もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第50話 結託!デコボコ隊

___時は回帰し、夕方のコロポ村。

部屋は薄暗い橙色の光で照らされている中、

ジョージとマモル。暗い顔をした二人の、過去の話が終わった。

ジョージ「今、話したので全て……」

いつの間にか、アリスが横で天ぷらうどんを食べながら話を聞いていた。

アリス「そうか…お前たちにはそんなことが……」

カムロウ「うわっ!?」

ラクト「お前、いつの間に!?」

こいつ…いつから聞いてたんだ?

ジョージ「そして…ナタリアポートで勇者殿と別れた後、イズクの手がかりを掴むことができ、後を追って奴と対峙こそしたものの…すでにイズクは反魂鏡の力を使いこなしており……」

マモル「あの野郎が使()()する奴らに手も足も出ずに……」

ラクト「それで、なんとか逃げてこの村に来て、今に至るってわけか……」

これで、二人に身に何があったか判明した。

彼らは、因縁の相手に挑んだが返り討ちに合い、命からがら逃げ延びて来たのだ。

 

チリ「あの…使()()っていうのは……?」

マモルは懐からガサガサと紙切れを取り出し、それを見ながら話を続けた。

マモル「反魂鏡というのは…この現世と、死の世界を繋ぐ鏡でして…勇者様たちが戦ったっていう奴らは、イズクの持つ反魂鏡で呼び寄せられた、あの世の住人なんですねぇ。」

ラクト「つまり…ゾンビってことか?」

マモル「まぁ、似たようなもんですねぇ。」

チリ「いや、ちょっと違うんじゃない?」

僕もそう思う。

ゾンビというのは、生ける屍だ。動くはずのない死体が、何らかの力で動き出したモノを指す。

マモル「それで、呼び寄せた死者の魂を、イズクは反魂鏡を使って操ってるそうでぇ…」

パヲラ「つまり…死霊術師(ネクロマンサー)みたいなものねい。」

マモル「まぁ、似たようなもんですねぇ。」

チリ「さっきから、似たようなもので片付けてない?」

…僕もそう思う。

死体どころか、魂その物となると、それはもうゾンビとは言えない気がする。

 

パヲラは呆れたような顔をしながらため息をついた。

パヲラ「………人を殺してまで成し遂げたい目的って、一体、何なのかしら。」

ジョージはマモルが持っている紙を見る。

ジョージ「……拙者の友人が書き残した紙によれば…イズクは()()()()()()()()()()ために、反魂鏡を使って、世界から()()()()()つもりでござる。」

ルカ「死を無くす…!?」

それを聞いたアリスは、興味を示すような反応をした。

アリス「ほう…人間にしては、思い切った行動だな。それと同時に馬鹿な事をしでかそうとしているな。」

ルカ「アリス、死が無くなるって…どういうことなんだ?」

さっきは盛大に驚いたが…正直言うと、想像がつかない。

死が無くなるなんて、聞こえこそいいが…

もしそうなるとするならば、どんな影響が出るのだろうか。

アリス「まだ予想の域を出ないが…「死」というのは、解釈こそ様々だが、簡単に言えば生物の終着点だ。そして、「死が無くなる」ということは、本来あったはずの終着点が無くなるというわけだ。終点もない、舵を失った船が行き着く先は…「破滅」だ。死というのは、生態系を担う立派な機能の一つだ。生と死で繋がっている循環から死が無くなれば、世界のバランス、その物が崩壊するぞ。例えるとするならば…安定している三脚から一本、脚が抜け落ちるようなものだ。」

ルカ「なんだって…!?」

アリス「それにしても…人間にも、世界規模で変革を起こすような代物があるとはな…」

マモル「友人の一族が封印してたものは、一族の負の遺産だそうで…今の技術や技量じゃどうしようもない代物なので、年月を掛けて風化させようとしていたところ、狙われたんですよぉ……」

……なんだかよく分からないけど。

ルカ「とにかく、そのイズクって奴は、とんでもないことをしようとしてるんだな!」

カムロウ「ルカ…もしかして、よく分かんなかったんじゃ…?」

ラクト「あぁ、バカじゃん。」

 

ルカは無言で、カムロウとラクトをボコボコと殴り始めた!

ラクト「ごめん!ごめんって!」

カムロウ「なんで僕まで!?」

 

アリスはルカ達の茶番を無視しつつ、眉をひそめた。

アリス「しかし…なぜ人間が、そんなことを?」

マモル「ロクでもない奴なのは見た時に丸わかりだったんでぇ…どうせ、力があるから何か大きな事をしたいとか、そんな理由だと思いますぅ。」

アリス「愚か者ゆえの虚栄心というやつか…」

ジョージ「そう…奴は愚者だ……!!」

愚者…その言葉に反応したジョージは、わなわなと体を震わし、鬼の形相で俯いたままそう言った。

 

ジョージ「言っても分からぬ愚か者には、行動で示さねばならない…!!!」

 

俯いていたため、はっきりとした表情は読み取れなかった。

しかし、彼からひしひしと伝わる感情…それは、友を殺された憎しみというより、友を助けることが出来なかった悔しさを感じた。

 

ルカ「……ジョージさん、マモルさん。」

ジョージ「?」

マモル「?」

 

ルカ「その仇討ち、僕も手伝いたいです。」

 

