もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第16話 ハピネス村のトラブル

ルカたちは、ハピネス村に到着した。

そこは、のどかで平穏な農園。おばさんや娘さん達が、養蜂やその他の農作業に精を出している。

ルカ「ここが、ハピネス村…見た限り、変なところはないけどなぁ…」

カムロウ「ルカが言ってたみたいに、「ほのぼのした農園で幸せそうに養蜂にいそしんで暮らしている」みたいだけど…」

パヲラ「ノンノン、ルカちゃん、カムロウちゃん。よーく見ると異常アリアリのアリよん。」

ルカ「え…?」

カムロウ「異常って…あっ!」

カムロウは何かに気付いたらしい。

アリス「お前の目は節穴かドアホめ。どこが「ほのぼのした農園で幸せそうに養蜂にいそしんで暮らしている」だ。」

ルカ「そんなに言わなくてもいいじゃないか…」

 

パヲラ「分かったかしら?この村には、男がいないのよん。いくら養蜂や農業でも体力のある男の人がいるはずなのに。これじゃ力仕事をレディがする羽目になってしまうわ。」

ラクト「本当だな。こりゃぁ異常アリアリのアリだな。」

チリ「異常アリアリのアリって…」

確かに、村に男性の姿はほとんど見られない。

農作業をしているのは、少女から老婆まで女性ばかりなのである。

いるとすれば、巣箱の運搬を手伝っている少年が一人、それだけだ。

ルカ「どういうことなんだ…?」

ラクト「さぁな。もしかしたら、力仕事をする人がいないから出荷に支障が出てるっていう問題なだけかもしれねぇぜ?」

そして悪巧みの顔をしてニヤニヤ笑い始めた。

ラクト「それを俺たちが解決して、たくさんハチミツを貰ってたんまり金を…うひひひひ…」

ルカ「お前なぁ…」

チリ「悪い顔してる…」

 

おばさん「おや、旅の人かい。随分とお若いねぇ…」

近くの巣箱で作業をしていたおばさんが、僕に話し掛けてきた。

おばさん「せっかくだけど、この村には旅人が喜ぶようなものは何もないよ。名物のハピネス蜜も、人手不足で採る量がめっきり減ったしねぇ…」

ルカ「あの…どういうことなんですか?」

ラクト「ああ、おばさん。なんだったら俺たちが手伝ってやろうか__」

ラクトがそう言い掛けた、その瞬間だった__

 

少年「わぁぁぁ!!」

不意に、年若い男の子の悲鳴が響き渡ったのだ。

ルカ「な、なんだ…!?」

チリ「子どもの声!?」

僕たちは慌てて、声の方向に駆けていった!そこには__

 

ハーピーが現れた!

 

なんと一体のハーピーが、男の子を掴み上げ、今にも連れ去ろうとしているところだった!

ルカ「やめろ!その子を放せ!」

少年「うわあああ!助けてええ!!」

僕は剣を抜き、ハーピーの前に躍り出る。

他の村人達は、みんな屋内に逃げ込んでしまったようだ。

ハーピー「あれれ…村では見ない人だね。見たところ、旅人かな…?」

ハーピーは僕たちを舐め回すように眺め、ぺろりと舌なめずりをした。

かと思ったら、その足で捕まえていた男の子の体を放してしまう。

パヲラ「危ないわん!」

落ちてくる少年を、パヲラがキャッチする。

パヲラ「怪我はないかしら?」

少年「う…うん。」

ハーピー「そうねぇ…あんたの言う通り、この子は離したげる。そのかわり、そこのあんたをさらっちゃおうかなー♪」

ルカ「そこのキミ、早く逃げるんだ!チリとパヲラはその子を安全な場所に!」

少年「う、うん…!」

パヲラ「OKよん、ルカちゃん!」

チリ「分かったわ!」

男の子がその場から逃げるのを確認しつつ、僕は剣を構える。

ルカ「…今の僕、かつてないほど勇者っぽい!」

ラクト「こんな時に何言ってんだお前!」

 

