サブタイにセンス無いからパロディに走るしか無いんや…
(どうしてこんな事に…ホルダーになるって、そんなに大変な事だったの?)
水星の少女、スレッタ・マーキュリーは愛機・エアリアルのコクピットで困惑していた。
時間は昨夜の夜に遡る。
寮での初の夕食の後、質問タイムが始まったのだ。
「水星も大変な環境なんだね」
「はい。太陽風一つで色んな機器が故障しちゃうんです。あと採掘中の事故なんかも」
「…ふーん。超危険地帯でスクランブルか…そりゃ腕自慢にもなるか。そういやお前、なんか目標とかあんのか?」
そう聞くのは一年のチュチュ『先輩』だ。この地球寮では自分の方が先だからとの事だが、スレッタにその辺のこだわりは無い。なんならエアリアルの中で見た作品の中に似たシチュエーションがあったと内心テンションが上がっている。
ただ、問題はこの後の会話だった。
「水星に学校を建てるのが夢なんです。あ、質問いいですか?」
「何だよ」
「ホルダーってどうやってなるんですか?」
その瞬間、空気が凍りついた。今、大広間でスレッタと会話をしていたのはチュチュとニカだけであったが、寮生はみんな大広間で自由行動をしているようで、実際には聞き耳を立てていた。質問攻めにするのも良くないと思ったが、やはり色々と気になるからだ。
勿論それはミオリネも例外ではない。ミオリネ自身が知るスレッタの情報はグエルから聞いた話と入寮問題くらいであった。アムロに聞けば答えてくれるとは思っていたが、敢えて知らせていないのだと察せられる。
「…なんでそこでホルダー?」
「お母さんが水星に学校を建てたいならホルダーになれば確実だって」
チュチュとニカは思わず顔を見合わせる。確かにホルダーになった者が得るであろう将来の権力を考えればそう難しい事ではない。難しくはないのだが…思わずミオリネの方を見る。すでにつかつかとこちらに向かっていた。
「スレッタ、あんたホルダーが何なのか何処まで知ってるの?」
「えっと…大体の事がなんとかなる権利って言われました」
「…そう。いい?スレッタ。ホルダーになるには現ホルダーを倒さなきゃいけないの」
「そうなんですか?」
「で、それが決闘。あんたも一度見たでしょ?あの羽飾りのMSが戦う所。あれに勝たないとホルダーにはなれないの」
「あのMSに…」
「それでもやる?」
「はい。お母さんが確実だって言ってましたから」
スレッタの返答に迷いは欠片も無かった。母が言う事なら間違いない。スレッタ本人は自覚していないが、その思考の指標は殆どが母だ。故に周囲の地球寮の面々は違和感を感じていた。
「…なら連絡は私の方からしておくわ。明日は
「わ、分かりました…?」
言うだけ言ってミオリネは大広間を出ていった。スレッタは正直困惑しきりだった。
大広間を出たミオリネが向かったのは寮監室…アムロの元だ。基本この時間は大体寮監室にいる。
「入るわよ」
「なんだかお疲れだな」
「あの子ホルダーを目指すんですって。明日は決闘ね」
「…概要は?」
「知らないみたいよ。だから花婿云々の説明は切ったわ、グエルが勝てば何の問題も無いもの」
そう言ってミオリネはソファに向かってダイブした。ホルダー絡みの厄介ごとの大半をグエルに引き受けてもらっている現状、自分でホルダー制度の説明をするというのは妙な疲れというか緊張感があったのだ。
「ねえ、アムロ。あの子『何』なの?」
「ある程度知っているから彼女に決闘の事を説明してやったんだろう?」
「まあ、ね。ホルダーをただの権力として認識してる…?のかな…この学園って色々事情持ちの生徒がいるけど、あんまり見ないタイプというか…あの子の故郷の話とか聞いてたんだけど母親との仲は良いみたいなの。でも…」
「肝心な説明がされていない、か。アンバランスだな。彼女の環境からして、親から愛されていても甘やかされるような環境じゃない。意図的な何かがあるだろうな」
「…お父さんから聞いてないの?」
「まずあの子の入寮先が地球寮になったのは俺が寮監だからだ。間違いなく。そこにデリングの方からも力が働いている。…彼女自身は何も知らないようだが」
「案外、決めあぐねているのかも?」
「かもな。彼女自身が無害な人物であっても、母親の方はそうとも限らない」
「この学園ではある意味いつもの事って訳ね…」
将来のベネリットグループに所属する学生らが通うこの学園で政争等は良くある事だ。…最も、トップのジェターク寮、特殊な立ち位置の地球寮はその手の話からは引いた立ち位置だが。
「…私ももう寝るわ。おやすみ」
「ああ、おやすみ。体を冷やさないようにな」
ちょっとした愚痴を吐いて少し落ち着いたミオリネは早々に休む事にしたのだった。
翌日、あれよあれよと手続きが進み現在。スレッタは既にMSに搭乗してあの羽飾りのMSと向かい合っている。何がスレッタを困惑させているのかと言えば、決闘の状況だ。昨日はギャラリーがこんなにはいなかった。それにこんな大々的に行われるものなのか。もう少し詳細を聞いておけば良かったと若干後悔している。
また頭の中ぐるぐるし始めた辺りでホルダーの生徒が話しかけてきた。
『まさか昨日編入してきた奴に決闘を仕掛けられるとは思ってなかったぜ』
「す、すみません…」
『気にするな。これもホルダーの務めだ』
「ホルダーの務め…」
『…決闘がどう行われるのかも知らないのか?』
「はい…」
『…そうか。まあいい、勝敗はあらゆる手を尽くして敵機のブレードアンテナを破壊する事で決まる。昨日の俺のように頭部丸ごと吹き飛ばしても良いし、狙い撃ってもいい』
「はあ…」
『で、戦闘開始時には口上を読み上げる。お前の端末に文章を送るから始まる迄に読んでおけ』
「ありがとうございます」
『さて、ご両人。準備はいいかい?』
今回の決闘の立会人かであるシャディク・ゼネリから声がかかる。決闘の準備中に決闘委員会なる委員会が決闘を取り仕切っているのだと聞いた時そんな委員会があるかと驚いたが、創作物にありがちな突拍子もない学園組織みたいなものかと考えていた。
『俺は問題ない。マーキュリー?』
「あ…はい!こっちも大丈夫です!」
メールで送られた口上を読んでいた為反応が一瞬遅れるも、取り敢えずカンペがあるならなんとかなりそうだったので大丈夫と伝える。
『勝敗はモビルスーツの性能のみで決まらず』
「操縦者の技のみで決まらず」
『「ただ、結果のみが真実」』
『
いよいよスレッタの学園生活二日目にして初の決闘の決闘の火蓋が切られる。
今回の決闘、先生が詳細を教えていないのは意図的なんだろうな。
ある意味丸投げされたようなもんか…
まあいい。
こいつが腕利きなのは知っている、全力でやるだけだ。
次回、『winner or loser』
勝たせてもらうぞ、マーキュリー!
Q.なんでグエル君はカンペをメールで送れるほど準備が良いの?
A.入学早々挑んで来てそこら辺がおざなりになっていた相手と何回か戦ったので念の為に用意した。
次回予告は
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いる
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いらない