もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第14話 盗賊団、解散。

イリナ山地で盗賊団と戦い、勝利したルカたちは、数時間かけてイリアスベルクに戻った。

 

ゴブリン娘「迷惑をかけて、ごめんなさい…」

プチラミア「もうしません…」

ヴァンパイアガール「すみません…」

ドラゴンパピー「ごめんなのだ…」

イリアスベルクの中央広場で、素直に謝る魔物少女達。

住民A「こんな少女達だったとは…」

住民B「今まで何度か見たけど、ただの下っ端だと思ってたよ…」

住民C「誰だよ、ボスはおそろしいドラゴンだなんて言い出した奴は。」

ルカ「そういうわけで、もう悪さはしないって言ってますが…」

パヲラ「許してくれるかしら?」

おかみ「反省してるみたいだし、許してやってもいいんじゃないかい?この子達も、生きていくために大変だったんだろうしね。」

老舗宿サザーランドのおかみさんがそう言った。おかみさんがそう言うのなら、許してもらえるだろう。

老人「…20年ほど前に切り開いた西の森林も、多くは魔物が住んでいたと聞く。魔物達のすみかを奪ったのは、我々の方かもしれんな。」

ラクト「そういや…被害ってあったのか?」

道具屋の店主「実際のところ、この盗賊団による被害はそう大きくはありません。ドラゴンやヴァンパイアの恐怖に怯えていただけだったようですね。」

どうやら、許してやるという方向で話が進んでいく。

ルカ「ふぅ、良かった。」

僕は、ほっと胸を撫で下ろしたのだった。

おかみ「…まあ、そういうことだね。これからは心を入れ替え、地道に働くんだよ。」

ゴブリン娘「ふぁ、ふぁい…」

ヴァンパイアガール「ありがとうございます…ぐすっ。」

ちびっ子盗賊団の前に、ぞろぞろと住民が集まる。

武器屋の店主「ドラゴンっ娘、火は吐けるのか?熱いのが吐けるなら、うちで雇ってやるぞ。」

運送ギルド「そこのちっこいの、けっこう力がありそうじゃな。倉庫整理からやってみるか?」

 

どうやら、町の人達も魔物少女達を受け入れてくれるようだ。こうして、盗賊騒ぎは円満に収まったのである!

 

カムロウ「めでたしめでたしだね!」

アリス「ふむ…意外だったな。人間の心にも、まだまだ魔物を受け入れる隙間はあったということか。」

なにやらアリスも、少しばかり感心した様子である。

ルカ「僕の生まれ育ったイリアスヴィルなら、こうはいかなかったと思うけどね。」

イリアスヴィルはイリアス信仰のお膝元であり、そして閉鎖的な田舎村。

こんなに円満に話は進まなかっただろう。

とはいえイリアスベルクも、かなりイリアス信仰が強い町。

もっと魔物に対して排他的だと思っていたが…

大きな都会となると、やはり人々の感覚も違ってくるということか。

チリ「でもルカ、全員がそうとは限らないと思う。神官様みたいな人は、受け入れられないと思うの。」

ルカ「そういう人たちも、魔物と共存することができる世界を創らないとな…」

パヲラ「そういえばだけど、あの子たち、親はいるのかしら。はぐれてあんなことをしてたのかしら…」

アリス「魔物の子育ては、種によって習性が全く異なるな。上位のモンスターほど、生まれてすぐ独立する傾向にある。ドラゴンやヴァンパイアは子育てなどせんし、ラミアは生息地域差が大きいから良く分からん。」

ラクト「なんでもかんでも人間基準で考えちゃいけねぇのか。」

ルカ「この町の人達が、親代わりになってくれるといいんだけどね。」

 

 

ルカ「…ん?」

ドラゴンパピーは、くいくいと僕の腕を引いた。

ドラゴンパピー「お前たちには、とってもお世話になったのだ。だから、これをあげるのだ。」

ドラゴンパピーが差し出したのは、赤く綺麗な宝玉だった。とても美しく、高い価値がありそうなアイテムである。

ラクト「おぉ!こりゃあ価値がありそうなモノだぜ!」

ルカ「どうしたんだ、これ…?」

ドラゴンパピー「数か月前、アジトの近くに大富豪の馬車が通りかかったのだ。そいつら、あたしの姿を見ただけで逃げ出してしまったのだ。その時に放り出された荷物の中に、その宝玉があったのだ。きっと、すごいお宝だと思うのだ。」