ハーピー「えへへ…さっきの子より、あんたの方が素敵♪巣に連れ帰って、たっぷり小作りしよっと。…それとも今する?」

ルカ「ぐっ…来い!村人をさらうモンスターなんて、僕たちが退治してやる!」

その時、ラクトはハッと、何かに気が付いた。

ラクト「(パヲラとチリがいねぇってことは…ハーピーと戦うのはルカとカムロウと俺…!?)」

ラクト「じゃ、じゃあ俺は後衛に…」

後ろに行こうとするラクトを、ルカはガシッと腕を掴んで止めた。

ルカ「ダメだよラクト、前衛は3人でいなきゃ。君が決めたことだろ?」

ラクト「いやそうだけど…」

ハーピー「それじゃあ、いっくよー!」

カムロウ「二人とも、来るよ!」

ラクト「だあああっ!こうなったらやけくそだ!」

 

さきに攻撃を仕掛けたのはルカだった。

ルカ「てやっ!」

ルカの攻撃!しかしハーピーは空に舞い上がり、剣が届かない!

ラクト「そうだ…ハーピーは空を飛べるんだった…!」

ルカ「ええっ!?そんなの、ズルいよ…!」

ハーピー「ズルいって言われてもさぁ…自分の羽根で飛んでるのに、どこがずるいのよ。」

ルカ「そうだけど…」

剣の届かない高さを飛んでいるハーピーを見上げ、僕は途方に暮れるのみだった。

ラクト「だったら俺様たちの出番ってわけだぜ!いくぜ、相棒!」

カムロウ「うん、ラクト!」

空高く飛ぶハーピーに、カムロウとラクトが攻撃を仕掛けた!

カムロウ「ファイヤーボルト(火炎弾魔法)!」

ラクト「ファイアピラー!」

カムロウは炎の弾丸を、ラクトは手から炎の柱を空に向けて放った!

しかし、ハーピーはそれをひらりとかわした!

カムロウ「は…速い!」

ラクト「こ、これならどうだ!?ウインドシュート!」

高速で放たれる円形状の風の一枚刃。ハーピーはそれすらも、ひらりと回避した。

ラクト「う、ウインドシュート!ウインドシュート!」

何回も、何個も、高速の風の刃を放った。それでも、ハーピーはひらりひらりと舞うようにかわした。

ラクト「な、なんて速さだ!どうしろってんだよ!」

 

ハーピー「うーん、そうだなぁ…」

ハーピーは空をバサバサと飛びながら、三人を見つめながら少し悩んだ。

ハーピー「あんたをさっさと巣に持ち帰っちゃお!」

するとハーピーはルカの上に舞い降り、強引に押し倒してきた!

ルカは、ハーピーにのしかかられてしまった!

ルカ「うぐ…!」

カムロウ「ルカ!」

ラクト「やべぇ、連れていかれちまう!」

二人慌てて走りかける、その時、その一瞬、その刹那、ラクトの頭の中にある考えが浮かび上がった。

ラクト「(…まてよ?ハーピーと密着しているってんなら、こりゃあチャンスじゃねぇか?ルカの腕は抑えられてねぇし、まだ剣を振るうことが出来るハズ…つまり、この状態から攻撃を繰り出せば、必ず攻撃が当たるはずだ!)」

ラクト走るのをやめ、ルカに向かって叫ぶ。

ラクト「今だルカ!ぶった斬れ!」

ルカ「そうか…!よし、もらった!」

ルカは会心の一撃を放った!

ハーピー「ひゃあっ!!」

ハーピーは羽根をはためかせ、慌てて距離を取った。

ハーピー「なにこれ…羽根に力が入らない…」

しかし、これまでほど俊敏に空は飛べないらしい。

これなら、僕たちの攻撃も当たるはず。

ハーピー「でも、あんたたちなんかに負けないんだから!」

ルカ「くっ…まだ諦めないのか…!」

逃げると思いきや、まだ挑んでくるようだ。

ラクト「でも、そんなに遅くなっちまったらよぉ…」

カムロウ「ぼくたちの攻撃は当たる!」

ルカ「あぁ!仕掛けるぞ!」

 

チリ「みんな!」

パヲラ「お待たせこまたせ~!」

遠くからチリとパヲラが駆け付けてきた。どうやら、少年を安全な場所に逃がすことが出来たようだ。

パヲラ「…そうだわチリちゃん、ちょっといい?」

チリ「なに?」

するとパヲラは立ち止まり、その場で高速スピンをし始めた!

