もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち 作:J・チェプナクル
__時は少し前まで遡る。
ジョージとマモルが、イズクと共に谷底に落ちたところから、時は刻刻と動く。
暗雲立ち込める中、細かい砂利が敷き詰められた谷底でジョージ達は、マモルの巨人のような式神
互いに一進一退、激しい攻防が続いていた。
それを式神
優勢という名のチケットは、両者の手で右往左往していた。
イズク「随分、足掻くなぁ!?」
ジョージ「それもそうだ!」
マモル「アッシらはよぉ…お前をブッ殺すためにぃ……」
式神
マモル「この時まで生き延びてきたんだぁ!!!」
イズク「ほざけぇ!!!」
…かに見えた!
その時、マモルたちは
マモル「
赤い眼が光る猿の頭、強靭な虎の四肢、丸く、大木のように太い狸の胴体、尾からは長い蛇が生えている。
それはまさしく、空想上の生物と伝えられる怪物、
ジョージたちはその四足で駆ける式神
イズク「まだ足掻くかぁ!?」
イズクは懐から手鏡、反魂鏡を取り出し左手で持った。
それを棒を振るうように振り回すと、そこから無数の衝撃波を撃ち始めた!
それを式神
マモル「
式神
イズクは手鏡を空高く掲げると、鏡から赤黒いオーラが漏れ始めた!
するとそこから、赤黒い衝撃波が放たれ、電気の塊と相殺した!
その最中でも、式神
…も。
途中で何かにぶつかり、弾き飛ばされた!
それでもジョージ達は空中で体勢を整え、式神
イズク「全く、良ぉ粘るよなぁ!てめぇらはぁ!」
イズク「どうしてそこまで執着できるか、俺から聞きてぇくらいになぁ!」
マモル「こちとら聞きてぇ事が山ほどあんだよ…!」
ジョージ「なぜ、貴様は…自分と同じ沼守の一族を……!!」
二人は、怒りに満ちた顔で叫んだ。
「「なぜ、ショウトを殺した!!!」」
イズク「殺したぁ?」
左手で聞き耳を立て、小馬鹿にしたような反応をした。
イズク「…クックックッ。」
イズク「……フッフッフッフッ…」
イズク「フフフ……ッハッハッハッハァァァ!!!」
肺の中の空気が全部無くなるほどに、イズクは笑い飛ばした。
イズク「人聞きが悪ぃなぁ。殺したんじゃねぇよぉ。」
ジョージ「では、何だと言うのだ!!!」
マモル「殺したことは変わりねぇのに…見苦しい言い訳かぁ!?」
イズク「【大義】だよぉ……!!!」
「「【大義】…!?」
イズク「そうさぁ!沼守の連中ってのは前から可笑しかったんだよなぁ…その気になれば魔物の連中でさえイチコロなのによぉ!バカな奴らだよなぁ?」
イズク「力があるのに、なぜ使わない!?だから、この俺が!この力で世界を変える!!この力はあの能無し共になんざ相応しくねぇ!!!」
イズク「誰しも羨ましがる、輝かしい【大義】を!この俺が成すんだよぉ!!!」
イズク「不老不死の身体で世界統一という…【大義】をなぁ!」
イズク「成せば、俺の名は世に知れ渡り…俺の力に、世の人間共は俺の為に
イズク「不老不死の身体なら魔物共なんざ虫けら同然!この俺を脅かす存在なんざ存在しねぇ!魔物も!俺に
イズク「あのバカ共はそのための犠牲だったっツーわけよぉ?」
イズクはそう言い終えると、ケタケタと笑った。
しかしその答えは、その信念は、ジョージとマモルにとっては、怒りという名の火に油を注ぐも同然の答えだった。
マモル「その【大義】とやらのために…」
マモル「アッシらの友が…ショウトが死ぬ必要があっただってぇ…!?」
段々と、わなわなと、マモルは片手で持った
マモル「馬鹿げた事を抜かすんじゃねぇよォォォ!!!」
マモルはイズクに向かって、
数十枚の紙の式神は体を細く丸め、鉄砲の弾のように発射された!
イズク「いちいちうるせぇんだよてめぇはァァァ!!!」
イズクは再び手鏡を空高く掲げると、今度は鏡から赤黒い光線が放たれた!
それをジョージは、刀を両手で支え、刀身部分に当たるように構えた!