ルカ「なるほど…でも、そんなのもらっちゃっていいのかな…?」

真の勇者なら、盗品など受け取らないはずだ。でも、感謝の証にくれるものを無下にするわけにも…

ラクト「よし!ルカ!今すぐ売ろう!」

ラクトは目を輝かせながらそう言った。

ルカ「ダメだろ!盗品売ったら!」

ルカ「…そうだ。もし旅の途中で持ち主が見つかれば、その人に返してあげるよ。」

それならば、勇者として問題ない行為だ。

そういうわけで、僕はその宝玉を受け取った。

 

「レッドオーブ」を手に入れた!

 

アリス「…このようなモノが、こんなところにあるとはな。悪用の危険性がある以上、人間の手には渡したくないが…まあ、青と銀は魔族が押さえてるから問題はないか。」

ルカ「え…?アリス、これが何なのか知っているのか?」

アリス「当然だ、余を誰だと思っている。…しかし、人間は知らなくても良いことだ。」

ルカ「ケチだなぁ…」

そこまで言うところからして、ただの宝石ではないだろう。

ラクト「…やっぱ売ろ__」

チリ「天誅(てんちゅう)!」

チリは、ラクトをハンマーでぶっ叩いた。

ラクト「どああああ!!!」

持ち主の大富豪とやらが見つかればいいのだけれど…

まあともかく、これで盗賊団の一件も終わりだ。

しかし、僕達は、まだまだ旅を続けなければならない。

ルカ「じゃあ、そろそろ僕達は行くから。」

パヲラ「もう悪いことをしちゃ駄目だよん。」

ゴブリン娘「うん!」

プチラミア「盗賊団は今日限りで解散にするね!」

ヴァンパイアガール「もう、悪いことはしないぞ!」

ドラゴンパピー「立派な魔物になって、世の中の役に立つのだ!」

カムロウ「またね!」

ルカ「ああ、頑張れよ!」

こうして僕達は、広場を後にしたのだった。

 

 

 

ルカ「ふぅ、今日は実に勇者らしいことをしたなぁ。」

チリ「いや、勇者らしいことってむしろどういうこと?」

アリス「…ドアホめ。相手が大人のドラゴンだったら、どうするつもりだったのだ。貴様、本当に死にたかったのか?」

ルカ「誰だって、死にたくて戦っているわけじゃないよ。ただ僕は、自分の信念を貫くためなら死ぬのも怖くないだけだ!」

パヲラ「まるで、勇者の鏡ねい。」

アリス「…ドアホめ。」

アリスが深々と溜め息を吐いた。その時だった。

 

???「さすがは勇者様!私が見込んだ…お・か・た。」

ルカ「お…お前は!」

 

残念なラミアが現れた!

 

ラクト「うわ出た。」

チリ「出たわね。」

ルカ「お前、まだ出てくる気か?」

アミラ「出オチキャラだと思ったら大間違い。実は意外な真ヒロイン、それが私。」

アリス「貴様がヒロインだと?ふざけるのも大概にしろ、貴様!」

ラクト「なんで、お前が怒るんだよ!!」

アミラ「実は私…邪悪な魔導士に、醜い姿を変えられたお姫様。勇者様のキスで、元の姿に戻れるはずよ。」

ルカ「ほ、本当なのか…?」

ルカはちょっと嫌そうだ。

パヲラ「あたしのキスじゃだめ?」

アミラ「だめね。私の美貌が美しすぎて不釣り合いだわ。」

アリス「嘘に決まっているだろうが、ドアホが。」

アミラ「…ちっ、バレたか。」

悪びれもせず、ぬけぬけと舌打ちをするアミラ。

 

