「転入生?この時期に?」
「おう。どういう訳かな」
地球寮のすぐ横にある温室にて、2人はトマトの世話をしながら雑談をしていた。この温室のトマト等の作物は元々理事長室にあったもので、ミオリネが地球寮に入る際に移されたものである。名目上は地球寮生の自立を促す為とされているが実際のところ言うまでも無く
現在ミオリネは日課としての世話、グエルはアムロとチュチュを待っている間暇なので手伝っている。
「態々よく情報を仕入れてくるわね」
「その転入生がパイロット科でもなきゃやらねえよ」
「ああ…そういう事」
複数の科があるアスティカシアだが、パイロット科生徒の情報は各寮間、もっと言えば企業間でも重要視される。無論決闘制度によるもので、そういう意味では同じ科の他学年との接触の機会が非常に多い。かくいうグエルも一年の頃ホルダーであった三年を容赦無く下しその座を奪い取ったのだ。
「色々と曰く付きらしくてな」
「曰く付き?あんたがそこまで言う程?」
「寂れた水星の企業で、実績も荒唐無稽。恐らく殆どの情報が偽装されてる。ベネリット内で157社中151位といつ切られるかも分からない」
「…考えつくだけの怪しさ全部突っ込んでみました、って感じね」
「そんな企業がアスティカシアに送り込む子供なんて十中八九令息か令嬢だろうな」
「また一波乱起こりそうね…本当、頼むわよ『ホルダー』」
「任せとけ、『トロフィー』……」
そのまま黙って空を見上げるグエルの顔は神妙だった。そして確信していた。
「…どうしたのよ」
「不愉快なモノが来る。まさかとは思うが…」
まだ『学校』には着かないらしい。僕の中の彼女は今か今かと待ち遠しいようで、ちょっとだけ落ち着いた方が良いのでは、とも思ってしまうけれど。
でも仕方がない。
彼女…スレッタの周りに子供はいなかった。そんな日常から一転して歳の近い子供達との生活が始まるのだから、浮かれるなと言うのも無理な話だ。
…お母さんがスレッタと僕に望むこと。僕も逆らう事が出来ない…いや、その願いの発端は…。何も知らないスレッタにとって残酷な事実だ。でもその時が来るまでの間は、どうか安らぐ時間であってほしいと願ってしまうのは僕のエゴに過ぎない。
「どんな人達がいるんだろう?やっぱりコミックみたいにすごい髪型した人とかいるのかな?」
流石にいないんじゃないかな、とモニターを1回瞬かせながら意識を近付くコロニーへ向けた瞬間、
感じた。
見られている。
それも2人。いや、それよりは弱いがもう1人。
そして直感だが、間違いなかった。
ありえない。
僕の世界はエアリアルの中だけで、僕自身もこうやって他人を感じたのは初めてだ。
「エアリアル?」
スレッタの声にハッとしてなんでもない、と二度モニターを瞬かせる。正直気の所為であってほしいけど。
そんな僕らの前には、水星の居住区なんて比にならないほど広い、学園のフロントが眼下に広がっていた。
いよいよ学園生活が始まります!
私、馴染めるかなぁ?
って、え⁉︎私、入る寮が決まってないんですか⁉︎
じ、次回!
「地球寮へようこそ」
お母さんが言ってた花嫁さんって、誰なんだろう?
次回予告は
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いる
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いらない