超昂大戦SS 超昂戦士・全感情エナジー化計画、ここに発動!   作:環 藍河

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※2022年11月開催の期間限定イベントストーリー「秋深き隣は魔女とヤる人ぞ」で初登場したキャラのネタが含まれます。
※2022年12月現在のメインストーリー最新章・第2部第7章初登場キャラ(某国防軍一尉)のネタも含まれます。
未見でネタバレ懸念の方はご注意ください。


第2次実験【検証】音で、ごはんで、少女でドキドキっ!!(…えっ?) 五感まるごとエナジー化計画、ここにフィナーレ!

土曜日午後、閂市ショッピングモール。

2つの実験開始を間近に控え、首謀者…もとい研究者・高円寺さやかは昂奮を抑えられなかった。

(ふふふっ…この実験データが、超昂戦士の未来を…人類の可能性を! 拓くっ!!)

 

(はにゃ〜んっ、マリニャと私と全人類が…間もなく渾然一体っ、ユニゾンするっ…!!)

ビートアイドルのステージ開演を今か今かと待ちかね、早くも昂ぶるマリエル。

 

(はうう〜〜んっ、リ…リコリスちゃんの肩車っ…、きゅっと柔らかいふともも…!!)

同じくオーディエンスながらも、むしろお連れの(リコリス様きゃわいい)で昂ぶるシリカ。

 

(はあっ…、黒くない、麦も粟もひえも混ぜないピュアごはんが…おかずといくらでも…っ!)

ステージサイドのビュッフェレストランで、注文制のダイビート食堂とは趣の異なる食べ放題に、早くもときめきフルボルテージのハルカ。

 

(おおっ…、ハルカのこんなうっとり表情、初めてだぞ! ハルカをこんなにメロメロにするなんて…ごはんって凄かったんだな!)

そんなハルカが幸せそうなのをほっこり眺め、食事そっちのけでず〜っと眺めていたい風のイノリ。

 

…と、被験者は4者4様、早くもスタート前からエクスタシーであった。

 

【味覚・嗅覚エナジー化/検証スタート】

ハルカさんが取り分ける、注目の1巡目は…。

「は…はあっ?!」

「おおっ、白い。」

マンガ盛りの、白米5杯。

添えられたご飯のお供は、最小限の梅干し、佃煮、しば漬け…。

 

「これは…こちらのお店の、私への挑戦と受け取りましたっ!」

そう言ってハルカが指し示したのは、炊飯ジャーが並ぶコーナーにそびえる横断幕。

〘祝・実りの秋! 新米食べ比べフェス開催中!〙

 

(…だからって、これ完全にごはんだけでお腹いっぱいパターンじゃ…?)

「ライカー、大丈夫。ハルカが美味しく食べるものなら、絶対美味しく食べるマンなので。」

「心を読むな。」

すっかりハルカさん好き好きマンとなったイノリである。

 

……

「はああ…っ、至福です…!」

(そ…その優雅な箸使いで、いつの間に…!?)

ライカが舌を巻く勢いで、あっという間に5杯の白米が、溶けて無くなった。

 

「イノリちゃんは、どう? 美味しい?」

注目の感想、第一声は。

 

「…うん、味がする。」

(だあああっっ!!)

 

「でも、ハルカとライカと食べるから、美味しい。」

「あっ…そこ、ポイントなんだ。」

ずっこけて立ち直るライカ。

 

「ふふっ、ありがとう。でも、せっかくだから、ごはんの美味しさ・品種ごとの魅力も覚えていきましょうね。」

「…はい?」

「定番の二大レジェンド『ササニシキ』と『コシヒカリ』は、リスペクトを込めて押さえましょう。ぱらぱら食感であっさり食べ飽きないササニシキと、もちもち食感で強い甘みのコシヒカリは、新品種の味わいを測る基準にもなるわよ。」

「おおっ。」「は…はいっ…?」

 

「今日の収穫は、期待の新品種『サキホコレ』ね。私もずっと食べたいと思っていたから、今日のこの出会いを感謝ですね。お米単体の甘さなら、こっちの『あきたこまち』が上だけど、サキホコレはお肉料理や煮魚・焼き魚…ガッツリ系おかずの旨味を強力に後押ししてくれるみたい。

こっちの『はえぬき』も、おかずと合わせて美味しいお米だけど、こちらは繊細な味付けや、お刺身の味を楽しませる、控えめな引き立て役かしら。健気よねえ。

この後は北の二大ヒーロー『ゆめぴりか』と『ななつぼし』を食べ比べましょう、ねっ。」

 

…お米愛にスイッチが入ってしまった、ハルカのマイスタートークが止まらない。

 

「は…ハルカさん? あの…続きはイノリのセレクションを食べながら、でもいいでしょうか?」

「あらっ?」

このまま制限時間をごはんトークで使い切る勢いのハルカをやんわり制止し、イノリのターンへ。

 

そして、イノリの取り分けたワンプレートは。

「まあ…!」

(うげっ!?)

