もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち 作:J・チェプナクル
そしてしばらく進むと…途中の小部屋に、ぽつんと宝箱があった。
ルカ「あ、宝箱だ…」
ラクト「なんだって!?」
僕はふと立ち止まり、それをまじまじと眺めた。
…何か、あやしい感じがする。
それとも、ただの思い過ごしだろうか。
ルカ「…どう思う、アリス?開けない方がいいかな…?」
アリス「知るか、好きにしろ。ただ…何かあった場合は、迷わず見捨てるぞ。所詮、貴様はそれだけの男だったということだ。」
ルカ「わ、分かってるさ…」
ラクト「いやいや…これは財宝に決まってるぜ?誰かが取り忘れたんだろうなぁ…へへへっ。」
ラクトは何も警戒せず、その怪しい宝箱を開けようとする。
ルカ「やめといたほうがいいよラクト。怪しいよ。」
ラクト「何言ってんだよ、俺様今まで、痛い目に遭ってんだ。不幸中の幸いが、そろそろ来る頃なんだよ。」
そして、宝箱に手を置く。
ラクト「そーれ、ご開帳!!!」
意気揚々と宝箱を開ける__
すると、宝箱は豹変して、大きな口のようになり、ラクトの上半身にかぶりついた!
ラクト「ぎゃあああああっ!!!」
チリ「ぎゃあああああっ!!!」
カムロウ「えええええええっ!!?」
ルカ「不幸中の不幸だったっ!!!」
ミミック娘が現れた!
ルカ「おいこれっ…!引っこ抜けないぞ…!!」
カムロウ「うぎぎ…」
僕とカムロウが、ラクトの下半身を掴んで引き出そうとしているが、びくともしない。
チリ「どうする!?ぶっ叩く!?」
チリはハンマーを構える。
ルカ「それはだめだ!中身が飛び散る!」
チリ「じゃあだめだ!」
ジョージ「ならば拙者が斬ろうか…」
ジョージが刀を抜こうとする。
マモル「お前さん、同じ結果になるよぉ。」
ジョージ「む、そうか…」
ルカは、スンッ…と真顔になった。
ルカ「…もうこいつのことは放っておくか?」
パヲラ「そうね、それがいいわ。」
チリ「ダメでしょっ!ちゃんと助けて!!」
何か…何か方法は…そうだ!
ルカはカバンのからある物を取り出す。
カムロウ「ルカ、それは!?」
ルカ「コショウ!」
チリ「コショウっ!?」
パヲラ「…デジャブを感じるわ。いや、前にもあったわこんな感じの。」
ミミック娘の箱の、ちょうど空いている隙間にコショウを振りかける。
するとくしゃみをするかのような動作をし、ラクトは吐き出される。
吐き出されたラクトはくしゃみをしながらぐったりしていた。
ラクト「いっきしっ!…もうやだ…へっぶくしっ!」
パヲラ「自業自得でしょ…」
箱の中から、本体が出てきた!
ミミック娘「へっくし…何するのよ…」
ミミック娘は箱の中から飛び出し、襲い掛かってきた!
__と思ったら、箱の中に引っ込んでしまった。
ルカ「…あれ?」
ミミック娘「………」
ルカ「今のうちに逃げようか?」
ミミック娘「…背中を見せたら、食べちゃうからね。」
ルカ「それは困るよ…」
どうやら逃がすつもりはないらしい。
しかし攻撃を仕掛けるつもりもないらしい。
ルカ「雷鳴突き__」
先手必勝、出会い頭の雷鳴突きをしようとしたが、パヲラが止めた。
パヲラ「待って、ルカちゃん!あれはカウンター!誘ってるのよ!!」
ルカ「えっ!?」
動く寸前で動作を止める。
パヲラ「攻撃してきたところをガバッ…って、食べる気よ。」
両手でバクバク、食べる動作をする。
ルカ「じゃあ…どうすればいいんだ?」
するとパヲラは小声で話し始める。
パヲラ「マモルちゃんはあっち、ルカちゃんはこっちに…合図を出すから、一斉に攻撃するのよん。」
ルカ「わ、わかった…」
マモル「分かりやしたぁ。」
配置について、合図を待つ。
…一向に場は動こうとしない。
ルカはパヲラの方を見た。
ルカ「…まだ?」
パヲラは首を横に振る。
再び、ミミック娘の方を見て剣を構える。
…しばらくして、またパヲラの方を見る。
ルカ「……まだか?」
パヲラ「まだよ…」
もう一度、ミミック娘の方を見て剣を両手で構える。
……じれったいなぁ。
ルカ「………まだなのか!?」
パヲラ「ステイっ!!ステイっ!!!」
ミミック娘「…攻撃してこないの?」
ミミック娘は姿を見せた!
パヲラ「今よっ!GO!GO!!GO!!!」
まずルカが攻撃をする!
ミミック娘「痛っ…!」
怯んだミミック娘は箱に閉じこもる。
そこを、パヲラが箱に向かって拳を突き出す。
パヲラ「魔導拳奥義・
光る右手が、箱にぶつかる!!
内部に衝撃波が伝わり、弾ける!!!
ミミック娘の箱の強固な開け口が、すこし緩んだ!
マモル「
マモルの影が巨人に変化する!
巨人は箱の隙間に指を入れ、無理矢理こじ開けた!
ミミック娘の本体が姿を現す!
ルカ「そこだぁっ!!」
本体めがけて、剣で斬りつけた!
ミミック娘「ひ、ひどい…!」
ミミック娘は小さなおもちゃ箱のような姿になった!
ミミック娘をやっつけた!
ルカ「ふぅ…びっくりした。」
アリス「ミミック娘を倒したのか。ほぼ100%、勝ち目はないと思ったがな。」
ルカ「ふふっ…僕も、真の勇者に近付いたってことだな!…ん?」
そう言った後で、随分と薄情な事実に気付いてしまう。
チリ「今、100%勝ち目がないって言いましたよね!?」
ルカ「おいおい…そんなに勝ち目がないと思ったのなら、止めてくれればよかったのに…」
アリス「余は、貴様らの同行者ではあるが仲間ではない。だいたい、あんな小部屋に宝箱など、怪しすぎるだろうが。そんな宝箱を開けてしまう愚か者なんぞ、どうなろうが知った事が。」
ラクト「冷たい奴だなぁおいっ!!!」
ルカとチリとパヲラは、ラクトを足でボコボコにする。
ルカ「そもそもっ!お前がっ!!開けようとするからっ!!!」
パヲラ「余計なっ!手間をっ!!取らせてっ!!!」
チリ「このっ!このっ!!このぉっ!!!」
ラクト「ごめんっ!ごめんなさいっ!!もうしませんっ!!!」
マモル「おぉ…袋叩き。」
ルカ「はぁ、はぁ…とにかく、先に進もう。のんびりはしていられないからね。」
ラクト「はひ…」
こうしてミミック娘を撃退した僕は、奥へと足を進めたのだった。