もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第4話 サイフを探せ

朝になった。静かな部屋の中でカムロウは目が覚めた。

周りを見るとラクトの姿がなかった。

ラクトが寝ていたベッドには、ラクトのカバンがそのまま置いてあった。

どうやら先に起きてどこかに行ったらしい。

カムロウはラクトを探しに、部屋の外に出ようと扉を開けた。

「俺じゃねぇよ!」

廊下に出ると、一階から怒鳴り声が聞こえた。ラクトの声だ。

どうやらただ事ではないらしい。カムロウは一階に向かった。

 

 

 

階段を降りて一階のロビーに行くと、

中年の男性と、学者姿の男性と、踊り子姿の女性と、ラクトが口論をしていた。

学者「ふむ…聞けば聞くほど迷宮入りだな…。」

踊り子「絶対この中の誰かでしょ!?」

中年「俺はお前だと睨んでるぞ!」

ラクト「だから俺じゃねぇって!もう一度考えてみろよ!」

カムロウ「ラクト…何があったの?」

カムロウはラクトに近づいた。

ラクト「あぁカムロウ、起きたのか。」

ラクト「誰かが俺のサイフを盗みやがったんだ!それだけじゃねぇ、この3人のサイフも盗まれたらしい。」

学者「そこで誰がどこで何をしていたのかを話し合っていたのだ。」

ラクト「カムロウ、お前は盗まれていないのか?」

カムロウはカバンの中を探った…。しかしサイフは見つからなかった。

ラクト「お前もスられちまったわけか…。最悪だぜ。」

学者「…となると、この宿に泊まっている人全員が盗まれたというわけか?」

中年「くそっ!一体誰なんだよ!」

女主人「まぁみなさん…一回落ち着いたらどうですか?」

カウンターの奥から宿の女主人が出てきた。

女主人「怒りに任せるとロクなことになりませんから…。町の衛兵には連絡をしてますので、詳しい捜査は衛兵に任せましょう。」

学者「確かに…これ以上、我々で犯人捜しをしても、答えは出ないだろう。」

学者「私は部屋に戻ることにしよう。」

そう言って学者は階段を登ろうとしたときに踊り子が呼び止めた。

踊り子「ちょっと…待ちなさいよ!そう言って逃げる気じゃないでしょうね!?」

中年「そうだそうだ!お前だって容疑者なんだぞ!」

踊り子「衛兵が来るまで、あなたここに残りなさいよ!」

学者「ふむ…確かに全員が容疑者であるなら、そういうわけにもいかないな。」

学者は登るのをやめ、こちらに戻ってきた。」

ラクト「…それで?衛兵が来るまで、ここでにらみ合いっこをしろっていうのか?俺はごめんだぜ…。」

ラクトは呆れた表情をした。カムロウもこの空気には嫌な気分を覚えた。

 

全員が互いの顔を様子見し会っていると、とうとうお昼になってしまった。

中年「なぁ、衛兵はまだなのか!?」

女主人「おかしいですね…他のことに手間取っているのでしょうか?」

踊り子「一体何に道草食ってるのよー!」

学者「………」

中年の男性と踊り子は腹を立てている。学者はいら立ちながらも本を読んでいる。

ラクト「けっ…。これ以上は待っていられるかよ…。」

ラクトはマフラーを巻きなおしながらも、壁に向かって八つ当たりをした。

ラクト「こうなったらよ…。衛兵には犯人を差し出すことにして、俺たちで犯人捜しをしようじゃねぇか!」

中年「そうだ!それがいい!」

踊り子「私は却下よ!それって言い出しっぺが有利になるわけなんだから!」

学者「私もだ!ここは衛兵を待つべきだ!」

4人は再び怒りをぶつけ合う。カムロウは参加しなかったが、居心地は悪かった。ラクトがそんなことをする人とは思っていないし、ここにいる人たちが犯人だとは思えない。早く衛兵が来て欲しいと思った。

そんな時だった。

 

