もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第12話 盗賊団との遭遇

ルカ「イリア山地へ行こう。魔物の盗賊なんて、放置しておけないよ。」

パヲラ「盗賊団退治をするのねい。」

アリス「本当に行くのか?自分から死ににいくとは、ドアホめ…」

ラクト「ドラゴンやヴァンパイアがいるっていうしな…」

ルカ「今の僕が勝てるはずもないのは分かってるよ。けど何を言われようが、僕の信念は揺るがない。もし実力が及ばないならば、いっそ理想に殉じるよ。」

カムロウ「…ルカはすごいや。」

パヲラ「ええ…とても強い心を持っているのね…」

アリス「ドアホめ…」

それ以上、アリスは何も言おうとはしなかった。

こうして僕達は、西のイリナ山地に向かったのである。

 

数時間ほど歩き、一行はイリナ山地に到着する。

しかし、ここで一つ大きな問題があった。

盗賊団アジトの詳しい位置が、まるで分からないのだ。

ルカ「困ったなぁ…退治するって言っても、どこにいるんだ?」

アリス「この広大な山地を、しらみつぶしに探すわけにもいくまい。どうするつもりなのだ?」

ルカ「さぁ、どうしよう…?」

チリ「イリナ山地にいるとは言っていたけど…」

パヲラ「どこかで焚き火をしてるような煙もないわね…もう少し情報を集めればよかったかしら。」

困惑しながら、歩いていると、突然、目の前に小さな影が飛び出してきた!

 

ゴブリン娘が現れた!

 

ゴブリン娘「やい!金目の物を置いていけ!」

目の前に現れたのは、ちっちゃくて可愛い小鬼モンスターだった。ただ、抱えているハンマーは体格に不釣り合いなほどに大きい。

ラクト「ははっ、あのでかいハンマー、チリ(おまえ)とそっくりじゃねぇか。」

ラクトはチリとゴブリン娘を比べて見て笑った。

チリ「うるさいっ!」

そしてアリスは、例によってどこかに消えてしまったようだ。

ルカ「もしかして…魔物の盗賊団か!?」

ラクト「盗賊団の下っ端かもしれないぜ。アジトの場所を知っているかもな…」

ゴブリン娘「ボクは盗賊団四天王の一人、ゴブリン!」

ラクト「いきなり幹部が出てきたじゃねぇか!」

ルカ「ええ…?四天王…!?」

こんな少女のモンスターが、幹部級なのか…?もしかしてこんな外見ながらとっても強いのか?

ゴブリン「分かったら、はやく金目の物を出しちゃえ~!」

ルカ「あの…僕は勇者なんだ。盗賊団をこらしめに来たんだけど…」

ゴブリン娘「えええ…?そんなに弱っちそうなのに、勇者…?」

ルカ「う、うるさいな…弱そうなのは、そっちも同じだろ!」

ともかく、この少女が四天王の一人なら、当然アジトの場所も知っているはずだ。

カムロウ「さっきの台詞、もしかして人を襲って盗みをしているんじゃ…」

ルカ「だったらなおさら、懲らしめてなくちゃ。」

そういうわけで、僕は剣を抜いた。

ゴブリン娘「うわ!その剣、こわっ!てかキモッ!!」

ルカ「………」

…確かに、それは僕も同感だ。

チリ「確かに…」

ラクト「まぁ…その気持ちは良く分かるが…」

ゴブリン娘「う~ん…」

ゴブリン娘は顔をしかめ、剣と僕の顔を交互に見回した。

ゴブリン娘「どうしようかな…剣はすっごくキモいけど、持ち主はへっぽこな感じだし…後ろの仲間には変な恰好の人がいるし…」

パヲラ「これは趣味よ。気にしないで。」

チリ「(えっ、それ趣味なの?)}

ゴブリン娘「よし来い!勇者!盗賊団四天王の一人、「土のゴブリン」が相手をしたげるから!」

ルカ「つ、土のゴブリンだって!?」

ラクト「ってことは…やっぱり強いのかこいつ!?」

魔王軍四天王が、それぞれ四属性の技を使うように、盗賊団四天王も属性持ちなのか?

だとすると、土属性を使えるらしいゴブリン娘は、見かけよりも強力なモンスターなのか!?

 

ゴブリン娘は足元の砂を掴むと、ちょうど前に立っていたルカとカムロウに投げつけてきた!

