もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第36話 荒れ狂う海での死闘

___不意に、海が荒れ狂い始めたのだ。

先程まで静かだったのが嘘のように、辺りに暴風が吹き荒れる。

ルカ「これが、問題の暴風か…」

ラクト「ぅゎ…俺様のマフラーが飛ばされそうだったぜ。」

ラクトはマフラーを、チリはバンダナを飛ばされないよう手で抑えた。

通常の船なら、たちまち転覆してしまいそうなほどの暴風と大波。

しかし、この船はビクともしなかった。

船の前を見ると、舳先にぶら下げていた「海神の鈴」が、光を放っているのが見える。

カムロウ「大丈夫そうだね。」

ルカ「やった!さすが、キャプテン・セレーネの秘宝だ!」

アリス「ふむ、人間の残した秘宝にしては大したものよ。しかし__」

アリスが、不穏の表情をした次の瞬間__

不意に、一筋のつむじ風が船上を吹き流した。

ルカ「うわっ!なんだ…!?」

カムロウ「風…!?みんな、あれ!」

その嵐が過ぎた後…

カムロウが指差した舳先に、角、翼、尻尾が生えた一人の美しい妖魔が立っていたのだ!

マモル「だ、誰でぃ…あいつぁ…?」

ラクト「あの姿…サキュバスじゃねぇか!?」

チリ「…いや…クィーンサキュバス。」

ジョージ「クィーン…?」

パヲラ「どういうことなの、チリちゃん!?」

チリ「あれが全てのサキュバスの頂点に立つ存在…そして、魔王軍四天王の一人、アルマエルマ…!」

ルカ「あれが…アルマエルマだって!?」

 

アルマエルマが現れた!

 

こいつが四天王の一人、アルマエルマ。

相対しているだけで、凄まじい威圧感だ。

アルマエルマ「なるほど…あなたたちが、例の人間達ね。ふふっ…アリスフィーズ様が気に入られるだけあって…美味しそう…」

ぺろり…と、アルマエルマは舌なめずりをする。

するとアルマエルマは、アリスの方に視線を向けた。

アルマエルマ「アリスフィーズ様。魔物を傷つける勇者は、退治してもいいというご命令でしたが…そのご命令、確かに遂行してもよろしいのでしょうか?」

アリス「…例外はない。余はあくまで、この人間達を観察しているだけ。特に肩入れもしなければ、特別扱いをしているわけでもない。」

アルマエルマ「くすっ…そうは思えませんが、分かりました。」

 

アルマエルマ「そういう事よ、ルカちゃん。この海域は、通してあげないわ。」

ルカ「…ルカ、ちゃん……」

ラクト「いやお前…普段からパヲラにそう呼ばれてるだろ。」

ルカ「そうだけどさ…」

なんだか拍子抜けするが…それでも、敵であることに違いはない。

チリ「あのグランべリアと同格だって忘れないで!」

ルカ「ああ、分かってる!」

 

ルカ「僕達は、お前を倒して無理にでも通る!」

アルマエルマ「ふふっ…勇気溢れる、若い冒険者…いいわぁ…ルカちゃん、どんな風に犯してほしい?」

ルカ「ぐ…!」

アルマエルマ「き~めた♪尻尾で遊んであげる。特別に、手も足も、魔法も使わずに相手をしてあげるわ。」

カムロウ「尻尾だけで…!?」

ラクト「へぇ…随分と余裕そうじゃねぇか…当たり前か、四天王だしな…!」

スルスルと、生えている尻尾を僕達に向ける。

アルマエルマ「せいぜいもがき抜いて、私を愉しませてね…お遊び終えたら、涸れ果てるまで吸ってあげるから。」

ルカ「僕たちは負けない!みんな、絶対に勝つぞ!」

ここは船だ。周りは荒れ狂う海。逃げる場所などない。

逃げ場がない以上、どんな手を使ってでも勝たなければ、僕達の命はない。

アルマエルマ「じゃあ…行くわよぉ♪」

 

アルマエルマとの闘いが始まった!