???「その犯人捜し…あたしが主導権を握ってもよろしくて?」

不意に現れた声に、その場にいる全員がその声の主に目を向ける。

そこには昨日の大道芸人がいた。相変わらず奇抜な恰好をしており、椅子に座りながら足を組み、ティーカップを持っていた。

中年「だ…誰だお前は!?」

???「あたしの名はパヲラ…各地を旅する通りすがりの放浪者よん。以後お見知りおきを。」

カムロウ「大道芸人さんじゃないの?」

パヲラはティーカップを口に近づけながら

パヲラ「あれは趣味であり、旅の資金稼ぎをするためにやっていることよん、心優しい坊や…昨日のショーは楽しめたかしら?」

カムロウ「うん!楽しかった!」

パヲラ「それは良かったわ。」

と、微笑みながら言い終えた後に一口飲み始めた。

ラクト「…何飲んでんだ?」

パヲラ「ミルクティーよ。」

 

学者「それで、この事件の犯人捜しの主導権を握るというのは?」

パヲラ「その言葉通りよインテリボーイ…あたし、推理するのは得意なのよ。」

中年「そういうわけにもいかんぞ!こんな変なやつに任せるなんて…」

パヲラ「サイフを盗まれたのはあたしも同じよムッシュ。」

女主人「あなたもサイフを?」

パヲラ「ええそうよ…でも信頼も無しで任せるなんて、あなた方にとっては無理な話でしょう?」

パヲラ「なのでこうしましょう、私はこれから一人一人に昨晩何をしていたかを聞きに回るわ。そして各部屋を皆さんと一緒に見て回るわ。」

パヲラ「そこで得た情報で推理するけど…もし犯人を断定することができなかったら、あたしを衛兵に差し出しても構わないわ。」

それを聞いた全員は唖然とした。

踊り子「そ…それで大丈夫なの…あなた?」

パヲラ「もちろんよお嬢さん。犯人は必ずこの中の誰かなのよ。」

そういってミルクティーを飲み終えると、椅子から立ち上がった。

パヲラ「さぁ、調査を始めるわ!パヲラスペシャルリサーチタイム!」

そう言って変なポーズをした。

ラクト「…最悪だぜ。こんな変なやつが、犯人を見つけ出せんのかよ…?」

 

 

 

 

パヲラの調査が始まった。彼は最初に、中年の男性から事情聴取をし始めた。

パヲラ「ムッシュ、あなたは昨晩何をしていたのかしら?」

中年「俺は酒場で酒を飲んでたんだ。んで酔っぱらいながら帰ってきて…そこからは何も覚えてねぇな。」

パヲラ「そして朝起きたら?」

中年「宿から出ようと荷物整理してたら、サイフが無いことに気付いて、慌ててロビーに行って、女主人に話していたら、そこの三人も来て、全員で口論になった。」

パヲラ「ふむふむ…、ところで、あなたのサイフはどこにあったかは覚えているかしら?」

中年「確か…いつもはズボンのポケットに入れてたな。」

パヲラ「なるほど…わかったわ、ありがとうムッシュ。」

 

次に学者の番になった。

パヲラ「あなたは?」

学者「昨日は、寝るまで持ってきた本を読み漁っていた。」

パヲラ「それであなたも朝になったらサイフがないことにお気づきに?」

学者「その通りだ。」

パヲラ「サイフの場所は?」

学者「今私が着ているコートのポケットだ。」

パヲラ「ふむむ…ほかになにか、気になるようなことはあったかしら?」

学者「確か…隣の部屋から、物音がしたな。こう…何かが落ちるような音が。」

中年が口を挟んだ。

中年「俺の部屋だな…。すまん記憶がないから何を落としたのかもさっぱりだ…」

パヲラはそれを聞いた後に、学者と話を続けた。

パヲラ「それはどんな物が落ちるような音だったの?軽い音?重い音?」

学者「重い音だったな…、ドンって音が。それと転がるような音もした。」

パヲラ「なるなる…それともう一つ、おかしな質問があるわ。」

パヲラ「あなたのコートは、常に着ているのかしら?」

学者「…?確かにおかしな質問だな…。いつも着ているわけじゃないな。」

パヲラ「そう…ちなみに専門は?」

学者「地質学だ。」

パヲラ「そうなのね、わかったわ。ご協力感謝するわ。」

 

次に踊り子に話しかけた。

パヲラ「あなた…踊りが得意なのね?」

踊り子「ええ、踊りの仕事をしにこの町に来たのよ。」

パヲラ「へぇ…ここで少し、踊りを披露してくれるかしら?」

踊り子「いいわよ。」

踊り子は軽く踊りをした。軽やかな動きでリズムを刻んだ。

パヲラ「あら素晴らしいわ。美しい踊り。」

パヲラは拍手しながら続けて質問した。

パヲラ「それで本題だけど…。昨日はなにを?」

踊り子「踊りの仕事が終わった後に、この宿に来たのよ。それですぐに寝たわ。」

パヲラ「寄り道もせず、まっすぐこの宿に?」

踊り子「えぇそうよ。」

パヲラ「サイフはどこに?」

踊り子「衣装道具の中よ。」

パヲラ「なるほどねん、ありがとう、美しいダンスだったわお嬢さん。」

 