ゴブリン娘「くらえ、サンドハリケーン!!」

ラクト「砂投げてるだけじゃねぇか!」

ルカ「うわっ…どこが土属性の技なんだ!ただの目つぶしじゃないか!」

カムロウは盾で防いだ。ルカはとっさに目を閉じてしのいだが、口の中に砂が少し入ってしまった。

ルカ「うぐ…ぺっぺっ…何するんだ!」

ルカは砂を吐いている。

ゴブリン娘「くらえ、大地の怒り~!!」

ルカ「大地の怒り…!?」

ゴブリン娘「アースクラッシュゴブリンだ~!」

ゴブリン娘はハンマーを振り上げ、ふらふらと近付いてきた!

ルカ「…その技名だと、大地に砕かれるのはゴブリンの方じゃないか。」

…なんだ、この攻撃は。予備動作が大きすぎて、当たる方が難しいぞ。

 

その様子を見て、ラクトは爆笑した。

ラクト「はははっ!もうっ…あの感じっ…チリと同じっ…ははっ…!」

その後ろから、チリは両手でハンマーを持ち構えた。

チリ「天誅(てんちゅう)!」

ラクト「ぐはぁっ!!!」

チリはハンマーをラクトの背中に叩きつけた。ラクトは地面に這いつくばる。

そして鬼の形相でラクトの前に立った。

チリ「さぁ、ゆっくり話し合おっか…拳で…」

ラクト「あ…その…」

ラクト「ぎゃああああああ!!」

チリはラクトに馬乗りになってボコボコにタコ殴りした。

 

カムロウはそれを見てこう思った。

カムロウ「(チリって怒らすと怖いんだ…)」

ゴブリン娘「スキあり~!」

ゴブリン娘がカムロウの脳天に一撃を食らわした。ドゴッっという音がした。

カムロウ「ふぎゃっ!!」

ルカ「えっ!?カムロウ!?大丈夫!?」

カムロウ「う…うん…大丈夫…いてて…」

カムロウはなんとか起き上がった。その頭にはおおきなタンコブができていた。

パヲラ「カムロウちゃん大丈夫?後ろに下がって休んでていいわよ。」

カムロウ「うん…そうする…」

カムロウはふらふらしながらも後ろに下がった。

パヲラ「ルカちゃん、ここは二人で戦うしかないわよ。」

ルカ「うん、そうだね。」

ルカは後ろの方を見た。チリはまだ、ラクトをぶん殴っているようだ。

ゴブリン娘「まだまだ~!てりゃあ!!!」

ルカ「危なっ!」

ゴブリン娘は再びハンマーを振り下ろす。回避は出来たが、決して油断できない破壊力だ。

ルカ「しかし、当たらなければどうということはない!」

パヲラ「当たったら?」

ゴブリン娘「死ぬほどイタイよ!」

ルカ「そんな大振りの技が当たるもんか!破れたり、アースクラッシュゴブリン!!」

…ちょっと前の僕が、ほとんど同じようなことをしていたのは内緒だ。

パヲラ「経験者は語る…ってね。」

ゴブリン娘「…こ、これくらいで負けないからね!」

ゴブリン娘「てやぁ~!!」

ゴブリン娘はハンマーを横にぶん回しながら回転し始めた。

パヲラ「私に続いて!」

ルカ「ああ!」

ルカは突撃するパヲラの後に続く。

パヲラ「はいっ!」

パヲラはゴブリン娘のハンマーを掌底で止めた。

その後ろからルカが斬りかかる。

ゴブリン娘「おっと!」

ゴブリン娘は後ろに飛び、ルカの攻撃を避けた。

ゴブリン娘「ざ、残念だったね!はぁ、はぁ…」

その様子を見て、ルカはあることに気が付いた。

ルカ「あれ、もしかしてへばってないか?」

パヲラ「まぁ、あんなに重そうなハンマーをがむしゃらに振り回せばねぇ…」

ゴブリン娘「てや~!てやぁ~!」

それでもなお、ぶんぶんとハンマーを振り回してくるゴブリン娘。いや。ハンマーに振り回されている、と言った方が正しいか。

そうこうしているうちに、ゴブリン娘は石につまづいて転んでしまった。

ゴブリン娘「ふぎゃ!」

ゴブリン娘は2のダメージを受けた!