汲み出し豆腐。田楽豆腐。高野豆腐。湯葉。

納豆。味噌汁(豆腐と油揚げ)。

白い飲み物は…豆乳ラテ。

「おのれはっ、マメ星人かっ!!」

「何をおっ! ハルカを見習って白い食べもの選んで、こうなったんだぞ!」

「白けりゃ強くなるってモンじゃないわよーーっっ!!」

 

  ワアアアアッ……!!

 

「皆さんっ! お待たせしましたっ!」

「本日はたくさんのご来場、ありがとうございます!」

「最初っからフルアクセルで行くぜっ! お前らっ、ついて来れなきゃ振り落としちまうぜっ!」

「私たちビートアイドル、愛の歌声を届けに、閂市ショッピングモールに只今参上っ! 皆さんのエナジー、私たちに全部、ぶつけてくださいっ!」

 

開演時間が訪れた。

 

【視覚・聴覚エナジー化/検証スタート】

 

オープニングソング「恋に翼を」。4人をデビューから支えた名曲は、いつもと層の異なるオーディエンスをも魅了する、挨拶代わりの一曲。

 

(はにゃ〜んっ…愚民たちよ、悔やむがいいわっ! 今日、この瞬間までマリニャ体験の無い人生を空費した過ちをっ!)

マリナ好き過ぎのマリエル様、堰を切ったようにヒートアップ。

 

(きゃわっ! ドラムっ、激しっ、ギター、響くっ…みんなの演奏、戦闘以外で聴いたの初めてだけど…凄っ…!)

シリカ、意外にも演奏でヒートアップ…?

 

(けど…、けど、それ以上に…!

リコリスちゃんのドキドキが、肩車の太もも越しにっ、私の、ほっぺたにい〜っ!! はにゃ〜〜〜んっ!!)

…前言撤回。

 

  ワアアアアッ……!!

 

「閂モールへお越しの皆さーんっ、応援ありがとうございまーす!」

マリナの、心の底からオーディエンスに感謝する挨拶が、一人ひとりの胸を打つ。

 

「いつもは2時間のライブですが、今日は一般の皆さんにも楽しんでもらえるよう、1時間にギュッと濃縮してお届けしますっ! そして…」

一瞬だけステージ袖を確認し。

 

 

「今日は私たちの大切な仲間を紹介しますっ!」

『《みんなーっ、こんにちはーーっ!!》』

 

マリナの合図でステージ両袖から飛び出したのは。

「会場の元気なお姉ちゃんたち、こんにちはーっ! いつか私もビートアイドルのお姉ちゃんたちみたいになりたいなっ! 夢見るアイドル、ポピーちゃんでーす!」

「こんにちはーっ! 閂モールいちにちアンバサダーのアカネだよっ! 今日はポピーちゃんと一緒に、楽しく遊ぶんだー。みんな、準備はオッケー?!」

 

  ワアアアアッ……!!

 

「ライブ第1部は閂モール・ファミリーコンサートタイムです! 私たちはいったんサポートに回り、ここからはポピーちゃんとアカネちゃん、二人のステージです! それじゃあ、よろしくお願いしまーす!」

そう、今日のライブ、前半はポピーとアカネにMCを頼み、週末の昼下がりをモールで過ごすキッズやパパママ向けの、ハートフルステージを織り交ぜた変則構成のライブである。

 

「じゃあみんなー、1曲めはプチピュアのテーマソングだよーっ! 歌えるお姉ちゃんは一緒に元気に歌ってねーっ!」

「ダメだよっ、ポピーちゃん! その前にっ! みんなで手拍子の練習をしましょーっ!」

「あっ、そっかー! ゴメンゴメンっ。それじゃ、マリナお姉ちゃん、教えてくださいっ!」

「はいっ。それじゃ皆さん、私の後に続いてくださいねーっ! ぱん、ぱん、ぱぱぱんっ!」

 

 (【〘ぱん、ぱん、ぱぱぱんっ!〙】)

 

「次は、掛け声も入りますよー! 難しいけど、ガンバろーっ! ぱあん、ぱぱんっ、『ハイ!』」

 

 (【〘ぱあん、ぱぱんっ、『ハイ!』〙】)

 

観客席の女のコたちが、マリナのリードに熱視線を送り、一心不乱に手拍子と歓声を合わせる。

 

(ああ…っ、清いっ、尊いっ…! 