次にラクトとカムロウの番になった。

パヲラ「あなたたちは?」

ラクト「俺たちは部屋にいたぜ…。軽く雑談してから寝たんだ。特に外に出たりとかもしてねぇ。」

ラクト「サイフの場所は、カバンの中だぜ。」

カムロウ「ぼくもカバンの中に入れてたんだ。」

パヲラ「へぇへぇ…そうなのねん…。」

パヲラ「あなたたちは友達同士?」

カムロウ「うん!友達!」

ラクト「まぁ…そうだな。」

パヲラ「あらそうなのね…わかったわ、ありがとうねマフラーボーイに心優しい坊や。」

話を終えたあとにラクトがこうつぶやいた。

ラクト「……思ったよりちゃんとした事情聴取してるな、あいつ…。」

カムロウ「良い人なのかな?」

ラクト「………たぶん。」

 

パヲラはカウンター越しに女主人に質問をした。

パヲラ「ごめんなさいねマダム、あなたを疑っているわけじゃないのだけれど…。」

女主人「いえいえ、しょうがないことですよ。」

女主人「昨日の夜は、宿泊者の名簿確認、朝ご飯の仕込み、ロビーを軽く掃除して終わったわ。」

パヲラ「お仕事に精が出てるわね、尊敬しちゃうわ。」

パヲラ「ところでおサイフは?」

女主人「私は盗まれていないわ。」

パヲラ「あら幸運なことね…。いや、不幸中の幸い?この状況だとどう言えばいいのかしら?」

 

パヲラは話をし終えると振り返って、その場にいる全員に聞こえるように言った。

パヲラ「では皆さん!皆様方の部屋を見て回りますわン!ついてきてらっしゃい!」

そう言うと階段を勢いよく登って行った。中年、学者、踊り子に女主人、ラクトとカムロウ、全員ぞろぞろと後を追うように付いていく。

ラクト「……あの言動をどうにかすれば、良い人だと思うんだがな…。」

カムロウ「ぼくは見てて楽しいよ?」

ラクト「そういう問題じゃねぇんだよ…見てて気分が悪くなるんだよ。あの勢いに付いていけねぇ…。」

 

 

まず中年の男性の部屋を見た。

ベッドはぐちゃぐちゃで、机の上にカバンが開いたままだ。

中年「すまねぇ汚くて…、まさかこうなるとは思ってなくて…。」

ラクト「それはここにいる奴らも、同じ気持ちだぜおっさん?」

中年「そ、そうか…」

その会話をよそにパヲラは部屋を隅々まで調べている。

カムロウは部屋の臭いに不快感を覚えた。

ラクト「カムロウ?もしかして…お酒の臭いが苦手か?」

カムロウ「うん…好きになれない…」

カムロウ「実はこの部屋だけじゃないんだけど、ずっとこの臭いがするんだ…。この部屋は特に凄くって…」

いままで黙っていたが、かすかにお酒の臭いが、この部屋に来る前までしていた。おそらく中年の男性のお酒の臭いが抜けきってないのだろう。

パヲラ「あらん?」

パヲラがベッド下に何かを見つけたようだ。手には空のビンがあった。

中年「それは…酒場の帰りに持ち帰ったやつかもな…。」

パヲラ「確かにそう見えるわよねぇ…」

パヲラ「…ここはもうおしまい!次行きましょ!」

 

学者の部屋を見た。

ベッドの上にカバンがあり、机の上に本が山積みになっていた。

パヲラが学者に質問をした。

パヲラ「そういえば、あなたのコート、いつも着ているわけじゃないのよね?」

学者「あぁ、その話か。」

学者「昨日はそこのベッドに置いたままにしていた。」

学者はベッドを指さした。パヲラはそれを聞いてうんうんと相槌をした。

 

