もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

68 / 105
第62話 今亡き友に誓う五月雨の血刀

暗い雨雲が立ち込め、霧雨降る最中、ルカたちの負けられない戦いが始まった!

反魂鏡の力を身体に取り組み、右腕が醜く巨大に変化したイズクに対し挑むのは__

 

ルカ、カムロウ、ジョージ、マモルの4人だ!

 

ルカ「行くぞ、みんな!」

 

   「「「あぁ!!!」」」

 

絶対に負けられない…!

2人(ジョージ・マモル)のため、世界のため、正義のために…

今、僕たちは勝たなくちゃいけない!

 

ルカ「せいっ!」

ルカは飛び蹴りをした!

イズクは攻撃を巨大な右腕で受け止めた!

ルカ「あっ。だ、だめか。」

イズク「ちぃ…!なんだよこの生温い攻撃はぁ!まだ馬鹿にしてんのかよぉぉぉ!」

イズクは巨腕をぶん回し、ルカに攻撃した!

ルカ「うわああああ!」

もの凄い力で、ルカは吹き飛ばされ、地面に激突する。

ルカ「や…やっぱり僕の力って非力なのかな…?」

戦いが長引いているからか、さっきみたいな物凄いパワーが出なくなってきている。

今の僕じゃ、正面からの真っ向勝負だと力負けするだろう。

どうしたものか……

カムロウ「ルカ!僕たちを忘れてないか!」

ジョージ「勇者殿、ここは我々にお任せを!」

マモル「ちょいちょい、アッシも忘れてない?」

ルカの前に、カムロウとジョージが躍り出た!

 

カムロウ「火炎弾魔法(ファイヤーボルト)!」

カムロウ「連発だっ!!」

カムロウは炎の玉を高速で連発した!

イズクは巨腕を振り回して、迫る炎の玉をかき消した!

イズク「こんな炎の玉でぇ!俺が燃えると思ってんのかぁぁぁ!__」

 

ジョージ「__ぬぅん!」

その刹那、ジョージはイズクの横から横一文字に斬りかかった!

イズクは巨腕で防御したが、深い斬り傷のダメージを食らった!

イズク「ちぃっ!ジョージぃ!てめぇ__」

 

カムロウ「__風薙ぎ(かぜなぎ)!!」

カムロウは、大剣に光り輝く風を纏わせ、風の衝撃波を放った!

衝撃波は、イズクの顔面に直撃した!

イズク「ぶほぁぁっ!!」

 

イズク「このガキぃ!少しは喋らせろぉぉぉ!!!」

カムロウ「うるさいなぁ!お前は!いちいち、話が長いんだ!」

 

カムロウ「__落雷魔法(カミナリ落とし)!」

カムロウは空から、雷を呼び落とした!

雷はイズクにまっすぐ落ち、激しい衝撃と稲光を走らせた!

イズク「ぐうぉおぉぉおぉぉぉぉぉ!!!」

普通の人間ならば、雷なんて直撃したら一たまりもない。

しかし、異形の身体と歪んだ執念を持つイズクは一味違った!

イズク「ぐぅ……イタクねぇ…イタクは無ぇぇぇ!!!」

イズクは、身体に帯電していた電気を振り払った!

ルカ「な、なんてしぶとい奴なんだ!カムロウとジョージさんの攻撃だって、すごい威力なはずなのに!」

 

イズク「これならどうだぁ!?防ぐ術があるはずがねぇ!!」

イズクの右手の甲の鏡から、大量の矢が放たれた!

カムロウ「矢…!?こんな大量に!?」

ルカ「しかもこの場でか…どうやって避ければ良いんだ!?」

飛び放たれた無数の矢の雨。

避けようにも範囲が広すぎる!

 

ジョージ「_マモル!」

マモル「あいよ!まかせとけぃ!!」

マモルは持っていた錫杖(しゃくじょう)に、禍津(マガツ)の力を宿した!

マモル「そらよォッ!!!」

マモル「禍津乱槍撃(まがつらんそうげき)!!!」

マモルは錫杖(しゃくじょう)をグルグル乱れ回して、飛んでくる無数の矢をはたき落とした!