ま…マリニャに、後光が射してりゅ〜〜っっ!!)

(せ…閃忍なのにっ、わたし…私っ、保育士か、幼稚園の先生に、なりたいよお〜〜っっ!!)

会場の女のコたちとビートアイドルが心を通わせる姿に、マリエル&シリカ、ハートきゅんきゅん。

 

…だからかもしれないが。

「…でゅふっ…。」

観客席の一角で、危険な兆しが人知れず蠢いていたことに、誰も気づかなかったのである。

ああ…間もなく、この心温まるステージが混沌の坩堝に変わろうとは…!

 

 

【全感覚エナジー化実験・緊急事態発生!】

 

  ワアアアアッ……!!

 

「みんなーっ! ありがとーっ!! ポピーちゃん、みんなのアツ~いハート、全部ぜーんぶ受け止めたよーっ!」

「ホントだねーっ! ぶっつけ本番だったのにみいーんな上手で、アカネちゃんびっくりだよー!」

ニチアサ人気アニメ「プチピュア」テーマソングを、ステージとギャラリー一体化で大合唱。

会場の女の子たちとユニゾンしたポピー。ハモりで支えたマリナ。バックで演奏のアキエ・メグミ・タマキも…。5人が5人とも、今までのステージと違う手応えを感じていた。

(フンっ、人間なんて単純よねぇ…。…でも、その単純さも、人間の強さの源かしら…。)

営業フェイスと裏腹の、素直じゃないアカネも、満更でもなかった。

 

「マ…マリニャの新境地だあ…っ! アマツさまっ、天使長さまっ、マリエルは今、人類の創世に立ち会いました…っ!!」

「きゃ…きゃわいいのダムが決壊してりゅ…!」

マリエルとシリカは…恍惚で溺死寸前。

 

…そんな和やかなステージの裏では…音響調整室でモニター越しに手応えを噛みしめる首謀者・高円寺さやかがいた。

「うお~っ! マリエルちゃんもシリカちゃんもっ! エナジー、ぎゅんぎゅんっ!

 視覚を抑えたシリカちゃんも昂奮してる…つまりっ、ドキドキの源は聴覚、ミュージック!」

 ビートアイドルの演奏・ポピーたちのボーカル・観客席の女の子たちの歌声と合いの手…全てがハートビートでソウルフル…想像以上のデータに昂奮が収まらない。

 

 「音楽で、ドキドキさせればいーのか? いいんだなっ!」

 「そのとおりっ! Noみゅーじっくっ、Noエナジーっ!」

 「それならっ、対バンだあっ! いっくぞーっ!」

 「やっちゃえーっ! …え?」

 

ぎゃあああんっ!!

 

 「ぶっ壊したいほど~女の子はロック~!

  抱きしめよう~砕け散るほど~!

  強く、強く、強くうーーっ!!」

 

PAのミキサーに直結したキーボードは…神武・シンフォニウム。

荒ぶるデスサウンドが観客を…パパもママも子ども達も飲み込んでいく。

 

奏でる主は、調整室にいつの間にか乱入していた神騎・ミモザ。

生まれ持った天才的センスを、誰からも全く矯正されることなくのびのび育った、ド天然神騎。

 

 聴いた人がどうなるか? 