パヲラ「そのハンマーで、あたしを地中に埋まるくらい思いっきり叩きつけてくれる?」

チリ「ええっ!?」

スピンをしながら、話を続ける。

パヲラ「大丈夫!遠慮なく叩いちゃって!あたしを信じて!」

チリ「わ…わかった!本気で叩くよ!」

大きなハンマーを両手で持ち、これでもかと背中をのけぞった。そして、一気に振り下ろし、パヲラに向かって叩きつけた。

するとパヲラはその勢いで地中に潜った。そして地面の中を進み、ハーピーの真下から、回転しながら飛び出した!

パヲラ「せいやあああ!!!」

ハーピーのお腹に飛び蹴りを食らわす。しかし、攻撃はそれで終わらなかった。

攻撃が終わり、パヲラが下に落ち始めたときにカムロウが続けて攻撃をした。

カムロウ「風薙ぎ(かぜなぎ)!」

ハーピーの左の翼に、風の衝撃波を当てる。

ハーピーは体勢を崩して、空中でよろける。

ラクト「そろそろ地面に下りてきたらどうだぜ?ヘビーウェイト!」

重い重力を付与するルーン魔導の文字を、ハーピーに向かって放つ。

それはハーピーの体に入っていった瞬間、ハーピーはズンッと地面に叩きつけられた!

ルカ「はあああああ!!!」

そしてルカが、止めの一撃と言わんばかりに、飛び上がって袈裟斬りを放つ。

ハーピー「ううぅ…!!」

怒涛の攻撃を食らったハーピーは、よろめきながらも立ち上がり…

ハーピー「きょ、今日はこれくらいにしておいてあげる!」

そう言いながら背中を見せ、ばさばさと逃げ去ってしまった。

 

ハーピーを追い払った!

 

 

ルカ「…ふぅ。」

ラクト「どうよ!はっはっはっ!」

剣を納め、僕はほっと息を吐く。ラクトはガッツポーズで高笑いをしている。

おばさん「ちょっと、どうなったんだい?」

若い娘「ハーピー、旅の人が追い払っちゃったの?すっごーい!」

建物に閉じこもっていた村人達が、次々と広場に集まってくる。

僕たちはたちまち、ハピネス村の人々に囲まれてしまった。

パヲラ「やっぱり、男がいないわねい。」

ルカ「ああ、そうだね…」

パヲラの言う通り、女性ばかりで男の姿は全くない。

老婆「ふむ…ハーピーを追い払うとは、なかなか腕の立つ若者よ。」

村人たちの中から進み出てきたのは、いかめしい顔の老婆だった。

ルカ「あなたは…?」

老婆「村長の妻じゃが…村長が不在の今、わしが代わりに村長を務めておる。」

アリス「ふん。子供がさらわれそうになっても、見捨てて家に閉じこもるような奴が村長代理か。いや…一人として、子供を助けようとした者はいなかったな。」

ラクト「うおっ!?お前、いつの間に!」

ルカ「おいおい、アリス…!」

村の女性達はアリスの言葉に対し、ただ黙って目を伏せていた。

ルカ「言い過ぎだぞ、アリス。か弱い女性達に、モンスターと戦えと言ったって、無理に決まってるだろ。」

チリ「うんうん、そうね。」

ラクト「全くだ。」

ルカ「そして、そういう人達を助ける事こそ、勇者の義務である!」

チリ「いや、ルカも少し黙ってて!」

ラクト「いや、お前も少し黙ってろ!」

 

