「今話題の水星でいっちょ好き放題やってみますか」
って感じだったんですけど、なんか本編全部終わっても設定の空白部が異様に多いのです。もし設定がガンガン開示されてたら普通に再起不可でした。
…いやこれ喜んでいい事ではないよな…。
キャラ売りするのはいいけどメカ方面おざなりなんよ…
とかなんとか言ってたらやっと設定集が発売されましたね…まあなんとかなるか
今更ながらお気に入り登録5000人突破ありがとうございます。
時計の針は戻り…スレッタは今、尋問中であった。
午前中に行われた決闘の後、周囲の怖い大人に連行され、色々と思い出したくない検査を受けた後、そこで睡眠時間を与えられたのだが、当然眠れる筈もなく…更に言えば、前日の朝食から何も食べないまま尋問を受けていた。
「ではあなたはあのMSがGUND-ARMとは知らなかったと?」
「…さっきも、答えました…」
正直体力は元より、気力が限界だった。
昨日の決闘では今までエアリアルに乗ったどんな時より集中力を使っていた自覚がある。その上でこの仕打ちだ。
それにガンダム?や『魔女』?なんては何も知らない。嘘偽り無く話してもまるで無駄。
「質問に答えなさい!」
いよいよ限界で泣きそうになった所にノック音が響く。
「失礼する」
「急になんだ。今は被疑者の尋問中だ」
入ってきた男は今自分を尋問している男よりずっと強面の大男だった。
「だからなんだ?」
「何⁉︎」
「例え被疑者が魔女であろうと、17歳の少女相手に貴様のそれは尋問の域を逸脱している。ここからは私が代わる、これは総裁の命令である」
「……」
苦虫を噛み潰したような顔で先の尋問官は出て行ったが、スレッタから見れば事態は何も好転していない。が…
「フゥ…ただ締め上げればいいというわけでもあるまいに…さて…」
尋問官は残されていた端末を手に取る。一通り目を通してスレッタの目を見た。
「…君はGUND-ARMも、魔女の事も、何も知らないのか」
「…知りません。聞いた事もありません」
「……」
結局繰り返しだとそう思った時、尋問官が纏う空気が少し柔らかくなった。
「…何ともまあ…アムロ隊長を尋問した時の事を思い出すな」
「え…」
「ここだけの話だがな、私はアムロ隊長がまだ隊長でなかった頃にあの人を尋問した事がある。質問の返答は誰も信じられないようなものだったが…今なら本当に嘘などついていなかったと分かる」
そこまで言って立ち上がった男は一言スレッタに告げた。
「これ以上の尋問は互いの時間の無駄だ。碌に休めていないだろう、通達が来るまで部屋で休んでいなさい。取れていない食事も用意する。それに…丁度迎えが来たな」
ノックも無しに空いたドアからはスレッタの知る人物が来た。
「随分と懐かしい話をしていたな、ザッパー?」
「せ、先生…」
来た人物とはアムロだった。知った顔が来て少しだけ緊張感が解ける。
「少しでも気を緩められれば、と」
「まあ俺としては構わないさ。スレッタ、着いてくるんだ」
「はい」
永遠かと思われた尋問が終わっただけ多少気が楽になった。この後は休憩時間となれば、もう少しだけ堪えられる。そう思いながら着いていくが…
ギュウウウウウウウウ…
この後の食事の事を考えていたせいか、思わずお腹が鳴ってしまった。それを自覚した途端、自分の空腹も限界だったのだと分かった。
「…さて、着いたな。俺はここまでだ。食事はすぐに来るからもう少しだけ待っていてくれ」
アムロは聞かなかった事にしたがその気遣いがスレッタには少し痛かった。
忙しいのだろう、アムロはすぐに去った。あとは食事を待つくらいしかやる事がないのだが、疲れが勝ってうつらうつらと眠りに落ちる。
「おかあさん…」
呟きとも寝言ともつかない言葉が静かに消える。極めて浅く、そして心地よい微睡に身を任せつつあったが…そこで部屋のブザーが鳴る。寝ぼけ眼のまま戸口を見ると見覚えの無い人物が来ていた。…同い年くらいかな、とまだぼんやりした思考で考える。
「おなかすいてない?」
「あ…、はい」
そう言えばお腹が空いてたんだっけ、と何処から他人事のように思いながら部屋のドアを開けた。入ってきたのは無表情な男子学生のようだった。
「あ、ありがとうございます。えっと…」
「エラン・ケレス。同じ学生で、係の人に代わってもらった。どうぞ」
渡された蓋付トレイを開けると、食べていないのは1日だけの筈なのに、とても久しぶりな気がする食べ物のいい匂いがした。
「いただきます」
