もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第30話 秘宝を前に、立ちはだかる強敵

僕たちは秘宝の洞窟の最奥、宝物庫の前にたどり着いた。

ルカ「ん?あいつは…」

カムロウ「なんだあれ…!?」

通せんぼするかのように、扉の前に立ちはだかる魔物が一匹。

上半身は女性の体、下半身は狐だが四足。肝心の尻尾は、なんと7本。見るからに強そうで、これまでの相手とは格が違う感じだ。

そして、いつの間にかアリスはいなくなっている。

ルカ「お前、あの妖狐の仲間か…!?」

???「ええ、私は七尾と申します。」

ルカ「え…?こいつが、たまもという奴じゃないのか?」

パヲラ「となると…狐ちゃんの仲間はまだいるってことねい。」

チリ「嘘…まだいるの!?」

 

七尾「ここから先は宝物庫、ゆえに通すことはできません。引き返すなら良し、それでも進むというのなら…」

その言葉を聞いたラクトは呆れる。

ラクト「おいおい…引き返すなんて、それはないぜ?俺たち、お宝を手に入れるために、こんなところまでわざわざ来たんだ。なぁルカ?」

ルカ「ああ、力尽くでも進んでみせる!」

七尾「分かりました…たまも様の側近、七尾の力を見せて差し上げましょう!」

ルカ「真の勇者ならば、ここで退きはしない!みんな!」

「「「「「「ああ!!!」」」」」」

圧倒的な迫力におののきながらも、僕たちは剣を抜いた。

どんな強敵だろうと、逃げたりはしない!

 

七尾が立ちはだかった!

 

こいつはとても強い…ここまで温存してきた体力を全部使ってでも倒せるか分からない…でも!

ルカ「先手必勝!みんな、一斉攻撃だ!」

総力戦なら、なんとか勝てるかもしれない。

出会い頭に、全員で一斉攻撃を仕掛ける。

カムロウ「ラクト、いこう!」

ラクト「ぶちかますぜ、相棒!」

カムロウは風薙ぎ(かぜなぎ)を、ラクトは手に魔力を込め文字を描き、衝撃波を放った!

パヲラ「いっくわよ~!」

チリ「私でも…力になるなら!」

パヲラは魔力を握力で凝縮させ、バレーボールほどの光る球を作り、投げつけた!

チリは近くに落ちていた鉄球を、ハンマーで弾き飛ばした!

ジョージ「参るぞ、マモル!」

マモル「いつもの、でいいんですよねぇ?」

ジョージは刀を抜き、一閃した!

マモルは人型の紙を複数枚ばら撒いた!

ルカ「行くぞっ!雷鳴突き!」

ルカは雷鳴のように踏み込み、鋭い突きを繰り出した!

初手の一撃が会心のダメージを与える!

 

カムロウとチリとラクトの攻撃が炸裂し、パヲラが投げた魔凝球(フォトン)と、マモルが放った式神たちが大爆発を巻き起こす!

ルカの雷鳴突きとジョージの一閃でフィニッシュだ!!

 

さすがにこの攻撃は効いただろう__

七尾「__少しはやるようですね。」

七尾はそれらを受けたはずなのに、涼しそうな顔をしていた。

カムロウ「き…効いてない!?」

いや、効いただろう。

だけど、恐らく、体力の半分も削れるほどのダメージではないことは確かだ。

 

チリ「ふ…憤弩(ふんぬ)!」

ジョージ「ぬぅん!!!」

チリとジョージは岩を投げ飛ばした!

七尾「その程度…」

七尾は片手を突き出し、飛んで来た岩を粉砕した!

チリ「い、岩を…」

パヲラ「粉砕した…!?」

七尾「むんっ!!」

カムロウに、七尾の尻尾が襲いかかる!

カムロウ「くっ…!」

カムロウは盾を前に突き出し、防御の姿勢を構えた。

ジョージ「危ないでござる、カムロウ殿!」

カムロウ「えっ___」

ジョージはカムロウを抱きかかえ、寸前で回避した!

尻尾が地面に叩きつけられる。

振動音、破壊音、すこしだけ洞窟内が揺れた。

尻尾が叩きつけた場所には、地面に亀裂が走っていた。

ルカ「な、なんて威力だ…!?」

ラクト「最悪だぜ…あんなの喰らったら、ひとたまりもないぞ!?」

ふさふさの尻尾に似合わないほどの剛力。

そういえば、妖狐と戦ったときも同じようなことがあった。

あの時は大丈夫だったが、七尾のあれを受ければ骨どころか、内臓がつぶれそうだ。

 

七尾「では、本気を出すとしましょうか…!」

ルカ「ほ、本気だって!?」

なんと、いままで本気ではなかったらしい。

七尾は頭の上に葉っぱを乗せ、魔力を集中し始めた!