老婆「…力無き我々に、いったい何が出来ようか。旅人よ。お主の腕を見込んで、頼みがあるのじゃが…」

アリス「ははは…そら来たぞ、勇者サマ。例によって、村の厄介事を押しつけようとする魂胆らしい。」

老婆はむっとした顔付きをしたものの、無視して話を続けた。

老婆「お主もお気付きだろうが、この村には男性がおらぬ。さっき見た通り、近隣に住むハーピーの群れが男を片っ端からさらっていくからなのじゃ。」

おばさん「私の旦那も、この村に嫁いで2ヶ月ほどでさらわれたんだよ…」

女性「私の夫も、他の村から婿に来たのですが…わずか1ヶ月で、ハーピーに連れ去られて…そして夫が残した愛する息子も、14歳になった時に、またしてもハーピーに…」

ルカ「そんな…なんてひどい…」

話をまとめると、この村の男は片っ端からハーピーにさらわれてしまうのだという。

男がいなければ子供もできないので、外の村から男を婿に取っているようだが、それでも、片っ端から連れ去られているらしい。

カムロウ「さらわれた男の人は、どうなっているんですか?」

老婆「分からんのじゃ、帰ってきた者はおらんからのう。奴隷のように働かされておるのか、餌にでもされておるのか…」

カムロウ「ええっ…そんな…」

ルカ「こんなの、許しておけるはずがない!そんなひどい連中がいるから、人と魔物が仲良くできなくなるんだ!」

ラクト「な…なんてこった…俺はてっきり、ただの人手不足だと思ってたのに、こんなに深刻だとは…!」

ラクトは頭を両手で抱える。

チリ「待って、まだその人たちは生きてるわ。」

チリが話に割り込んでそう言った。

ルカ「生きてるって…どういうこと?」

チリ「ハーピーは確か、草食なハズ。だから餌にされて食べられる可能性はないわ。あるとしたら奴隷にされているほうよ。」

ラクト「お前、妙に詳しいな?」

チリ「まぁね。」

ルカ「どちらにしても…生きているなら、まだ救えるかも…!」

老婆「今ではこの村に婿入りする男性もおらず、ハピネス村の将来は闇に閉ざされておる。どうか旅のお方。ハーピー達を退治し、この村に平和を取り戻してはくれんか?」

アリス「自分達で何とかすればいいだろう。」

…相変わらず、アリスはばっさり一刀両断だ。

アリス「自分達で維持できない平和などに何の意味があるのだ。よそ者を頼って、自分たちは屋内で震えている。無様な話だ。」

ルカ「そうは言うけどね、アリス。か弱い村人達に、魔物と戦えって言うのは無茶だよ。」

チリ「そうよ、無茶よ。」

ラクト「ああ、全くだ。」

ルカ「そして、そういう人達を助ける事こそ、勇者の__」

ラクト「まだ言うかお前!」

チリ「天誅(てんちゅう)!」

チリのデカいハンマーが、ルカに叩きつけられた。

ルカ「うわああああ!!!」

 

頭にデカいタンコブができつつも、僕は老婆に問いかける。

ルカ「えっと、それで、ハーピーの住処はどこにあるんですか?」

老婆「この村から少し東に行った森の中に、集落があるようじゃ。」

おばさん「退治しに行ってくれるのかい?」

女性「ああ…旅のお方、ありがとうございます。」

アリス「ふん、良かったな。このニセ勇者はドアホだから、魔物退治でも何でも行ってくれるようだ。そんな風にして、お前たちはいったい何人の旅人をハーピーの巣へ送り込んだのだ?」

ルカ「いったい何人…って、今までにも退治に行った旅人がいたって__」

パヲラ「__お待ち、ルカちゃん。レディの話は遮っちゃいけないわ。」

目を伏せる村長代理に代わって、若い女性が答えた。

女性「これまで7人の方が、ハーピー退治に向かいましたが…誰も帰っては来ませんでした。」

ルカ「そ、そんな…」

アリス「ほぉれ、見ろ。この連中は、そのことを言わなかった。ルカ、お前はいくらでも替えのきくお人好しに過ぎん。退治してくれたらもうけもの、ダメだったら、また別の旅人を差し向ける。そういう魂胆なのだ、この村の連中は。」

