もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第13話 盗賊団のアジト

ゴブリン娘と戦った場所から数十分。

一行は、洞窟の前に立っていた。

ルカ「このほら穴…か?」

パヲラ「確かにここなら、拠点としては悪くないわねい。」

ラクト「ただ…盗賊団なんだろ?あのゴブリン娘の他に団員がいるはずだぜ?」

ルカ「あぁ、アジトだっていうのに、なんで周りに誰もいないんだ?」

 

アリス「この中に、本当にドラゴンなどいるのか?どうも、そんな気配は…」

アリスはくんくんと鼻を鳴らし、そしておもむろに溜め息を吐いた。

アリス「なるほど、そういうことか…」

アリス「余は、ここで待っている。適当に済ませて、とっとと帰ってこい。」

ルカ「おいおい、無茶言うなよ…」

ラクト「まぁ待てよルカ、アリスは協力者じゃないんだぜ?」

パヲラ「確かに無茶な話ね、無事に帰る保証なんてないわん。ルカちゃん、どうするの?」

ルカ「…怯むわけにはいかない。こんなところで立ち止まってたら、魔王を倒すことなんて出来ない!」

ラクト「へへっ、だろうな。」

ルカ「みんな、準備はいい?」

チリ「ええ、大丈夫。」

カムロウ「ぼくも!」

ルカ「よし…みんな、行くぞ!」

アリスをその場に残し、僕達は決死の覚悟で洞窟へと踏み込むのだった。

 

 

 

洞窟の中は意外と広かった。しかし、アジトにしては全く人影がない。

ここは、本当に盗賊団の本拠地なのだろうか。

ルカ「中は思ったより広いな。」

チリ「肌寒い…羽織る物でも持ってくればよかった…」

ラクト「…帰るか?」

パヲラ「ビビってる?」

ラクト「ビビッてねぇよ!」

そんな会話をしている中、カムロウは顔を曇らせていた。

カムロウ「………」

ルカ「カムロウ、どうしたんだ?」

カムロウ「あ…ごめん、洞窟は…ちょっと苦手なんだ…」

視線を逸らしながら、カムロウはそう答えた。

チリ「そうなんだ…」

ラクト「なんだよ相棒、しっかりしろ!俺たちがいるじゃねぇか!」

ラクトはそう言うと、カムロウの背中を軽く叩いた。

カムロウ「う…うん!」

こうして、再び一行は歩みを進める。そんな時だった__

 

???「ふふっ…来たわね。このあたしが相手をしてあげるわ!」

ルカ「だ…誰だ!?」

 

プチラミアが現れた!

 

プチラミア「あたしが四天王の一人、「水のラミア」よ!」

ルカたちの前に立ちはだかったのは、少女の姿をしたラミアだった。

ルカ「お、お前がラミア…?」

カムロウ「(確かに、下半身は蛇だ。)」

チリ「(…ちっちゃい。)」

プチラミア「ふふっ…私に巻き付かれ、締め上げられ、苦悶に喘ぐのはあんたたちなのね?」

不敵に笑うプチラミアを前に、僕たちは当惑せざるを得ない。

ラクト「…やっぱり、ちんちくりんじゃねぇか。」

ルカ「あれだけ覚悟を決めたのに…」

プチラミア「な、なにガックリした顔してるのよ!私に巻き付かれても、そんな顔ができるの!?」

 

プチラミアの先制攻撃!プチラミアは、ルカの体に短い尻尾を巻き付けてきた!

プチラミア「ほぉら、締め付けてあげる!」

ルカ「………」

しかしプチラミアの巻き付き、全く苦痛ではなかった。

頑張って締め上げようとしているが、力が足りないので、締め付けというのは程遠い。

むしろ優しく揉みほぐされているようで、気持ちいいほどだ。

ラクト「…どうよ?」

ルカ「マッサージ感覚。」

巻き付かれながらルカは答えた。

ルカ「よいしょ、っと。」

僕はプチラミアの体を巻き上げ、体から離した。下半身を巻き上げていた尻尾も、しゅるしゅると解けてしまう。

チリ「簡単に解けたね。」

ルカ「僕の力で解けたってことは…」

プチラミアの体を抱き上げたまま、視線が合う。

ルカ「………」

プチラミア「………」

すると、プチラミアの目から、じわっと涙が溢れた。

プチラミア「ふぇ~ん!なんで、うまくいかないのー!?」

ルカ「いや、なんでって言われても…」

パヲラ「体がまだ成長してないからかしらねい…」

僕は、そのままプチラミアを地面に下ろしてやる。

すると、しゅるしゅると素早く地面を這いながら離れていった。

ラクト「なんだ逃げたか…楽勝だったぜ__」

プチラミア「ぐすっ…も、もう許さないんだからね!」

ラクト「うおっ!?また来た!?」

涙を振り払い、プチラミアはなおも襲い掛かってきた!

