もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第44話 数日後…

__コロポ村に滞在して3日が経った。

天気は晴れ、空には積雲、綿菓子のような雲がいくつか点々としている。

カムロウの修行が終わるまでの間、僕達は建物の修復を手伝っていた。

といっても、修繕作業自体は村の人達で足りているらしいので、資材の搬入ぐらいしかしてないけど。

今、ちょうど正午近くになったのでお昼休みにしようとしていると、通りかかった空き地にラクトとパヲラがいた。

パヲラは岩の上に座っており、ラクトの前には木で出来た的当てがあった。

ルカ「何してるんだ?ラクト。」

ラクト「お、ルカか。見りゃわかるだろ。」

ルカ「分からないから言ってるんだけど…」

ラクト「あぁ~ん?」

これだよこれと言うような表情をしながら、ラクトは手に持っている物を見せてくる。

それは、とても銃とは思えない見た目をした銃だった。まるでおもちゃだ。

ラクト「試し撃ちだぜ。やっと新兵器が完成したんだ。今、最終テスト中でな。」

ラクト「俺様が開発した新兵器…命名して、「魔導銃モダングリモア」!!」

パヲラ「銃って言うけど、それ猟銃より随分小さいじゃない。」

そう。猟銃よりも小さいのだ。いや、コンパクト、小さくまとまってあると言ったほうが的確だろう。

ラクト「デカいと取り回しが悪いんだよ。素早く動くにはこれくらい小さくねぇとな。それにこいつ(魔導銃)は魔力を弾丸にするから、銃弾を入れる機構も、そもそも銃弾も必要ねぇんだ。だから小さいし、まだまだ拡張できる可能性も秘めてる!」

ラクト「あるのは魔力を放つ機構と、中でルーン魔導を発動させる機構だけ!今までよりもずっと早く、簡単に魔法を放てるぜ!」

…機構?

ルカ「それって…どういうやつなんだ?」

言ってることがとてもよくわからず、話に付いていけない。

ラクト「まずは魔力を放つ機構は、体を通して魔力を集めるようになっていて、ようは自動供給ってやつだな__」

すごい早口で言い始めた。

ラクト「__それでルーン魔導を発動させる機構は、中であらかじめルーン文字を自動で描くようになってるから、自分が放ちたいと思う魔法をすぐに描いてくれて__」

ルカ「へぇ。」

パヲラ「ふーん。」

なんかよく分からないから無視することにした。

ラクト「お前ら興味すらねぇのか!あーはいはいそうですか!そうですか!!」

 

チリ「みんな、ここにいたの?」

遠くから声が聞こえた。振り返ってみると、チリとアリスがいた。

アリス「どうした、昼飯を食いに行かないのか?今日は茸の炊き込みご飯らしいぞ。」

ラクト「キノコ…白米はねぇのかぜ?」

チリ「白米もあるって。」

パヲラ「あーん早く行きましょ!あたしお腹ぺこぺこ!」

カムロウは後で来るとして、先に昼食をとりにいこう。

そうして、僕達は空き地から離れる。

すると、歩きながらアリスが僕に質問を投げかけてきた。

アリス「ところで、カムロウの修行が終わった後どうするのだ?目的地などのあてはあるのか?」

ラクト「そういや、行きたい所があるって言ってたよな。」

ルカ「ああ、ここから西にあるサン・イリア城に向かうよ。そこのお城もイリアス信仰が非常に盛んで、旅の勇者を歓迎してくれるらしいんだ。」

そこの王様は、勇者に道を示してくれるという。

サン・イリア王は、迷える僕にも道を示してくれるかもしれない。

アリス「…ニセ勇者も歓迎してくれるのか?」

ルカ「こ、心は勇者なんだよ!」

チリ「刺すなぁ…」

サン・イリア城は教会都市であり、王様も偉い大神官様。

勇者に道を示してくれる賢者であり、ぜひ訪れておきたいところなのだ。

アリス「ふむ…あまり行きたくないところだな。料理もマズそうだ…」

ラクト「あぁ…またこいつは…」

やれやれ、やっぱり食い物のことか…

 

 

 

 

__同時刻。コロポ村、鍛錬場。

村よりも高い崖の上にあるその場所には、カムロウと、その父ハーレーがいた。

カムロウ「うわあああああ!」

いきなりカムロウは突風に飛ばされていた。

ハーレーは木刀に風を纏わせ、構えつつその場で動かないでいる。

ハーレー「まだまだ、だな。「風」を使い切れていない。」

カムロウ「だからって吹っ飛ばすことは……」

文句を言いながらも、カムロウは立ち上がる。

ハーレー「なんだ、俺の教え方が下手だと?」

カムロウ「いや、そういうわけじゃないけどさ…」

今は木刀を使って実戦形式の鍛錬中。

僕にとっては、一番戦いやすく、覚えやすい鍛錬の仕方だと感じるけど…

父さんとの鍛錬はむちゃくちゃだと思う。

だって手加減してくれないから。

僕は木刀を握り締め、再びハーレーに攻撃を仕掛ける。

木刀同士が叩きあう最中、父さんがあることを聞いて来る。

ハーレー「お前の戦い方…ある程度の技は、友人から教わったか?」

カムロウ「そうだね…剣術とか、戦術とか、魔法とかは。」

剣術の内、突きはルカからある程度は教えてもらったり、見て学んだ。

魔法はラクトから、戦術はパヲラさんから。

魔法に関しては、最近パヲラさんの授業のおかげで文字を読めるようになったから、読み始めた市販の魔導書がある。なので、まだまだ覚えることが多くある。

ハーレー「お前はラーニング…技を見たり経験したりするとすぐに自分の技に出来る。俺の風薙ぎ(かぜなぎ)を覚えたのもそのおかげだろう。」

えっ?そうなの?