 んー、ミモザちゃんはそんなの考えないぞ。

 思い浮かぶ旋律を、弾くだけなのだー。

 

…心の赴くまま、インスピレーションそのままに即興曲で事あるごとに市民を翻弄するミモザは…これまでも「からあげちゃんの変」「令和のEejaNaika騒動」等々、その名を耳にするだけで誰もが死んだ魚の目になるほどの黒歴史を、閂市民に刻んできた。

要するに、ブレーキの壊れた激走ダンプカーを高笑いでアクセル踏み込む、アホの子である。

 

「ちょ…み…ミモザちゃああああんっっ!!! ここっ、大観衆っ、みんなっ、パニックにいいいいっ!!!」

助詞を…てにをはを継げなくなるほど半狂乱のさやかを尻目に、ミモザちゃん今日も暴走。

 

……

(【[{ぎゅ~~~っっ…}]】)

ミモザの旋律に心を衝き動かされた観衆は。

親も子も、女子高生もおばあちゃんも。

隣同士、一列、前後、集団…。

思いつく限りの単位で、ハグしあっていた。

「おねえちゃん、ぎゅ~って、ぎゅ~っってして…!」

「あなた…ああ、何年ぶりかしら…!」

「爺さん…オラも後から逝ったら、あんたどこギュッてするっけ、許してけれ…」

 

(はううっ…マリニャをハグできたら…、創世のイヴを抱く、葉っぱ1枚のアダムに、なりたい〜っ!!)

(あ…あのっ、リコリスさまあ…。降ろして、ギュッとしても「却下よ。」)

天使1柱、閃忍1人も、もじもじ、もじもじ。

 

…もっともこの時点では、見ようによっては、ミュージシャンの世界平和祈念キャンペーンソングのPVみたいな光景でもあり、平和と言えば平和な昼下がりであった。

 

…しかし、その安寧すらも打ち砕く、ダイビート最凶のやべー奴が、遂にその欲望を露わにする…!

 

「…でゅふっ。」

 

 

「でゅふっ。でゅふっ。でゅふふふふふふふ…!!」

 

…?!

 

「でゅーーーーっ、ふっふっふっ…

ふはあーーーっっ!!!

 もおーーーーっ、辛抱たまるもんかあーーーーっっ!!!!」

 

観客席後方から響き、子どもたちのざわめきをつんざく、馬のいななきにも似た轟き。

 

「私はアモーレの戦士・二コーラ!

この世のあまねく全ての幼女を愛する者!

やがて、世界中の幼女全ての愛を一身に集める者っ! 

健気なつぼみたちを、漏れなくこの手で抱きしめることに命の輝きを燃やし続ける、ロリータの求道者なりいーーーっ!」

 

幼女の集うところ、この女あり。

『イエスロリータ・イエスタッチ!』のやべーポリシーを高らかに謳う、やべー魔女・戦車の二コーラ。

 

「ニコーラお姉ちゃんっ、やめてえーーーっっ!!」

ファミリーコンサートに連れてきたリーマやイーイー、クルルに由雅…幼魔女たちが懸命に引き留めるも、今のバーサーク・ニコーラがそれで踏みとどまるはずもなかった。

 

ミモザの曲に焚きつけられ、最後の手綱を…『イエスタッチ』のリミッターを引率の幼魔女限定から引きちぎってしまった彼女は…今や自らが抱くユニコーンの魔力因子に忠実に、欲望を隠しもしない。

 

「私はっ! 私はっ、ポピーちゃんとアカネちゃんをっ、ぎゅ~って、抱擁するっ! 

ハグしてぺろぺろちゅばちゅばじゅぷじゅぷぬぱぬぱしてっ、

くんかくんかすーはーすーはー、ふしゅーっふしゅーっしてっ!

まだ見ぬ人類未踏の頂に、私は至るっ!!」

 

 (【[{うわあ…っ…}]】)

 

会場中の観衆が、ドン引き。

 

「はふーっ、はふーっ。

でゅふっ、でゅふふふっ…!」

利き足のつま先を二度、三度と床に打ちつけ。

サラブレッドが蹄を試すように、力を溜めて。

 

ダッシュ一閃、花道もない観客席を八艘跳びで、ステージへと駆け上る。

「ポピーちゅわあああんっ! アカネちゅわあああんっ!! おねーさんのアモーレっ、受け止めてえええっっ!!!」

 

  かちっ。

 

(…ざけんな…!)(何よ…この痴女っ…!)

 

ステージを台無しにされたMC2人の眉間がヒクつき、血管ブチ切れ、怒りが昇華。

かろうじてマイクが拾わない、小さな舌打ちと毒舌が発せられ。

 

「零式っ! 塵にしておしまいっ! タイプゼロ・ストライクーっ!!」

「私の歌で踊っちゃえー! トキオ・ディスティニー・パレードおっ!」

「でゅふおおおおおーーーっっ!!?」

 

アカネ渾身の必殺技に、観客席の熱気を受けて出力全開のSDDDから放つポピーの全力攻撃は、全力アタックを仕掛けたニコーラにクロスカウンターでクリティカルヒット。

 

「あ…アモーレ…うぃるびー…バ〜ック…!」

(…がくっ。)

センターステージ上空の吹き抜け、モールのエンブレムを模した天井に撃ち込まれたニコーラは、突き上げた親指を震わせながら事切れ、壁尻…もとい、天井尻オブジェと化した。

 

(ニ…ニル様以外に、戦車を屠る戦士がいるなんて…ビートアイドル、脅威ですう!)