イズク「(避けねぇ?何のつもりだぁ?)」
赤黒い光線はジョージの持つ刀に命中した!
すると、光線は反射したのだ!
ジョージは刀をゆっくり動かし、反射した光線が
イズク「おおぉっ!?」
イズク「(やべぇ!
イズクは咄嗟に、
両足を光線で焼かれた
倒れた衝撃で、広範囲に衝撃が流れ、土埃が舞った__
__空高く土埃が舞う中で、地面に着地したイズクは、式神
イズク「やるじゃねぇかぁ?まだ生傷癒えてないはずの身体で。褒めてやるよ。」
ジョージ「イズク…」
イズク「んん?」
ジョージ「貴様が
友の形見である刀を右手で持ち、イズクに突き付けた!
ジョージ「友より託されし、【魂】で貴様を討つ!!」
右腕が赤黒く滲み、血管が太く浮かび、いたる箇所から赤黒い蒸気が噴き出した!
ジョージは
ジョージ「それが拙者達の【大義】だ!!!」
イズク「泣かせるじゃねぇか。死んだ友のために命を懸けるとはなぁ。」
イズク「しかもその術は、友から教えられた術だとよぉ。他人に伝えるのはご法度のさぁ!さらに泣かせてくれるぜぇ!」
ニヤニヤと煽るように笑った後__
途端にイズクは真顔になった。
イズク「だが__」
イズクの左腕が赤黒く滲み始めた!
イズク「
イズク「それに
そう言い放つと、
ジョージ「マモル!そっちは任せた!!」
マモル「おうよ!任せときなぁ!」
マモルは式神
マモルは
赤黒い蒸気が噴き出す左腕で、イズクは刀を逆手持ちで抜刀した!
イズク「さぁ!チャンバラといこうじゃねぇかぁ、ジョージィ!!!」
イズクは禍々しいオーラを放つ斬撃を縦に斬り放った!
ジョージ「おおおおォォォォ!!!」
ジョージは禍々しいオーラを放つ斬撃を横に斬り放った!
「「
互いの
ぶつかった衝撃による爆風が広がる!!
そして、互いに接近しガギギ…と、刀の押し合いが始まった!!!
イズク「お前もその術を使うなら知っているはずだ!禍津《マガツ》は生命力をすり減らして、人の身体の限界を超えた力を発揮する術…」
イズク「今、この場で俺とお前が同じ
イズク「__命の根気比べってやつだぁ!」
ジョージ「どちらが先に、命尽きるか…か?」
刀の押し合いの最中、イズクが先に斬り上げてきた!
イズク「だが、先に死ぬのはお前だがなぁ!!」
ジョージ「
ジョージは身体能力が格段に上がっているのを利用して高速移動をし、ブォンと残像を残して攻撃を躱した!
すると、後ろの大岩が真っ二つに割れた!
当たらなかった攻撃の余波が、大岩に当たったのである。
ジョージ「ぬぅん!」
ジョージは空中に飛び上がり、大きく刀を振り下ろした!
イズクは身体の向きを素早く変え、身を
今度は地面が縦方向に抉れた!
イズク「おっとぉ!残像ってかぁ!だが今の俺は、動体視力や反応速度だって人の限界を超えているんだぜぇ?」
イズク「見えてないわけがねぇんだよ!」
ジョージ「だが、身体がそれに追いつくにも限界がある。」
イズク「あぁ?」
ジョージ「
ジョージは再び高速移動をし、ビュゥンと残像を分身させた!
イズク「(なるほどぉ…確かに目には追えても、攻撃が当たるかっていうとそうでもねぇ…移動速度と攻撃速度ってのは実際、別物だ。動きが追い付かないと、攻撃は当たらねぇ。そうなると数打ちゃ当たるって話になる…だが__)」
イズク「わかんねぇのか!?その芸当は俺にも出来んだよ!!」
イズクも高速移動をし、残像を分身させた!
イズク「お前も面白い奴だなぁ!根気比べの次は速さ比べか!?」
幾つもの分身が数を増やし散らばる。
残像同士が互いに斬り、蹴り、攻撃し合い、しかし残像は消え、また増えを繰り返す。
衝突すればするほど、その余波が辺りに影響を及ぼし始める。
木は折れ、岩は砕かれ、地面は割れ、いつしか次第に、残像の数は減り、二人の姿が互いに一つだけになっていた!
