アスティカシア高等専門学校。パイロット科、経営戦略科、メカニック科からなるベネリットグループ直営の学園であり、グループ会社の推薦を受けた子供達が通う。
現在アムロは改築された地球寮に荷物を置いた後、MSドックへと足を運んでいた。
「失礼する」
「貴方がアムロさんですね?」
「ああ、俺がアムロ・レイだ。君は?」
「私はアルト・ライトです! まさかこの学園でトップエースのアムロさんの機体に携われるとは…! よろしくお願いします!」
「ああ、よろしく」
明るい女性であるアルトの他にもおよそ10名程のメカニック達がいるが、彼等彼女らは働きと実力の双方をデリングに認められた叩き上げだ。その上でアーシアン差別も無い者達である。
「ついでに聞いておきたいんだが、この学校の雰囲気はどんな感じなんだ?」
「端的に言っちゃえば強者主義って感じですかね?勉強よりもマウント取るのが第一、自分達が上だー!みたいな」
「随分言うな」
「私は普通の専門学校出身ですから。何ですかねー、色々気にしなきゃいけない事が一般人よりも多いのは分かるんですけど、それが学業より先に来ちゃダメでしょ、って思います」
「世間話も良いが、その辺にしておけよ」
「おやっさん!」
会話に入ってきたのはダンディな顔の壮年の男で、作業用のツナギであるのにも関わらず様になっている。
「これからお世話になります、アムロ・レイです」
「おう。俺はイスルギ・アスレプス、この特殊ドック及びMSの整備を取り仕切っている。…にしても、よくもまああんな化け物作ったもんだ」
「ベネリットのみんなが良くやってくれたからな」
3人が見上げるのはアムロと共にアスティカシアにやって来たGP01だ。機体の構成上、わざわざ作られた新しいハンガーに置かれている。
「ベネリット社製品はおろか御三家のエース機体の追随すら許さない完成度にスペック。あのお堅い総裁が決めたと聞いた時にゃ耳を疑ったもんだ」
「現時点で頭一つじゃきかない程にずば抜けた最強のMSなんてロマンですもんね。こういう事する人じゃないっていうか」
「それだけデリングも本気なのさ。『ガンダム』の名詞を塗り潰す為だ、従来のMSのレベルを置き去りにしなきゃ始まらない。ああ、言い忘れていたがここでは時期が来るまで『ゼフィランサス』で頼む」
「『清き愛』ねぇ…誰の誰に向けたモノなんだろうな」
「難儀な父親の娘への愛かもな」
「だったら素敵ですね」
完成した試作1号機はシンプルな機体だ。装備はアムロの要望でライフル、サーベル2本、バルカン2門、バズーカにシールドだ。更にνガンダムを参考に作られたサイコフレームの試作品をコックピット周りに配置し、装甲はガンダリウムΔとなっている。尚、
「もっと速度が欲しいな…」
というアムロの呟きによって顔面蒼白となったメカニック達により背部バックパックには大型バーニア2つにプロペラントタンクが接続されており、速度に至っては最早殺人的な速度を誇る。
「確認も済んだ事だし、そろそろ失礼するかな」
「おう。また暇な時にでも来い」
2人に見送られながら向かうのはミオリネの部屋になった理事長室だ。
アムロとしては年頃の少女の荷解きを手伝うのはどうかと思ったのだが、ミオリネ自身があまり片付けが出来るタイプの人間ではないのもあって予め本人から手伝うように頼まれている。ちなみにどれくらい片付けが苦手かというと…三日前、対面した2人のやり取りがこれだ。
「寮には入らないわ。あんたの使ってない部屋使わせてもらうから」
「…理事長室か」
「何か文句ある?」
「飾りの部屋であったのは事実だ、文句は無い。好きに使え。だが…」
「…何よ」
「部屋の片付けは常日頃からしろ」
「………」
「返事は」
「わかったわよ!」
その時の赤面したミオリネの顔といい、今思い出しても微笑ましいやり取りだ。ちなみにデリングは元軍人なのもあって身の回りは整頓されていたりする。
それはさておき、翌日には他の教員との顔合わせがある。ミオリネの荷解きを手伝った後は契約上の義務であるデリングへの定時報告を行った上で早く休む事にすると決めた。
するとアムロの端末にメールが入る。その件名は
『地球寮へのジェガン配備について』
次回は地球寮のアレコレかな?
次回予告は
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いる
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いらない