もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち 作:J・チェプナクル
現在地は、蒸し暑い熱帯雨林地帯。
接近してくる妙な気配に気が付き……がさがさと揺れる草木から、茂みをかき分け、姿を現した1体の魔物。
僕たちは、タランチュラ娘と交戦していた__
先を遮るのは、タランチュラ娘の粘糸。
タランチュラ娘は交戦する最中、キープアウトの縄のように…それらをいたる箇所に張り巡らしてる。
その中心で僕たちと魔物は、互いに攻防を繰り返していた。
ルカ「やぁ!!」
タランチュラ娘「はあっ!!」
互いの攻撃が相殺し合う。
見えない火花が散っているようだ。
炎の中心で、戦っているような錯覚に陥る。
タランチュラ娘「ふふっ、美味しそうな人間ね……」
タランチュラ娘はそう言うと……僕を狙いに定めて、前脚を上げて大きく振りかぶってきた!
タランチュラ娘「粘糸で動けなくして、餌食にしてあげるわ!」
とはいえ、動作が大きかった。
すぐさま後ろに飛び退いて、攻撃を回避することができた!
ルカ「……そんな風に、旅人を片っ端から襲ってるのか?」
ルカ「お前たちって、人間の精以外の食事じゃ生きられないのか……?」
タランチュラ娘「草でも肉でも、何でも食べられるけど……」
タランチュラ娘「私は、オスの人間しか襲わない主義なの!」
ルカ「グルメなヤツだな……」
何でもかんでも口にする、
ルカ「なら、全力で叩きのめしても問題ないな!」
タランチュラ娘「言わせてくれるわね!」
タランチュラ娘は糸を吐くと……とりわけ大きな粘糸弾を作り、僕に向けて放ってくる!
ルカ「………来ると思った!」
ルカ「シルフ!頼む!」
シルフ「おっけー!」
僕の周りに、防壁のように力強く風が吹き荒れる!
その風の守りが、タランチュラ娘の粘糸を弾き飛ばす!
以前戦ったクモ娘との闘いで、こういった粘糸への考えうる対処法はイメージトレーニングしてある!
その1つが、シルフの風で攻撃を防ぐ!
タランチュラ娘「なっ…!?」
驚くタランチュラ娘。
その隙に、雷鳴のように踏み込み……
脚先をバネのようにし……
魔剣・首刈りの要領で、敵の懐を通り潜る!
タランチュラ娘の身体の部位は、硬いゴワゴワした毛で覆われている。
狙うなら、柔い人型の上半身!!
タランチュラ娘の脇腹を撫で斬った!!!
ルカ「__お前のソレ。経験済みなんだ。」
タランチュラ娘「そんな、私が人間なんかに……!」
__タランチュラ娘は小さな蜘蛛の姿になった!
タランチュラ娘をやっつけた!__
ルカ「ふぅ……勝てた。」
どうにか隙を突くカタチで戦闘を終わらせることができた。
ルカ「どうだい?僕もかなり、やれるようになっただろ。」
シルフの力を得てからというものの、戦闘に手ごたえを感じるようになった気がする。
さっきの戦いも仲間たちの助力にあまり頼らずとも、勝利を収めることができた。
ラクト「ああ、引き出しが増えたって気がするな。」
ルカ「……えっと、どういう意味?」
ラクト「がくっ……」
ラクト「対応力が広くなったってことだよッ!大体の攻撃は、シルフの風でどうにかなっちまってるしな。」
ルカ「今のところだけだよ。過信はするなってアリスも言ってたし……」
ルカ「それに、このシルフの力をまだまだ引き出せていないというのも現状だ。ラクトの言葉を借りるなら、引き出しを最後まで開けきれてないというか……」
ジョージ「……ヤマタイには、水滴石を穿つということわざがある。小さな滴でも、気の遠くなるほど長い時間落ち続ければ、岩にも穴が空くという意味だ。」
ジョージ「何事も鍛錬と精進を重ねるのみだ。それがいずれ、己の力となるのだから。」
ルカ「ああ!頑張るぞ!」
力を使いこなせば使いこなすほど、シルフはより強大な力で応えてくれる。
アリスもそう言っていた。
この調子で、経験を重ねるべきだ!___
__タランチュラ娘が残した粘糸に行く手を遮られながらも、粘糸を取り除きながら先へ進む。
細くても丈夫で頑丈なクモの糸。
剣で斬ろうにも柔らくて切れにくい。