 

ルカ「みんな!強力すぎる攻撃は止そう!船が壊れるかもしれない!」

今、僕達がいるこの場所は、空は黒く分厚い雲が立ち込め、暴れる風が吹き、荒れ狂う海に浮かぶ船の上だ。この船を壊すことは、敗北の一つでもある!

ルカ「チリはハンマーでの攻撃よりも回復の援護を!後衛に就いて!」

チリ「わ…分かった!」

ルカ「みんな、炎や爆発はしないで!マストが燃えるかもしれない!」

マモル「えぇ、えぇ…そうですよねぇ。」

気付けば、マモルが前に歩み出ていた。

マモル「船なんで、派手な攻撃はご法度ですもんねぇ。」

マモルは複数枚の式神を、辺りに展開した!

マモル「鉄砲式神陣(てっぽうしきかみじん)!」

号令を出すと、式神は紙の体を細く丸め、鉄砲のように飛んでいく!

アルマエルマ「そぉら。」

アルマエルマは尻尾を振り回し、飛んでくる式神をはたき落とした!

そして、全て叩き落とすと、尻尾は何事もなかったかのように定位置に戻る。

マモル「ぜ、全部はたき落としやがったぁ…!」

ルカ「本当に尻尾だけで戦うつもりか…」

アルマエルマ「少しでも気を抜いたら、尻尾が股間に吸い付いちゃうわ。」

やはり、さすがは四天王。

軽い態度とは裏腹に、その実力は底知れない。

 

ルカ「カムロウ!ジョージさん!」

カムロウ「うん!」

ジョージ「承知!」

ルカの両隣に、カムロウとジョージが立つ。

ルカ「魔剣・首刈り!」

カムロウ「風蝗斬(ふうこうざん)!」

ジョージ「ぬぅん!」

ルカは足をバネにして、喉元めがけて鋭い突きを、

カムロウは剣に風を纏わせ、バッタのように飛び上がり上段斬りを、

ジョージは抜刀してから斬りかかった___

 

__しかし、3人の一撃は、たった一本の尻尾でいとも簡単に防がれた。

尻尾を横にして剣の鍔を押さえ、剣がアルマエルマに届かないようにされたのだ。

ルカ「なっ!?」

カムロウ「えっ!?」

ジョージ「むっ!?」

そして、アルマエルマは手を前に出し、かかってこいと言わんばかりの手招きをした。

ルカ「きょ…きょえぇぇぇぇ!!!」

ルカは剣をやたらめったに振り回し、やたらめった斬りを放った!

カムロウ「はああああ!!!」

ジョージ「ぬおおおお!!!」

カムロウは剣と盾のコンボ攻撃。

ジョージは刀を振り回して連撃を放つ。

だが、アルマエルマは動じず、微笑みを浮かべるその表情も一切変えずに、その3人の連撃すらも全て尻尾で防がれ、押さえられ、弾き返される。

アルマエルマ「ふふっ…少しでいいから、尻尾の快楽を味わってみたいでしょう?」

ルカ「う、うるさい…!」

アルマエルマ「ほんのわずかでも、剣を止めればいいだけ。それだけで、最高の快楽が味わえるのよ…くすっ♪」

アルマエルマの言葉に、僕の心は乱れそうになる。

 

不意に、アルマエルマの尻尾が横に薙ぎ払われる。

カムロウとジョージは吹き飛ばされる。

そして、ルカの体は、アルマエルマの尻尾に巻き上げられてしまった!

アルマエルマ「ほぉら…つかまえた♪」

アルマエルマの尻尾が、くぱっと口を開いた!

アルマエルマ「覚悟してね…たっぷり気持ちよくしてあげるから♪」

ルカ「は…離せ…」

ルカは必死にもがいた!

