もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第26話 意外な才能?

イリアスポートから、「海神の鈴」があるといわれる秘宝の洞窟に行く途中の、その日の夜。

秘宝の洞窟への道のりは短くなく、途中で野営するハメになってしまった。

ルカ「意外に、距離があったんだな。こんな事だったら、イリアスポートで一泊すれば良かったよ…」

ラクト「最悪だぜ…あいつ(アミラ)、この前もそうだけど、こういう情報は教えてくれねぇんだよなぁ。」

数時間ほどで着くと思ったのに、大間違いだったようだ。

ちなみに今夜のメニューは、焼き魚と焼きマシュマロだ。

アリス「全く、無計画な奴め。さて、剣を取るがいい。今夜も特訓だ。」

今日は新しい技を教えてはもらえず、基礎訓練のみ。

もっとも、そんなに次々と技を教わっても覚えきれるものではないが。

アリス「カムロウ、チリ、ラクトも、ルカと共に修行しろ。」

カムロウ「わーい!」

チリ「わーいって…絶対キツイやつだよこれ。」

ラクト「えっ…俺!?」

マモルから何かを教わっていたラクトは驚いて跳ね上がる。

アリス「なんだ…しないのか?」

ラクト「なんで俺たちなんだ?ジョージとかこいつ(マモル)とか…パヲラもいるだろ。」

今この場に、ジョージとパヲラはいない。二人で鍛錬をしに行った。

アリス「そいつらはすでに、基礎体力を鍛え上げている。今、鍛えないといけないのは貴様らの方だ。」

アリス「貴様らは全体的に、身体能力がまだ足りん。今ここで基礎体力を鍛えておかないと、セントラ大陸のモンスター共に勝てんぞ。」

並みの戦士が戦えるのは、このイリアス大陸北方まで。

セントラ大陸だと、ベテランの戦士でもないとまともに戦えないらしい。

ラクト「分かったよ…特にお前(アリス)が相手だと、後が怖いしな。」

ラクトは重い腰を上げる。

ルカ「よし!頑張るぞ!」

こうして就寝までの数時間、アリスを相手に修行に励んだである__

 

 

ルカ「せいっ!」

アリス「遅い!もっとだ!」

ルカは剣の突きの練習。アリスに向かって何度も突きを繰り出していた。

アリス「あまり体に力を入れるな!極限までリラックスした状態から、一気に力を入れろ!無駄な体力を浪費するだけだぞ!!」

ルカ「せいっ!はあっ!!」

…もっとも、全部避けられてしまっているが。

 

カムロウは、基本的な動き。剣、盾、回避といった動作全般の鍛錬だ。

アリスが放つ無数の衝撃波を避けながら、攻撃を仕掛ける。この繰り返しだ。

カムロウは盾で、衝撃波を受け止めていた。

カムロウ「うっ…」

アリス「受け止めるか受け流すか使い分けろ!盾は、なんでもかんでも受け止めるためにあるのではない!力任せで受け止めてしまえば、盾が持たんぞ!」

アリス「カウンターを狙うのなら、盾は受け止めるのではなく受け流すようにしろ!」

カムロウは言われた通りに動こうとする。…が、慣れてないのかその動きは軽やかじゃなかった。

 

チリも同じく基本的な動きの鍛錬だ。その体よりも大きなハンマーを、もっと速く振り回せるために。

アリス「お前は隙が大きい!ハンマーを構える間が長すぎる!」

アリス「一発よりも連発だ!流れるように動かせ!!」

チリ「ひ…ひぃぃ…!!!」

チリは半泣きになりながらも必死にハンマーを振り回している。

 

ラクトは魔法の鍛錬。

アリスが放つ攻撃魔法を、相殺させるという内容だが…

アリス「どうした!動きが遅れているぞ!」

ラクト「うるせぇっ!!情報量がっ!!多いっ!!」

避けた先に魔法を撃ち込まれ、相殺してもまた魔法を撃ち込まれている。どうやら、ラクトの身体能力の強化も兼ねているようだ。

アリス「そもそもお前は、後衛が良いなどと甘えて!!」

ラクト「それはそうだったけどっ!ぜぇ…ぜぇ…」

もはや息も絶え絶えだ。

アリス「この鍛錬が厳しいと感じるは、いままで鍛えてこなかった分のツケだと思え。今のお前の身体能力は他の奴らよりも低いのだからな。」

アリス「ちなみに今の貴様らの身体能力を順位付けするとこんな感じだ。」

  \ドンッ!/

  1位パヲラ

  2位チリ

  3位カムロウ

  4位ラクト

  5位ルカ

ルカ「僕最下位かよっ!!」

アリス「こいつ(ラクト)は逃げ足だけなら体力は持つからな。」

ラクト「へへーん。どうよ?」

アリス「褒めてない。逃げ足抜きだとルカに負けるぞ。」

ラクト「はい…」

アリス「良いものをやるぞ!」

アリスはバランスボールほどの、特大サイズの火球を5連発放った!