意識してなかったけど、父さんがそう言うのなら間違いないだろう。

ハーレー「だが、技は真似るだけ、形だけ覚えるだけでは意味がない。現に、お前が覚えた風薙ぎ(かぜなぎ)は不完全だった。」

確かにそうだ。

前の僕は、風を放つ技を風薙ぎ(かぜなぎ)と思っていた。

しかし本当は、剣に風を纏わせる技であった。

父さんから教わったことがなかった…いや、教わろうともしなかったため、見よう見真似で覚えた風薙ぎ(かぜなぎ)は不完全なものだった。

真の風薙ぎ(かぜなぎ)は、炎を切り裂き風をも薙ぐ風の剣である。

そして今、その風の剣の極意や、父さんの技を教わっている真っ最中なのである__

ハーレー「__あぁ、そうだ。一応言っておくが、もう俺の持つ技は全部叩き込んだぞ。」

カムロウ「えぇ!?」

なんだって…!?

ハーレー「もう1日目あたりで教え終わった。」

カムロウ「えぇぇ!!?」

なんだってぇ…!?

ハーレー「なんなら、もうこれ以上教えることすらないぞ。」

カムロウ「えぇぇぇ!!!?」

なんだってぇぇぇ…!!?

えっ!?これからどんどん新しいのを教えてもらうんじゃなくて!?

()()()()()()()()()()

いや確かに…まだ使うことすらままならないが、1日目で教えてもらったといえばそうだ。

風で相手の攻撃を巻き込んで跳ね返す技とか、勇者ノ風(グラディリオン)とか、そういうのをやたらめったに立て続けに教わった。

正直言うと、あの日はハードスケジュールだったと今でも思う。

ハーレー「ぬん!」

父さんは隙を突いて、再び突風を放って僕を吹き飛ばしてくる。

カムロウ「うわまたっ!」

吹き飛ばされつつもなんとか体勢を整える。

カムロウ「何かこう…ないの!?必殺技とか奥義とか、本当はそういうのあるでしょ!?ルカやパヲラさんだって持ってるのに!」

ハーレー「そういうのは自分で考えたらどうだ?言ったはずだ。「後は自分なりに強くなれ」と。」

カムロウ「確かに言ってたけど…」

てっきり、この1週間でみっちり教えてもらうと思っていたのに…

こんなの、聞いてない。

…それもそうか。今、言われたことだし。

カムロウ「じゃあ、さっきまでの鍛錬は何だったんだよ!?」

1日目で教え終わったのであれば、それ以降の、これまでの鍛錬は一体何のために…?

ハーレー「お前のラーニングの能力を向上させるためだ。」

カムロウ「…?」

さっき言ってた、見たり経験したりするとすぐ自分のモノにできるっていう?

そんなことのために、今まで鍛錬をしていたというのか。

ハーレー「人が異なれば、使う剣も技も異なる。人次第で技量は変化する。「風」は変幻自在であるがゆえに型など存在しない。」

ハーレー「俺の戦い方は基本にして奥義だ。そしてお前は、「お前の戦い方」を見つけろ。」

…僕はブスーッと、ふてくされた顔をした。

カムロウ「…なんで、僕の戦い方を?」

イマイチ、理解できない。

父さんの戦い方をそっくりそのまま、教えてくれればいいのに。

なぜ戦い方を見つけろなんて言うのだろうか?

ハーレー「カムロウ、お前はなぜ、強くなりたい?」

カムロウ「それは…みんなを守るためだよ。」

ハーレー「…お前はまだ、()()()()()()()ことがある。()()を理解することが、最後の課題だ。」

カムロウ「……?」

()()()()()()()…?

どういうことなのだろうか?

理解できず、ますますふてくされた顔をする。

ハーレー「昼の休憩にするぞ。終わり次第、鍛錬の再開だ。」

父さんは木刀を納刀しながら去っていく。

結局、意味を理解できずに終わった。

なんだろうか、()()()()()()()ことって。

でも、父さんのことだ。

その()()()()()()()が、僕にとって最後の壁だと思う。

なぁに、まだ4日も残ってる。

父さんとの鍛錬に励めば、その内分かるはずさ___

 

___なんてことを考えていたら、近くの地面にグサッと矢が刺さった!

その矢は姉のリンドウが使ってる矢だ。リンドウは弓術が得意だ。

地面に刺さったその矢には赤色の着いた紙が巻かれていた。

この前、村が魔物の襲撃に合った後、村で決めたという合図。

この合図の意味は…村が襲撃に合っているという意味だ!

こんな時に…!?

ただでさえ村は修復中の建物ばかりだし、村の門も直ったわけでもないのに…

しかし、考えている暇はない。

今すぐに村に行かないと!

よし行くぞ__

 

__ん?待てよ?

立ち止まってあることに気付いた。

ああ、そうだった!なんてこった!

僕の装備である鋼鉄の剣と鉄の盾は、この前の父さんとの決闘で傷付いたから修理に出してる!

だから今、手元に十分な武器がない!

それにしばらくは戻って来ない!

ああ、どうしよう…

う~ん…本当にどうしよう…

悩んでいる時間なんてないのに。

……今、手元にあるといったら、木刀しかない。

しょうがない、気休めにしかならないだろうけど…

僕は木刀を持って村に向かって駆けて行った__

 

 

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