それは、互いに速さが追い付いてしまったがゆえに、残像など必要なかったからである!
そしてふとした時に、同じタイミングで攻撃を仕掛けていた!
イズク「そらぁそらぁそらぁ!!」
イズクは乱雑に激しく刀を振り回してきた!
ジョージ「
ジョージは大量の矢が降り注ぐような、激しい突きを繰り出した!!
ガ ギ ガ ガ ガ ッ ! ! ! ___
刀が激しく打ち合い、金属音が絶え間なく鳴り響いた!
イズク「ちぃっ!!」
途中で、イズクは後ろに飛び退けた。
さっきまで人を馬鹿にしたかのような表情をしていたイズクには、苦汁をのんだかのような、苦虫を噛み潰したような顔しか浮かんでいなかった。
イズク「(どうなってやがる……前の時は数の利というのもあったが、こいつはこんなに強くはなかった………だが、二人共傷が癒えてねぇのなら、優勢なのは俺のハズだ!)」
軽く息切れをし、冷や汗を流しながらジョージを睨む。
イズク「(俺がここに来るまでの短期間で、何か強大な力を手にしたか?そんなことは出来っこねぇ…!なのに…)」
しかしジョージは、静かに刀を構えていた。
中段の構え__姿勢を正し、右足を前に出し、刀の先は相手の喉元。
その姿勢のまま、ただ静かに。静かに構えていた。
イズク「(なぜここまで戦えるんだ!?こいつは…!!!)」
ジョージ「まだやるか?」
イズク「ほざけってんだよぉぉ!!___」
ジョージとイズクが戦う最中、マモルは巨人
式神
マモル「んん~~……」
彼は
マモル「任せろとは言ったけど、どうしようかしらこれぇ?」
見上げるほどの、巨人同等の図体。このデカブツにどう渡り合うか。
それについて彼は悩んでいた。
マモル「まぁ結局……」
マモル「最後に
巨人
しかし、マモルを乗せた式神
マモル「おっと、独り言してる場合じゃねぇや。とっとと、終わらせようかねぇ。」
そう呟くと、駆ける式神
すると式神
次第に、巨人
無論、順調に迎えるわけではない。それを邪魔するように、いや、もはや排除するかのように、
そのエネルギー波を、マモルを乗せた式神
再び
回避する度に、バリバリと電気が鳴り響く。
回避する度に、段階的に高度を上げていく。
そして、その位置がちょうど
__人が拍手する時、両手を打ち合わすとき、パチッと、もし力強く叩いたならばバチッと音が鳴るだろう。
それが人よりも桁違いに大きい巨人の手で行われるとするとしたら?
岩石よりも厚い、分厚いモノが双方からけたたましく迫り来るのだ。
ただ迫り来るだけで終わりではない。衝撃が待っている。
打ち合わすという動作の終着点が。
双方から来る風圧が。拍手というには不釣り合いな。打ち合わすと表現するにはおっかない。
随分と派手な終着点が__
バ ゴ ォ ォ ォ ン ! ! !
という大きな、大爆発するかのような衝撃音。
まるで建物が内側から破裂したかのような衝撃風。
そして、
自らが叩き潰した内容物を確認するために。
その手のひらの間には__
何もなかった。
顔のパーツがない、のっぺらぼうの
もし彼が言葉を発せれるのであれば、確実に「何もない!?」と叫んでいただろう。
???「おかしいねぇ。なにもないねぇ。」
その声が聞こえると、
マモル「なにが起こったんだろうねぇ、さっき…ねぇ?」
よいしょっと立ち上がり、スタスタと、手から腕を伝って歩き始める。
マモル「いやいや…無傷ってわけじゃないけどね。ダメージは食らいはしたよ。あれは痛かったねぇ。」
というわけでこのアッシ、マモル。
あの時何があったかを軽く説明しちゃいましょう。
ま、結論から言えば、後ろに飛んで避けて、
どうやって避けたか、が気になるっしょ?