ラクト「いやその葉っぱは意味あんのかよ!?」

その光景を見て、ジョージは何かを察知したようで、険しい表情をした。

ジョージ「…来ませり…!」

マモル「…! あい、分かった!」

マモルがいそいそとルカに近付き、耳打ちをする。

マモル「勇者様、嫌な予感がしまっせぇ…」

ルカ「嫌な予感…?何が起きるんだ?」

マモル「それはわからないんですがねぇ…いますぐ防御の体勢を作らないと、どうなるかわからないですよぉ?」

いつもにやにやしていたマモルの顔には不穏な表情が見えた。

確かにあの様子といい、ただではなさそうだ。

ルカ「みんな!防御だ!攻撃に備えて!」

ラクト「そ、備えろってどうすりゃ…!?」

マモル「皆サン、アッシの後ろにいてくだせぇ!」

マモルは懐から、何枚もの人型の紙をばら撒いた!

マモル「式神結界陣(しきがみけっかいじん)!」

式神がバリアを展開する!

マモル「弐式(にしき)!」

第2のバリアが展開された!

ジョージ「防げるか?マモル。」

マモル「いやぁ…これでも、気休めにしかならねぇ…!」

ジョージ「ぬぅ、これでもか…」

マモルはジョージに、覚悟を決めたような目で見つめる。

マモル「…後は頼みましたよぉ。」

ジョージ「…うむ。」

ジョージは静かに頷き、後ろに下がる。

マモル「誰か、アッシの後ろに壁になる物を置いてくだせぇ!」

パヲラ「だったらこれで…!」

パヲラは近くに転がっていた大岩を持ち上げ、マモルの後ろに置いた!

ラクト「だあああっ!ダメ押し!!」

ラクト「アーススパイク!」

土の棘が、大岩に突き刺さり固定した!

パヲラ「手伝えアホ!」

ラクト「分かってるわバカ!おい、相棒!」

カムロウ「うん!」

パヲラとカムロウとラクトが大岩を支える!

ルカ「僕も支える__」

パヲラ「ダメよルカちゃん!チリちゃんとジョージちゃんと一緒に、あたしたちの後ろにいて!」

ルカ「で、でも…!!」

パヲラ「あなたは切り札なの!!」

ルカ「えっ…!?」

パヲラ「この攻撃で、あたしたちがどうすることも出来なくなったときの希望は、あなたしかいないの!」

パヲラはジョージの方を向いて、ウインクした。

それを見て、ジョージは頷いた。

ジョージ「(託された…!)」

チリ「ルカ、早く!」

ルカ「わ、わかってる…!」

言われた通りに、パヲラ達の後ろに待機する。

 

七尾は、魔力の集中を終えた!

七尾「さて、覚悟はできましたか…?」

七尾から尋常じゃない威圧感が放たれる。

ルカ「く…来るぞ!!!」

七尾「七つの月!」

岩をも砕く怒涛の連撃が、ルカたちに襲いかかる!!

マモルの式神が展開したバリアが、連撃を防ぐ…が。

マモル「…!」

第1の壁に亀裂、小さな亀裂がビシビシと走り、粉々に砕かれた!

そして第2の壁に連撃が放たれる!

亀裂はさっきよりも早く走り__

マモル「やっぱり、だめですかぃ…!!!」

第2のバリアは崩壊した。マモルは七尾の連撃の餌食になる。

ジョージ「マモル!!」

それでも連撃は止まず、大岩にも牙をむく。

パヲラ「ぬぅぅぅ…!」

ラクト「どうすりゃいいんだよこんなの…!!」

カムロウ「ううぅぅぅ…!」

大岩を隔てても伝わるほどの衝撃波。土の棘で固定しても、人の手で押さえても、ぐらんぐらんと押し返されるほど。

次第に、岩が端から崩れてきた!

そして、押さえていたところから尻尾が突き出てきた!

残像を残す尻尾が見え始めてくる!

パヲラ「だ、だめねぃ__」

パヲラに剛力の尻尾がぶつかる。

ラクト「だめだ…相棒!」

ラクトはカムロウを後ろに蹴り飛ばした!