ラクト「いやこれは無理があるだろ!!」

あまりの数と大きさに、目を飛び出すくらいの勢いで驚く。

相殺しきれず全部食らってしまう。

ラクト「あっちちちちち!!!」

消火するために体をぐるぐるぐると転がる。

やっと火が消えたが、体中真っ黒こげになる。

ラクト「はぁ、はぁ…殺す気かっ!!俺様のマフラーまで燃え尽きるところだったぞ!!!」

アリス「そのまま燃え尽きてしまえ。」

ラクト「なんだとてめぇ!!!」

 

 

 

…数時間後。

ルカ「はぁ、はぁ、はぁ……」

カムロウ「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」

チリ「…もう、限界。」

ラクト「燃え尽きた…何もかも…」

全員、ぐったりしていた。

体力も気力もすっからかんだ。

アリス「やれやれ…貴様らの動きには無駄が多すぎるな。その無駄が速度を鈍らせ、威力を殺し、技を駄する事になるぞ。」

ルカ「そんな事言われても、剣を振るので精一杯なんだ…」

チリ「ハンマー振り回すのに精一杯です…」

アリス「その動きに風を宿し、その身に土を宿し、その心に水を宿し、その技に火を宿す。」

ルカ「?」

カムロウ「?」

アリス「それこそが、戦いの極意。これを体得しなければ、魔王を打ち倒すことなど夢のまた夢だ。」

カムロウ「???」

ルカ「その…悪いけど、なにがなんだか分からないよ…そんな禅問答みたいなことを言われても…」

アリス「やれやれ、貴様(ルカ)はまず心を鍛えねばならんな。…ほら。禅でも組んで、瞑想してみろ。貴様らもだ。」

ルカ「うぇぇ…こういうのは苦手だなぁ…」

ラクト「もう終わってくれよ…」

文句を言いつつ、疲れた体を引きずって座禅を組む。

アリス「ぶつくさ言うな。堕天使エリゴーラは、瞑想で己の傷をたちどころに癒したという。」

ラクト「ほーん。」

アリス「さすがにそれは眉唾だろうが、瞑想における精神統一で得るものは多いはずだ。」

その場で、全員座禅を組む。

静かで、長いような短いような時間が流れる。

 

ルカ「………」

ルカは静かに瞑想した……

ルカの体力が回復した!

ルカ「ほ、本当だ…!傷が治ったぞ…!!」

カムロウ「?」

ラクト「なにぃ!?」」

チリ「えっ!?」

アリス「な、なんだと…!?」

アリス「そんなわけあるか!貴様、どういう体をしているのだ…?」

ルカ「…変なのか?堕天使なんとかは、瞑想で傷を癒したってお前が言ったんじゃないか。」

チリ「言ってたけどさぁ!そうじゃないんだよ!!」

アリス「そんなの、普通に考えればデマカセの類だろうが!瞑想して怪我が治るなど、物理的におかしいぞ…!」

カムロウ「ぼく、できないよ?」

チリ「それが普通なの!ルカがおかしいの!」

ルカ「で、でも…」

ルカは静かに瞑想した……

ルカの体力が回復した!

ルカ「ほら、出来たじゃないか。」

ラクト「いやいやいやいや…」

チリ「ほら出来た、で出来る事じゃないよ…」

アリス「何それ、こわっ…」

ルカ「ちょ、ちょっと…引かないでくれよ…!」

なんだかよく分からないが、新しい技を覚えてしまったようだ。

 

ルカは「瞑想」を習得した!…のかな?

 

ラクト「…お前ら、今度からルカに回復魔法かけるのやめような!!」

チリ「わかった!」

カムロウ「?わ、わかったよ?」

ルカ「なんで!?ひどくないか!?」

アリス「………わけの分からん奴だ…」

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