なんとも切れにくい。
シルフの力を応用して、風の防壁でなんとか吹き飛ばしながら進んでいるが………
ルカ「この糸、思ったより粘りがないんだな。」
パヲラ「クモの出す糸の全てが、粘りがあるわけじゃないわん。何種類のタイプに分けられてあって、その中の1つがネバネバの糸なのよん。」
ルカ「へぇ、目的に応じて使い分けてるのか。」
ルカ「とはいえ全く…暑くても、モンスターってのは元気なもんだな……」
できるだけ体力の消耗を抑えたいとなると、戦闘も避けたいものだ……
ルカ「(……そういえば。魔物って、暑さも平気なのかな………)」
仲間の体調確認も兼ねて、後方をチラリと見た。
アリス「……あつい。腹も減ったぞ……」
ラクト「もう腹減ったが鳴き声の生物なんじゃねぇのお前……」
ルカ「(いや……そうでもないか。)」
いつもの表情のまま、汗をダラダラと流すアリスを見て、僕はそう感じた。
__サン・イリアを出て、すでに3日。
今回の旅路は、今まで経験した道よりもかなり険しく、そして長い距離と日数を費やす。
このルートは、最寄りとなる町村に全く寄らず、サバサに向かってただ一本道を通る最短ルートの1つだ。
つまり、途中でケガや病気になったとしても、医者や診療所に頼ることも出来ない。しかも食料の確保をも自分たちでしなくてはならない。
……ちなみに、どうしてこのような道順になってしまったのかだが…………
最短で行ける商業ルートで馬車を借りるはずだった旅費をアリスの食費にすっぽかされたからだ。
というわけで、しぶしぶ、自給自足のルートを選んだというわけだ………
とにかく体力勝負となるだろう。
なので食料の補充と体力の回復を兼ねて、中継の休憩地点を2つ設けている。
1つ目の中継地点は、現在向かっているこの熱帯雨林地帯の中。
2つ目は砂漠突入前の荒野地帯。
ルート通り進めば、順調にサバサ城へ辿り着くはず。
しかし、遭遇してしまう魔物も厄介だが……
それよりも過酷なのは自然環境だった。
蒸し暑い熱帯雨林。
目と鼻の先まで生い茂る草木。
それらが、行く手を阻んでくるのである。
ナタリア地方付近は熱帯な気候で、イリアス大陸北部もそうだった。
しかしここは……とにかく蒸し暑い!
アリス「……あつい。」
ルカ「お前は、涼しそうな恰好でいいだろ。僕なんて、本当に暑いんだから……」
ここまで湿度が高いと、汗が蒸発してくれない。
現に僕たちは汗まみれだ。
木陰の中とはいえ、風もない。
ここまで来ると、安静にする以外に身体を冷却する手段が、あまりないといえよう。
しかし、ここで歩みを止めるわけにもいかない。
まだこの先にも進まないといけないのだから…………
パヲラ「あたしは~……上着を~………脱ぎまァすッッッ!!!」
ラクト「うるっせぇ!勝手にしろよ!!いちいち宣言しねぇと気が済まねぇのかてめぇは!!!」
パヲラ「なによ~!だって暑いんだも~ん!」
ジョージ「ああ……そうか。脱げば良いのか。」
ラクト「お前…今、何を納得した?一体何を納得したんだジョージ?」
パヲラ「そうよ~♪脱いじゃいなさいな~~♪」
チリ「どういう催促……」
マモル「暑さで気が触れたんですかね。」
カムロウ「……モトからでは?」
アリス「どうだ、ルカ?貴様も脱げばいいだろう。そうすれば襲われる手間も省けるはずだ。」
ルカ「やれやれ、他人事だと思って……」
とっとと切り抜けたいところだが、道無き道を進むというのは……実に体力を削られる。
かといって焦ってしまえば、それも余計な体力を消費してしまう。
歯がゆい気持ちになりそうだが、そういう時こそ冷静に落ち着くべきだと感じる。
なにも目的地のサバサが、急に脚が生えてどこかに逃げるなんて馬鹿馬鹿しい事が起こるというわけでもない。
後ろから形容しがたいおぞましい何かが迫って来ているわけでもない。
慎重に、慎重に、時間をかけても良いのだ。
……だからってダラダラするわけにもいかないが。
__何時間もかけて、木陰だらけの森を歩み続けた。
目指す方角は西。
ただひたすらに西を往く。
ルカ「はあ、あつい。」