(お…お姉ちゃ〜ん…)

(何か…あのまま放っとく方がいいんだぞ。)

(ヘタに助けると、私たち魔女ぜんぶロリ呼ばわりです! 見て見ぬフリ! ふんす!)

…日頃の行いがあるのだろう。帯同のちび魔女ズ、ニコーラを黙殺。

 

…ざわ…ざわざわ…

(…はっ!)

「う、うわーっ、ポピーちゃんって、すごく強いんだねーっ! 女の子たちの敵、ロリコン怪人ニコーラを、一撃で吹っ飛ばしちゃうなんてー!」

 

(あ…、アドリブっ!)

「ありがとーっ! すっごーく、怖かったけど…! 今日集まったみんなの応援が、パワーをくれたから、勝てたんだよーっ!」

 

  ワアアアアーーッ!!

 

…どうやら、何とか観客にはサプライズのスーパーヒロインショーと思ってもらえたらしい。

 

 

【並行実験(完了)】

 

「あの…、一体何を…?」

 

すりすり。

「ああ…っ…! 私のこの、止めどなく溢れるごはん愛を伝えるには、二本の腕では足りません…っ!」

 

ぎゅ〜っ。

「これでもっと、強くなる。全身でこの大豆の純白を抱き止めて、びしょうじょに勝つっ!」

 

ミモザのハグハグロックに感情を侵襲され。

ハルカは炊飯ジャーを。

イノリは汲み出し豆腐の木樽を。

強く、強く、抱擁していた。

 

 

【追加実験(非人道的内容を含みます)】

 

「な…何で…っ! 蝶鉱石が潤沢なのに…ビートポータル回し放題なのに…っ!?」

「な…なんてことっ…リーマちゃんも…クルルちゃんも…イーイーちゃんもヤブルーちゃんも…!?

あああーーーっっ!! 由雅ちゃんにっ、のののちゃんまでえええっっ!!」

「うわーーーんっ! 何だこれーーっっ! 山盛りからあげちゃんが…ハニマのレジ横デカ盛りからあげちゃんが…ミモザちゃんに『召し上がれー』って目の前で踊ってるのにーーーっ!!」

 

…ダイビート基地・VRルームでは、閂モールに擾乱を巻き起こした諸悪の根源3名のお仕置きを兼ねた…最終実験が敢行された。

 

虹色のビートポータルから、3枚抜きで現れたSSRは…

(どーもどーもーっ! 清い絆を護るため! 兄の鼓動が天を衝く! ビートブラザー・スズモリ、妹の職場に只今参上っ!)

(はいはーいっ! 兄妹の赤い糸に導かれっ! 神騎スズモリ・ここに降臨っ! お兄ちゃんは! 正義! 真理! 無敵いっ!)

(チキチキっ! ディープアセンション・スズモリウィッチ! アポロンの魔力因子に導かれ! 今夜は妹とパーティナイトっ!)

 

「どおしてえええっ!! 回しても回しても、シスコン野郎しか出てこないのよーーーっっ!! エイプリルフールはまだまだ先でしょーーーーっっ!!?」

 

(ニコーラ姉様…不思議だね…『お姉ちゃん』なんて呼んでいたのが昨日のことのよう…!)

(戦車さん…イーイー、もうドジっ子じゃありませんよ…! 共にニル様を支える、戦士です…!)

(ニコーラ! オトナの由雅はどうだ? 血が滾る満月の夜は、セクシーワイルドで悩殺しちゃうんだぞ!)

(ウチも、もう潜入だけの諜報員じゃありませんっ! どんな相手の心の秘密も、ウチの色香で暴きますっ! ふんすっ!)

 

「ぬわあんでえっ、みんな成人しちゃったのよおおおおおおおおおっっっ!!?