ラクト「うげ…なんだよそれ、タチ悪ぃ…」

老婆「しかし、我々は戦う術を持たん…あまりにも無力なのじゃ。」

アリス「それで、7人もの旅人を平気で生け贄にしてきたと?そしてまた一人、これまでの犠牲は伝えもせずに、ハーピーの巣に向かわせようというのか?」

アリス「余が保証してやろう。ハーピー共の振る舞いも目に余るが、貴様達も相当の悪党だ。」

村人達の中に反論する者はなく、ただ視線を足元に伏せるのみ。

ラクト「なぁルカ、ここは帰ろうぜ。こういうのは俺たちの仕事じゃねぇ。もしかしたら、俺たちが犠牲になっちまう。」

ルカ「…それでも僕は、ハーピーの集落に行くよ。」

ラクト「はいっ!残念でした!それじゃ俺たちは帰らせてもら__」

ラクト「何ぃぃぃぃ!!?ルカ、お前、今なんて…!?」

アリス「ふん、そんなに英雄になりたいか。しまいには英雄願望で身を滅ぼすぞ、ドアホめ…」

ラクト「そうだぜ!さっきの話、聞いてなかったわけじゃねぇだろ!?」

ルカ「僕は、英雄になりたいわけじゃないって。ただ、勇者の剣は弱者を守るためにあるんだ!」

ラクト「ル…ルカ…!」

アリス「ニセ勇者だがな。」

ルカ「ぐっ…!」

ラクト「やめろって!それ言うの!」

アリスが大きな溜め息を吐いた、その時だった。

 

おばさん「あ、あたしも行くよ!」

今まで顔を伏せていたおばさんが、不意に言った。

おばさん「あたしの旦那は早くに病気で先立ったけど…可愛い一人息子のマルクが、さらわれてるんだ。もしかしたら今も生きてて、助けを待ってるかもしれない。だから、母親のあたしが行ってやらなきゃね。」

女性「わ、私も行きます!」

そしてまた一人、別の女性が声を上げた。

女性「そこの銀髪の方のおっしゃる通りです。この村の危機だというのに、我が身惜しさに旅人に押し付け続けた…そんな私達は卑怯者です。」

女性「そうね、私達の村は、私達で守らないといけないのよ。」

おばさん「うんうん…今、ようやく目が覚めたよ。これは、私達の村の問題なんだ。」

みるみるうちに、村人達の意見はまとまっていく。

チリ「わぁ…」

カムロウ「すごい…どんどん増えてく…」

ハーピーの集落に乗り込もうという女性は数を増し、ほとんど全員が名乗りを挙げたのだ。

老婆「むぅ、しかし皆の者…」

おばさん「村長代理、もうこんな事はやめにしましょう。旅の方に押し付けたりせず、私達でハーピーと戦うのです。みんなで団結すれば、きっと__」

ルカ「ちょ、ちょっと待って下さい!いくら団結しても、モンスターの巣窟に突っ込むのは危険過ぎますよ!」

パヲラ「…さて、アリスちゃん。どうしましょうか?」

アリス「…ハーピーの群れには、仲間を統括するボスがいる。そいつを倒せば、群れは大混乱に陥るだろう。か弱き人間でも、なんとか追い払えるかもしれん。」

ルカ「そうなのか…じゃあ、僕がそのボスを倒してみせる!」

おばさん「で、でも…」

ルカ「だからみんなは、安全なところで待機していて下さい。僕がボスを倒したら、合図するから一斉に突っ込むんです!」

おばさん「分かったよ…すまないねぇ、肝心なところを任せちゃって。」

この作戦なら、村人の被害も最小限に抑えられるはずだ。

もし失敗した場合でも__

パヲラ「犠牲になるのは僕一人で済む。って思ってない?」

ルカ「えっ…!?」

心の中を読まれて、ルカはうろたえた。

カムロウ「ダメだよルカ!ぼくたちがいるのに!」

ラクト「そりゃあ、自己犠牲の精神がすぎるんじゃねぇかぜ?」

チリ「私達、仲間でしょ?」

パヲラ「そう、あたしたちに頼ってもいいのよ?」

ルカ「…ごめん、みんな。力を貸して!」

ハーピーのボスを倒すのはルカたちになった。

アリス「ふん。結局、貴様らが一番面倒な役回りではないか。」

ルカ「当然だろ、僕は勇者なんだから!」

アリス「…ニセ勇者だがな。」

ルカ「うぐぐ…」

ラクト「もういいだろ!」

ルカ「何とでも言うがいいさ、行動が勇者的ならば、すなわち立派な勇者なんだ!」

アリス「…ニセ勇者。」

ラクト「おい!」

ともかく、こうしてハーピー集落への攻撃準備が進められる事になった。

決行は夕方。それまで僕たちは大人しく待つのである。

 

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