プチラミア「次はあんたよ!」

今度はカムロウの体に巻き付いた。

プチラミア「ほらほら!苦悶の声を漏らしなさいよ!」

カムロウ「…えい。」

カムロウは片手で、プチラミアの体を持ち上げ、地面に下ろした。

チリ「カムロウって、力あるんだ。」

ラクト「俺らより小さいのにな。」

ルカ「僕より力持ちなのか…」

プチラミア「ふぇ~ん!覚えてなさーい!」

そんな捨て台詞を残して、泣きながらプチラミアは逃げて行った

 

プチラミアを追い払った!

 

ルカ「えっと…僕たちの勝ちってことでいいのかな…これ…」

カムロウ「ぼくたち、戦ってないけどね。」

ラクト「まぁ、いいんじゃねぇか?さっさと行こうぜ。」

僕達は再び、洞窟の奥へと歩みを進めた。

 

 

 

ルカ「…そういえば、「水のラミア」なのに、水属性なんて使わなかったな。」

チリ「まぁ、「土のゴブリン」も、砂投げてただけだったし…」

ラクト「あとはドラゴンとヴァンパイアって言うが…まさか、あんな感じのチビーズってことはないだろうな…」

それを聞いて、ルカはガックリと膝を着いた。

ルカ「もしかして…僕の決死の決意は、思いっきり無駄に終わるのかもしれないのか…?」

ルカは顔面蒼白で、絶望のオーラをじわじわと放ち始めた。

パヲラ「ま…まだ分からないわよ?気を落とさないで?」

ルカ「そ…そうかな?」

カムロウ「そ、そうだよ!まだ決まったわけじゃないんだ!気を抜いちゃだめだよ!」

ルカ「そうだ…まだ決まったわけじゃないんだ!こんなことで気を抜いちゃ、勇者失格だ!」

パヲラ「(良かった…持ち直した…)」

ルカは勇気を奮い立たせて立ち上がった。その時だった__

 

???「くくく…「土のゴブリン」に続いて、「水のラミア」を倒すとは中々のもの。しかし、我はそうは簡単にはいかんぞ!」

ルカ「な、何者だ…!?」

 

ヴァンパイアガールが現れた!

ヴァンパイアガール「我は闇の貴族にして、魔の眷属!そして四天王の一人、「風のヴァンパイア」!くくく…今宵の餌食はお前のようだ…」

ルカ「………」

ラクト「いや、確かにヴァンパイアには違いないけど…」

チリ「(…ちっちゃい。)」

可愛い少女ヴァンパイアはちっちゃなマントを頑張ってばさばささせながら、不敵に笑っている。

ルカ「…戦闘準備。」

パヲラ「えぇ、そうね。」

気は進まないながらも、僕たちは構えた。

ヴァンパイアガール「では、いくぞ!」

ヴァンパイアガールは、無数のコウモリに変化した!

コウモリ達が一斉に襲いかかってくる!