ほら、
みんな、前のほうが迫力があって後ろのことは忘れがちな訳よ。
なんのことかって?尾。尾です。
あんま意識してないかな?だって
尾は
眼も口もあって、牙もあってシャーって威嚇しちゃってんのよアレ。
つまり、本体から独立した意識があって、別行動が出来るのねー。
だからあの時咄嗟に、【その蛇が
あとは式神
そこを
…というのが、アッシ、マモルがしたことでございます。
ご清聴ありがとうございました。
マモル「痛ってぇ。背中イカレるかと思ったよこれぇ。もう背骨に当たってんだから洒落にならないってコレぇ。」
そう呟きながら、片手で背中をさすり、テクテクと
テクテクと歩くマモルを
しかし、マモルはヒョイと軽く飛んで避けた。
今度は叩き潰そうと、もう片方の手を大きく広げて、思いっきり腕の上に振り下ろした。
マモルは前転して、簡単に避けてしまった。
マモル「アンタってさぁ…デカいから攻撃も防御も何もかも派手だけどさぁ…」
前転態勢から立ち上がり、軽くため息を吐いてから、マモルは無表情で呟いた。
マモル「デカけりゃ良いってもんじゃないのよ。」
そんな台詞を吐いたマモルをよそに、
またすぐにヒョイっと、
マモル「別のデカさだったら大歓迎なんだけどね…さっさと終わらせるかっ…と。」
マモル「思業式神は一度倒されたら、しばらくは元には戻らねぇ。今のアッシには
右手で懐から、一枚の御札を取り出した。
マモル「ま、もうこれで終わりなんですけどねぇ。」
そして、右手に持った御札を、
マモル「ほいっと。」
マモルは【悪行罰示の封印札】を使った!!!
御札が貼られた瞬間、
その変化に
自分の手、腕、体の側面を見るような仕草を。
マモル「大丈夫、痛くはしないよ。アンタはただ呼び出されただけだし。なんも悪いことはしてない。」
マモル「た、だ、し………今度はアッシの…いや…」
マモル「この世の善行に従ってもらう!!!」
そうはさせまい!させてたまるか!!
そんなこと認めん!!!
まさにそう言っているかのように、
とにかく頭上を!頭上にいる、この異常の原因を!!
取り除かなくてはと!!!
マモル「
マモルは紙の式神をばら撒き、頭の上にドーム状のバリアを展開した。
こうなるともはや、半透明のアフロ。いや、中身のないスノードーム。
このアフロに手を突っ込もうとしても、ツルッと、半透明の薄い壁で遮られる。
まるで、泡のない髪洗。
それでも
__一方その頃、マモルとジョージは激しく衝突し続けていた。
何度も何度も、刀を切りつけあい、つばぜり合いを繰り返し、火花を散らし合っていた。
しかし、互いに視界外に起きた異変に気付いた。
ジョージ「む?」
イズク「うん?」
距離を取り、異変を視界に入れる。
それはまさに、先ほど起きた出来事。
マモルの行動により、
その様子を、その光景を、イズクは遠くの地面から、ただ、茫然と眺めていた。
イズク「は……え、は…??」
何が起こっているのか理解出来なかった。
何がどうなっているのか把握できなかった。
マモルが何をしているのかを。
どうすることもできず、その場で立ち尽くし、ただ眺めるだけだった。
次第に光は強くなり、輝きを増し、そして__
__
イズク「…え?」
イズク「……おぉ??」
イズク「………はぁぁぁぁぁ???」
イズクはすぐさまその場から駆け、マモルに近寄り、人差し指を突き差す。
イズク「おぉ、てめぇぇ…?何をぉ……何をしでかしやがってんだぁ!?」
ため息を一気に吐いたマモルは立ち上がり、手に持った御札をピラピラと揺らしながら振り向く。
マモル「何…って。封印しただけだが?」
その御札を見たイズクは、青く血相を変えた。うろたえた。
イズク「うぇ、え……な…なんで………なんでそれをお前が使ってんだよぉぉぉ!?」
イズク「その【悪行罰示の封印札】は!!!」
イズク「ショウトの一族しか持ちえない札…他のやつが持っていたのは、俺が
イズク「なのに、なんでお前が持っているんだぁ!?」
マモル「んなこと言われたって、請負だよ。」
マモル「ショウトからのね。」
マモル「(この【悪行罰示の封印札】は、その、
マモル「(………約束は、ちゃんと守ったぜ。ショウト。)」
イズク「ぎぎ………ぎぃぃぃぃ……!!!」
イズクは歯ぎしりをしていた。それも、かなり顎に力を入れて。
それほど、不快感を覚えたのだろう。思い通りにいかないことに。予測不可能な事態なことに。
己の親類が、死してなお自身の邪魔をしてくることに!