それを見たイズクは、驚きのあまり口をポカンと開けた。

イズク「は…ぁ…?」

マモル「アッシが紙ばら撒くだけの能しかないって顔だな?ナメられたもんだなぁ。」

マモル「ジョージほどじゃあねぇけど、こんくらいはできまっせ!」

ルカ「いまのは…棒術…?いや、槍術か!」

マモル「薙刀術のつもりなんですがね。まぁどちらにせよ、棒の扱いは得意ですぜぇ。」

 

イズク「けぇっ…たかが棒切れ振り回したからって、調子に乗るんじゃねぇよぉぉ!!!」

マモル「調子に乗らせて、まだまだぶん回してやるよ!」

マモル「禍津乱槍撃(まがつらんそうげき)!!!」

イズクの巨腕とマモルの薙刀術が、互いに衝突し合った!

マモル「おおおぉぉぉ!」

イズク「があああぁぁ!」

殴りかかろうとするイズクに、マモルは禍津(マガツ)を纏った錫杖(しゃくじょう)を薙刀のように振り回し、何度も何度も相殺する。

イズク「あぁぁ!邪魔くせぇぇ!邪魔なんだよぉぉ!!!」

何度も相殺し合う最中、イズクは右手を上段に構えた!

ルカ「あれは……!」

先ほどの戦いで、食らったことのある攻撃だ。

爆発するかのような衝撃波を攻撃だ!

ルカ「みんな!防御態勢(ガードシフト)だ!」

カムロウ「ああ!」

ジョージ「御意!」

マモル「仰る通りに!」

イズクは巨大な右腕を地面に向かって叩きおろした!

すると、イズクを中心に爆風が巻き起こった!__

 

__ルカ達は、攻撃を耐えた!

イズク「耐えた…かぁ…!!」

ルカ「僕はまだまだ弱いけど、それなりに経験は積んでるんだ!同じ手は二度と通用しないと思え!」

イズク「けっ…だったら、これならどうだよぉぉ!」

イズク「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

イズクは右腕は禍々しいオーラを纏い始めた!!!

イズクの巨腕から、赤黒い蒸気が噴き出し、一層、威圧感のある姿に変化した!

ジョージ「あの身体で禍津(マガツ)を……!?」

マモル「そうとう追い詰められてるってわけだなぁ。完全に攻めに入ったか。」

 

ルカ「なんて禍々しい姿なんだ…!どうしてそこまで……」

イズク「なんでそこまでかってぇ!?当たり前だろうがぁ!そこまででもなんでもねぇよ!」

イズク「沼守の奴等はよぉ!こんな力があるのになぜ使わない!?力を持っていてなぜ使わない!?俺はこの力で世界を変える…!!俺が神になる!!!」

マモル「あーそれだよそれ。それがダメなんだよ。」

イズク「…?」

ジョージ「ショウトは言っていた……沼守の力は人には過ぎた代物だ。だからこそ使わない…と。」

イズク「………? つまり…()()()使()()()()()()…?」

 

少し考えこむかのような感覚を開けて、イズクは喋り出した。

イズク「はぁ!?なんでつまんねぇ理由で、そんな勿体ない事を!?」

マモル「だから、お前みてぇな馬鹿が使うのを危険視したんだよ。」

マモル「そういや今、思い出したよぉ。知ってるか?お前が一族から追放された理由。ほら、アッシ、家柄でさ、耳にしたことあんだよ。」

マモル「お前さ、責任感が無いんだってさ。生半可で未熟で不十分で中途半端な責任力だって。当事者意識が無いとか、そんなボヤキも聞いたなぁ。」

イズク「なんだとぉ…!!!」

 

カムロウ「………結構、散々な言われようだなぁ。」

 

イズク「いつもそうだ……アイツらは…沼守一族の奴らはいつも、俺を使えねぇ奴見てぇな目で見てきてよぉ!」

マモル「えぇ?なんか間違ってますぅ?アッシ、聞いたことをそのまま言っただけですけどねぇ?おぉ?」

 

ルカ「………結構、煽るなぁ。」

ジョージ「マモルはそういう奴で…煽る時は良く煽る。」

 

イズク「この俺をォ…舐めやがってえええぇぇぇ!!!」

イズクは巨体を揺らし、ルカ達に突進してきた!