ルカは剣で、カムロウは盾で、パヲラは両腕で、チリはハンマーで防御した。ラクトは防御出来ず、コウモリ達の体当たりを顔面に食らっていた。

ルカ「うっうわ…!」

ラクト「イタタタタタ!!」

猛烈な羽音と、次々にぶつかってくる小さな衝撃。

大したダメージではないが、思わずたじろいでしまった。

カムロウ「…あれ?」

ルカ「どこにいったんだ?」

コウモリの群れが姿を消しても、ヴァンパイアガールの姿は見当たらない。

ヴァンパイアガール「くくく…我はここだ!」

チリ「ルカ!背中に!」

ルカ「え…!?」

いつの間にか、ヴァンパイアガールは僕の背中によじ登っていた。

ラクト「セミかカブトムシかお前?」

ルカ「…えい。」

マントの襟筋を掴み、僕はヴァンパイアガールを首筋から放した。

ヴァンパイアガール「おい、何をする!無礼であろう、我に対して…」

襟首を掴まれてぶら下がり、じたばたと足を動かすヴァンパイアガール。不意に、その目からじんわりと涙がにじんだ。

ヴァンパイアガール「ううっ…なんで、意地悪するのだ…」

ラクト「仕掛けてきたのはそっちだろうが…」

ルカ「あ…ご、ごめん。」

しくしく泣きじゃくるヴァンパイアガールを、僕は地面に降ろす。

ヴァンパイアガール「ぐすっ…ぐすん。」

涙をぐしぐしと拭き、ヴァンパイアガールは僕たちを睨んだ。

どうやら戦意はまだ失っていないようだ。

ヴァンパイアガール「も、もう許さないぞ!こうなったら、我の恐ろしさを見せてくれる!ちょっと待っていろ!魔力を集中するから!準備が出来たら、我の目をじっと見るのだぞ!」

ラクト「いや準備って!」

ヴァンパイアガールは力を溜め始めた。

チリ「…!みんな!目を逸らして!」

ラクト「はぁ!?」

ヴァンパイアガール「さあ、我が目を見るがいい!」

ヴァンパイアガールの瞳が妖しく輝いた!

全員は目を逸らして、ヴァンパイアガールの目を見ないようにした。

ヴァンパイアガール「な、なんで目を逸らす!目を見ろと言っただろうが!」

ルカ「いや、そう言われても…」

パヲラ「あからさまな攻撃だったわよね…何だったの?」

チリ「魔眼。魔力を込めて睨みつけて、呪いを掛ける眼よ。ヴァンパイアもそうだけど、上級の妖魔が持っている能力よ。」

ルカ「ちっちゃくてもヴァンパイアか…」

パヲラ「侮れないねい…」

ヴァンパイアガール「おのれ…!まだ、我は諦めんからな!」

ヴァンパイアガールは、まだ戦意を失っていないようだ。

ラクト「…ん?おいチリ、背中にゲジゲジ付いてるぞ。」

チリ「えっ!?」

それを聞いたチリの顔から、血の気が引いていく。

チリ「いやあああ!!取ってえええ!!!」

チリは一心不乱…いや、怯心狂乱にハンマーをぶん回し始めた。

カムロウ「わっ!危ない!」

ラクト「いやハンマーをぶん回すんじゃねぇ!!」

ルカたちはハンマーにぶつからないよう遠くに逃げる。

チリはそのままヴァンパイアガールに突っ込んでいく。

ヴァンパイアガール「えっ__」

いきなりの出来事に、反応できなかったヴァンパイアガールの顔に、チリの大きなハンマーがぶつかる。

ヴァンパイアガールはその勢いで吹っ飛ぶ。

未だにハンマーをぶん回すチリを、パヲラは後ろから羽交い締めして止めた。

チリ「あああああああ!!!」

パヲラ「落ち着いてチリちゃん!もう付いてないわよ!」

チリ「本当…?本当に…?」

チリはリズムの乱れた速い呼吸と、冷や汗を流しながらも冷静を取り戻した。

ラクト「…あいつ、何しても化け物だな。」

カムロウ「ラクト、怖がらせちゃダメだよ。」

ラクト「いや、あんなになるとは思わなくてよ…」

起き上がったヴァンパイアガールの目には涙がじんわりと滲んでいた。

ヴァンパイアガール「ううっ…なんで、意地悪ばかりするのだ…」

チリ「あっ…ご…ごめん…」

ヴァンパイアガール「ううっ…ひぐ、ひぐっ…」

どうやらヴァンパイアガールは、完全に戦意を失ってしまったようだ。

ルカ「…なんなんだ、この戦いは。」

ラクト「なんか…盗賊団っていうから身構えてた自分が、馬鹿馬鹿しくなってきたな…」

ルカ「ところで、「風のヴァンパイア」って名乗ってたけど、風属性の攻撃は?」

ヴァンパイアガール「できない…魔王様の四天王を真似して、みんなで名乗ってるだけ…」

ラクト「まぁ、だろうと思ったけど…」

ヴァンパイアガール「うぇ~ん!うぇ~ん!」

泣きじゃくりながら、ヴァンパイアガールは逃げ去っていく。

 

ヴァンパイアガールを追い払った!