アミラ「仕方がないわ。こんな時のために習得した、誘惑魔術を使うしかないようね。」

カムロウ「ゆ…誘惑魔術だって!?」

アミラ「行くわよ!ハート・スプラッシュ!」

一行は身構えた…が、なにも起こらなかった。

ルカ「…?」

チリ「なにも起きないけど…」

アミラ「…ここはゲームでも動画でも絵でもない、文章の世界。画面演出エフェクトなんて呼び出せないわ。」

チリ「何の話よ!」

アリス「くどい…去れ!」

アリスは右手を突き出すと、魔力を込めたエネルギー弾を放った。

それはアミラに当たり、爆発した。

アミラ「展開が思いつかないからって、爆発オチなんてサイテー!」

アミラは空の彼方に飛んで行った。

ルカ「…なんだったんだ?」

アリス「行くぞ、ルカ。のんびりしていては、いつまで経っても魔王城に到着せんぞ。」

ルカ「ああ、そうだね…」

パヲラ「ルカちゃん、ちょっといいかしら?」

ルカ「うん?どうしたんだ?」

パヲラ「出発する前に、サザーランドに泊まって、休んでいかないかしら?」

ルカ「あぁ、そうだね、そうしよう。」

僕もそうだったけど、数時間も慣れない山道を歩いて、みんなは疲れているようだ。

僕たちはサザーランドで休むことにした。

 

 

 

夜、老舗宿サザーランド。

みんなで夕食を食べている時。

ラクト「そういやよ…俺、考えたことがあんだよ。」

急にラクトが喋り始めた。

ラクト「ドラゴンパピーと戦ったとき、俺たち、あいつの炎で燃やされそうになっただろ?」

チリ「え?そう?」

ラクト「お前は避難したけどな!?本当なら燃やされてんだぞ!?」

アリス「それで?何を思いついたのだ?」

ラクト「あぁ…「陣形」ってやつだ!」

カムロウ「陣形って?どういうこと?」

ラクト「戦うメンバーを前衛3人、後衛2人に分けるんだ。長い旅になるだろ?全員前に突っ立って、全員致命傷を負ってすぐに全滅ってなっちゃ、お笑い草だろ?」

ルカ「あぁ…確かに…」

ラクト「後衛だからって戦わないわけじゃねぇ、俺だったら魔法で援護できるし、こいつ(チリ)だったら、前衛の人と交代して自慢のハンマーでぶっ放せばいいわけだぜ。」

ラクト「どうだ!勇者親衛隊、デコボコ隊の陣形!かっこいいだろ!」

ラクトは決めポーズをした。

チリ「(…かっこ悪。)」

パヲラ「…結局アンタ、前に出たくないだけじゃないの?」

ラクト「うるせぇな!」

…ラクトの言う通り、これから先は長い旅になる。そこで魔物に遭遇して、毎回全力で戦闘を続けてしまうと、こっちが不利になりそうだ。陣形というのは良い考えかもしれない。

ルカ「ラクト、悪いけど…僕は前線で戦うよ。後衛に行っても何もできないわけだし。」

パヲラ「確かに、この中で唯一、魔物を封印できる術を持っているのはルカちゃんしかいないわ。」

カムロウ「じゃあ、ぼくたちはルカが戦いやすいように助ければいいんだよね?」

ラクト「前衛、後衛に分けながらな。」

アリス「ふむ…良い考えだが、一つ指摘する点がある。遭遇する魔物はいろいろな種類がいる。毎度同じメンバーで戦えば、相手によっては劣勢を強いられるぞ。その時はどうするのだ。」

ラクト「やっべ…考えてなかった。」

チリ「絶対後ろにいようとしたでしょ…」

ルカ「その時、誰が前線で戦うか決めればいいと思うよ。戦闘中でも、戦況ごとにメンバーを入れ替えれば問題ないだろ?」

アリス「ほう、頭が回るじゃないか。ニセ勇者なのに。」

ルカ「ぐっ…」

ラクト「もうやめろ!ニセ勇者って言うの!」

 

 

 

翌日、サザーランドのロビー。

おかみ「ゆうべはお楽しみだったね!」

ラクト「な?お楽しみだったな?な?」

ラクトはニヤニヤしながらルカを見た。

ルカ「うるさい!殴るぞ!」

アリス「何をしてるのだ貴様ら…」

プチラミア「お楽しみだったね♪」

カウンターの下から、プチラミアが顔を出した。

カムロウ「あれ、君は…」

おかみ「ああ、この子。ここで働かせるにしたのさ。」

プチラミア「うん、がんばるからね。」

おかみ「こう見えて、意外に働き者なんだよ。名物の「あまあまだんご」の作り方も伝授したいんだけどね。ほら、ハピネス村がどうにかならない事にはねぇ。どこかの勇者が、何とかしてくれないもんかねぇ…」

