もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち 作:J・チェプナクル
ルカ「イリア山地へ行こう。魔物の盗賊なんて、放置しておけないよ。」
パヲラ「盗賊団退治をするのねい。」
アリス「本当に行くのか?自分から死ににいくとは、ドアホめ…」
ラクト「ドラゴンやヴァンパイアがいるっていうしな…」
ルカ「今の僕が勝てるはずもないのは分かってるよ。けど何を言われようが、僕の信念は揺るがない。もし実力が及ばないならば、いっそ理想に殉じるよ。」
カムロウ「…ルカはすごいや。」
パヲラ「ええ…とても強い心を持っているのね…」
アリス「ドアホめ…」
それ以上、アリスは何も言おうとはしなかった。
こうして僕達は、西のイリナ山地に向かったのである。
数時間ほど歩き、一行はイリナ山地に到着する。
しかし、ここで一つ大きな問題があった。
盗賊団アジトの詳しい位置が、まるで分からないのだ。
ルカ「困ったなぁ…退治するって言っても、どこにいるんだ?」
アリス「この広大な山地を、しらみつぶしに探すわけにもいくまい。どうするつもりなのだ?」
ルカ「さぁ、どうしよう…?」
チリ「イリナ山地にいるとは言っていたけど…」
パヲラ「どこかで焚き火をしてるような煙もないわね…もう少し情報を集めればよかったかしら。」
困惑しながら、歩いていると、突然、目の前に小さな影が飛び出してきた!
ゴブリン娘が現れた!
ゴブリン娘「やい!金目の物を置いていけ!」
目の前に現れたのは、ちっちゃくて可愛い小鬼モンスターだった。ただ、抱えているハンマーは体格に不釣り合いなほどに大きい。
ラクト「ははっ、あのでかいハンマー、
ラクトはチリとゴブリン娘を比べて見て笑った。
チリ「うるさいっ!」
そしてアリスは、例によってどこかに消えてしまったようだ。
ルカ「もしかして…魔物の盗賊団か!?」
ラクト「盗賊団の下っ端かもしれないぜ。アジトの場所を知っているかもな…」
ゴブリン娘「ボクは盗賊団四天王の一人、ゴブリン!」
ラクト「いきなり幹部が出てきたじゃねぇか!」
ルカ「ええ…?四天王…!?」
こんな少女のモンスターが、幹部級なのか…?もしかしてこんな外見ながらとっても強いのか?
ゴブリン「分かったら、はやく金目の物を出しちゃえ~!」
ルカ「あの…僕は勇者なんだ。盗賊団をこらしめに来たんだけど…」
ゴブリン娘「えええ…?そんなに弱っちそうなのに、勇者…?」
ルカ「う、うるさいな…弱そうなのは、そっちも同じだろ!」
ともかく、この少女が四天王の一人なら、当然アジトの場所も知っているはずだ。
カムロウ「さっきの台詞、もしかして人を襲って盗みをしているんじゃ…」
ルカ「だったらなおさら、懲らしめてなくちゃ。」
そういうわけで、僕は剣を抜いた。
ゴブリン娘「うわ!その剣、こわっ!てかキモッ!!」
ルカ「………」
…確かに、それは僕も同感だ。
チリ「確かに…」
ラクト「まぁ…その気持ちは良く分かるが…」
ゴブリン娘「う~ん…」
ゴブリン娘は顔をしかめ、剣と僕の顔を交互に見回した。
ゴブリン娘「どうしようかな…剣はすっごくキモいけど、持ち主はへっぽこな感じだし…後ろの仲間には変な恰好の人がいるし…」
パヲラ「これは趣味よ。気にしないで。」
チリ「(えっ、それ趣味なの?)}
ゴブリン娘「よし来い!勇者!盗賊団四天王の一人、「土のゴブリン」が相手をしたげるから!」
ルカ「つ、土のゴブリンだって!?」
ラクト「ってことは…やっぱり強いのかこいつ!?」
魔王軍四天王が、それぞれ四属性の技を使うように、盗賊団四天王も属性持ちなのか?
だとすると、土属性を使えるらしいゴブリン娘は、見かけよりも強力なモンスターなのか!?
ゴブリン娘は足元の砂を掴むと、ちょうど前に立っていたルカとカムロウに投げつけてきた!