マモル「そんで、このまま突っ込む気か!禍津(マガツ)を纏った突進なんて食らったら、ひとたまりもねぇでぃ…!」

マモル「おまえさん(ジョージ)行けるかい!」

ジョージ「うむ…!」

カムロウ「だ、ダメだ!いくら何でも危険だ…!!」

カムロウはジョージを止めようとしたが、それを、マモルは遮った。

マモル「待ちなぁ坊ちゃん。アイツ(ジョージ)はなぁ。武術の天才なんだよ。」

カムロウ「武術の…?」

マモル「アイツ(ジョージ)の身体はなぁ、幼少の頃から積み上げられて、研鑽されて、緻密(ちみつ)なところまで鍛え上げられてんだ。」

マモル「アッシみたいな友を守るために、陰で血反吐を出すくらいに努力してなぁ。」

マモル「だから、アッシはあいつを信じれるんだ。」

カムロウ「……………」

 

__禍々しいオーラを身に包み、荒れ狂う闘牛のように突き進むイズクを前に、ジョージは仁王立ちをした!

イズク「ジョージぃぃぃ!いくらお前だって、今の俺を止めれやできねぇだろぉぉぉォォォ!!」

ジョージ「……………___」

 

 

 

 

 

__過去に遡り、ジョージが武術の修業に励んでいる時にまで戻る。

ヤマタイ地方にある、武術の道場。

その道場のとある、板張りの一室。

部屋の中で、ジョージは対面するように正座していた。

その相手は……一人の老人。

彼もまた、ジョージと対面するように正座をしていた。

彼は、ここの道場主であり、彼の弟子たちからは【老師】と敬愛されている人物であった。

老師「ジョージよ…象形拳は知っておるな?」

ジョージ「はっ……存じております。」

ジョージ「象形拳とは、動物の動きや特徴を模倣する武術。動物の動きや攻撃方法を学び、それらを人間の身体と比較して、武術に応用する拳法かと…」

 

例えば…

虎のような素早い攻撃と強力な突進で、相手を驚かせ優位に立つ虎形拳(こけいけん)

猿の柔軟性と器用さを活かし、素早い動きで反撃を行う猿形拳(えんけいけん)

蛇のようなしなやかさと独特な動きで、相手の攻撃を躱す蛇形拳(じゃけいけん)

 

ジョージ「今、上げたモノの他にも象形拳は存在します。」

老師「如何にも。お主の言う通りだ。」

 

老師「既存の生物の特徴を己が物とする象形拳。実在する動物を良く観察し、寄り観察し、その眼に焼き付け、動作から武術にまで発展させたモノ。」

老師「だが…その象形拳、明らかに()()が存在すると儂は思う。」

ジョージ「………()()…というのは?」

 

龍形拳(りゅうけいけん)だ。

龍の優雅さと迅速さで、腕や脚を使い、円滑な動きで相手を攻撃する象形拳……

 

老師「しかしどうだろう…その()というのを、我々人間は、どのようにして観察したのだろうか……まるで龍が現実に存在するかのような表現ではないか。」

老師「龍というのは幻獣の一種。伝承上の生物とされている。なぜ伝承上の生物が、既存の生物でしか表せないはずの、象形拳の中にあるというのだ?」

老師「どうやって観察した?どこで目撃した?」

 

ジョージ「…老師、それは私にはわかりません。魔物から見て学んだ…とかでは?」

老師「確かに、魔物にも龍はいる。だが、我々の良く知る、想像上の動物の姿ではない。」

 

老師「ちなみに儂は龍を見た事あるよ。」

ジョージ「それは本当ですか…!?」

老師「嘘だよ。」

ジョージ「老師!?」

 

老師「ともかく…これの答えを、儂は知っている。」

ジョージ「…老師の考え、お教え願います。」

老師「うむ。」

 

老師「実に簡単な話だ。すでに人間は、龍を観察しているのだ。」

ジョージ「…老師。無礼を承知で言いますが、それは先ほど述べた事と矛盾しています……」

老師「うむ、今、儂が言った事……確かに矛盾していよう。だが、伝承上の生物という不確定な存在を見聞きすることも出来まい。」

老師「しかし人間は、見聞きしていないようで、見聞きしているのだ。」

ジョージ「……では我々は一体、いつ、どこで、どのように観察しているというのですか?」

すると老師は、腕を上げ、人差し指を立てた。

老師はその人差し指を___

 

老師自身の、頭をつつくようにツンツン差した。

老師「ここだ。」

ジョージ「……ア…タ…マ…?」

老師「そうだ。頭の中だ。」

 