カムロウ「うわあ、あつい。」
チリ「すごい、あつい。」
アリス「……こいつら、大丈夫か?」
もうそんな単調な反応しかできなくなっている。
蒸し焼きにされてるかのような気分だ。
暑さで頭がやられているかもしれない。
そんな、もう西を目指すだけしか頭になかった時だった。
パヲラ「さぁ、見えて来たわよん!」
ルカ「はぇ…?」
森を抜けた先でだるく重い頭を上げた。
そうして見えた光景は……暑さにやられた僕を正気に戻してくれるほど圧巻の一言だった___
僕達がいま立つ崖から広がる、見渡す限り、滝、滝、滝………
否、これは瀑布という表現が合っているのかもしれない。
広い川幅故に、流れ落ちる大量の水が
しかもそこから来る音と風、双方が爆発するかのように途絶えることなくやってくる。
ジョージ「おお……なんという……水の量だ………」
鳥が空を舞い、川辺には象の群れがいる。
そんな光景に目を奪われていると、どういうわけか、地面が揺れているように感じた。
ルカ「うわ…なんだ?地震か?」
パヲラ「あら……あたしたち運が良いわね。」
ルカ「えぇ?」
パヲラ「ほら、あそこから来るわよん!」
一際地面が振動するのを感じると、爆発音に似た轟音が鳴り響いた。
そして、パヲラが指差した遠くに昇る、大きな水柱。
カムロウ「スッゲーェェ!!!」
ルカ「あれが間欠泉か!!!」
そう、間欠泉だ。
吹き上がる音と共に、大量の水が雨のように降り注ぐ。
とても力強い光景だ。
大地が生きて動いているような、そんな感じだ。
パヲラ「ここが、ナタリア地方有数の名所の1つ!!!」
__タニンドル間欠泉。
サバサへの道中、数ある中継地点の1つ。
無数に点在し、広がる湖。
中央にある間欠泉。
それに連なる瀑布、さらにそこから広がり流れる川。
山から伝ってやってくる水。
高温多湿。熱帯雨林であるがために、局所的に降り注ぐスコール。
それらが、このタニンドル間欠泉のちょうど真下に存在するとされている広大な地底湖に流れる……
さらに、そこで地熱で暖められたミネラルの豊富な地下水が、膨張した空気と共に地下から噴出しているのだ。
各地に点在する間欠泉と湖には硫黄が溶け込んでいて危険だが……
その中でも、地下を通ってろ過された、安全に利用できる水がある。
休息地に利用するのは、その安全な水が流れる川辺の近くだ。
パヲラ「しばらくは、ここのタニンドル間欠泉あたりを休憩地にするよん。食料の補充と、暑さに慣れるためにね。」
ラクト「うっひょー!泳ぎてぇ!!なぁ!早くテント張ろうぜ!!早く!!!」
カムロウ「高いところからさ!飛びこもうよ!絶対楽しいって!」
ついさっきまで僕と同じように暑さにやられていた仲間たちも、一転して気分が上がっているようだ!
ジョージ「まずは……拠点作りからか。」
マモル「下は石ころだらけで寝心地悪そうだなぁ。」
ルカ「どこかで雨が降ったりしたら水位もあがるだろうし、地面のある場所にするから心配ないよ。」
僕たちは崖を下り、拠点に適した場所を探し、荷物を下ろした___
ラクト「__ヒャッハァー!水だァ!!!」
カムロウ「そんな暴徒みたいな声上げんでも……」
拠点に決めた場所から、少し離れた川辺。
布一枚姿で川に飛び込み、水を浴びる仲間たち。
水浴びすると言ったっきり、川から上がって来る様子がない。
ラクト「何言ってんだ!こうやって水浴びできんのも今のうちだぜ!サバサに向かったら、水の無駄遣いできんのは飲むときぐらいしかないからな!」
チリ「テント張り終わった途端に遊び始めちゃったね。」
ルカ「良いんだよ。あのまま遊ばせておこう。」
こうして羽を伸ばせる時間というのも大切だ。
それに……
ルカ「後で全員こき使うから。」
チリ「鬼だ……」
僕も冷静を装っているが……実を言うと、このまま川に飛び込みたい気分だ。
このあと、肉を豪快に丸焼きにでもする予定なのだが……調理の準備が終わったら、さっと水浴びでも済ませておこうかな。
「えええええええぇぇぇぇぇぇ!?」
驚く声が聞こえたものなので、川のほうを見てみると………