せ…せめてっ、つぼみが花開く成長過程を見られたらっ、まだ諦めもつくのに…全部、ぜんぶ、ティーンエイジずええんぶっ、すっ飛ばしてっ! どおおしてみんなっ、大人の階段、生き急いじゃったのよおおおおおーーーーっっ!!」

 

{【〘僕たちからあげちゃん、3つの味で新登場ー〙】}

{ハニワ味でーす}【メガネ味でーす】〘チューリップ味でーす〙

{【〘ミモザちゃーん、食べてー食べてー〙】}

 

「お前ら全部っ、食べ物の味じゃねええーーっ!

ミモザちゃんが食べたいからあげちゃんはっ!! しょうゆ味っ、チーズ味っ、ハニーマスタード味だーーーっ!! 出せーーーっっ!!」

 

  ずずずずずず……。

 

巨大なハニワ型からあげちゃんが、地の底を割って君臨。

「ギャーーーっ!! 何だお前はーーっ!?」

《やあー、呼んだのはキミかなー?》

「なっ…お前なんか、呼んでないぞーーっ!」

《からあげちゃん、ハニーマスター味だよー。》

「は…ハニワの親分味なんか、食えるかあーーーっっ!!」

 

……

「…3人がVRで何を見ているかは、俺たちもモニタリングで観ているわけだが…」

「これは3人とも、えげつないわねえ…」

「ははっ。敢えてプロトタイプDDDを我輩に再現させた意味がわかったよ、ご同輩。」

 

…閂モール・ビートアイドルコンサートは、ミモザの天然無自覚精神攻撃と、闖入者ニコーラのステージ殴り込み未遂、およびさやかの無断実験で混乱の根を作ってしまったことで、一時大混乱となった。

幸い、ポピーの反撃で最悪の事態は免れ、その後は第2部のライブまで大盛り上がり。被害はモール天井の弁償と…ダイビートが講師を派遣し、翌週からすべての公立小学校と幼稚園、さらに月想館学園初等部で防犯教室を無償で実施する程度で収まった。

 

「げえっ、壁尻ニコーラだーっ!」

「抱きつかれてベロベロされるぞー! 逃げろーっ!」

「うっさいわね、このガキどもっ! あれは演技だって何度も言ってんでしょー! その口塞がないと、まとめてチンコ引っこ抜くわよっ!!

…あ、あああっ…! 待って、引かないでっ、JSのみんな〜っ! 演技してないお姉ちゃんは、人畜無害っ! 究極セーフティ! か弱きつぼみたちを護る、アモーレの戦士なんだからあ〜っ!! イエスロリータっ、ノータッチなのお〜っ!!!」

「ハイ、そんなわけで土曜日のステージでは、小さい女の子を狙う大人は怖いんだぞー、って、ニコーラさんに悪役で演じてもらいました! みんなは、そういう大人に声を掛けられたら、大声で知らせて、すぐ逃げましょう!!」

「せんせー、『ろりーた』って、なにー?」

「なっ…ナンノコトカナー…」

「でゅふっ、ロリータとはねえ…ふぐっ!」

(ニコーラさんは黙っててくださいっ!)

…講師のミカフィールは赤面し、対応に苦慮したという…。

 

外部的にはこの程度で収まったものの…ダイビートの暴走ダンプカー・ニコーラやミモザの恐ろしさを鑑み、ダイビート内部ではこの一件は「閂モールの惨劇」と呼ばれ、語り継がれることになった。

 

そして、実験の評価だが…。

まず、五感エナジー化計画については、今回の暴走を鑑み、安全性が確保されない限り、追加実験封印。

 

一方、現在進行中のVRエナジー生成実験(兼お仕置き)だが。

 

「ま…回させてよお〜っ、ちゃんと超昂戦士の引けるガチャをおおーーーっ!!」

「ロ…ロリータのない世界なんて…っ! 破滅と絶望しか無いわよおーーっ! ノーJKっ!  ノーJCっ! イエス・アンダー12っ、ロリータあああーーーっっ、カムバあああーーーック!!」

「ふ…普通のからあげちゃん、出せーーっ!! 食べたい食べたい、食ーべーたーいーよおーーーっっ!!」

 

…3人の願望を封じるVR体験で、プロトタイプDDDの原動力・欲求不満をこれでもかと生成。エナジーが採れまくっていた。

(…さやかさんでも、エナジー生成できるのか…)

 

「エナジーはたっぷり採れるとしても…」

「ああ…」

ユーノとルカが、VRマシンで悶え、あえぐ3人を見て嘆息する。

 

