もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第46話 覚悟と決意の龍変身

コロポ村、門前。空は曇り。やや生温い風が吹く。

ルカたちは、謎の人物たちによる襲撃に応戦していた。

 

ルカ陣営は__

勇者見習い(ニセ勇者)のルカ。

魔力で身体能力を上げる魔導拳の使い手パヲラ

氷壁をも粉砕する巨大なハンマーをぶん回すチリ。

新兵器、魔導銃を使うマフラーの青年ラクト。

父親から剣を借りるも重くて扱いきれないカムロウ。

ドラゴンに変身したままのカムロウの姉リンドウ。

大剣を携えたカムロウの父ハーレー。

 

対する相手陣営は__

燃える斧の戦士ヤキニ・クスキー。

氷の魔導士ユキオイ・エティ。

緑草の狙撃手モロ・ヘイヤ。

沸騰する血の狂戦士ゲキオ・コリン。

 

カムロウの父ハーレーは、血の狂戦士と交戦中であり、ルカ達はその他の敵と戦う途中である__

 

 

ルカ「__戦士は僕とカムロウ、魔導士はチリとラクト、狙撃手はパヲラとリンドウさんで!」

パワータイプの燃える斧の戦士は僕とカムロウで。

氷の魔導士は氷を破壊できるチリと、サポートでラクト。

緑草の狙撃手は素早い身のこなしが得意なパヲラとドラゴンに変身しているリンドウで。

ハーレーが血の狂戦士の足止めしている間に、残りの3人を倒そう!

 

 

__燃える斧の戦士VSルカ、カムロウ。

 

ルカ「__とは言ったものの、どうしようか…」

肝心の炎の斧についてどう対処するべきか考えていなかった。

斧から噴き出る炎のせいでうかつに近づけないのだ。

斧の戦士は、斧から燃え盛る火炎を放ってきた!

ルカ「カムロウ!炎を消せるか!?」

カムロウ「風薙ぎ(かぜなぎ)でやってみる!」

カムロウは重い大剣を掲げて、風の衝撃波を放った!

前よりも威力が上がり、大きくなった風の塊は、迫りくる火炎、そして斧の炎をも、かき消した!

ルカ「今だ!行くぞっ!雷鳴突き!」

ルカは雷鳴のように踏み込み、鋭い突きを繰り出した!

当たった…が、

まだ封印の決定打にはならないようだ。

斧の戦士は、再び火を点火して、斧を燃やし始めた。

カムロウ「あーもー!これ重いっ!!」

ズシンッと、重い大剣を地面に叩き付ける。

ルカ「それ、そんなに重いのか?」

カムロウ「すんごく重い!一振りするだけでも一苦労だよこれ!」

今のカムロウは、父ハーレーから借りた剣を使って前線に立てるような状態じゃない。

それに戦闘の最初に真価を発揮する雷鳴突きも使ってしまった。

今、使える剣技は魔剣・首刈りしかない。

やたらめった斬りは…あれは技じゃないし、

天魔頭蓋斬を使おうにも、崖だと離れすぎて届かないだろうし、ボロボロの門だと倒れそうで危ない。

カムロウに炎を消してもらおうにも、一振りするだけでも一苦労な剣であれば、いつか体力が底をついてしまうはずだ。剣を振り回すのも、後は数回程度しかないだろう。

…あと何回攻撃を当てれば倒せるんだ?

……この調子で勝てるのか………?

 

 

__氷の魔導士VSラクト、チリ

ラクト「おらあああああ!!!」

チリ「はあああああ!!!」

迫りくる氷壁と氷塊に対し、ラクトは炎の弾丸を何度も何発も連射し、チリはハンマーを振り回して破壊した!

チリ「ラクト!また氷壁を作られないのうちに__」

__次の瞬間、ラクトは息切れを起こしていた。

ラクト「ちょ…タンマ……」

チリ「えっなにしてるの。」

一息ついてから、ラクトは喋った。

ラクト「わっりぃ、ガス欠(魔力切れ)。」

チリ「なんで!?」

ラクト「いや…これ(魔導銃)よ、便利すぎてついつい撃ちすぎちまって…魔力がもう空っぽになっちまった。」

チリ「嘘でしょ!?私だってこれ振り回すの楽じゃないのに!!」

ラクト「ああ、最悪だな…どうすりゃいいんだこりゃ……」

 

 

__緑草の狙撃手VSパヲラ、リンドウ。

森林の間から、複数の毒の矢が飛んでくる。

リンドウ「矢、来たよ!」

パヲラ「はーい、まかせて頂戴!」

パヲラは力いっぱい魔力を手に込め、空を舞う矢を打ち落とすべく無数の衝撃波を放った!