カムロウ「ラ…ラクト!?」

ラクトはカムロウの方を見ながら、サムズアップした__

___ラクトとパヲラは連撃の波に飲まれた。

カムロウ「___ラクトーッ!!!」

ルカ「だめだカムロウ!」

ラクトに手を伸ばそうとするカムロウの体をルカが抑える。

そして七尾の尻尾は、ルカたちに迫る!

ジョージ「………」

使うしかないか_______

ジョージ「___禍津(マガツ)!」

ジョージの右腕が赤黒く滲み、いたる箇所から赤黒い蒸気が噴き出す!

ルカ「ジョージさん!?その腕は…!?」

ジョージ「心配ご無用…この術は、拙者の生命力を引き換えに力を底上げする術…いわゆる、力の前借りでござる!」

抜刀し、禍々しい右腕で刀を持つ。

ジョージ「おおおおおお!!!」

迫りくる尾を、何度も刀で弾き返す!

チリ「まだ終わらないの!?」

カムロウ「これって…」

ルカ「一体、いつになったら終わるんだ…!?」

ジョージ「(耐えろ…!もう少しのはずだ…!)」

 

 

 

___洞窟内は土埃が舞っていた。

七尾「__なんとか耐えきったようですね。」

ジョージ「はぁ…はぁ…!」

やっと、剛烈の連撃が止んだ。

ルカたちは土埃の中から現れる。

ジョージの上半身の服は破れてなくなっていた。

土埃が晴れると、マモルとパヲラとラクトが地面に倒れていた。

息はまだあるようだが、どれも瀕死だ。

七尾「…なかなか歯ごたえのある人間です…ふふっ。」

ルカ「ぐっ…!」

こうなってしまえば、状況は最悪だ。

本当に勝てるかどうかもわからない。

しかし、今は瀕死の3人を助けるのが最優先だ!

七尾「月の見えない地下洞窟では、魔力の回復に時間が掛かりますね…」

七尾は少し休んでいる…

ルカ「…みんな、わかってるか?」

今やるべきことは、3人を助ける事だ。

絶対に死なせちゃいけない!

ジョージ「合点承知…!!」

カムロウ「うん…まずは、みんなを救うんだよね…?」

チリ「回復は任せて…!」

ルカ「ああ…やるぞ!今度、迎撃するのは僕たちだ!」

七尾「さて、参りましょうか…!」

七尾は休息を終えた!

 

七尾「ですがその距離なら…」

七尾はゆらぁ…と尻尾を高く上げた。

七尾「救出するのは無理でしょう!?」

そして、倒れている重傷者めがけて降り下ろした!

ルカ「なっ__」

だめだ間に合わない___

 

 

 

___その攻撃を、カムロウは剣で防いでいた。

カムロウ「よくもみんなを…!」

七尾「なっ…!?」

ルカ「あれは___」

クィーンハーピーと戦った時と同じだ。

眼が涙で輝き、荒々しい風が吹き荒れる。

カムロウは今、みんなを傷付けられて、怒りが最高潮だ。

怒りが最高潮になったカムロウは、普段からは考えられないほどの身体能力を発揮する。

カムロウ「でやああああ!!!」

風薙ぎ(かぜなぎ)。しかし、普段よりも何倍もの威力。

その荒々しい風の衝撃波が尻尾を弾き飛ばす。

七尾「い…一体どこからそんな力を…!?」

七尾「くっ…ですが、私の尾は一つだけではないのですよ!」

もう一つの尾が、振り下ろされる。

その間に、ジョージが割り込んだ!

カムロウ「ジョージさん!?」

ジョージ「ここは任せよ!」

ジョージ「禍津(マガツ)!!」

右腕が黒く滲み、ジョージの力を増幅させる!

禍々しい右腕で、尾を掴み受け止める!

七尾「なん…!?次から次へと…!」

ジョージ「さぁ…今のうちに!」

ルカ「ああ!!」

チリ「うん!」

ルカとチリは、瀕死のマモル、ラクト、パヲラを引きずって後退する。

ルカ「チリ!後は頼んだ!」

ルカは前線に駆けていく。

ラクト「よぉ…無事…そうだな…」

パヲラ「ああ…良かった…わ…」

マモル「なんとか…耐えたん…ですねぇ…」

チリ「うん、ありがとう…本当に助かった…!!」

…3人共、複雑骨折、内臓破裂。…どれも時間と体力が掛かる。

チリ「ワイドヒール(範囲回復魔法)!!」

範囲にいる対象を回復させる魔法。これで時間をかけて、ゆっくり回復させる。

後はルカたちが持ちこたえてくれれば…

 

 

