もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第64話 不滅の誓い、少年から戦士へ

__夜、コロポ村の宿舎。その一室にて。

アリス「__それで、勝利して戻ってきたというわけか。」

ルカ「あぁ。どうにかなったよ。」

アリス「ふむ。貴様らにしては良くやったと言ってやらんでもない。雀の涙くらい褒めてやろう。」

カムロウ「お願いします。もっと褒めてください……」

アリス「すまないがそれはできない。セントラ大陸に渡ってその程度の戦闘力では、先が思いやられるのだ。」

カムロウ「えー。」

アリス「文句を言うな。着々と精進をしろ。」

カムロウ「はーい。」

ルカ「………」

なんと辛口な評価なのだろう。と、ルカは思った。

 

その部屋の片隅で、ベッドに横たわったパヲラははしゃいでいた。

パヲラ「んー復活!」

チリ「は、してないですね。ここ数日は出発まで安静にしてください。絶対。絶対に。」

パヲラ「ぜ…絶対!?い…いやよ!あたし、元気な時は動き回らないと死んじゃうわ!」

ラクト「じゃあ死んどけ。」

パヲラ「なんだとテメェ__」

次の瞬間、パヲラは大量の血を噴き出した!

パヲラ「ぐわあああああぁぁぁ!!!」

ラクト「うおおおおおおぉぉぉ!!?」

チリ「だから言ったじゃないですかーッ!!!」

 

ルカ「思ったんだけど……なんで自然治癒で治るのを待ってるんだ?回復魔法で完治できるだろ?」

チリ「過度に身体を酷使して、何度も何度も回復魔法を多用しちゃうと、身体が回復魔法を受け付けなくなるの。そうなっちゃうと、再び受け付けるようになるまで数年ほどの休息期間が必要になるの。」

ルカ「だから安静にしないといけなかったのか。」

チリ「特にパヲラさんは……グランベリアと戦った時もそうなんだけど、身体への損傷が大きすぎるの。この調子だと身体が壊れちゃいそうだから……こんな時くらいゆっくりして欲しかったんだけど……」

しかし、当の本人は、というと__

 

パヲラ「バビンバッ!バビンバッ!」

ラクト「黙れお前!もう黙れ!寝ろ!」

パヲラ「バビンバッ!バビンバッ!」

カムロウ「………ムナゲ?」

パヲラ「ムーナゲ。」

ラクト「会話してる…!?」

 

__止まることすら知らない生き物のようだ。

ルカ「(アイツ(パヲラ)は回遊魚かなにかか…?)」

 

ジョージ「勇者殿。」

気が付くと、近くにジョージとマモルが立っていた。

マモル「この度は感謝申し上げます。」

そして、深々とお辞儀をした。

ジョージ「これで我らが友の御霊も、安心して眠りにつくことができるでしょう。」

マモル「皆さんに出会わなければ、もはや死んでも死にきれず、この世を彷徨っていたことでしょう…!」

ルカ「いえいえ…礼には及びませんよ。それに、あの時お二人がいなかったら……僕たちはこうして、五体満足でいられなかったと思います。」

ルカ「ここにいるみんなを代表して…僕からも、お礼を言わせてください。」

ジョージ「勇者殿…!」

「「__再び、深く感謝を申し上げます!」」

また、深くお辞儀をした。

 

ジョージ「…では。失礼。」

ルカ「……え?」

そう言って、2人はそそくさと部屋を出ていこうとする。

ラクト「なんでぇ、もう行っちまうのか?」

マモル「すみませんねぇ。下手に長居して、迷惑かけるわけにはいかないんでねぇ。__」

 

ルカ「__待ってください。」

2人が、ドアノブに手を掛けようとした直前に、僕は呼び止めた。

ルカ「……お二人は、これからどうするんですか?」

ジョージ「それは………」

マモル「と、言うとですねぇ………」

2人は言葉を濁した。顔を背け、僕らに目を合わせようともしない。

ジョージ「…これから生きると決めたものの………もはや、行く当てもない……全てを失った。帰る場所も、財も、友も………」

マモル「何も、残されてないんすよぉ……あの時から、全てを無くしたあの日から…アッシら、止まったままだったんすよ…__」

 