パヲラ「カー()!」

狙撃手が放つ矢をパヲラが対処し、リンドウが破壊光線(ドラゴンブレス)で狙撃手を倒す…はずだった__

リンドウ「__あーもー!また消えたっ!」

緑草の狙撃手は草木に溶け込むほどの迷彩で見つけづらいうえに、木々の間を跳んで移動している。

発見したところですぐに移動されてしまい、攻撃を当てることすら難しいのだ。

パヲラ「当てれさえすればいいのに…らちが明かないわねい!__」

 

 

__カムロウは、みんなの様子を眺めていた。

…このままじゃ勝てない。

自分も、この重い剣を使って勝てるような状態じゃないのに、いったいどうすれば……

 

 

 

そうだ。まだ、()()()()()ことがある。

カムロウは、あることを決心した。

カムロウ「ルカ…一か八か、(ドラゴン)に変身してみる…!」

ルカ「!? 大丈夫なのか!?」

七尾と戦った時以来、ドラゴンには変身していない。

だが、迷ってはいられない。躊躇してはいられないのだ!

今、変身しなければ、みんなを守れないと思ったからだ!

カムロウ「多分…だけど、試してみるしかない。変身したら、僕に任せてほしい。」

ルカ「…分かった。けど、無理はするなよ。」

カムロウ「うん、わかった。」

ルカはカムロウから距離を取る。

カムロウ「………」

瞼を閉じ、大きく深呼吸をする。

あの時のことを、静かに思いだす。

その身に秘めた力を、身体の奥底から、湧き出すように__

カムロウ「_はあああああ!!!」

カムロウの身体中から稲妻が迸る!__

 

__カムロウはドラゴンに変身した!!

 

ルカ「やっぱり…あの時と同じ姿だ!」

ラクト「あぁ!?アイツ、ドラゴンになりやがったぜ!?」

チリ「また暴走…ってわけじゃないようだけど…?」

パヲラ「こうしてみると、お姉さんとそっくりねぃ。」

リンドウ「そう?まぁ、姉弟だし…」

ハーレー「(……こうなると、俺がおまけみたいだな。)」

二つの角、太く鋭い爪、全身に生え揃う鱗、コウモリのような大きな翼、うねる長い尻尾。

四足で地を立つその姿は、間違いない。

七尾と戦った時に変身したドラゴンと同じ姿だ。

しかし、あの時とは違って暴走する気配はない。

いや、自我を保っているというべきか。

暴走するのではないかと少し心配はしたが…よかった、安心した。

 

カムロウ「(……大丈夫そうだ。)」

改めて、ドラゴンの姿になった自分の姿と、視点を見る。

あの時とは違って、今は落ち着いている。

身体も問題なく動かせる。

つまり…この姿で戦える!

 

ルカ「大丈夫そうか?カムロウ。」

カムロウはドラゴンの姿のまま頷いた。

どうやらこの姿だと、人間の姿みたいに喋ることができなさそうだ。

ルカ「良かった…さぁ!行ってこい!」

カムロウは竜の雄叫びを上げながら、戦いに身を投じた!

 

まず相手するのは燃える斧の戦士だ。

燃え滾る炎の斧を持つ巨漢を前に、鼻息を荒げながら四足の脚で立つ。

さっきは斧の炎のせいで近づくことさえできなかったが…今の体なら!

 

燃える斧の戦士は、燃え盛る火炎の塊を投げつけてきた!

…しかし、カムロウには効かなかった!

炎の塊は、カムロウのドラゴンの体、生え揃った竜鱗に当たったが、熱さは感じなかった。

やはりこの体なら、炎に耐性があるようだ。

よし、今度はこっちの番だ!

カムロウは竜の爪(ドラゴンクロー)を振り下ろした!

戦士は、斧を使って防御した。

しかし、カムロウはその斧ごと戦士を叩き伏せた!

鉄をも裂く爪を前に、ただの斧などで防げるはずがないのだ。

 

ルカ「よし!これで、戦士は倒せたぞ!カムロウ、あと二人だ!先にラクト達を!」

カムロウはチリ、ラクトのいる方向に振り向く。

遠くで二人が、氷の壁に囲まれていたのだ。

まずは彼らが逃げれるように退路を作るべきだ。

カムロウは炎の吐息(ヒートブレス)を吐き出した!

燃え盛る、灼熱の炎は、分厚い氷壁を溶かした!

ラクト「おお!いいぞー!カムロウ!」

カムロウが作ってくれた退路から、チリとラクトはその場から離れた。

そしてカムロウは、そのまま、炎を吐き出し続けて全ての氷壁を溶かす。

すると、壁の向こうに氷の魔導士が見えた!

チリ「気を付けて!近づこうとすると、氷を飛ばして凍らせようとしてくるの!」

注意を聞きつつも、カムロウは前進する。

すると、チリの忠告どおり、魔導士は氷の槍を放ってきた!

避けようとしたが、間に合わなかった。

二本の前足が凍ってしまった!