なぜか、パヲラが水面で直立していた。
いや、注視すると……小刻みに震えているし、周囲の水面には飛沫が舞っている。
ラクト「はぁ……?……お前……ソレ……どうやってんの?」
パヲラ「片方の脚が水面についた瞬間に脚をあげて、もう片方の脚を水面につかせることを繰り返しているだけよ。」
ラクト「理論の話だろ。現実に出来ねぇんだよ普通は。」
パヲラ「あたしに普通は適用しないのよッッッ!!!」
ラクト「見りゃわかるよ……」
ジョージ「片方の脚を着いて、片方の脚をあげる……」
陸にいたジョージが、パヲラの真似をするようにやってみると………
浮いた。
ジョージ「こうか。」
カムロウ「出来てるー!!」
カムロウ「俺も出来るかな……」
マモル「真似しなくて良いんすよ。」
カムロウ「ううううううぅぅぅぅごぼごぼごぼごぼごぼぼぼぼ!!!」
マモル「沈んでるー!!!」
ルカ「…………………」
チリ「あんな事は、普通はできないよね……」
ルカ「普通はできないよ………」
アリス「できないのか?」
ルカ「じゃあやってみろよお前。」
……なんか今ので汗が引っ込んだ気がする。
__タニンドル間欠泉付近で2日間、滞在した。
川の水は蒸留して飲み水に。
釣った魚は塩漬けにする。
ジョージが獣を狩ってきたので、その肉も塩漬けに。
食料の補充は十分間に合った。
砂漠は日差しが厳しいというから、日除け用のマントを作ったりもした。
準備だけじゃなく、仲間たちみんなで遊んだりもした。
水泳対決をしたりだとか、釣りに興じたりとか。
びっくりするほど大きい魚を釣り上げたりした。
僕はちょっとした、束の間の休暇気分を楽しんでいた___
__だが。
このあと起きた出来事を考慮すると。
それは、僕自身が迂闊だったことの裏返しだった。
__ルカ達がタニンドル間欠泉に到着時、同時刻。
どこかの、薄暗い森の中。
そこにいるのは4つある人影。
揃う面子……
漆黒魔剣士ワトライバ。
ゴージャス・ガータス。
貴族服に身を包む中性的な容姿の者……
そして……
ワトライバ「そうか……。」
佇むワトライバの前には黒装束を纏う老人の姿。
ワトライバ「ドウコクさんから見ても、奴らは強そうなのか。」
???「そうやね。」
ドウコクさんと呼ばれた老人はそう答えた。
ガータス「そんなことよりも爺さん!ジョージは!サムライ・ジョージはどうなったんだ!?」
ドウコク「あぁ…勇者ば庇うて腹わた抉れとったごたーけどなんとか生きとーごたーぞ。」
ガータス「ハッハッハァァァ!!!さっすがサムライ・ジョージだァァァ!!ンンングレェィィトォォォォ!!!ますます手合わせできる瞬間が楽しみだッッッ!!!」
ドウコク「しゃあしかねぇっ…!!!こいつ…!!!」
ナツィオーネ「ボクが口でも結んでおこうか?」
ワトライバ「まぁ、落ち着け……」
ドウコク「報告通りなんやけどね。エルピロスと痛み分けした、あん例んバケモノば倒したとする以上。おおかた、勇者ルカっていうやつん総勢でん戦力はエルピロスに匹敵するんやなかな。」
ワトライバ「ああ。だと思う。」
ワトライバ「ナツィオーネの話と合致する点が多くある……が。1つ相違点がある。ナツィオーネは勇者ルカに対して脅威ではないとの評価をしていたが……」
ワトライバ「ドウコクさんはその逆だ。勇者ルカも厄介な存在だと言っているところだ。」
ナツィオーネ「ボクから見た勇者は、剣術以外に特出するような強さは無かったんだけど……ドウコクさんには、どう見えたんだい?」
ドウコク「勇者たちが精霊ん森であんバケモノと戦うとー時……変な風が吹いとってな。まるで生き物んごと、勇者ん周りに居座っとーごと見えてな。これが、バケモノん攻撃ば全部跳ね返しちまうったい。」
ワトライバ「……風、か……まさか。」
ガータス「なにか、思い当たるところが?」
ワトライバ「精霊の森といえば、風の精霊シルフがいるとされる森ではないか。どこで情報を仕入れたのかは分からんが……シルフと契約し、その力を得たに違いあるまい。」