パヲラ「__あら、それは少し違うじゃない?」

ベッドに腰掛けていたパヲラがそう言った。

ルカ「少し違う?」

パヲラ「ええ。だってぇ……」

 

パヲラ「新しい友人なら、もうここにいるじゃない?」

マモル「……!」

ジョージ「………パヲラ殿の仰る通りだ!」

 

ルカ「そうだ!お金だったら、僕たちからも貸せますよ。」

カムロウ「何かやりたいことがあるんだったら、手伝えますよ!」

ジョージ「…やりたいこと…そうだな……」

2人はその場で少し考えこむと、何か決心したような目付きで顔を上げた。

ジョージ「マモル。」

マモル「おう。」

 

ジョージ「では、勇者殿……いえ、勇者様!」

ジョージ「貴方様に折り入って頼みがございます!」

ルカ「え…?は、ハイ。何でしょうか……?」

すると2人は、その場に跪いた!

ルカ「え………?」

ジョージ「我が名はムラサメ・ジョージ!」

マモル「我が名はユゲ・マモル!」

「「今、ここに……__」

 

 

「「__勇者ルカ様への、絶対の忠誠をここに誓います!!!」」

 

 

ルカ「うえええええぇぇぇぇぇ!!?」

いきなり何を言い出すんだ、この人たちは!?

ジョージ「我々を、貴方様の旅にお供させてほしいのです。」

ルカ「え…え…えっと……それは……僕たちの仲間になりたいってことですか…?」

マモル「家来です。部下です。我々は今から、貴方様の手駒でございます。」

ジョージ「貴方様に戦えと命じられれば如何なる物の怪であろうと、森羅万象、八百万の神々にでも、命を懸けて立ち向かう所存です。」

マモル「そして、貴方様のためならば、この身、盾となり壁となり、あらゆる危機から貴方様を御守りします。」

ルカ「え、えっとぉ……え……え……あ………」

どうしよう……唐突の事で頭が回らない。

そこに、ラクトが耳打ちをしてきた。

ラクト「頭の固い奴だな、お前はよぉ。物事を大きく受け止めすぎだ。ちったぁ捻って考えてみろよ。」

ラクト「例えば呼び方を変えるとか、ここはこうして欲しいとか、そういう細かい指示を出せば良いんだよ。」

ルカ「な、何を言うんだ!まるで人間扱いしてないみたいな言い方……」

ラクト「そうは言ってねぇよ。だったら【自分たちとは対等に接してくれ】でもいいじゃあねぇか。」

ルカ「へ…?」

ラクト「いいか?こいつらカタブツをどうにか出来んのは、もうお前しかいねぇんだよ。正直、生活費が増えるのは癪だが……この2人は、意地でもお前に付いていくつもりだぞ?人間扱いするかどうかは、お前次第ってわけ。」

ルカ「そ、そうか………よし。」

 

ルカ「じゃあ…健康第一思考で。」

「「御意!!」

ラクト「それが先かよっ!!!」

 

でもそうだな……これから先、ずっと様呼びとかは、なんかやりづらいしな……

ルカ「そうだ、僕の事は呼び捨てでもいいですよ。敬語も無しで。ついでにみんなのことも。」

カムロウ「ついでに!?」

 

ルカ「みんなも、それでいいだろ?」

アリス「不服。」

ラクト「それお前だけだよ。」

次の瞬間、ラクトはアリスに首を絞められていた。

ラクト「ああぁぁぁ!!!」

カムロウ「ラクトぉぉぉ!!!」

 

マモル「しかし、勇者殿。よろしいのでしょうか?敬称を付けなくてよいというのは……」

ルカ「なら、僕たちもお二人の事を呼び捨てで呼びますよ。これで対等になるはず。」

マモル「じゃあ()、よろしくお願いします。」

ルカ「えぇ…切り替えが速い…!しかも()呼び…!?」

ジョージ「では…改めて私からも。ルカ殿。よろしくお願いする。」

ルカ「あぁ、こちらからもよろしく頼むよ。」

ともかく、これで話しやすくなったな。

 