ゴブリン娘「くらえ、サンドハリケーン!!」
ラクト「砂投げてるだけじゃねぇか!」
ルカ「うわっ…どこが土属性の技なんだ!ただの目つぶしじゃないか!」
カムロウは盾で防いだ。ルカはとっさに目を閉じてしのいだが、口の中に砂が少し入ってしまった。
ルカ「うぐ…ぺっぺっ…何するんだ!」
ルカは砂を吐いている。
ゴブリン娘「くらえ、大地の怒り~!!」
ルカ「大地の怒り…!?」
ゴブリン娘「アースクラッシュゴブリンだ~!」
ゴブリン娘はハンマーを振り上げ、ふらふらと近付いてきた!
ルカ「…その技名だと、大地に砕かれるのはゴブリンの方じゃないか。」
…なんだ、この攻撃は。予備動作が大きすぎて、当たる方が難しいぞ。
その様子を見て、ラクトは爆笑した。
ラクト「はははっ!もうっ…あの感じっ…チリと同じっ…ははっ…!」
その後ろから、チリは両手でハンマーを持ち構えた。
チリ「
ラクト「ぐはぁっ!!!」
チリはハンマーをラクトの背中に叩きつけた。ラクトは地面に這いつくばる。
そして鬼の形相でラクトの前に立った。
チリ「さぁ、ゆっくり話し合おっか…拳で…」
ラクト「あ…その…」
ラクト「ぎゃああああああ!!」
チリはラクトに馬乗りになってボコボコにタコ殴りした。
カムロウはそれを見てこう思った。
カムロウ「(チリって怒らすと怖いんだ…)」
ゴブリン娘「スキあり~!」
ゴブリン娘がカムロウの脳天に一撃を食らわした。ドゴッっという音がした。
カムロウ「ふぎゃっ!!」
ルカ「えっ!?カムロウ!?大丈夫!?」
カムロウ「う…うん…大丈夫…いてて…」
カムロウはなんとか起き上がった。その頭にはおおきなタンコブができていた。
パヲラ「カムロウちゃん大丈夫?後ろに下がって休んでていいわよ。」
カムロウ「うん…そうする…」
カムロウはふらふらしながらも後ろに下がった。
パヲラ「ルカちゃん、ここは二人で戦うしかないわよ。」
ルカ「うん、そうだね。」
ルカは後ろの方を見た。チリはまだ、ラクトをぶん殴っているようだ。
ゴブリン娘「まだまだ~!てりゃあ!!!」
ルカ「危なっ!」
ゴブリン娘は再びハンマーを振り下ろす。回避は出来たが、決して油断できない破壊力だ。
ルカ「しかし、当たらなければどうということはない!」
パヲラ「当たったら?」
ゴブリン娘「死ぬほどイタイよ!」
ルカ「そんな大振りの技が当たるもんか!破れたり、アースクラッシュゴブリン!!」
…ちょっと前の僕が、ほとんど同じようなことをしていたのは内緒だ。
パヲラ「経験者は語る…ってね。」
ゴブリン娘「…こ、これくらいで負けないからね!」
ゴブリン娘「てやぁ~!!」
ゴブリン娘はハンマーを横にぶん回しながら回転し始めた。
パヲラ「私に続いて!」
ルカ「ああ!」
ルカは突撃するパヲラの後に続く。
パヲラ「はいっ!」
パヲラはゴブリン娘のハンマーを掌底で止めた。
その後ろからルカが斬りかかる。
ゴブリン娘「おっと!」
ゴブリン娘は後ろに飛び、ルカの攻撃を避けた。
ゴブリン娘「ざ、残念だったね!はぁ、はぁ…」
その様子を見て、ルカはあることに気が付いた。
ルカ「あれ、もしかしてへばってないか?」
パヲラ「まぁ、あんなに重そうなハンマーをがむしゃらに振り回せばねぇ…」
ゴブリン娘「てや~!てやぁ~!」
それでもなお、ぶんぶんとハンマーを振り回してくるゴブリン娘。いや。ハンマーに振り回されている、と言った方が正しいか。
そうこうしているうちに、ゴブリン娘は石につまづいて転んでしまった。
ゴブリン娘「ふぎゃ!」
ゴブリン娘は2のダメージを受けた!