その言葉が響くと、部屋は騒然とした。

ラクト「はぁ…!?お前、何言ってんだ!?」

ジョージ「なにを…!?勇者殿が手を汚す必要は……」

マモル「そうですぅ、その汚れ仕事は、アッシらの仕事ですよぉ。」

ルカ「だからって…自分の私利私欲のために、人を殺すなんて…そんなこと、僕は許せない!」

 

アリス「__待て。」

うどんを食べ終えたアリスが一喝した。

その一喝で、部屋に一度、沈黙が生まれる。

アリス「ルカ、冷静になれ。貴様が協力しようとしているのは、仇討ちという名の()()()だ。勇者を志す人間が、人殺しに加担するのか?」

ルカ「アリス。君もナタリアポートで見たはずだ。人間にだって、悪人がいるって。僕は人間だからって理由で、悪人を見逃したりしない!一線を越えた以上、相応の罰や報いは受けるべきだ!」

カムロウ「そうだよ!」

そう言って、カムロウは身を乗り出して便乗した。

カムロウ「どんな目的があっても、やって良い事と悪い事があるのに…それなのに、一方的に人の命を奪うなんて、僕は許せない!」

まるで自分事のように、顔に怒りを浮かべながらそう叫んだ。

どうやらカムロウの、人としての道徳に反する事だったようだ。

それを聞いたラクトは、やれやれとした表情と態度をした。

ラクト「しょうがねぇなぁ~。ルカやカムロウが戦るってんなら、俺も行くぜ。ま、あの時の戦い、俺は不完全燃焼だったからな。」

チリ「よし。頑張って。」

チリはグッと拳を握って、応援のエールを送った。

ラクト「おいっ!お前も戦えよ!」

チリ「行くけど後援!わかった!?」

ラクト「俺も後援だろうが!?」

パヲラ「あたしも行くわよん!そうでもしないと、ジョージちゃんやマモルちゃんが、心の底から笑える日なんて来ないんだから!」

どうやら、仇討ちの助太刀は万場一致のようだ。

アリス「全く…お人好しで命知らずのドアホ共め…」

パヲラ「あら、アリスちゃん。もしかしてそれ褒めてる?」

アリス「褒めてない。」

 

__募る助太刀の声に、ジョージとマモルは涙を流していた。

マモル「いいんですかぃ…?本当に、本当にいいですかぃ?」

ルカ「一人の人間の身勝手な行動のせいで、世界がダメになるかもしれないんだ!それを知った以上、僕はじっとしていられないんだ!!」

僕の夢…「魔物と人間の共存」……

それを実現する前に、世界が壊れるなんて、とんでもない。

僕の旅がここで終わっていいはずがない!

 

ジョージ「……この御恩…必ず、償う所存でございます…!!!」

二人は、まだ痛みが残るはずの身体を無理に起こし、土下座をした。

これに対して、僕達は制止する言葉を掛けることも、何も言わなかった。言う必要もないと感じた。

マモル「ですが…お一つ、約束をお願いしてもいいでしょうか…?」

ルカ「…? なんですか?」

 

ジョージ「奴との決着は…拙者達で…!!!」

 

ルカ「……はい、分かりました。」

そうだ。これは本来、彼らの戦いだ。僕達が介入するのは、彼らの戦いに邪魔が入らないようにすることだけだ。

 

ルカ「アリス。これは人間同士の事だから、僕達に任せてほしい。」

アリス「ふん、そんなことを言うと思っていたぞ。余はうどんでも食べながら待つとしよう。」

こいつ…まだ食う気なのか…?

ルカ「ところで…アリスだったら、どうにか出来るのか?」

アリス「余を誰だと思っている。それくらいならどうとでもなる。」

えぇ!?嘘だぁ!?さっき世界がどうとか言ってただろ!?

…おそらく、魔王の魔力というのは、僕達の想像をはるかに超えた力を持っているんだろうなぁ……

ルカ「そうか…じゃあ、僕達が本当にどうしようもなくなった時に、どうにかしてくれるか?」

アリス「分かった。そうしよう。」

ルカ「…一応聞いておくけど、どうとでもなるって、どうやって?」

アリス「決まっているだろう。始まる前に潰す。この手に限る。」

ゴリ押しのパワープレイかよ……__

 

 

 

___同時刻、ある森の中。

夕陽は沈み、暗くなりつつある。

そんな中、岩の上で古びた手鏡を覗く、一人の()()()()()()がいた。

手鏡にはコロポ村の、ボロボロの門が映し出されていた。

???「ほうほう…そこに逃げたか…?」

髪の毛を掻きむしり、頭を捻り、悩むように唸る。

???「ん~~~?……もしかすると、邪魔者が増えたなぁ…」

そう呟くと、空からゆらゆらと4つの炎の玉が降り、手鏡に吸い込まれた。

吸収されたのを確認すると、男は大きな欠伸をした。

???「()()()がやられて還って来るんだからなぁ…まぁいいさ。」

???「俺には、死んだ人間の数ほどの歴戦の戦士がいる…その気になれば、亡者の大群だって作れる!!反魂鏡の力は十分に理解したぞ!」

???「あとはその力で…邪魔者は全部、まとめて…」

 

???「消すだけだからなぁ!!!」

 

__悪魔のような笑い声が、森の中を木霊した。

 

 

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