七尾の前に、ルカ、ジョージ、カムロウが立ちはだかった。

七尾「…無礼(なめ)ていました。それほどの力を持っているとは。」

七尾「ですが…あなた方を倒せば終わりです…!!」

ルカ「終わらせるもんか!僕達は「海神の鈴」を手に入れて…」

 

ルカ「セントラ大陸へ渡るんだ!」

カムロウ「セントラ大陸に帰るんだ!」

ジョージ「セントラ大陸に戻らねばならない!」

 

ルカ「(信じる夢のために、僕はここで死ぬわけにはいかないんだ…!)」

カムロウ「(お母さんのために、ぼくはここで死ぬわけにはいかないんだ…!)」

ジョージ「(友のために、私はここで死ぬわけにはいかぬのだ…!)」

 

それぞれの思いが交差する。

 

七尾「戯言を…!!!」

七尾は衝撃波を放った!

カムロウはそれを盾で受け流し、七尾に近付いた!

七尾「そう簡単に近づかれると不快ですね…!」

七尾は近くに転がっていた鉄球を尻尾で持ち上げ、ぶん回した!

カムロウは盾で防いだが吹っ飛ばされる。

そして、鉄球をジョージに投げる!

ジョージ「禍津(マガツ)!!!」

ジョージは赤黒い右腕で刀を抜き、鉄球を一刀両断した!

七尾「…見事。」

ジョージ「お褒めいただき、光栄でござる。」

ルカは、足をバネにし、七尾の懐に近付いた!

ルカ「魔剣・首刈り!」

喉元に鋭い突き。…しかし、うんともすんともいわない。

七尾の尻尾がルカに纏わりつき、ルカは尻尾に絡めとられてしまった!

七尾「はぁっ!!!」

尻尾に力が込められる。右腕と左足が折れた。

ルカ「ああああああっ!!!」

 

ジョージ「勇者殿を…」

カムロウ「離せっ!」

カムロウ「風蝗斬(ふうこうざん)!!!」

ジョージ「禍津(マガツ)!!!」

カムロウは荒々しい風を剣に纏わせ斬りかかる。

ジョージは飛び上がり、赤黒い右腕で刀を持ちつつ、上段切り。

七尾「っ…!!」

その攻撃を食らった七尾は、ルカの拘束を解く。

拘束が解けたルカは投げ飛ばされ、壁に激突する。

マモル「勇者様、大丈夫ですかぃ!?」

ルカ「大丈夫…」

ルカは瞑想をした…みるみるうちに傷が回復する!

チリ「そうだ…ルカには瞑想があったんだ…!」

パヲラ「聞いてた通り、本当に回復してるじゃない…!?」

ルカ「よし…!」

右手と左足を動かし、折れていないか確認する。

…痛みはない。折れた骨が戻った。これで戦える!

 

 

 

カムロウ「せいやあああ!!!」

ジョージ「禍津(マガツ)!!!」

吹き飛ばされたルカの代わりに、二人は応戦していた。

しかし不意に、ジョージの攻撃の手が止まる。

ジョージ「はぁ…はぁ…はぁ…!!」

右腕に激痛が走る。

カムロウ「ジョージさん!?」

ジョージ「すまぬ…右腕が…!」

ジョージの額から汗がブワッっと噴き出る。

ジョージ「(くっ…使い過ぎたか…!?)」

刀を杖替わりにし、膝を付いてしまう。

七尾「油断しましたね…?」

ジョージに剛撃の尾が迫る!

カムロウ「させるかああぁぁ!!」

カムロウは両手を上に掲げ、普段放つファイヤーボルト(火炎弾魔法)よりも大きな火球を生み出した!

ルカ「あいつ(カムロウ)ファイヤーボルト(火炎弾魔法)…あんな大きさだったか!?」

カムロウ「ファイヤーボルト(火炎弾魔法)!!!」

特大火球が迫りくる尾に向けて放たれる!

尾に命中し爆発、そして引火する!

七尾は攻撃を止め、消火を優先した!

カムロウ「ヒールパウダー(回復魔法)!」

ジョージの右腕に光輝く癒しの粉が舞い、痛みが退いていく。

カムロウ「さっき、助けてくれたお返し!」

ジョージ「かたじけない…助かった!」

後ろから吹き飛ばされたルカが駆け付け、三人並ぶ。

ルカ「二人とも、一斉に攻撃するぞ!」

カムロウ「うん!」

ジョージ「承知!」

 

ルカ「はああああ!!!」

カムロウ「うおおおお!!!」

ジョージ「禍津(マガツ)!!!」

そして三人は七尾に何度も斬りかかり、攻撃を仕掛けていた。

ルカ「(くっ…なんて生命力なんだ…!)」

みんなの攻撃も、僕の一撃でさえ、微々たるダメージに過ぎないようだ。

いったいどれだけ攻撃したら、こいつを倒せるんだ…?