老師「鹿の角。生えそろう鱗。鷹のような爪を持つ四肢。大蛇のような長い身体で、空を優雅に、自由自在に泳ぎ回る壮大で威厳ある姿。」

老師「この眼で見た事がなくとも、龍のイメージは想像できよう。」

ジョージ「……………」

老師「つまりは、空想の具現化。妄想の体現化。想像の武術化。と、いう事だ。」

老師「伝承上の生物は、既存している生物と似たような特徴を一部ずつ持っている。継ぎはぎではあるが、それらを真似て概ね表すことなら実現可能。」

ジョージ「(確かに老師の仰る通り……龍や鳳凰(ほうおう)麒麟(きりん)といった幻獣は、既存の生物の容姿と似た容姿を持つと言われている……)」

ジョージ「(龍は九つの動物と似た部分を持つと言われ…鳳凰(ほうおう)は様々な鳥類の特徴を持っていると……)」

 

老師「………象形拳の真髄……それは。」

 

老師「人間に与えられた知恵、好奇心や探求心より生まれたモノ……」

老師「森羅万象…万物の現象を、自身の身体を用いて極限まで表現する武術。その場に存在しない、実体のない()()を、自身の身体に()()する武術。」

老師「……なのかもしれん。」

ジョージ「………………」

老師「若き日より武術の道を歩み幾星霜(いくせいそう)…いまだに、未知の驚きと発見に出くわす時がある。」

老師「人に教えを説く力量を持っていると評されようとも…儂もまだまだ、発展途上の身というわけだ……」

老師「型無くして、型破りとは言えぬ。ジョージ、精進を怠るな。」

ジョージ「ハッ…!」

 

老師「……ふむ。」

老師「儂ってまだまだ冴えてるよね。」

ジョージ「老師!?」

 

 

 

 

 

__現代に戻り、ジョージは構えを始めた!

ジョージは今、この場で象形拳を試みたのだ!

老師が語った象形拳。

その場に存在しない、実体のない()()を、自身の身体に()()する。

ジョージが自身の身体に憑依させようとした存在……それは……

ジョージ「鬼……! 鬼の象形拳!」

ジョージ「私は!心は人のまま、鬼の身体と成ろう!」

ジョージ「禍津の鬼を…身体に纏う!!!」

 

ジョージ「禍津鬼纏い(まがつおにまとい)修羅(しゅら)!!!」

ジョージは、禍津(まがつ)の鬼を、禍々しいオーラを身に纏った!

赤黒い隈取が、顔や全身を伝うように走り、全身からは赤黒い蒸気が、羽衣のように噴き出している。

ジョージ「今の拙者はぁ、禍津(まがつ)宿りし鬼ぃ!!」

ジョージ「力比べとならばぁ、あ、受けて立とうぅゥ!!」

そしてジョージは、歌舞伎役者のような、見栄を切るかのような構えをとった!

イズク「それはァァ、道化のつもりかぁぁァァ!!!」

暴れ馬の如く突進をするイズク。

それを受け止めるように、ジョージは腰を深く落とし、両手を前に構えた!

ジョージ「道化の型とぉ、蔑むならばぁ!見せてしんぜよう、鬼の型!」

ジョージ「とくとご覧あれぃぃィ!」

なんとジョージは、イズクの突進を受け止めた!

互いに衝突した瞬間、双方の脚は地面を抉るよう深く埋まった。

しかし、ジョージの身体はビクともしなかった!

ジョージ「いよぉぉぉぉ__破ッ!!!」

ジョージはそのままイズクを背負い投げ飛ばした!

しかもその威力は並大抵ではなかった!地面は大きく凹み、激突したイズクは何度も、地面をバウンドした!

ジョージ「笑止!見誤ったな、イズク。今の拙者たちは、一味違うぞ!」

ジョージ「歪んだその身体になる前の貴様なら対応できただろう。だが、もはや自分を見失い、冷静な判断すら出来ない今の貴様に、拙者は力でやられるような男ではない!」

カムロウ「いや、ちゃんと普通に喋れるんですか……」

 

ルカ「それにしてもすごい力だな……!この調子なら、なんとか押し返せそうだぞ!」

カムロウ「でもキツイな…イズクの奴、あんなになってもまだ戦えるのか。僕たちだってかなり体力を削られてるのに……」

ルカ「いや、アイツの身体をよく見るんだ。」

そう言われてカムロウはイズクの身体をよく見た。

すると、先ほどジョージがダメージを与えた斬り傷、その傷の治りが目に見えて遅いことに気がついた。

カムロウ「身体の再生が遅くなってる!?」

ルカ「いくら不死身の身体でも、疲労は蓄積するみたいだ。」

 

ルカ「確かに、僕達もアイツと戦い始めて、かなり体力を削られた。でも、それは向こうも同じなんだ。」

ルカ「だから次だ。次の攻防戦で、この戦いは決着する…!」

ルカ「けど、問題がある……どうやってアイツを倒せば…!?」

問題はその倒し方。鏡をも取り込んだイズクをどう倒せば…!?