イズク「(あの出来損ないからの請負だとぉ…!?崇高な大義を掲げたこの俺様を見限った、出来損ないのクズがッ!図に乗りやがって…ふざけんじゃねぇ……!!)」
イズク「ふざけんなァァァォォォォォ!!!」
刀を持ったイズクは、その坂手持ち、赤黒いオーラを吹き出す左腕を上にし、斬りかかろうとした。
__しかし、異変が起こった。
一歩目を出した瞬間、イズクの体の態勢が崩れたのだ!
イズク「うおっ!?」
そのまま転び倒れそうになるも、膝を付いてなんとか踏ん張った。
………が、そこから先を、イズクは指一本も動かすことができなかった。
イズク「(なんだ…!?力が…上手く制御できねぇ…!?)」
脚に力が入らないというより、力を入れても動いてくれない。
思うように動かないのだ。
ジョージ「やはり…な。」
後ろからそう言葉をかけられた。
イズクが振り返ると、ちょうどそこから見上げる位置にジョージが、刀を下して立っていた。
イズク「な、なにがだ!?何が何だってんだ!」
ジョージ「
イズク「!?」
ジョージ「お主が言ったように、
ジョージ「だがその力の配分を均一にするには、五体が揃っている必要がある。五体のどこか一つでも欠ければ、欠けた分の力は行き場を失い、体中を廻りに廻って暴れるからだ。」
ジョージ「肝心の貴様には右腕がない。貴様は知らず知らずのうちに、内側から急激なダメージを負っていたのだ!」
イズク「な…なぜお前がそんな事まで知っているんだよぉ!?」
ジョージ「さぁ…誰が教えてくれたか……知っているだろう?」
そう言われてイズクはハッとした。その脳裏に浮かんだ
ジョージ「そんなことも、教えられなかったか?知らなかったか?それとも…ただ、覚える気がなかっただけか?ショウトと同じ一族の貴様が!!」
イズク「なんだとォォォ…!?」
ジョージ「やはりお前は…出来損ないだったようだな!!!」
イズク「だァァァまァァァれェェェェェ!!!」
そう叫ぶイズクの前に、ジョージとマモルが立ちはだかった!
イズク「たかが二人揃っただけで、この俺を倒せると思うなぁ!!!」
マモル「違うなぁ、まったく違う。全然違う。」
ジョージ「我々は、二人だけではない…ショウトを含め、我々は!!」
「「「三人だ!!!」」」
イズク「ほざけぇぇぇぇぇ!!!」
イズクは動けない体を無理に動かそうとした!
しかし、体は動かなかった!
ジョージ「王手。打つ手なしだな。」
ジョージ「(…
マモル「さぁ、お前さん、いっちょやったりなぁ。」
マモル「悔いも残らねぇほど、ひと思いになぁ!!!」
ジョージ「うむ…!!!」
ジョージは
そして両手で刀を持ち、上段に構えた!!
イズク「ま…待て!!!」
ジョージ「待ったなし!!!」
マモル「待ったなし!!!」
その言葉を聞いたイズクは、青ざめた。
イズク「うっ……あぁぁぁ………」
イズク「うぉぉぉぉぉあああああ!!!」
ジョージ「
ジョージ「
そのまま、上段から刀を振り下ろした!__
__二人が見下ろす先、そこには、広がる血だまりと倒れこむイズクがいた。
ジョージの持つ刀からは血が滴る。
さっきまで騒々しさを肌身に染みていたが、今となっては静けさしか感じない。
吹く風も寂しく感じる。
マモル「………終わったな。」
ジョージ「………あぁ。」
終わった。終わったのだ。
二人の因縁が、悔恨が、無念が。
長きにわたり続いた争いが、やっと__
イズク「__まだ……まだだぁ………!!!」
なんと、イズクはまだ死んでいなかった!
血反吐を出しながらも、体を起こしたのだ!!
イズク「ここで……俺は………死ぬわけには…ぁ……!!!」
マモル「無駄だよ。アンタぁここで死ぬんだよ。」
イズクの胸に付けられた斬り傷からは血が流れる。
そして口からも血が流れる。
とても、助かるとは思えない出血量だ。
なのにイズクは、それでも生きまいともがいていた。
イズク「この俺も……覚悟はいるが……背に腹は代えられねぇ…!!!」
その言葉を発した時、ジョージとマモルは言葉では表せないような異様な、嫌な予感に襲われた!