「同志を電池化するのは、科学者や錬金術師の倫理にもとるねえ。」

「これって、オルタナスタインが目指した世界の裏返しだもの…ダイビートがやっちゃ、ダメよねえ。」

 

オルタナスタインはかつて、人類を総て石化させ、恐怖で支配し、自らの生命力たる接現力を吐き出させる世界を目指した。

ゲインするのが幻魔の接現力か、超昂戦士のD2エナジーか、の違いがあるだけで、他者を養分扱いする点で、根っこが一緒になってしまう。

 

…VR実験を終えた3人は、憔悴しきっていた。

「うわーーんっ! からあげちゃん食べられなくなるなんて、思わなかったよーーっ! ごめんなさ〜いっっ!!」

「ど…どうかしてたのよっ! リーマちゃんたちと、でゅふふな週末が送れれば、それで良かったのにっ…! 

普段はさすがに弁えているんだからっ! 一般市民には見ヌキオンリー! イエスロリータ・ノータッチなんだからーーっ!!」

「も…もう、しましぇん…」

 

さやかの懺悔と共に、実験凍結決定。

 

 

【サービス労働(無報酬実験)】

 

「あ…あのですね〜、さやかさん? ハルカさんとイノリを連れ出して、味と香りでエナジー引き出した実験、そろそろ報酬をいただきたいな〜、なんて…。」

 

 ぎろっ。

「ひっ!?」

 

ラボに報酬の催促に来たライカは、さやかにカウンターアタックで睨まれた。

「じ…実験はあんな結末でしたけど…! アレって成功報酬制じゃないですよね? せ、せめて、実労働分の対価は…?」

 

「…蝶鉱石ムダ喰らいシスコン野郎の妹…!」

「は…はい?」

 

ライカにしてみると、とんだとばっちりだが。

そもそも、鈴森兄もとばっちりだが。

 

「がるるるるっ…ふしゃーーーっっ!!」

(と…取り付く島が、全く無いいーーっ!?

なんでーっ!? わたし何も悪くないのにいーーっ!!)

 

かくして、閃忍ライカ・逸品ウェポン獲得計画、無期限延期。

 

【実験サマリー(総括)】

五感まるごとエナジー化計画は…各方面に多大な負の遺産を遺し、幾多もの犠牲を払って封印された。

我々は忘れない。

閂市の幼稚園児・小学生を襲ったロリコンの脅威を。

ミモザを苛んだからあげちゃん禁止令(2週間)を。

さやかが当面悶えるシスコントラウマを。

そしてニコーラが受けた瀕死の重傷(ライブ後にユユエルが回復)と、なかなか消えない『壁尻ニコーラ』の二つ名…は、この実験がなくても遅かれ早かれ。

 

だが。それでも飽くなき挑戦を続ける、科学者と錬金術師の苦難の道は、終わりがない。

 

  かちゃ…かちゃ…

 

おや…封印を解く音が…?

 




長文でしたが、お読みいただきありがとうございます。筆者の環藍河より御礼申し上げます。
今回はとにもかくにも、この一言に尽きます。

  ロリコンやべえ。

…扱いを間違えると超昂大戦というコンテンツぜんぶが消し飛ぶ破壊力で鮮烈に登場。イベントストーリーは「ちょっと待てい」ボタンを何度押しても足りない問題作でした。

そして。
ニコーラお姉ちゃんは難産だったこのSS「五感エナジー化計画・実証編」をななめ上に全力振り切ってくれました。
当初プロットは、ミモザが引っかき回して終わるだけでした(それじゃ「天使が来たりて笛を吹く」の劣化コピーじゃ…?)。展開が広がらずにマジ詰んでたところに現れたロリコン暴走じゃじゃ馬さん…感謝。

年末年始はガチャも熱い(そして蝶鉱石が溶ける)日々が待っていることでしょうか。
そして次回の環は、そんな頃にお届けできるよう、長編シリアスものを鋭意執筆中です。STの回復待ちの合間に、ガチャの緊張を和らげる気分転換に、気軽にお立ち寄り賜れば幸いです。

※12月は…イベントシナリオ追加がありがたいですね。「ご近所暴帝と恋の破魔矢」がやっと読めた…(感涙)
一方、僕のSSで二人称がおかしいキャラがあちこちいることも露見してしまいました。修正かけねば…(ご指摘ウェルカムです!)
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