ジョージ「勇者殿、まだ打つ手は残されています!」

マモル「鏡でっせ!右手の甲にある鏡を狙ってくだせぇ!」

マモル「力の源はあの反魂鏡!あれを砕けば、アイツはもう戦えねぇ!」

ルカ「まだ、挽回できる機会は残されているってわけか………」

だが、これが最後のチャンスになるだろう。

今戦える僕達で団結し、どうにかしてイズクの右手にある鏡を破壊しなくてはならない!

絶対に勝たなくては…!

ルカ「よし……いいか、みんな!聞いたとおりだ!」

ルカ「全員、鏡を壊すことを優先するんだ!」

 

「「「「あぁ!!!」」」」

 

地面に伏せたままのイズクは、ゆっくりと立ち上がろうとする。

イズク「雑音ばっか出しやがって……なにが決着だぁ、なにが壊すだぁ…?」

イズク「てめぇら如きで、俺の【大義】は潰せねぇ!!!」

ルカ「何が【大義】だ!お前の言う【大義】は、私利私欲しか詰まっていない、心のない、ただの【欲望の塊】だ!ただ自分が幸福になりたいだけじゃないか!」

ルカ「お前の大義は、理にかなってないんだ!」

イズク「黙れえええ!この、何も知らないクソガキがあああ!!!」

カムロウ「ああ、そうだ!確かに僕たちは、大人たちと比べて何も知らない子どもだ!」

カムロウ「けど、これだけは理解できる!お前のやろうとしていることは、やっちゃダメな事だ…悪い事なんだって!僕の心が、そう言ってるんだ!」

カムロウ「だから、止める!だから、倒す!」

 

イズク「出来るかあああァァァ!!!」

イズクは禍々しい右手の巨腕で、何度も何度も地面を叩き潰した!

すると、地面がひび割れ、そこから地が裂けた!

ルカ「地割れだって…!?」

地割れはルカ達の方に向かって走っていく。ルカ達は空中に飛んで回避したが__

イズク「止めるとか、倒すとか、調子に乗るんじゃねぇぇぇ!」

イズクは禍々しい衝撃波を、空中に逃げたルカ達に放った!

ルカ「しま___」

反応する時間もなく、衝撃波に当たりルカ達は吹っ飛ばされ、地面に倒れ落ちた。

その間に、イズクは暴れ馬のように、ドスドスと慌ただしい足音を立てる。

近づいた相手はカムロウだ。

イズクは大きく歪んだ右腕で、カムロウの首を掴んだ。

カムロウ「ぐえっ………」

イズク「生意気なガキめぇ!このまま捻り潰してやる__」

 

ルカ「___させるかぁぁぁ!!!」

ルカは飛び膝蹴りをイズクの顔に放った!

イズク「ってぇなぁ…!」

ルカ「たあああ!」

ルカは回し蹴りをイズクの顔に放った!

イズク「どけぇぇぇ!このガキ共があああ!!!」

イズクはカムロウを掴んだまま、巨腕を振り回してルカを振り払った!

それと同時に、掴んでいたカムロウも投げ飛ばした!

投げ飛ばされたカムロウは地面に激突した!

ルカは吹き飛ばされるも、受け身をとって着地した!

ルカ「うおおおおおおお!!」

ジョージ「勇者殿!今、加勢いたす!」

ルカとジョージは、共に歩みを合わせ、イズクに向かって突っ走る!

ジョージ「おおおおおおお!!!」

ルカ「とりゃあああああ!!!」

ジョージとルカは、息を合わせてイズクに正拳突きをした!

イズク「小癪なあああああ!!!」

イズクは巨腕で殴りかかった!

ルカとジョージ、イズクの拳がぶつかり合った!