ラクトとカムロウの部屋の番だ。

朝のままかわらず、ラクトのカバンがそのままにされてあった。

ラクト「俺はサイフが無いことに気付いてロビーに行ったんだ。んで、ほかの三人が盗んだんじゃねぇかって言ってよ。」

カムロウ「ぼくは起きたらラクトがいなかった。」

ラクト「確かにお前はぐっすり寝てたな。」

パヲラ「ふむふむ、確かにおかしな点は得にないわね。」

彼は逆立ちしながらベッド下をのぞき込んでいた。

ラクト「…普通に探すってことはできないのかアンタ?」

 

踊り子の部屋を見た。

衣装道具のカバンだろうか、ベッドの上に置き去りのままだ。

パヲラ「ここも、何もないわねぇ…?」

パヲラは問題なしと判断した。

中年「ほかにないならココだと思ったんだがな。」

踊り子「疑っているワケ?」

中年「いやさっきまではだ!今は違う!」

パヲラは考え込む。数十秒経ったとき、口を開いた。

パヲラ「皆様?少しお時間を頂いてもよろしいかしら?」

全員に、推理する時間を求めた。

中年「まぁ、それで答えが出るんだったらな…。」

学者「…その間に衛兵が来たら?」

パヲラ「衛兵は来ないわインテリボーイ。」

女主人「えっ…?」

連絡したと言っていた女主人が驚く。

踊り子「なんで衛兵が来ないってわかるのよ?」

パヲラ「それはこれから推理することでわかるわ。」

パヲラはみんなに向かってウインクをした。

 

パヲラが推理する間、全員はそれぞれ部屋に待機することになった。

ラクトはマフラーを何回も巻きなおしていた。

ラクト「あの変な芸人さんは…ちゃんと答えを出すんだろうな?」

ラクト「ここまで来て、わかりませんでしただったら笑っちまうぜ…」

この待ち時間に耐えられないのか、それともマフラーの巻き具合が気に入らないのか、ラクトは落ち着かなかった。

 

 

 

数十分が経った頃、部屋のドアをノックする音がした。

女主人がドアを開けた。どうやら推理が終わったそうだ。

全員はまた、ロビーに集まった。

学者「それで…答えは出たのか、パヲラさん?」

パヲラ「えぇ、ばっちりよ。」

ラクト「へぇ…俺はてっきり出ないと思っていたよ。」

パヲラは振り返り、謎のポーズをしながら話をした。

パヲラ「まず犯人だけれど…この中にいるわ。」

全員に衝撃が走る。やはりこの中の誰かなのだろうか。

中年が焦りはじめる。

中年「お…俺じゃないぞ!」

パヲラ「お待ちなすってムッシュ…まだ話は終わっていないわ。」

パヲラは話を続ける。

パヲラ「まず犯人はサイフを盗んだことは確実だわ。でもそれは完璧な方法で。」

パヲラ「誰もが接近されたことに気付かずにサイフを盗んだのよ。足音一つ立てず、ドアも開けずにね。」

学者「ドアも開けずに?どうやって盗んだのだ。部屋を入るにはドアを開けなければいけないだろう。」

パヲラ「えぇそうよ、ドアも開けずに盗んだのよん。泥酔して寝ているムッシュ、集中して黙読しているインテリボーイ、二人仲良く寝静まったボーイの部屋からも盗んだのよ。」

パヲラはそう言い終えると、指を指しながらこう言った。

パヲラ「でも盗まれていない…いや、そもそもサイフ自体を持っていない人がいるのよ。あなたが犯人よお嬢さん。」

指は踊り子を指していた。

踊り子「わ…私!?無理でしょ!物音立てずにドアを開けるなんて!?」

パヲラ「そうよ、普通は無理よ…。でもあなたはそれが出来た。」

踊り子「はぁ!?どうやって…」

パヲラ「えいっ。」

パヲラは指から小さい火の魔法を放った。すると踊り子の体が勢いよく燃え始めた!