おかみはチラチラとこちらを見ている…

ラクト「なぁルカ…次はハピネス村に行かねぇか?」

ルカ「まぁ…考えておくよ…」

ルカたちは、サザーランドのロビーから出る。

ルカ「そういえば…チリとパヲラは?」

ラクト「あぁ、チリはハンマーの手入れしに武器屋に行ったぞ。」

カムロウ「パヲラさんは道具屋だって!」

アリス「道具屋…何をしに?」

ラクト「コスメ買いに。」

ルカ「コスメ!?」

 

 

イリアスベルクの武器屋。

店に入ると、奥の方で鉄を叩く音が聞こえてくる。

店主「ほれ、熱いうちにがんがん打つんだ!打つんだ!」

ドラゴンパピー「うがー!」

ドラゴンパピーは、鍛冶の修行をしているようだ。

チリ「あ、ルカ!お待たせ!」

チリの手にはピカピカに磨かれたハンマーがあった。

店主「おお、違いの分かる勇者君か。」

ルカ「ドラゴンパピーは、ここで働くことになったんですね。」

店主「ああ、この通り、この子にはいっぱい努力させてるよ。技能を身につけて自分で稼げるようになれば、悪い事はしなくなるだろ。」

ドラゴンパピー「うがー!がんばってるぞー!立派な鍛冶屋さんになるのだー!」

ルカ「うん、がんばれよ!」

 

 

イリアスベルクの道具屋。

パヲラ「あらルカちゃん。あたしは買い物終わったわよん。」

ルカ「買い物って、何を買ったんだ?」

パヲラ「コスメ。」

ルカ「コスメっ!!」

店の奥から、道具屋の店主とヴァンパイアガールが出てくる。

店主「いらっしゃいませ!」

ヴァンパイアガール「いらっしゃいませー!」

ヴァンパイアガール「服従の魔眼。」

ルカ「うわっ!」

ヴァンパイアガールの瞳が妖しく輝いた!

ルカは瞳を見てしまった!

ヴァンパイアガール「とりあえず、薬草を3000個ほど買っていけ。」

ルカ「一つ8ゴールドだから、全部で2万4千ゴールドか。安いな。」

ラクト「アホー!!」

店主「こら、それはやっちゃ駄目だって言ったろ!」

ヴァンパイアガールは、道具屋を手伝っているようだ。

店主「この子達は、この町で面倒を見ています。さすがに、放っておく事は出来ませんからね。」

ルカ「はい、よろしくお願いします。」

 

 

イリアスベルクの中央広場。

パヲラ「点呼するわよ~。」

パヲラ「ルカちゃん。」

ルカ「はい!」

パヲラ「アリスちゃん。」

アリス「うむ、いるぞ。」

パヲラ「カムロウちゃん。」

カムロウ「はーい!」

パヲラ「チリちゃん。」

チリ「はいっ!」

パヲラ「アホ。」

ラクト「おいてめぇ!ぶっ飛ばすぞ!」

パヲラ「いい準備運動になりそうねい…!」

二人は取っ組み合いをし始めた。

アリス「全員いるみたいだな。」

ルカ「よし、行こうか。」

町の外に出ようとした、その時だった。

ゴブリン娘「どいてどいて~♪この資材、重いんだよ~♪」

人混みの中から、重そうな木材を軽そうに担いだゴブリン娘が出てくる。

ルカ「お前は…」

ゴブリン娘「あっ、オマエは世話になった勇者!この通り、ちゃんと働いてるよ♪」

ルカ「うん、がんばって立派な魔物になるんだぞ。」

ゴブリン娘「うん!ボク、頑張る!」

 

ルカ「…ところで、お前だけ他の三人と雰囲気が少し違わないか?」

チリ「なんていうか…この辺りの生まれっぽくはないような…」

ゴブリン娘「ボクは、あの三人とは出身が違うの。三人はセントラ大陸北方の生まれなんだけど、ボクは東方出身。三人が南に向かってる時に知り合って、意気投合したの。」

アリス「東方出身か…あの辺は、少し文化が違うからな。」

ラクト「そうなのか?」

ゴブリン娘「ボク、生まれはえきぞちっく(異国)なんだからね。ちなみに、この格好はナタリア地方の山賊スタイル。」

ルカ「そ、そうか…」

チリ「いいじゃん。似合ってるね。」

ゴブリン娘「でしょ?とってもぐろーばるでしょ。」

 