二人は咄嗟に、距離を離し、武器を構えた!
ジョージ「……? なんの話だ!?」
イズク「もう、人間に……戻れはしねぇ………だが、そんなのはもう小さい話だ……!」
イズクは懐から手鏡、反魂鏡を、震える左手で取り出すと、それを地面に思いきり叩きつけ、鏡を割った!
無数の鏡の破片が地面に散らばる。それをイズクは片手でかき集める。
すると、かき集めた鏡の破片を、イズクは砂利ごと飲み込んだ!!
まさに狂気。まさに異常。
口の中が真っ赤になるにも関わらず、喉から血があふれ出るにも関わらず、イズクは鏡の破片を口の中に放り込むのに、ためらいはなかった。
破片を飲み込むのが終わった。
イズクの口から出る血は止まらない。
なのにイズクは、笑みを浮かべた。
そして笑みを浮かべながらこう叫んだ。
イズク「これから不死身になる俺にとってはなぁ!!!」
狂気的な笑みを。異端的な笑みを。
今の状況に不釣り合いな笑みを。
笑いが止まらなないようだ。
異様、異質。ジョージ達が感じたのか、本能からくる恐怖であった。
そしてイズクは、左手を上に掲げ、天を仰ぐと、呪術を唱えた!
イズク「【地返反魂の秘術】!!!」
それが、地獄の始まりだったか。空は一層暗くなった。
イズクを中心に辺り一面は、落雷でも降り注いだかのような閃光に包まれた!
その光の中で、二人は確かに見た!
異様な光景を!常識では捉えられない一部始終を!
まず、イズクの全身の肌が、青黒く変色した。すると次に、イズクの体が再生したのだ。
さっきまであった胸の斬り傷、それが、内側から盛り上がるように塞がった。
それと同時に、イズクの潰れた右目も再生し、眼球が見えた。
しかしその眼球は、左目と比べ物にならないほど大きく、いびつに変形している。
今度は、上半身に異変が起こった。
段々と膨張すると衣服が耐え切れずに破れた。
ないはずのイズクの右腕が、生えてくるようにズルリと出てきた。
そして、身体に釣り合わないほど大きく変形した。
その右手の手の甲には、一枚の鏡が浮き出るように姿を見せていた。
それを見て、ジョージとマモルは確信した。
こいつは、反魂鏡を体内に取り込んだと。
ジョージ「血迷ったか!?イズク!!」
イズク「血迷ったぁ?ますます馬鹿だなてめぇは!」
化け物のような笑い声を上げると、イズクは自分の体を舐めるように観察した。
イズク「天命さぁ……この力は……あぁ、素晴らしい………」
イズク「ただのつまんねぇ人間なんて比べ物になんねぇほどの力を感じる…!!」
肥大化した右手を握ったり開いたり、力こぶを作ったりして、変わった自分の身体に酔いしれた。
イズク「こんなすげぇ力を手に出来るんだったら、もっと早くやるべきだった……今ならてめぇらのような雑魚なんざ……」
イズク「一捻り出来そうだぁ…!!!」
イズクは右腕を握りしめた!手の甲の鏡が輝き、右腕に赤黒いオーラが纏わり始めた!
イズク「食らいなぁ!!
大きく肥大化した右腕が振り下ろされた!
マモル「
マモルは咄嗟に、紙の式神をばら撒き、バリアを展開した!…が。
すぐに割れた。いともたやすく破られてしまった。
ジョージ「(なんだと…!?鉄壁を誇るマモルの
ジョージ、マモル。
二人に再び駆け走った感覚は…無力。
またしても無力。またしても非力。
そう、語るかのように、二人の力無き体が、その場に転がっていた。
もはや、人間を超えた力を得たイズクの攻撃をまともに食らい、立てるほどの体力も残されていなかった。
そのイズクの強力な攻撃の余波は、周囲に影響を与えた。
衝撃、爆風。辺りの地形を変えるほどに。
__その衝撃に気付いたルカ達が、ちょうど駆け付けた。
これが、ジョージとマモル、ルカ達が戦っている間に起きた、もう一つの出来事だった。