ワトライバ「精霊に認められるのは至難だという。つまり勇者は、オレが対峙したあの日から今日まで、そこまで成長しているということだ!」
ワトライバ「__では、そろそろ狩り時ということだな……!」
そこに、重々しく黒い鎧に身を包んだ青年と、包帯が巻かれてある小柄な少女が現れた。
???「ふぅ~やっと戻ってこれたぜ……」
???「エルピロス 只今 帰還 しました。」
ナツィオーネ「エルピロス~!デオ君~!良かった~無事に帰ってこれたんだ!!」
デオ「俺はエルピロスがケガしたって言うから迎えに行っただけだぞ。あ~疲れた……なんなら鎧置いてくればよかった……」
ワトライバ「デオ。エルピロスの傷は大丈夫そうなのか。」
デオ「歩けるくらいになったけどなぁ、いくらエルピロスが傷の治りが早くても……満足に戦えるのはもうちょい後だろうな。俺が来た時でも相当酷かった。」
エルピロス「ワトライバ 私 申す 言い訳 ない です。」
ワトライバ「だとしたら、お前を1人で遠征に向かわせたオレにも非がある……無事に戻ってこれただけで十分だ。気にすることではない。あとは回復に専念するんだ。」
エルピロス「はい 了解 です。」
ワトライバ「……ん。」
その時であった。
彼らが持つ小さな水晶玉から、反応があったようだ。
ワトライバは懐から水晶玉を手に取り、問いかける。
ワトライバ「オレだ。どうした?」
???『私だよ。ワトライバ。』
ワトライバ「マッジョーレか!」
声の主は、セントラ大陸北部、山岳地帯はるか上空を飛ぶ、人影の姿……
マッジョーレ『例の件。こっちのほうのダンジョンにあるかどうか、手当たり次第に漁ったけど……大した成果も無かったんでねぇ。今そっちに向かってるよ。』
ワトライバ「そうか。オーブは無さそうか……」
マッジョーレ『やっぱり海底神殿のように、もう誰かの手に渡ってるとしか思えないねぇ。何百年もすれば、滅んでたりしない限りは。』
マッジョーレ『諦めてさー?ほら、この前に話してた他の手ってのを優先したが良いんじゃないかい?』
ワトライバ「あぁ…それも視野には入れているがな。」
???『お話中、失礼します。」
???「ワトライバ様。続いてユアローゼ、セントラ大陸に帰還いたしました。』
ワトライバ「ユアローゼ!戻ったのか!」
ユアローゼ『現在地はナタリア地方南部の沿岸部です。それと、私から1つ報告がございます。』
ユアローゼ『オーブの情報を得ました。』
ユアローゼ『推測からして……勇者が所持していると思われます。』
ワトライバ「なんだと…!?」
ユアローゼ『魔力の痕跡を辿ってここまで辿り着いたので、おそらくは……と思います。』
ワトライバ「勇者はどこだ……今、どこにいる!!」
ドウコク「西ん方なんやなかと。」
ワトライバ「なれば、このまま見逃すわけにはいかんぞ!!」
ワトライバ「マッジョーレとユアローゼが合流次第、すぐにも出るぞ___」
ガータス「__ワトライバ!」
ガータス「短い付き合いだったが、世話になった!」
ワトライバ「ガータス……」
ガータス「俺が指名手配のお尋ね者を追って、ダンジョンの奥地にまで行ったとき……そこで出会ったよな。とても刺激的な出会いだったことを覚えている。」
ワトライバ「……あまり、人に言えないような出会い方だったがな。」
ガータス「だが!あの日、お前と出会うことが無ければ……俺はサムライ・ジョージに出会える機会を遅れていただろう!」
ガータス「だから、俺はお前に感謝している!」
ワトライバ「なにを……ただ、利害の一致の付き合いだ。これ以降は干渉せんぞ。」
ガータス「構わん!俺とお前、目指す頂きこそ違ったが、多くを学ばせてもらった!」
ワトライバ「………………」
ワトライバ「そうか……だが、言うべきことは言おう!」
ワトライバ「武運を祈る!ゴージャス・ガータス!」
ガータス「お互いにな!魔剣士ワトライバ!」
黒い魔剣士は振り返り、仲間たちに指示を出した!
ワトライバ「お前たちにはオーブの奪取を任せる!!」
「「「『『はっ!』』」」」
ワトライバ「____勇者ルカは……」
ワトライバ「______このワトライバが狩る!!!!!」