 

ルカ「やるせない戦いだったけど、侮れない点もいっぱいあった。コウモリ変化技に魔眼…」

チリ「あとヴァンパイアなら、体力を吸収してくるはず。」

ルカ「もし、大人のヴァンパイアと戦う時は、それらの技には気をつけよう。」

パヲラ「ええそうね。良い予習になったわねい。」

そして僕たちは、洞窟の奥へと足を進めた。

 

 

盗賊団アジト、洞窟の最奥。

ルカ「ここまでに、四天王のうち三人は撃破したから…」

カムロウ「あとは、ドラゴン…」

パヲラ「本物かしら。それとも…」

ラクト「俺はちっこいのを期待するぜ。」

チリ「あんたそういう趣味が…」

ラクト「ちげぇよ!話聞いてたか!?」

そんな会話をしながら歩いていくと…

???「わはは、よくここまで来たな!」

ルカ「お、お前は…!?」

 

ドラゴンパピーが現れた!

 

ドラゴンパピー「がおー!」

ルカ「…やっぱりか。」

チリ「子どものドラゴン…だね。」

ちんまり可愛いドラゴンは、こちらを威嚇しているようだ。

ドラゴンパピー「あたしは四天王最後の一人、「火のドラゴン」!よくぞここまで辿り着いたな!すごいぞ勇者たちよ!」

少しの沈黙の間、ルカはこう呟いた。

ルカ「…ここに来るまでの僕の決死の覚悟は、いったいどうすればいいのかな。」

ラクト「いやいやルカ、命拾いしたと思えばいいんだよ!本物だったら俺たち死んでだぜ!?」

パヲラ「まだ戦いは終わってないわよ!元気だして!」

カムロウ「そうだよ!」

ルカ「とにかく…お前をこらしめれば、盗賊団は壊滅ってわけだな…!」

僕たちは武器を構えて、ドラゴンパピーの前に立った。

 

ドラゴンパピー「いくぞー!」

ドラゴンパピーの先制攻撃!口からぼわっと炎を吐き出した!

ルカたちは炎に包まれた!

ルカ「うわっ!あつっ!この子、あつっ!」

ラクト「あっちちち!!」

ラクトは地面に転がって、必死に火を消している。

カムロウとパヲラとチリは、近くにあった大きな岩の後ろにいた。

パヲラ「少女といえどもドラゴンねい。」

チリ「みんな、侮っちゃいけない!」

カムロウ「うん!」

ラクト「なんでお前らだけ安全な場所に避難してんだよ!」

 

ルカ「はああああ!!!」

ルカは飛び上がり、ドラゴンパピーの頭に刃を振り下ろした!

ドラゴンパピー「うが…!」

その刃は、脳天にガツンと命中したのだ。

ルカ「えっ!?」

しかし、刃は通らなかった。意外に高い防御力に、ほとんどダメージを与えることができなかったのだ。

ルカ「か…硬い!?」

ラクト「そうだった…あいつはドラゴンだ!あんな見た目でも、鎧並みの硬さを持っているのか!」

ドラゴンパピーの目からじんわりと涙がにじむ。

ドラゴンパピー「う、うう…」

チリ「いや…痛かったみたい。」

ラクト「ただの石頭かよ!」

しかし、ドラゴンパピーは涙を振り払った。

ドラゴンパピー「う…うがー!」

ドラゴンパピーはルカに飛びかかり、頭をがじがじと噛み付いてきた!

ドラゴンパピー「うがー!うがー!」

ルカ「うわ、やめろ…!い、痛い…!けっこう痛い!」

ルカは両手で払いのけようとしたが、なかなかドラゴンパピーを引きはがせない。

パヲラ「小さい子に使うのは気が引けるけど…」

パヲラはドラゴンパピーに向かって、魔力を込めた握り拳をぶつけた。

パヲラ「魔導拳・奥義!鎧砕き(クラッシュボーン)!」

光る右手、吹っ飛ぶドラゴンパピー。

地面にころころと転がった後、すぐに立ち上がるドラゴンパピー。

ルカ「効いたのか…?」

パヲラ「いや、手加減したわ。本気で撃てば骨も砕けるけど…」

ルカ「いや、僕に任せて。必殺技で、勝負を決める!」

小さいとはいえ、厄介な相手だ。ここは、必殺技で勝負を決めるか。

…思えば、勇者とドラゴンとの一騎打ちは、僕の憧れではなかったか。

少々想像とは違うが、今の僕はそのシチュエーションにいるのだ。

そう思うと、闘志が湧いてきた!