アルマエルマ「あらら、逃げるつもり?せっかく、天国を見せてあげようと思ってるのに…」

尻尾はどんどんと近づいて来る…

 

カムロウ「うぅ…!」

あまりの実力差に、悔しさがこみ上げる…

…七尾と戦った時と、同じ感覚がカムロウを襲った。

体の底からドロドロと、力が沸き上がってくる。

カムロウ「ウゥゥ__」

パヲラ「___お待ち!カムロウちゃん!」

呼びかけられて、カムロウは正気に戻る。

パヲラ「今、ドラゴンになろうとしたでしょ!?」

カムロウ「えっ…!?」

その通りだ。あのままでいれば、七尾の時と同じようにドラゴンになっていたはずだ。

カムロウ「で、でも…」

そうでもしなければ、アルマエルマに勝てない__

パヲラ「__忘れたの!?きほんの「ん」!」

大技はここぞで使え…パヲラから教わった戦場の基本だ。

カムロウ「…!」

パヲラ「ドラゴンに変身したとしても、重さで甲板が壊れるか、吐く炎で船が燃える!どうしようもないときの大技で、戦況をひっくり返すことはできっこないわ!」

カムロウ「うぅぅ…」

でも…あのままではルカがやられてしまう!

どうすれば…どうすれば___

 

カムロウ「___うわああああ!!!」

カムロウが叫んだ瞬間、雲に稲妻が走り、船に落雷が降り注いだ!

ルカ「雷…!?」

ルカは尻尾の拘束を解いて退避した!

アルマエルマ「!?」

雷はアルマエルマに向かって落ちる!

しかし、アルマエルマは回避した!

ルカ「今…何が起きた!?」

甲板の床が、プスプスと煙を放ち、黒く焦げている。

今、確かに雷がアルマエルマを狙って落ちたように見えた。

アルマエルマはすんでのところで躱したようなので、当たることはなかったが。

カムロウ「…???」

カムロウは、右手を振り下ろした状態で呆然としていた。

どうやら、カムロウは自分が何をしたのか全く分かっていないようだ。

だが、僕達は何をしたのかが分かった__

 

__カムロウが雷を落とした。

 

嘘みたいに聞こえるが、そう言わざるを得ないのだ。

確かにその瞬間を、僕達は目撃したのだ。

ルカ「ぐっ…」

とはいえ、やはり生半可な強さではない。

半端な攻撃は、まるで通用しないようだ。

ルカ「こうなったら、あの技を…!」

天魔頭蓋斬…教わったばかりで、実戦では初使用。

不安は残るが、やるしかない!

ルカ「みんな、アルマエルマの隙を作って!」

けどあの技は、高所から飛び降りなければ使えない。

どうにか隙を作って、その間にマストによじ登る必要がある。

ラクト「へっへっへ…隙を作れってか?」

どうやらラクトは自信があるようだ。

ラクト「時間稼ぎなら俺様に任せろ!」

そういうとずかずかと、僕達を押しのけ前に歩み出る。

ラクト「下がってろお前ら!俺には切り札があるんだぜ!」

ルカ「き…切り札だって!?」

ラクト「俺の切り札は…」

そう言うとカバンに手を突っ込む。

ラクト「これだあああぁぁぁ!!!」

ラクトがカバンから取り出したのは___

 

 

___横に切られた一枚の札だった。

アルマエルマ「…それは?」

カムロウ「えっと…?」

マモル「お札ぁ?」

ジョージ「切られた札…「切り札」でござるか?」

ラクト「そう!切った札で「切り札」!イカしたジョークだろ?」

ジョージ「おぉ!確かに切り札でござる!」

マモル「こりゃ一本取られた!」

カムロウとアルマエルマ以外の三人はゲラゲラ笑い始めた。

その背後から、鬼の形相をしたチリは右手でデカいハンマーを持ち、左手でラクトの後頭部を掴む。

チリ「おい、ツラ貸せ___」

 

 

__ラクトは、ルカ、チリ、パヲラの三人にボコボコにされていた。

パヲラ「てめぇ!戦闘中だってのにふざけやがって!!!」

ルカ「隙を作れとは言ったけど、何やってんだお前!!!」

チリ「ナメてんのか!あぁ!?なんとか言えよ!!!」

ラクト「ゴメンなさい!本当にゴメンなさい!!」

アルマエルマはその一部始終を真顔で見ていた。

アルマエルマ「(…どう、声を掛けたらいいのかしら。)」

 

ラクト「わ、悪い!悪かった!本当はこっち…」

ゴソゴソとカバンを探り、中から何かを取り出す。

…粘土で出来た小さな人形だった。

……そんな土くれの人形でどうするつもりなんだ?