カムロウ「うん…?ジョージさん。拙者とかござるって言わなくなった?」

ルカ「確かに、言われてみるとそうだな…?」

マモル「アイツ、人前で緊張するとそうなっちゃうんすよ。」

ルカ「へぇ。」

ジョージ「あぁぁ、腹がぁぁ!腹が減ってぇぇぇ!!」

ラクト「うるせぇ!!ジャーキーやるから落ち着け!」

ルカ「あれは素なんだ……」

 

ルカ「…ふぅ。なんか、一気に印象変わったなぁ……」

パヲラ「ふふ……いいじゃない、賑やかで。」

一皮剥けたというか、肩の荷が下りたような印象だ。おそらく、これが彼らの本来の性格なのだろう。

ともかく、心強い仲間が増えたぞ!

彼らの強さは折り紙付き、この目で見ているから確かだ。

この先でも、目覚ましい活躍をしてくれるはずだ!__

 

 

 

__旅は道連れ世は情け。

正義の忠義は大義と成る。

侍・ジョージ

陰陽師・マモル

この2人が新たに仲間に加わった!

 

 

 

 

 

___その日の夜。コロポ村の高い丘。

雲の隙間からは月光が差す。

カムロウ「__お父さん。ここにいたんだ。」

ハーレー「……あぁ。お前か。」

そこにいたのはカムロウと、カムロウの父ハーレーだった。

見回りの最中か、ハーレーはこの村を一望できる高い丘から、村の方を見下ろしていた

カムロウ「これ、返すよ。」

カムロウは背中に担いだ大剣を下す。

刀身に黒い木目状の模様があるこの大剣は、元々ハーレーから借りていた剣だ。

ハーレー「あぁ、それか。」

ハーレー「それ家に置いといて。」

カムロウ「ここまで持ってきた意味ぃ……」

カムロウはハーレーの横に並び、同じように村を眺める。

しばらくしてから、再びカムロウが口を開いた。

カムロウ「…お父さん。気になることがあって………」

ハーレー「ん?」

 

__気になる事。それは戦いの最中に起きた出来事。カムロウは、自分の身にあった変化について話した。

カムロウ「__あの時、無意識に放った【氷の風】の魔法……あれは魔導書で覚えた魔法とかじゃなかった。」

カムロウ「気絶していた時に聞こえたあの声の主の…力というか、魂なのかな。」

カムロウ「けど、あの時…聞こえた声……あれって、誰だったんだろうな…って。」

ハーレー「……………」

 

ハーレー「【氷の風】……それを得意とする人間なら、俺は一人知っている。」

カムロウ「それはどういう人?」

ハーレー「……俺の親父だ。」

カムロウ「……おじいちゃん…?」

ハーレー「故人だ。もうこの世にいない。」

 

ハーレー「俺は【風薙ぎ】を独自に発展させ、【嵐の風薙ぎ】へと昇華しているが……親父が得意とした【風薙ぎ】は【氷の風薙ぎ】だ。」

ハーレー「凍てつく冷気を風に纏う。ただ、それだけだが…親父は器用な奴だった。ただ放つだけではなく、その力で優勢になるよう周囲の環境を変化させる他、氷の壁や鎧を形成するといった技術を持っていた。」

カムロウ「お父さんとどっちが強い?」

ハーレー「どうだが……負ける気はないがな。」

ハーレー「あとはそうだな……各地を旅する冒険家でもあった。というより放浪癖があってな。気が付くとすぐどこかに行き、いつの間にか帰っている。そんな人間だった。」

カムロウ「……そうなんだ。」

もしかしたら……生命エネルギーのせいなのかも。どういうわけかは知らないけど、僕は知らず知らずのうちに、おじいちゃんに出会っていたのかも知れない。

本当はどうなのかわからないけど……それでも何故か、どこか嬉しい気持ちになった。

 

ハーレー「……えっ怖っ。ってことはお前、一度死んだんじゃないの?」

カムロウ「えぇ!?やめてよ!怖い事言うの!」

ハーレー「今のお前って、実は死んだことに気付いていない幽霊だったり?」

カムロウ「だからやめろって!」

 

