もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち 作:J・チェプナクル
そして、港町のイリアスポートに到着したのだが__
アリス「聞いていた話の通り、ずいぶんと活気がないな。」
ルカ「そうだね…」
思っていたより、イリアスポートは寂れている様子だった。
もっと出店が並んでいると思っていたが、商人の姿はほとんど見られない。通行人もまばらで、商業の要所とは思えないほどだ。
吹く潮風が、寂しく感じる。
ルカ「お二人とは、ここでお別れですね…」
ジョージ達とは、目的地が同じという理由で同行してもらった。
なので、ここでお別れだ…と思っていたら、
ジョージ「…勇者殿。拙者たち、セントラ大陸に着くまで同行しても良いだろうか?」
ルカ「えっ…?」
なんとジョージ達は、もう少しの間、一緒に付いてきてくれるようだ。
ジョージ「勇者殿の言う通り、イリアスポートに着く間までとは思っていたが…」
マモル「セントラ大陸に渡れないとなると、アッシらも困りますからねぇ…」
ルカ「そうですか…」
確かに、この人達もセントラ大陸に行こうとしていたんだった。
それなら、利害の一致という奴だ。
同行期間を、セントラ大陸に着くまでの間、にすればいいだろう。
ルカ「良いですよ。…というか、僕からもお願いします。」
ジョージ達のような強い実力者がいれば安心…と真っ先に思ったのは内緒だ。
ジョージ「では、お言葉に甘えて…」
マモル「お願いしますぅ。」
もう少しだけ、ジョージ達が付いてくることになった!
ルカ「さて…どうやってセントラ大陸に渡ろうか。」
マモル「八方塞がりですねぇ。」
とりあえずイリアスポートに来たはいいが、結局、海を渡る方法はないのだ。
ラクト「ルカ、良い案はあるか?」
ルカ「いや…」
ラクト「お前らは?」
パヲラ「泳いで…」
ラクト「却下。大砲以外ならいけると思うなよ。」
カムロウ「大砲で…」
ラクト「もっと却下。お前、あれ好きなのか?」
ジョージ「おお、拙者も大砲で飛ぼうと…」
ラクト「もう勝手にしろ!!」
ジョージ「では…」
ジョージは近くの大砲に入ろうとする。
チリ「ええっ!?」
マモル「お前さん、戻ってきなぁ。そういう意味じゃねぇ。」
ジョージ「む?違うのか?」
ルカ「さて、どうしよう…」
パヲラ「何か手はないかしら…」
まさか、本当に泳いでいくわけにもいくまい。思わず頭を抱えた、そんな時だった。
???「手はあるわ、勇者様!!」
僕たちの前に、一人の影が躍り出た!
残念なラミアが現れた!
そこには上半身は蛇、下半身は人間の、誰も得しないアイツがいた。
アミラ「私はアミラ、残念なラミア。潮風に吹かれ、たたずむヘビ。」
パヲラ「あらアミラちゃん。」
カムロウ「また会ったね!」
ジョージ「おおっ、蛇神様だ…」
ラクト「化け物だろ!!」
ジョージとマモルは拝み始めた。
ルカ「おいおい…お前、イリアスベルクに住んでたんじゃなかったのか?」
アミラ「私はアミラ、旅をするヘビ。略して旅蛇。」
チリ「旅蛇…?」
アミラ「ダーリンに付き従い、時には先回りするの。」
ルカ「そうか…それじゃあ。」
ラクト「ああ、またな。」
その場を立ち去ろうとする僕たちを、アミラはすかさず止める。
アミラ「待ってダーリン。私はただウザいだけのキャラじゃないの。ダーリンのために、お得な情報をゲット。いわば罪な情報屋。」
アリス「よかろう、話だけは聞いてやろう。」
アミラ「黙れ泥棒猫。」
アリス「な、何を…貴様…!」
ラクト「なんで
ルカ「…おいおい、いったい何なんだよ。」
ルカ「その…情報とやらを、聞かせてくれないかな。」
アミラ「ええ、ダーリンが聞くなら、私なんでも答えるわ。」
アミラ「例えばスリーサイズ。上から275・78・93。」
ラクト「聞いてねぇよ!」
チリ「聞いてないよ!」
ルカ「どこのサイズか検討もつかないし、聞きたくもないよ。それより、セントラ大陸に渡る方法でもあるのか?」
アミラ「私が集めた情報によれば…この町を出て少し東に行ったところに、とある洞窟があるの。そこには、伝説の女海賊キャプテンセレーネが残した財宝や秘宝が眠っているらしいのよ。」
ラクト「キャプテン・セレーネ!?」
ルカ「あのキャプテン・セレーネが…?」
カムロウ「誰?」
ラクト「知らないのか?百年前に、世界の海を股に掛けた伝説の大海賊!その名を知らないやつは…まぁ…お前ぐらいだろ。へへっ。」
カムロウ「え~」
パヲラ「こら、意地悪しない。」
ラクト「悪かった、悪かった、へへへっ。」
アミラ「その秘宝の中に、「海神の鈴」と呼ばれるアイテムがあるらしいの。この鈴があれば、どれだけ海が荒れ狂っても船は沈まないそうよ。」
ルカ「なるほど、それが本当なら…セントラ大陸に渡ることが出来るはずだ!」
あの伝説の大海賊、キャプテン・セレーネが残した秘宝ならば、そんな不思議アイテムがあってもおかしくない。
アミラ「でも、その洞窟は魔物の巣窟になっているみたいよ。多くの冒険者がキャプテン・セレーネの秘宝を求めて潜ったのだけれど…ほとんどの人は、戻ってこなかったみたい。」
ラクト「ひっ…!」
チリ「ひぃ…!」
アミラ「きゃっ!アミラこわい!」
ラクト「何だお前!!」
ルカ「ぐっ…!」
つい斬りたくなってしまうが、今日は有益な情報を与えてくれたのだ。僕はぐっと我慢した。
アミラ「アミラのうれしはずかし情報はここまでよ。お役に立てたかしら?」
ルカ「…微妙に腹が立つけど、すごく役に立ったよ。」
アミラ「それでは、私は潮風の中に去るわ。」
カムロウ「うん、バイバイ!」
アミラは去ろうとしたが、すぐに立ち止まった。
アミラ「…なお、私のエロシーンはありません。ラミアスキーの皆さん、怒らないでね。」
パヲラ「ええええええっ!!?!??」
ラクト「なんでお前は残念そうなんだよ!!」
アミラはそのまま、地面を這ってどこかに消え去ってしまった。
チリ「もしかしてこれからも、こうやって付いてくるんじゃ…」
ルカ「…次、会ったら斬る。」
チリ「抑えてっ!抑えてっ!!」
アリス「海賊の秘宝か…その中に美味いものはなさそうだし、あっても腐ってそうだな。」
ルカ「食べ物の話はどうでもいいよ。とにかく、その洞窟に行ってみよう。」
ラクト「そうだぞ。食べ物はどうだっていいんだ。」
ラクトは大笑いしながらこう叫んだ。
ラクト「財宝だよ!財宝!!金だ金!!!」
ルカ「………」
こうして、予定にはなかった洞窟探索へと向かう事になったのである。