互いに押す気配も退く気配も感じさせないほど、とても激しいぶつかり合い!

そのぶつかり合いの横から、マモルは文字通り横槍を入れた!

マモル「禍津大太法師(マガツノデイタラボッチ)!!」

合唱するマモルの背後に、禍々しい影の巨人が現れた!

マモル「禍津殴撃(まがつおうげき)!!」

マモル「オラァッ!!」

禍々しい影の巨人は、大きな右手を振りかぶり、イズクを殴り飛ばした!!

イズクの歪んだ巨体が殴り飛ばされるほどの威力。

その威力は、向こうの崖の壁に激突するほど凄まじい威力だ!

さらには土埃も高く舞い、衝撃の余波が感じられるほどだった!

イズク「イッッテェナァァァ!!」

土ぼこりから、イズクは巨腕を回して暴れまわり現れた!

イズク「だったらぁ…これでぇ…!!」

イズクの右手の甲に埋め込まれた鏡から、禍々しい冷気が溢れ出た!

イズク「凍りつけぇぇぇ!!!」

イズクは右手を突き出し、禍々しい凍てつく冷気を放った!

黒いような紫っぽいような、とにかく禍々しい色合いをした冷気が、地面を凍り付かせてルカ達に迫ってくる!

ルカ「なんだあれは…!」

マモル「禍津(マガツ)と氷風の合わせ技かぃ!」

すると、マモルは先頭に立ち、両手で錫杖(しょくじょう)を握りしめた!

マモル「裂渡波(さけとば)ァァァ!!!」

マモルは錫杖を振り回し、斬撃の衝撃波を放った!

その衝撃波で斬られたイズクの冷気は裂け、ルカ達を避けるように直進し消えた!

イズク「次はこれだぁ!!」

今度は禍々しい炎が、イズクの手から噴き出した!

ジョージ「今度は禍津(マガツ)と火炎を合わせたか!」

イズク「燃えつきろぉぉぉ!!!」

イズクは、禍々しい火炎を放とうとしたその時__

 

カムロウ「___おおおぉぉぉ!!!」

カムロウが、光り輝く風を纏った大剣を握りしめ、斬りかかろうとしていた!

イズク「このォォォガキがあああぁぁぁ!!!」

イズクはカムロウに向かって、禍々しい火炎を放った__

__…だがしかし!

カムロウ「うおおおぉぉぉ!!!」

風の剣が炎を切り裂いた!!

カムロウ「烈風巻(れつしまき)!!!」

カムロウは剣から竜巻を放った!!!

切り裂いた炎が竜巻に巻き込まれ、逆流した!

逆流した炎の竜巻が、イズクの体にぶつかる!

カムロウ「まだだ!」

カムロウは大剣を両手に持って構えた!

カムロウ「重颪(かさねおろし)ィィィ!!!」

さらに、大剣を振り回して攻撃を続けた!!

カムロウ「SEEYAAAAAAAA(セイヤアアアアアア)!!!」

イズク「うおおぉぉ!!」

まだ火炎の竜巻が残る中、イズクは右の巨腕で防御した!

それでもなお、カムロウは大剣を振り回し続けた!

何度も何度も斬撃を浴びせた!

カムロウ「これでもか!これでもかああああ!!!」

イズク「うおおおおおおぉぉぉぉ!!!」

その攻撃に耐えきれなくなってきたのか、徐々に、少しずつではあるが、イズクの防御が崩れつつあった!

ルカ「もう少しだ!あとちょっとで、イズクの防御を崩せそうだ!」

ジョージ「ここは拙者が!」

ジョージは高速移動をして、カムロウの横に並んだ!

ジョージ「驟雨佩飛(しゅううはくひ)夏霞(なつがすみ)!!!」

そして、刀を両手に持ち、高速で斬撃を浴びせた!

「「おおおおおおおおぉぉぉ!!!」」

カムロウの攻撃にジョージも加わり、2人の無数の斬撃が、イズクに大きなダメージを与える!

イズク「うおおああああああぁぁぁぁぁ!!!」

そして、耐え切れなくなったイズクの防御は崩れ、2人の斬撃をもろに食らった!

イズク「ぐぅっ……!」

すると、イズクは、膝を付いてしまった!

ダメージを負いすぎて、身体の再生が間に合っていないんだ!

隙が出来た!イズクの鏡を破壊するには、今しかないだろう…!