 

ハーレー「……あと3日……どうする?」

カムロウ「あと3日……3日経てば、僕はこの村から旅立つ。

どうするかなんて、すでに決まっていた。

カムロウ「どうするって……決まってるよ、お父さん__」

 

カムロウ「__いや………親父(おやじ)

ハーレー「む?」

カムロウ「残りの3日も、親父と鍛錬する。」

 

カムロウ「親父が言ってた()()()()()……それはもう終わったけど………もうこの村には、戻って来れないかもしれない。」

カムロウ「この広い世界を……出会えたみんなと一緒に見て回るんだ。最後の最後まで、みんなのそばで。」

カムロウ「だから、()は強くならないといけない。」

 

カムロウ「__いつか、親父(おやじ)を超えるくらい。」

ハーレー「……………」

 

ハーレー「バーカ、生意気な事言ってんじゃねぇよ。ぶっ飛ばすぞ。」

カムロウ「はぁ!?なんで!?」

ハーレー「お前なんかに俺を越えれるわけねぇだろ。」

カムロウ「いーや!超えるもんね!」

ハーレー「隙あり!」

ハーレーの攻撃!

カムロウは攻撃をなんとか避けた!

カムロウ「うおぉ!?」

ハーレー「なんだ?俺を超えるんじゃなかったのか?」

カムロウ「この人なぁ…!そうやっていっつも嫌がらせしてなぁ!」

 

カムロウ「だったら今にでもぶっ飛ばしてやるよ!」

ハーレー「当てれるもんなら当ててみろよ!」

なぜか喧嘩が始まった__

 

 

 

 

それからしばらくして翌日。

コロポ村の復旧作業はまだ続いていたが、ルカ達が手伝わなくても良いくらいにまで復旧が進んだ。

カムロウは鍛錬の真っ只中。なので、それぞれ思い思いの休息をとっていた。

そんな中…宿舎。

たまたまラクト、パヲラ、アリスの三人が集まっていた。

パヲラは安静を命じられており、その監視役としてラクトがいたわけだが…ラクトはベッドに横になり、ダラダラと怠惰を貪っていた。

そんな時、ラクトが口を開いた。

ラクト「そーいやぁーよぉー。」

パヲラ「なによぉー。」

屈伸をしながら話を続ける。

ラクト「きになることがーあってよぉー。」

パヲラ「なんなのよぉー。」

 

ラクト「カムロウって、どうやって生まれたんだ?」

パヲラ「確かに、それあたしも気になってたわ。」

ラクト「だろぉ?身体の構造が違う種族同士で、そう簡単に子どもができると思うかぁ?」

遠くで椅子に座っているアリスに問いかけた。

ラクト「その辺どーなの?」

アリス「ふむ………」

 

アリス「ヒントをやろう。カムロウの姉は純粋な古龍族だ。」

ラクト「は!?どこがヒントだよ!ますます訳わかんねぇよ!」

アリス「無理もないか。理解できる知識が無ければ……」

ラクト「そりゃあ、お前のような魔王様と人間じゃあ知識の差なんて雲泥ってモンだろ。」

 

アリス「お前(パヲラ)はどう考える?」

パヲラ「にゅー?そうねぇ……」

 

パヲラ「魚に、自分と違う種類の魚の精子でも受精できる魚がいるのよね。けど精子は卵と受精はしないから、生まれてくる子どもは母親とまったく同じ遺伝情報を持つんだけど……」

パヲラ「それと似たようなモノなんじゃなーい?」

アリス「十中八九。」

ラクト「あ、まぁまぁ当たってんだ。」

 