ドラゴンパピー「うがー!」

ドラゴンパピーは再び、口から炎を吐き出す。

カムロウ「パヲラさん!」

パヲラ「ええ!」

ルカたちの前に、カムロウとパヲラが立った。

カムロウ「はい!」

パヲラ「邪蹴(ジャケ)ット!」

カムロウは盾を前に突き出し、炎を受け止めた。

そしてパヲラは、横に分散された炎を高速の回し蹴りで生まれた風でかき消した。

ルカ「今だ…行くぞ!魔剣・首刈り!」

炎が消えて、道ができた。ルカは魔剣・首刈りを繰り出す。

ドラゴンパピー「うがー…!」

ドラゴンパピーも爪を振りかざして駆け寄ってきた。

ルカ「うおおおお!!」

両者は一気に駆け抜け、そして、互いの攻撃が交差した!

長いような、短いようなその刹那。

ドラゴンパピー「うがぁ…」

ドラゴンパピーは、こてん、とその場に転がる。

チリ「どう…!?」

カムロウ「効いた…!?」

ドラゴンパピー「うがが…う、う…」

ドラゴンパピーは地面に引っくりかえり、涙をこらえている。

もはや、反撃する気力は残っていないようだ。

ルカ「僕の勝ちだな…」

勝利の余韻を味わいながら、僕は静かに剣を納めた。

…これで、戦いは終わった。

勇者とドラゴンの一騎打ちは、勇者の勝利に終わったのだ!

 

ドラゴンパピーをやっつけた!

 

ルカ「これで…全て終わった。」

四天王の最後の一人も、こうして地に伏せたのだ!

アリス「やれやれ、ニセ勇者とちびドラゴンの戦いは終わったようだな。」

ラクト「来て早々、暴言を吐くなよ…」

現れるなり、アリスは暴言を吐く。正直なところ、全く違ってはいないのが悲しいが。

ルカ「あれ、そいつらは…」

アリスが、その背に連れていたのは、ゴブリン、プチラミア、ヴァンパイアガールだ。

どうやら三人ともアリスにこっぴどく叱られた様子だ。目に涙を浮かべている。

カムロウ「えっと…ぼくたち、四天王を倒したけど…」

ルカ「他の団員はいないのか?」

ドラゴンパピー「いないのだ…」

ヴァンパイアガール「全部で4人だけ…」

ぐずぐずと鼻をすすりながら、魔物少女達は答える。

ラクト「最悪だぜ…小規模どころか少数かよ…」

ルカ「つまり、これで盗賊団全部ってことか。えっと…どうするべきだと思う?アリス。」

泣きべそ少女を前に、僕はどうしていいのか分からない。

アリス「余に聞くな。盗賊団を壊滅させたのは貴様だろうが。売るなり殺すなり犯すなり食うなり、好きにするがいい。」

チリ「な…なんてむごいことを…!」

ドラゴンパピー「そんなの…やだぞ…うわーん!」

ヴァンパイアガール「ひぐっ…うぇぇぇん!」

ラミア「うぇーん、うぇーん…」

ゴブリン娘「わーん、わーん…」

とうとう、4人は泣きだしてしまった。

パヲラ「ああ、泣かないで、泣かないで!」

アリス「ふむ、さすがニセ勇者サマはやることが立派だな。こんないたいけな少女達を泣かせて、英雄気取りとは。」

ラクト「お前だろ!泣かせたのは!」

ルカ「な、泣かせたのはアリスだろ…!?」

ルカ「とりあえず、イリアスベルクの人達に謝りにいこう。いっぱい迷惑を掛けたんだから…分かったね?」

泣きながら、4人は頷いた。

カムロウ「ルカ、もし「魔物だから退治しろ!」ってなったら…」

ルカ「…大丈夫、絶対にそんな事はさせないよ。リンチしようなんて奴がいたら、この僕が叩きのめしてやる!」

僕は決して、魔物を退治したいわけじゃない。人と魔物が、平和に共存する世界を築きたいだけなのだ。

ルカ「それに…イリアスベルクには、アミラみたいな魔物も普通に馴染んでいたから、意外と、魔物に対する風当たりはそうきつくはないかもしれない。」

ラクト「…あいつかぁ。」

チリ「果たしてあの存在を魔物と判断していいのか…」

こうして、僕たちは、泣きじゃくる4人を引き連れてイリアスベルクに戻ったのだった。

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