ルカ「お前って奴は…」

パヲラ「次から次へと…!」

チリ「ふざけやがってぇ…!!」

ラクト「待てって!今度はマジなんだって!!!」

後ずさりしながらラクトは慌てている。どうやら、今度は本当のようだ。

ラクト「行くぜ!ゴーレム!」

ラクトは土の人形に魔力を込め、前に投げた!

すると土人形は人間の大きさよりも大きく巨大化した!

ルカ「お、大きい…なんだこれ!?」

ラクト「マモルの式神ってやつを見て思いついたんだ!出来れば、別に作ってるアレもお披露目したかったけどな!」

そういえばラクトはこの前、マモルから何かを教わっていた。

このゴーレムは、その時に作ったものなのだろうか。

巨大化したゴーレムの右肩にラクトは乗る。

ラクト「俺はお前らみたいに武器をつかったり、すごい超人的な力は持ってねぇ!だから、俺の代わりにこいつ(ゴーレム)で戦わせれば良いんだ!」

そして肩に乗りながら、ゴーレムと共に決めポーズを決める。

ルカ「そうか!そういう戦い方があったか!」

ラクトの言う通り、彼は僕のように剣を使ったり、パヲラのように魔力で身体能力を強化するような術がない。生身の人間なのだ。

なので、ゴーレムを代わりに戦わせれば安全だ!

…だが、決めポーズをしたまま、一向に動く気配がない。

ルカ「…なんで動かないんだ?」

ラクト「…あー…こいつ(ゴーレム)に意思とか自我とかないから、俺が操る必要があるんだ、さながら操り人形(マリネット)…操り土人形(ゴーレム)ってか?」

ルカ「………」

本当に大丈夫なんだろうか…

 

ラクト「行くぜぇ!行くぜぇ!!行くぜぇ!!!」

ゴーレムは剛腕を鳴らし、アルマエルマに攻撃を仕掛けた!

まずはラリアット、しかし避けられる。

振り向きながら左フックで殴りかかるが、これも避けられる。

避けられた瞬間に、アルマエルマは尻尾の口から粘液を飛ばした!

ゴーレムは左腕で防ぎ、右腕で殴りかかる。

アルマエルマは華麗に避け、尻尾を左腕に突き刺した!

すると、ゴーレムの左肩が崩れてしまい、左腕が落ちてしまったた!

アルマエルマ「見かけの割には、随分脆いわねぇ。」

ラクト「ああ。ただの土だしな。確かに防御力は皆無だ。」

ゴーレムは右腕を伸ばし、落ちた左腕を拾った。

ラクト「だけど、再生能力ならピカイチだ!」

するとゴーレムの左腕は吸収され、欠けた左肩と左腕が元に戻っていく。

ラクト「体が欠けても、欠けた部位とか土や砂を吸収すれば、すぐに元通りになる!」

アルマエルマ「ふぅん…」

ラクト「再生力!それがこいつ《ゴーレム》の一番の強みだ!」

ラクト「それによぉ…」

指パッチンをした。

すると、ゴーレムの背中から何本も腕が生えた!

ラクト「こいつは粘土細工なんだ、腕を増やすことだってできるんだぜ?」

アルマエルマ「そんなに増えた手で、いったい何が出来るのかしら?」

ラクト「お好み焼き何個もひっくり返せるぜ!」

 

ラクト「ぶちかませぇ!ゴーレム!」

ゴーレムは何本もの腕で連撃、ラッシュを仕掛けた!

アルマエルマはそれらを尻尾で防ぐ、避ける、受け流すを繰り返している。

すると、ラクトは振り向き、カムロウに向かって叫んだ。

ラクト「相棒!さっき雷落としたろ!?もう一回落とせ!」

カムロウ「えっ…!?そんなの、できない__」

 

ラクト「__俺は信じてるぞ!」

カムロウ「…!」

信じている…ならば、ぼくはその期待に応えるしかない!