パヲラ「あらら、大丈夫?」
ルカ「…気は済んだか?」
ゴブリン娘「う、うん…はぁ、はぁ…」
ゴブリン娘は体力を消費し尽くし、肩で息をしている。
パヲラ「疲れてるところ悪いんだけど…」
ルカ「アジトの場所、教えてくれるかな。」
ゴブリン娘「あっちのほう…あっちのほうに、洞窟があるから…」
ゴブリン娘が指さしたのは、そう遠くない山肌付近だった。
どうやら、そこが盗賊団のアジトらしい。
ゴブリン娘は、はぁはぁ言いながら立ち上がり、啖呵を切った。
ゴブリン娘「で、でも…四天王のあと三人まで、こんなに簡単にいくと思うなぁ!ラミアや、ヴァンパイアや、ドラゴンが相手なんだからぁ!オマエなんか、やられちゃえ~!」
そして、ゴブリン娘はどこかに去っていった。
ゴブリン娘を追い払った!
ルカ「僕たちの勝ちだ…」
ルカはそう言い、剣を鞘に納める。
そして後ろから、カムロウが駆け寄ってきた。
カムロウ「ルカ、パヲラさん!終わったんだね!」
ルカ「カムロウ!頭の傷は大丈夫なのか?」
カムロウ「うん、自分で治した。」
パヲラ「あら、チリちゃんに治してもらったんじゃないの?」
カムロウ「チリは…」
カムロウは後方に視線を移す。二人も視線をそこに移すと、倒れているラクトの背に、鬼の形相をしたチリが座っていた。
ラクトの顔面はパンパンに膨れ上がっていた。
ラクト「ふみむぁふぇん…むぉいいまふぇん…(すみません…もう言いません…)」
チリ「分かればよろしい。」
パヲラ「あんた、どんだけ引っ叩かれたのよ…」
ルカ「ラクトの顔、もう人間の顔じゃないぞ。」
アリス「さて、アジトの場所が分かったようだな。」
戦闘が終わり、アリスが戻ってきた。
ルカ「あぁ、でも…」
ラクト「ラミアもいるんだってな。」
ヴァンパイアやドラゴンの話は聞いていたが、ラミアまでいるという。
カムロウ「らみあ?」
パヲラ「下半身が蛇の強力なモンスターよ。」
カムロウ「アミラさんみたいな?」
ラクト「逆だ、あいつのことは忘れろ。」
パヲラ「ほら、アリスちゃんみたいな姿をしてるモンスターよ。」
アリス「うむ、そうだ。」
ルカ「それにしても…ラミア、ヴァンパイア、ドラゴン…厄介な相手ばかりだな。」
ラクト「いや…おかしくないか?」
チリ「何が?」
ラクト「さっきのちんちくりんが四天王の一人なんだろ?なんていうかこう…差が大きすぎやしないか?強力なモンスターの中にゴブリンだぜ?もしかしたら、他の三人もちっこいやつなんじゃねぇかと…」
パヲラ「確かに…いや、どうなんでしょうね…」
カムロウ「もしかしたら、本物かもしれないんだよ?」
アリス「だから、よせと言っているだろう。本当に無駄死にしたいのか、貴様ら?」
ルカ「僕だって、無駄死になんてするつもりはないよ。でも、イリアスベルクの人達が困っているんだ。それを黙って見過ごすなんて、勇者じゃない!どんな強敵が待ち受けていようとも、勇者は屈したりはしない!」
アリス「…ドアホめ。他人のために、己の命を危険にさらすとはな。貴様はつくづくドアホのようだ…」
アリスに呆れられながらも、僕達はアジトの方向に進むのだった。
__盗賊団アジト。
ラミア「…四天王一人、土のゴブリンがやられたみたいね。」
ヴァンパイア「くくく、奴は四天王の中では最弱。奴を倒した所で何の脅威にもならぬわ。」
ドラゴン「うがー、その通りだぞ。」
ドラゴン「何であんなのが四天王の一員なのか不思議なぐらいなのだ…」
ラミア「それは…メンバーが不足してたからでしょ。」
ドラゴン「勇者一行はこっちに向かって着てるぞ。」
ヴァンパイア「のこのこやられに向かってくるとは……何と愚かな人間共よ…くくくっ…」
ヴァンパイアが卑しい笑みを浮かべ、ルカ一行をあざ笑う。
ラミア「じゃあ、次はあたしが相手をするからね。」
ラミア「くすくす…」
ドラゴン「わははははぁ!」
ヴァンパイア「くくくく…!」
「「「はっはっはっはっは…!!!」」」