エランは何も言わずスレッタを見守っているが、一口食べた時点でスレッタの頭からその事は抜け落ちた。早食いというほどではないものの、どんどん食べ物を口に運ぶ。
ふと視界に水滴が映る。飲み物は無重力空間でも溢れないように出来ているし…なんのだろう、と一瞬ハテナを浮かべるも、すぐに気づいた。
今泣いている自分の涙だ。思わずボトルの水を一息で飲み干した。
はぁー、っと深く息を吐く。ここでようやくエランの事を思い出した。
「あ、ありがとうございます」
「どういたしまして」
「でも、どうして持ってきてくれたんです…?」
「君のことが気になるから」
「え"」
全く想像していなかった返答に思わず硬直する。
「スレッタ・マーキュリー。君のことをもっと知りたい」
その言葉が場違いにも告白のように聞こえて顔が赤くなってしまったのも、眠気が吹っ飛んだのも、きっと仕方がない事だろう。
「来たか、ミオリネ」
「ええ、なんてったって総裁のお呼びですから」
デリングからの連絡から暫くして、ミオリネはデリングと合流していた。ミオリネはベネリット社のポストは持たないが、公式の場である為スーツ姿だ。
「…あのね、仮にも娘が来たんだからもうちょっと柔らかく話し始められないの?まあ、いいわ」
「………」
さくっとトゲのある言葉と短い溜息で突っ込まれたデリングはそれなりのダメージを喰らいながら歩き始める。
「もう少しで査問会が始まる。GUND-ARMが何故呪いなのか…査問会を見れば理解出来るだろう」
「…一応こっちに来るまでの間に調べてみたけど…やっぱり機密ばかりよね?出来る範囲で事前説明が欲しいんだけど」
「歩きながらだが、良いだろう。まず、私はかつてGUND-ARMを闇に葬ろうとした」
「…ヴァナディース事変ね」
ヴァナディース事変。かつてGUND-ARMを研究していた機関であるヴァナディースをカテドラルが壊滅させた事件の事だ。その強引な作戦実行に対しては今でも賛否がある。
「私はそこでGUND-ARMの未来を奪った。開発・発展・研究…それらをな」
「でも、あの子は魔女の嫌疑を受けている」
「私がGUND-ARMから奪えなかったもの…生産。最も大事なこれを潰しきる事は出来なかった」
「………」
「故に各地に魔女が潜伏しているとされている。或いは…もっと巨大なモノに繋がっている、とも」
「…ねぇ、GUND-ARMのデータストーム被害の事は大体調べられたけど、それだけじゃないでしょ?」
「そうだ。GUND-ARMの最も危険な点。それは
《如何なる人間であれ、
一定の実力を持った兵士に出来てしまう》
点だ」
「…!それって」
まさかあの子が?でもスレッタは見る限り健康優良児で、そんなふうには見えない。それに、素人目でもグエルとあれだけの激戦を繰り広げた以上、GUND-ARMにおんぶに抱っこでは説明がつかない。
「ヴァナディース事変後に複数件あったGUND-ARM絡みの事件は何れも様々な意味合いで後が無い人物だった」
「………おと、総裁はあの子をどうするつもりなの」
「先に行った通り、未だ各地には魔女が潜んでいる。あのGUND-ARMを残しておけばどうなる」
「…まさか、撒き餌にするって事?」
「尋問の結果は出た。あの少女は何も知らないらしい。ならばある程度酌量の余地はある」
つまり、デリングはスレッタをアスティカシアから追い出すつもりは無いと言っているのだ。だがならばこれから始まる査問会の意味は一体…
「…盛大な茶番ってわけ」
「まあそうなるだろうな」
「アムロ」
そこにアムロも合流する。どうやらデリングの考えは大体察しているらしい。
「世界に潜む魔女を釣る最大にして唯一の餌、それこそがあの子のGUND-ARMという訳だ」
いよいよ査問会が始まる。
こっちからすれば茶番だけど、向こう…スレッタのお母さんはどう言い張るつもりなのかしら…
そもそもこの時代にGUND-ARMを使う理由って何?
…分からないけど、見届ける他しかない。
次回、『魔女裁判』
どの道スレッタが不憫ね…
オマケ
これっきりな気がするネームドキャラ、ザッパーさん。
カテドラルの尋問担当で、見た目のいかつさで選ばれた節がある。
でも経験豊富で見る目は確かな人物。
GUND-ARM案件なのでカテドラルから派遣された。
次回予告は
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いる
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いらない