ゴブリン娘はカムロウの方を見ると、思い出したかのように喋った。

ゴブリン娘「そうだ!オマエ!あの時、頭叩いちゃってごめんね?」

カムロウ「ううん、ぼくは大丈夫だよ!気にしないで!」

ゴブリン娘「うーん、でも、もしもってこともあるから…これ、貰ってよ!」

ゴブリン娘は片手をポケットに突っ込み、木の実のようなものを取り出してカムロウに渡した。

カムロウ「これって?」

ゴブリン娘「カイムケマの実、これを食べるとね、どんなにへとへとでもすぐに元気になるよ!」

ラクト「はあっ!!?」

パヲラ「はあっ!!?」

取っ組み合いをしていた二人が突然手を止め、ゴブリン娘とカムロウの方を向いた。

ルカ「うわ、びっくりした…どうしたんだ?」

パヲラ「いや…「カイムケマの実」って…!」

ラクトはカバンから乱暴に、しおりがびっしりと挟まれた本を取り出す。

ラクト「だよなぁ…!聞き間違いじゃねぇなら…!」

本をパラパラとめくって、あるページをまじまじと見つめる。

ラクト「カムロウ!その実なら、お前のお母さんの傷、治せるかもしれねぇぞ!」

カムロウ「え!?本当!?」

カムロウは涙を浮かべながら、ゴブリン娘に感謝した。

カムロウ「ありがとう…!!!ぼく、これ探してたんだ!!」

ゴブリン娘「えへへ…役に立ったなら、よかったよ。」

ラクト「役に立つとかそんなんじゃねぇよ…!大手柄だぞお前!」

ゴブリン娘「あっ…いけない!早くこれ運ばなきゃ!ごめん!また会おうね~!」

ルカ「あぁ、またな!」

そう言うとゴブリン娘は、資材を担ぎなおしながら、人混みの中に去っていく。

パヲラ「良かったわねカムロウちゃん!お家に帰れるわよ!お母さんを救えるわよ!」

カムロウ「うん、これで帰れる…やっと…お母さんを…!」

ラクト「カムロウ、絶対無くすんじゃねぇぞ!ちゃんとカバンの中に入れとけよ!」

カムロウ「うん!」

カムロウはカバンの中の、大切なモノを入れる場所にしっかりと、カイムケマの実を入れた。

 

「カイムケマの実」を手に入れた!…カムロウが。

 

パヲラ「なら早く、帰りましょ__」

ラクト「待て…帰りどうする?」

そうだった。セントラ大陸行きの船は、とある事情で出ていないはずだ。

パヲラ「…大砲。」

ラクト「しねぇよ!絶対しねぇ!」

 

ルカ「それならカムロウ、早く村に帰ったほうがいいんじゃないか?」

カムロウ「ううん、ぼく、ルカに付いてく。」

ルカ「えっ…いいのか?だって、カムロウの旅の目的は__」

カムロウ「…あの時、ルカに付いて行くことがなかったら、ルカが魔物との共存を実現させようとしなければ、カイムケマの実を手に入ることだって、なかったんだと思うんだ。」

カムロウ「ルカがいなければ、ルカに出会わなかったら、ぼくはお母さんを助ける旅を、ずっと続けてたと思うんだ。」

ルカ「カムロウ…」

カムロウ「世界を旅するんでしょ?だから、ぼくの村にも行くことになるんだよね?」

カムロウ「だから、村に帰るまでの間、大したことは出来ないけど…ルカに恩返ししたいんだ。もう少しだけ、付いて行ってもいいかな…?」

カムロウは右手を差し出した。

ルカ「…うん!いいよ!」

ルカは右手で、カムロウと握手した。

ラクト「おっと、俺たちも忘れんなよ?相棒!」

ラクトが後ろから、カムロウの肩を組む。

カムロウ「ラクト!」

パヲラ「あたしたちも、ルカちゃんに付いて行くわよ!」

ルカ「ああ、よろしく!」

 

 

チリ「お話し中悪いけど…もうそろそろ、行ったほうがいいんじゃない?アリスさん、待ちくたびれちゃって…」

ルカはアリスの方を見た。あまあまだんごを頬張っていた。

これ以上待たせたら、せっかく買った食料まで食らうつもりだ。

ルカ「そうだね…それじゃ、出発!」

こうして、ルカ一行はイリアスベルクの町の外に出た。

 

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