終わらせるんだ……この戦いを!

 

ルカ「みんな!攻めかかれ!!大攻撃態勢(オールアタックシフト)だ!!!」

 

イズク「クソがあああああああああ!!!」

やけっぱちか、イズクは禍々しい爆炎を右手から放った!

何度も何度も放ち、辺りを爆炎で包む!

ルカ「うげ…言ったそばからこれか…これじゃ近づけない!」

カムロウ「いや、僕が爆炎を斬る!このまま攻めるんだ!」

ルカ「爆炎を斬る…!?カムロウ、出来るのか!?そんな事が!」

カムロウ「あぁ…出来るさ…!」

そう言うと、カムロウは大剣を両手で握りしめた。

カムロウ「(父さんのような風薙ぎが今の僕には扱えるんだ…!)」

カムロウ「(だから…出来るはず…!)」

炎を切り裂き、風をも薙ぐ剣………

勇者の風と呼ばれるソレを……

カムロウ「(僕にだって、グラディリオン(勇者ノ風)を!!!)」

この力だって、ルカだって、ここにいるみんなだってそうだ。

誰かから受け継がれて、託されて、紡いできたモノなんだ!

それを今…解き放つ!!!

次第に、カムロウの持つ大剣に風が纏わり、光の風と化した!

カムロウ「グラディリオン(勇者ノ風)!!!」

勇者の風が放たれる!!!

光り輝く風の一枚の刃が、疾風のように駆ける!!!

勇者の風は爆炎を切り裂き、爆炎の中にいるイズクの体に大きな斬り傷を付けた!

イズク「ぐぅぁ…!!」

ルカ「き…斬った…!本当に、爆炎を…!」

イズクの周りを包んでいた爆炎。その一か所に、通り抜けれるような広さで通り道を開けてしまった。

以前、カムロウとハーレーさんとの闘いで、その威力は目にしていたが、本当に爆炎を斬ってしまうところを見てしまうと、思わず自分の目を疑う。

これは…とんでもない技だ。

カムロウ「さぁ!このまま行って!」

ルカ「ああ!」

この期を逃してしまう理由はない!

ルカは爆炎の抜け道を通り抜け、イズクの懐に潜り込み、イズクの身体の下からアッパーカットを打ち込んだ!

イズク「なんだと__」

ルカ「__おおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

ルカは会心の一撃を放った!

あまりの威力に、イズクは思わず頭を空に向ける。

そしてそこに、ルカは()()()()を投げた!

ルカ「使い損ねた魔法信号筒だ!」

魔法信号筒は、色とりどりの色を放った!

これはいわゆる、目くらましってやつだ!本来はこんな使い方ではないが、十分効果はあるはずだ!

イズク「うううああああああ!!!」

色とりどりの強い光を直視し、イズクは目を開けていられないようだ!

狙い通りだ。僕が狙っていたのは、イズクの視界を無くすことだ!

ルカ「よし…今だ、ジョージさん!」

そして、無防備なイズクに必殺技を与えるのは…ジョージさんだ!

ジョージ「禍津降魔刀(まがつごうまとう)……」

ジョージは刀を上段に構え、禍津(マガツ)の力を全開にした!

禍々しいオーラが身体を包み、さらには刀にまで伝う!

ジョージ「昇霊流し(しょうれいながし)!!!」

そして空高く飛び上がり、渾身の上段切り…唐竹割りをした!

ジョージ「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

命を、運命を、全てを懸けた渾身の一撃は__

 

__イズクの大きな右の手首を切断した!!!

イズク「ぐうううぅぅぅ…だ、だが俺は不死身だ___」

と喋り続けようとした時、斬り落とされて宙に舞うイズクの右手を、()()()()()がもの凄い速さで貫通した!!!

そして、崖の壁に勢いよく突き刺さった()()()()()は…マモルが持つ錫杖だった!

マモル「……ふぅー。なんとか当てれたなぁ…」

イズク「うぇ……!?」

ジョージがイズクの右手を斬った時、マモルは錫杖に禍津(マガツ)の力を宿して投げていたのだ!

さらに、右手が貫通した。それが意味する事……

手の甲に埋め込まれた鏡…反魂鏡が破壊されたという事である!

パリンッ…と、鏡の破片がバラバラに、右手と共にこぼれ落ちていく……

 

骸王(むくろのおう)・イズクを止めることに成功した!!___

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。