踊り子「あああああああっついいいいいい!!!」

中年「おいおい!あんた何してんだ!」

学者「いきなり人を燃やすなんて…お前じゃないのか犯人は!」

ラクト「あ…アイス(氷魔法)!火消し!火消し!」

ラクトが氷魔法を、女主人が慌てて水の入ったバケツを踊り子にぶちまける。

 

なんとか火が消えたところで踊り子が口を開いた。

踊り子「な…何するのよ、死ぬところだったじゃない…!」

パヲラ「あなた人間じゃないわよね?」

踊り子「えっ…!?」

全員が絶句した。この踊り子が魔物という答えは予想を超えていた。

中年「ど…どういうことだよ!わけがわかねぇよ!」

パヲラ「わかりやすく説明するわムッシュ、このお嬢さんはスライムよ。」

中年「はぁ!?」

パヲラ「スライムの体なら、ドアの隙間を通って部屋に侵入できるし、ゆっくり動けば物音を立てずに近づけれるわ。それでみんなのサイフを盗んだの。」

パヲラ「でもあなたは最初にムッシュに部屋に侵入をしたときにミスをしたわ。ムッシュが持ち帰ったお酒のビンを机から落としてしまったのよ。」

踊り子「でもそれがなんだっていうのよ…!落ちた音なんて何とでも説明できるわ!」

パヲラ「それはあなたからお酒の臭いがするからよ。」

パヲラ「あなたは慌てて落としたビンをベッド下に転がした。でも焦っていたのか、落とした時にこぼれたすこしのお酒が、あなたの体に付いてしまったことに気付けなかったのよ。」

学者「あの落ちた物音と転がした音は、その時の音だったのか…!」

パヲラ「それにお酒の臭いがするのはあなただけじゃないわ、インテリボーイもよ。正確にいうならインテリボーイのコートから臭いがするわ。」

ラクト「へぇ…、学者さんのコートからもサイフを盗んだときに、スライムの粘液が付いちまったってわけか、全部スライムなら話が通る話だな…。」

パヲラ「何より私が放った火はとても勢いよく燃え始めるほどの火じゃなかったわ。あなたの体にお酒がないっていうのなら、どう説明するのかしら?」

踊り子「………」

踊り子は黙ってしまった。するとみるみるうちに体が溶け始めた!

スライム娘「…あのときビンを落とさなければ、見破られることはなかったのに!」

学者「本当に魔物だったのか…!」

ラクト「ひいいい!殺される!」

その場はパニックになった。まさか魔物だとは思わなかったのだ。

パヲラ「お待ちなさい!まだ話は終わってないわ!」

パヲラの一喝で静まり返る。みんな冷静を取り戻す。

ラクト「ま…まだ!?いやどうみてもこいつが犯人じゃ…」

パヲラ「共犯者がいるのよ…そもそもこの宿は、最初から仕組まれていたのよん」

パヲラ「サイフが盗まれたと騒ぎを起こさせて、衛兵が来ると安心させる。でも衛兵は来ない、だから一日無料にして泊まらせて、その間に泊まった男性の寝込みを襲う。」

パヲラ「マダム、そういう魂胆だったんじゃないの?…いや、マダムに化けた魔物さん?」

女主人「…なぜ私が魔物だとわかったのです?」

女主人が姿を変え、巨大な貝があらわになった!

パヲラ「あたし、そもそもここの宿に泊まってないもん。」

ラクト「はあっ!?お前、サイフ盗まれたんじゃないのかよ!?」

パヲラ「あれも嘘よ、あたしのサイフはここにあるわ。」

そういうとハートマークの付いたハデなサイフを取りだす。

パヲラ「マダムは昨日、名簿の確認をしたと言っていたわ。なら宿泊者のことなんて覚えているはず、特に私のような可憐なレディが宿に泊まっていないなんてことも把握しているはず…。」

ラクト「おいこいつ自分のこと女って言ったぞ男なのに。」

パヲラ「けどあなたは私を疑わなかった。それもそのはず、昨日の夜に本物のマダムと入れ替わったから、宿泊者の把握なんて最初からしていなかったのよ。」

パヲラ「年貢の納め時よ、魔物のお嬢さんたち?」

貝娘「それはどうかしら…?」

貝娘は触手を伸ばすと、ラクトの体をつかんだ。

ラクト「へっ?」

するとスライム娘と共に勢いよく窓を割り逃げていった!

ラクト「いやああああ!誰かお助けええええ!!!」

カムロウ「ラ…ラクト!?」

カムロウはラクトの後を追いかけようとする。

パヲラ「大丈夫よ坊や、まずは衛兵に連絡しないと…。」

パヲラはカムロウを呼び止めた。しかしカムロウは制止を振り切って宿を飛び出した!

パヲラ「ぼ…坊や!?だめよ!戻ってきなさい!?」

パヲラが再び呼び止めようとしたが遅かった。

すでにカムロウは魔物の後を追っていた…。

 

 

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