さっきやったことを必死に思い出し、同じことをする。

体に魔力を込め、右手を空に掲げる!

暗く、稲光のする黒い雲に目線を向け、稲妻を掴むよう意識する…

…感覚ではあるが、今、確かに掴んだ!

カムロウ「落ちろぉ!」

感覚で掴んだ雷を、アルマエルマに向かって落とすように、右手を振り下ろす!

すると、再び雷が降り注いだ!

アルマエルマ「また…?」

しかし、再び避けられてしまった。

カムロウ「ご、ごめん。やっぱり避けられた…」

ラクト「いいや、避けるのは想定内だ!よくやった!」

ラクトはカムロウに向かってサムズアップした。

そしてすぐに、ルカの方に振り向いて叫ぶ。

ラクト「これでいいんだろ!?ルカ!!」

ルカ「あぁ!それで良い!」

なにが良いかというと、今、アルマエルマが立っている場所だ。

さっき、雷を避けたことでちょうどマストの真下に立っているのだ!

ここなら、天魔頭蓋斬が十分命中する位置だ!

ルカはマストによじ登り、そこから身を躍らせた!

ルカ「これでどうだ!天魔頭蓋斬!」

アルマエルマ「…きゃっ!?」

強烈な一撃が、アルマエルマの脳天に迫る___

 

___真剣白刃取り。アルマエルマは、刃を両掌で挟んで受け止めた!

ルカ「そ、そんな…!」

渾身の一撃でさえ、いとも簡単に防がれてしまった。

これではもう、他に打つ手などない___

 

アルマエルマ「___あはっ、私の負けみたいね♪」

ルカ「え…!?」

カムロウ「え…!?」

ラクト「はぁ…!?どういうことだよ!?」

アルマエルマ「約束したでしょう?手も足も、魔法も使わないって。」

確かに、アルマエルマは手も足も魔法も使わず、尻尾だけで戦うと言っていた。

アルマエルマ「そのつもりだったのに、つい手を使っちゃったわ。だからこの勝負、ルカちゃんたちに勝ちを譲ってあげる。」

__僕たちの勝ち?

 

アルマエルマ「そういう事でいいですよねぇ、アリスフィーズ様…?」

アリス「貴様がそれでいいなら、余の関知するところではない。」

アルマエルマ「くすっ…そういう事よ。今回は、退いてあげる。

アルマエルマは人差し指を立て、

アルマエルマ「でも…次に会った時は、本気で相手をしてあげるわ♪」

それをれろり…と舐め上げる。

パヲラ「わお。」

アルマエルマ「じゃあ…楽しみにしていてね♪」

船上に、またも一筋のつむじ風が吹き、そして、アルマエルマは一瞬で姿を消してしまった。

 

アルマエルマを追い払った!

 

カムロウ「消えた…」

ルカ「勝った…のか…」

アルマエルマが去った後、僕は船上で立ち惚けていた。

ルカ「この僕が…四天王を相手に…勝ったんだな…」

四天王の一人を撃退した。勝利の喜びが、じんわりと体を駆け巡っていく。

アリス「…両手両足、おまけに魔法を使わなかった相手に勝って、そんなにうれしいのか?」

チリ「私達、遊ばれてたって感じがする…」

ルカ「うぅぅ…」

確かに、ものすごいハンデ戦ではあったけど。

ラクト「な…なんでもいいぜなんでも。脅威が去ったってんなら、それで俺は十分だぜ…」

そう言うとラクトはぐったりする。

ルカ「…アルマエルマが本気を出していたら、やっぱり僕たちは勝てなかったのか…?」

ジョージ「恐らくは…いや、確実でござるな。」

マモル「アッシらの攻撃をほとんど、尻尾だけで防いだんですよぉ。しかも尻尾が傷付くこともなく。」

アリス「尻尾だけで戦っていた相手に、あれだけ苦戦したのだぞ?勝てる勝てない以前の問題だ、相手にもならん。」

ルカ「………」

ひどい言われようだが、実際のところ間違っていないだろう。

だけど僕は、まだまだ強くならなければいけないのだ!

 

 

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