もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち 作:J・チェプナクル
夕方、ルカたちとハピネス村の女性達は、森の中をひたすら進む。
おばさん「この奥です……少し行けば、ハーピーの集落があるはず。」
ルカ「はい、分かりました。」
集落である以上、当然たくさんのハーピーがいるはず。その中からボスだけを狙って倒す。
カムロウ「どきどきする…大変だけど…」
チリ「えぇ、やるしかない!」
ルカ「じゃあ、僕たちが先に乗り込んでボスを倒してきます。ハーピーが混乱し始めたら、お願いしますね!」
おばさん「ああ、気を付けなよ!危なくなったら、すぐに引き返してくるんだよ。」
ルカ「__もし僕たちがダメだったら…その時は逃げてください。じゃあ、行ってきます!」
アリス「__おい、ルカ。」
ルカ「え…?」
不意に、アリスがルカを呼び止めた。
アリス「…戻ってこいよ、ルカ。こんな下らんところで、魔物の餌食にはなるな。」
ルカ「…ああ!」
急に、アリスらしくない事を言う。しかし、悪い気はしなかった。
ラクト「…いったいどういう風の吹きまわしなんだぜ?」
パヲラ「いいじゃないの、ファイト!って意味でしょ?」
カムロウ「うん!頑張ろう!」
チリ「ほら、ラクト。そんな事言ってないで早く。」
ラクト「分かってる、急かすなよ。」
両手に魔力を込め、ルーン魔導を描く。
ラクト「
周囲に霧のような煙が立ち込める。これなら視界は十分に遮られ、見つかる可能性も低くなるはずだ。
ルカ「よし、みんな行くぞ!」
僕たちは気合いを入れ、ハーピーの集落へ向かう。
母さん、イリアス様、どうか僕を守ってください__
ルカ一行は、夕陽に照らされる森の中を駆けて行った。
夕方、ハーピーの里。あちらこちらの樹の上には家がある。おそらくハーピーの家だろう。外をうろついているハーピーもいない。
ルカたちは茂みの裏にいた。
ルカ「ふぅ…なんとか、ここまでは見付からずに来れたな。」
ラクト「順調、順調…」
パヲラ「でも、油断大敵よん。」
ルカ「アリスが言うには、ボスのハーピーは一番高いところにいるんだったな…」
ラクトはカバンから双眼鏡を取り出し、辺りを見渡した。
ラクト「んで、その親玉さんのお家はどこなんだぜ?」
チリ「どこかな…?」
カムロウ「あれじゃないかな、あの大きい家。」
カムロウが指差した、中でも一番大きい樹木には、最も立派な家があった。
ルカ「よし、あそこだな…」
チリ「慎重に行こう…」
おもむろに、一歩を踏み出しだ時だった。
???「おねえちゃん、あそこにだれかいるよ?」
???「本当だ…人間みたいね。」
ルカ「しまった…!」
ラクト「最悪だぜ…!」
ルカたちの目の前に、二人のハーピーが降り立った。
ハーピーツインズが現れた!
妹ハーピー「おねえちゃん…この人たち、はじめて見るよ。」
姉ハーピー「そうね、ここの人じゃないみたい。なんでこんなところにいるのかな…?」
ルカ「くっ…見つかったか…!」
やむを得ず、僕たちは武器を構えた。ここで他のハーピーを呼ばれたら困る。
パヲラ「ここは、あたしが戦うわ!」
チリ「私も出るわ!」
パヲラとチリがルカの横に並んだ。
そして、パヲラがルカにある提案をする。
パヲラ「ルカちゃん、あの小さい子を狙うのはやめておきましょう。」
ルカ「ああ、そうだね。可哀そうだ。」
妹と思われるハーピーを狙うのは、さすがに可哀そうだ。
ここは、姉のハーピーを少しばかり封印するしかないようだ。
ルカ「せぇい!」
ルカの攻撃!
しかし、ハーピーツインズは空に舞い上がり、剣が届かない!
妹ハーピー「びっくりしたよ…おねえちゃん。」
姉ハーピー「大丈夫、人間は空を飛べないんだから。こうやって空を飛んでたら、痛いことはされないからね。」
ルカ「くっ…またか…!」
ラクト「全く、空を飛べるなんて便利だなぁ、おい…」
姉妹そろって空中に舞い上がり、剣が届かない。前の戦いのように、密着してきたところを狙わないと__
後衛にいたカムロウは、少し後悔をしていた。
カムロウ「弓とか、そういうの持ってくればよかったかな…」
思いつかなかったとはいえ、準備不足だった。
ラクト「飛び道具か…」
それを聞いて、ラクトはこう思った。そうだな、今度、作ってみるか。
ラクトは何かを閃いたようだ。
チリ「てんちゅ…」
大きなハンマーを、ぶんぶん振り回して投げようとする。
それをパヲラが止めた。
パヲラ「待って!チリちゃん!今は隠密行動中!もしそれを投げちゃったら、大きい音で周囲にバレちゃうわ!」
チリ「ええっ!じゃあどうすれば…」
パヲラ「前に出てきてもらってきて悪いけど…防衛に回って!」
チリ「わ、分かった!」
その隙に、妹ハーピーが突っ込んできた。
チリはルカの前にたち、ハンマーで防御をしようとした。
姉ハーピー「__こっちよ。」
ルカ「えっ!?」
なんと姉ハーピーはルカの背後に回り込み、強引に押さえ込んできた!
チリ「しまった!ルカ!」
ルカ「くっ…!」
しかし、この密着状態は、逆にチャンスでもあるのだ。
ルカ「今だ!」
ルカは会心の一撃を放った!
姉ハーピー「きゃっ!」
ルカ「よし…!」
妹ハーピー「ああ、おねえちゃん!」
ルカ「よし、ハーピーとの戦い方は、だいぶ分かってきたぞ!この調子なら、なんとか勝てるはずだ!」
妹ハーピー「おねえちゃん、いたくないの?」
姉ハーピー「うん、大丈夫だよ。」
そう言いつつも、動きは鈍くなっている。
ルカ「今なら、普通の攻撃も当たるはずだ!」
パヲラ「あとはあたしが!急所は外すわ!」
そう言って、パヲラは飛び上がる!
パヲラ「カーディ
ハーピーツインズの前に飛び上がったと思うと、それは残像だった!
姉ハーピーの後ろから、手加減をした当て身をした!
姉ハーピー「うぅっ…!」
攻撃を食らった姉ハーピーは、地面に落ちる。
慌てて妹ハーピーが近寄る。
妹ハーピー「おねえちゃん!しんじゃやだ!おねえちゃん!」
姉ハーピー「大丈夫、あなたは、お姉ちゃんが絶対に守るからね…」
妹ハーピー「やだぁ!おねえちゃんをころさないで!」
その光景を見て、ルカ一行は沈黙する。
ルカ「………」
パヲラ「殺すつもりはないけれど…」
チリ「なんだろう…とてもすごい罪悪感。」
ラクト「…最悪だぜ。」
カムロウ「…!!」
突然のフラッシュバック。カムロウはある出来事を思い出す。
姉を庇って前に出る自分、自分を守るために庇った母。
あの時の出来事が、目の前のハーピー姉妹と重なって見えてしまったのだ!
カムロウは動揺した。
カムロウ「ル…ルカ、ここは…」
ルカ「…ああ、もう!みんな逃げよう!ラクト!」
ラクト「ああ、分かった!
周囲に煙が立ち込めた。その隙に僕たちは背中を見せ、その場から逃げ出す。
ハーピーツインズは追いかけては来なかった。