七尾「ええい、しつこい!!」

七尾はルカの腹部にエルボーをし、顔面を殴り、頭にダブルスレッジハンマー、最後に尻尾で薙ぎ払う!

ルカは吹き飛ばされるも、剣を地面に突き刺しなんとか止まる。

ルカ「はぁ…ふぅ……」

七尾「…?」

ルカは呼吸を整え、瞑想をする。再び傷が回復する!

七尾「厄介ですね…妙な技を持っているあなたは!」

七尾は足払いをしてきた!

ルカ「(ジャンプすれば避けれる…!)」

ルカは飛んで回避した___

七尾「飛んで回避すると、逃げ場は無くなることをご存じで?」

ルカ「なっ…!?」

それが狙いだったのか___

七尾「二つの月!」

ルカの腹部に、七尾の2本の尾が刺さった。

まるでそのまま貫通するかのような感触がした。

ルカは吹き飛ばされ、地面に倒れる。

ルカ「ゲホッ…ゲホッ…」

吐血した。前進に痛みが走り、身動きが取れない。

七尾「今度は、回復の暇を与えません…!先に片付けましょう!!」

ノシノシと、七尾がゆっくりルカに近付いてくる。

カムロウ「ルカ!?」

ジョージ「まずい…!」

二人はルカの前に立つ。

これ以上進ませない。ルカに瞑想ができるほどの時間稼ぎを__

七尾「__邪魔をするなっ!!」

七尾「二つの月!!」

鋭く鈍い一撃が2つ、七尾の尻尾がカムロウとジョージを吹き飛ばす!!

カムロウ「あぐっ!!」

ジョージ「うっ…!!」

重い一撃。そして壁に激突し、地面に落ちる。

カムロウ「う…動けない…」

ジョージ「勇者殿…逃げるのだ…!」

二人は体力が限界のようだ。もう立ち上げれそうにない。

ルカ「うあぁぁ…」

痛みのあまり、呻くことしかできない。

 

後衛で、チリに回復をしてもらっている、ラクト、パヲラ、マモルが、座りながらその光景を見ていた。

ラクト「おい、あいつら…!」

マモル「まずそう…じゃないですかぃ!?」

パヲラ「助けにいくわ…いぅ…」

パヲラは立ち上がろうとしたが、痛みのあまり再び座り込む。

チリ「待って!三人共、まだ回復が…」

さっきよりも、骨と内臓は回復はしたが、それでもまだ全快と言えるほどではない。

下手に動けば、傷が悪化する可能性がある。

ラクト「んなこと言ってる場合か!?あのままだとルカが死んじまうぞ!!」

チリ「確かにそうだね…私が行く!」

マモル「お嬢さん!?」

パヲラ「待って、危ないわ!」

チリはハンマーを担いで、ルカの元に駆け寄ろうとする。

 

ルカ「だめだ…チリ…来ちゃだめだ…」

チリ「えっ!?」

ルカは地面に伏せながら、チリ達を見て制止するよう声を発した。

ルカ「三人は…まだ…回復し終わってないはず…だ…だから…」

チリ「そんなこと言ったって…!」

ラクト「バカかお前は!?何の意地だか知らねぇけど、お前そのままだと死ぬんだぞ!?」

そう言っているうちに、チリの目の前に七尾が近づいていた。

パヲラ「チリちゃん、逃げて!」

マモル「爆破式神札(ばくはしきがみふだ)…!」

マモルは数枚の式神を、七尾に投げる。

七尾「目障りです…!」

七尾は衝撃波を飛ばした。

衝撃波に当たり、目標が定まらなくなった式神は、散り散りに壁にぶつかり爆発を起こす。

さらにチリの体にも当たり、チリを吹き飛ばす。

チリ「うあっ…!」

ハンマーが手から離れ、チリは地面に転がる。

マモル「畜生…!」

パヲラ「そんな……」

ラクト「もう…だめだ…!!!」

 

ルカの前に七尾が立つ。

勝ち誇ったようにルカを見下し、

ゆらぁ…と、一本の尾を掲げる。

七尾「勇者一行…かなり、やるようでしたが…」

ルカに七尾の尾が叩きつけられる!

ルカ「くっ…!」

七尾「これで…あなたは終わりです____」

だめだ…避けれない________

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