どうやらこのドラゴンの体は、思った以上に俊敏に動くことができないようだ。

人の姿だったら避けれたと思う。

しかし、今はドラゴンの姿だ。

こうも脚を凍らされては動けない。

どうしようかと悩む間に、カムロウはちらりと、ルカを見た。

ルカがチリの方に駆けて向かっているのが分かった。

その時、自分の役割が何なのかをすぐに理解した。

時間稼ぎだ。おとり作戦だ。

魔導士に攻撃するのは自分ではなくルカだ。

ならば!と言わんばかりに、カムロウは炎を吐き出し続けた!

脚に着いた氷を溶かしながら、魔導士が放つ氷を溶かしながら、ルカが来るまでの時間稼ぎを__

 

ルカ「__チリ!飛ばしてくれ!」

チリ「よしきた!乗って乗って!」

ルカはチリのハンマーに乗った。

そして、チリはルカを、氷の魔導士を目標にして全力でぶん投げた!

チリ「投撃(カタパルト)!射出、の!!」

ルカ「魔剣・首刈りだあああ!!!」

空を飛び、宙を舞い、狙うは魔導士の首、喉元。

氷の魔導士は飛んでくるルカに気が付いた…が、時すでに遅し。

ルカは懐に潜り込んで、喉元に突きを繰り出した!

氷の魔導士は小人の姿に封印された!

ルカ「ふぅ…なんとかなったな。」

魔導士だから戦士よりも頑丈じゃないのか、魔剣・首刈りだけですぐに封印できた。

こんな姿になっては、魔法を放つのも無理だろう。

あと残るは緑草の狙撃手だけだ__

 

 

リンドウ「__カムロウ!手伝って!」

赤いドラゴンの姿のままのリンドウが、カムロウを呼んだ。

カムロウはリンドウの近くに寄る。

リンドウ「私と一緒に、向こうの木々を吹き飛ばして!分かった?」

カムロウは頷いた。

そして、リンドウの横に並び、深く息を吸い込む。

炎を吐き出せば山火事になる。

だとすれば、あの木々を吹き飛ばす方法は一つしかない。

あの時、七尾を圧倒したあの光線を__

 

__リンドウとカムロウは口から群青色に輝く、全てを破壊する光線を放った!

カムロウ「(破壊光線(ドラゴンブレス)!!!)」

リンドウ「破壊光線(ドラゴンブレス)!!!」

二人は群青の光線を薙ぎ払い、木々を吹き飛ばした!

倒れていく木の間から、緑草の狙撃手が落下しているのが見えた!

リンドウ「やっと姿を現したね。周りに木が無ければ、飛ぶ場所も隠れる場所は無くなる!逃げる場所なんてもうない!」

高らかにそう宣言するリンドウの後ろで、ラクトは小声で喋った。

ラクト「…いやこれ、もう、ごり押しじゃねぇか?」

ルカ「シーッ!そういうのは言わない方が良いよ!」

チリ「……そういえばパヲラさんは?」

ルカ「…あれ?どこにいったんだ?」

言われてから気が付いた。パヲラの姿が見当たらないのだ。

おかしいな…さっきまで姿は見えていたのに……

リンドウ「あぁ、あの人は、もう()()()()()()()()。」

ルカ「えっ____」

 

___パヲラはすでに、狙撃手の背後、近くまで接近していた!

パヲラ「そして仕上げはこのあたしよぉぉ!」

狙撃手の後ろから飛び上がり、

拳を、渾身の一撃を、振り下ろした!!

パヲラ「過激(オーバー)オール!!!」

後頭部に、思いっきり叩きつける!

その拳は、地面がひび割れるほどの威力だった。

頭から地面にめり込んだ緑草の狙撃手は、そのまま、ピクリとも動くことはなかった。

ルカ「あぁ、そういう…」

カムロウとリンドウで森林を薙ぎ払い、隠れる場所が無くなり出てきたところをパヲラで叩く。

そうか、そういう作戦だったのか。

パヲラ「どぉ?見た見た~?あたしの渾身の一撃~?」

パヲラはその場で、喜びの舞のような、くねくねとダンスをし始めた。

その動きは、遠くからでもくねくねと動いているのがよくわかる。

リンドウ「ナイスです!パヲラさん!」

ラクト「うわ、あの動き気持ちワリィ。」

ルカは再び、そういう事は言わない方が良いと言いそうになったが、黙ることにした。

ルカ「(こいつ、後でパヲラにコテンパンにされるんだろうなぁ。)」

 

チリ「とにかく、これで後は…」

ルカ「あぁ、あとは狂戦士だけだ。」

戦士、魔導士、狙撃手の三人を再起不能にした。

残るは沸騰する血の狂戦士だけになった。

後はハーレーに加勢して、戦いを終わらせよう___

 

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