パヲラ「あらら、大丈夫?」

ルカ「…気は済んだか?」

ゴブリン娘「う、うん…はぁ、はぁ…」

ゴブリン娘は体力を消費し尽くし、肩で息をしている。

パヲラ「疲れてるところ悪いんだけど…」

ルカ「アジトの場所、教えてくれるかな。」

ゴブリン娘「あっちのほう…あっちのほうに、洞窟があるから…」

ゴブリン娘が指さしたのは、そう遠くない山肌付近だった。

どうやら、そこが盗賊団のアジトらしい。

ゴブリン娘は、はぁはぁ言いながら立ち上がり、啖呵を切った。

ゴブリン娘「で、でも…四天王のあと三人まで、こんなに簡単にいくと思うなぁ!ラミアや、ヴァンパイアや、ドラゴンが相手なんだからぁ!オマエなんか、やられちゃえ~!」

そして、ゴブリン娘はどこかに去っていった。

 

ゴブリン娘を追い払った!

 

ルカ「僕たちの勝ちだ…」

ルカはそう言い、剣を鞘に納める。

そして後ろから、カムロウが駆け寄ってきた。

カムロウ「ルカ、パヲラさん!終わったんだね!」

ルカ「カムロウ!頭の傷は大丈夫なのか?」

カムロウ「うん、自分で治した。」

パヲラ「あら、チリちゃんに治してもらったんじゃないの?」

カムロウ「チリは…」

カムロウは後方に視線を移す。二人も視線をそこに移すと、倒れているラクトの背に、鬼の形相をしたチリが座っていた。

ラクトの顔面はパンパンに膨れ上がっていた。

ラクト「ふみむぁふぇん…むぉいいまふぇん…(すみません…もう言いません…)」

チリ「分かればよろしい。」

パヲラ「あんた、どんだけ引っ叩かれたのよ…」

ルカ「ラクトの顔、もう人間の顔じゃないぞ。」

 

アリス「さて、アジトの場所が分かったようだな。」

戦闘が終わり、アリスが戻ってきた。

ルカ「あぁ、でも…」

ラクト「ラミアもいるんだってな。」

ヴァンパイアやドラゴンの話は聞いていたが、ラミアまでいるという。

カムロウ「らみあ?」

パヲラ「下半身が蛇の強力なモンスターよ。」

カムロウ「アミラさんみたいな?」

ラクト「逆だ、あいつのことは忘れろ。」

パヲラ「ほら、アリスちゃんみたいな姿をしてるモンスターよ。」

アリス「うむ、そうだ。」

 

ルカ「それにしても…ラミア、ヴァンパイア、ドラゴン…厄介な相手ばかりだな。」

ラクト「いや…おかしくないか?」

チリ「何が?」

ラクト「さっきのちんちくりんが四天王の一人なんだろ?なんていうかこう…差が大きすぎやしないか?強力なモンスターの中にゴブリンだぜ?もしかしたら、他の三人もちっこいやつなんじゃねぇかと…」

パヲラ「確かに…いや、どうなんでしょうね…」

カムロウ「もしかしたら、本物かもしれないんだよ?」

アリス「だから、よせと言っているだろう。本当に無駄死にしたいのか、貴様ら?」

ルカ「僕だって、無駄死になんてするつもりはないよ。でも、イリアスベルクの人達が困っているんだ。それを黙って見過ごすなんて、勇者じゃない!どんな強敵が待ち受けていようとも、勇者は屈したりはしない!」

アリス「…ドアホめ。他人のために、己の命を危険にさらすとはな。貴様はつくづくドアホのようだ…」

アリスに呆れられながらも、僕達はアジトの方向に進むのだった。

 

 

 

__盗賊団アジト。

ラミア「…四天王一人、土のゴブリンがやられたみたいね。」

ヴァンパイア「くくく、奴は四天王の中では最弱。奴を倒した所で何の脅威にもならぬわ。」

ドラゴン「うがー、その通りだぞ。」

 

ドラゴン「何であんなのが四天王の一員なのか不思議なぐらいなのだ…」

ラミア「それは…メンバーが不足してたからでしょ。」

 

ドラゴン「勇者一行はこっちに向かって着てるぞ。」

ヴァンパイア「のこのこやられに向かってくるとは……何と愚かな人間共よ…くくくっ…」

ヴァンパイアが卑しい笑みを浮かべ、ルカ一行をあざ笑う。

ラミア「じゃあ、次はあたしが相手をするからね。」

ラミア「くすくす…」

ドラゴン「わははははぁ!」

ヴァンパイア「くくくく…!」

「「「はっはっはっはっは…!!!」」」

 

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