に限ればそこまで気にすることもないだろうと思ったところで、自分しかいない筈にもかかわらず、背後から声が掛かる。
「それだけならあれ程強くはない。アイツの努力の賜物だ」
「⁉︎」
驚きを隠せないまま後ろを向けばそこに立っているのはグエルだった。
「なんでいるんだ、とでも言いたげだな」
「…そんなことはないさ」
「分かる嘘ほど滑稽なものは無いぞ?態々この部屋のパスコードまで変えておいてそれは無理がある」
「なら何故入れた?」
『甘スギルゼ!甘スギルゼ!』
そう騒ぎながらゴロゴロ転がってきたのは赤いハロ…グエルのハロだった。まさかこのハロで破ったとでも言うのか。
「セキュリティを無理矢理破ったのか?褒められた行為じゃないな」
「馬鹿言え、決闘委員会の人間しか知らないパスコードが書き換えられていたならどんな不届者がいるかわかったもんじゃない、警備を呼ばなかっただけマシと思え」
「……………」
「さて…委員会の仕事するか」
そう言いながらソファに座るとタブレットを弄りだすグエル。今日は各演習場のメンテナンスも他の決闘も無い。一体何をしているのか、シャディクには見当も付かない。
「おいシャディク、なんでチュチュがああやってケリつけたか分かるか?」
「…さあ」
「正解はあのハインドリーが地球寮の賞品だから、だ」
「なんだと⁉︎」
そもそも何故実力の伴わない男子生徒が何故ハインドリーに乗っていたかと言えば、元々自分の乗機を持っていなかったのと餌としてだ。
万が一勝ったらガイアスを押収し、負けたら『先の戦いは決闘ではなく私闘である』として処理するのがシャディクの筋書きだった。
「『決闘者、チュアチュリー・パンランチに代わりこの決闘で求める物を遅ればせながら提示する。勝利した暁には敵機、ハインドリーを求む』だとよ」
「そんなものは聞いていない」
「この決闘の立会人はこのグエル・ジェタークだ、オレが認めた以上お前が文句を言おうが無駄だ。それにもう終わった」
立ち上がったグエルがスクリーンに投影したのは既に処理の終わった電子書類で、もうこの決闘に関わる全てがシャディクの手から離れたのを示していた。
「何を言えばお前を焚き付けられるんだろうな、シャディク」
一つため息を吐いて吐き出した言葉の返答を待たずにラウンジを去るグエルにゴロゴロ付いていくハロ。心中ではもう冷め切ってしまった感情に思わず苦笑いしてしまう。
「…どう思う?」
『ヘタレ!』
「お前相手じゃアイツもバッサリだな。…先生のとこ、行くか」
『ジゴクガオマチダ』
気持ちを切り替えて、今日もまた訓練へと向かうグエルの背は誰よりも大きかった。
あー、痛…
最後派手に加速すんの止めときゃ良かったかな…
個人的には大満足だけど。
あとニカ姐浮かない顔してたけどなんかあったのか?
つーことで次回。「新しい朝を待つなら」
…取り敢えず筋トレもうちょい増やそ。
次回予告は
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いる
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いらない