アリス「いわゆる単為生殖だな。古龍族もそれと似たような方法で繁殖が可能だと推測できる。魔物にも似たような方法があるがな。」

ラクト「あー、カムロウの姉が純粋の古龍族ってのはそういうことか。」

アリス「だが……混血児(ハーフ)が生まれるとは、一番驚いたのは本人たちだろう……前例のない、ましては出産方法も違ったのだからな。」

ラクト「出産方法が違う?どういうこった?」

アリス「古龍族は卵胎生のようだが…カムロウは、胎生で生まれたらしい。」

ラクト「はぁ!?だったら、尚更生まれた訳が……」

アリス「古龍族と人間の染色体の数がたまたま同じだったこともあるがな……ところでカムロウに生殖器はあったか?」

パヲラ「あったわよ。お風呂で見た。」

ラクト「なに見てんだお前。」

アリス「そうか……そうなると、かなりの幸運とも言えるな。」

アリス「その異なる種族の間で、子を成すことは難しい上に、その子どもが生殖能力を保持して生まれることは極めて稀だ。」

 

そう聞いたラクトはしばらく考え込んで、ふと呟いた。

ラクト「…つまり……イレギュラー…ってわけか?カムロウは。」

アリス「そうだな。偶然が偶然に、重なりあって生まれた存在なのだろう。」

ラクト「ふーん………」

 

 

 

__そして……いよいよ、出発の日。カムロウの家では。

テアラ「カムロウ……出発前にあの人(ハーレー)と軽く鍛錬をしたみたいけど……」

カムロウはボロボロでたんこぶだらけで、泣きべそをかいていた。

テアラ「その様子だとひどくやられたみたいね……」

カムロウ「負けちゃった………」

テアラ「どうしてそんなになっちゃったの?」

カムロウ「遠慮はいらないって言ったら、一方的に……」

テアラ「本当に遠慮なくやったのね、あの人……もうすぐ出発するというのに……」

 

テアラ「カムロウ、手を出して」

そう言われて、カムロウは手を差し出した。テアラが両手で、カムロウの手を優しく握りしめると、緑色に輝く淡い光が溢れ出した!

その光はカムロウの身体を優しく包み込む。

すると、さっきまでズキズキと傷んでいた身体が、みるみる治っていく!

たんこぶも真っ平に治まり、痛みも引いてなんともない!万全な身体と言ってもおかしくないほどだ!

カムロウ「これは……」

テアラ「古龍族は、その内に秘めた膨大な生命エネルギーを放出する能力を持っているの。そして、その生命エネルギーを、他者に分け与えることもできる。」

テアラ「慈愛か…破壊か……それを決めるのは、私と同じ古龍族の力を持つ、あなたも同じ。」

そう言うと、テアラは両手を、カムロウの頬に添えた。

そして、慈愛に満ちたような優しい眼差しで、カムロウを見つめた。

テアラ「強大な力を持つということは……」

テアラ「それにつり合うの運命も待ち受けているということ。」

テアラ「もし、この先で……旅の中で運命に立ち向かう時が来たのなら……__」

 

テアラ「__その時は必ず、(ドラゴン)に成りなさい。」

カムロウ「…はい……!」

 

 

 

__数分後、身支度を終えたカムロウは、外の玄関前に立っていた。

これから旅立つカムロウを見送るためにテアラも外に出ていた。

カムロウが新しく着た衣服は、各所に渦巻きや幾何学的な文様が施されている。

テアラ「私が織ったのだけれど…どうかしら。キツくない?」

カムロウ「良いね。動きやすい。」

靴ひもを縫い、旅の荷物を背負い、旅立つ準備は万全だ。

深く深呼吸をして、カムロウはテアラの方を向いた。

カムロウ「それじゃ、行って来るよ。母さん。」

テアラ「ええ、行ってらっしゃい。」

そして、カムロウは駆けて行った。

テアラは旅立つカムロウの背を、その姿が見えなくなるまで見守り続けるのだった__

 

ハーレー「__なんだ、アイツ(カムロウ)もう行ったのか。」

テアラが家に入ると、ハーレーとリンドウは椅子に座っていた。

テアラ「ええ、もう行きましたよ。」

ハーレー「そうか。」

 

ハーレー「おい、リンドウ。お前も独り立ちしたらどうだ?」

リンドウ「いやだ。どこで暮らせって言うのよ。」

 

テアラ「……あなたも、あの子の無事を願ってるの?」

ハーレー「ただ願うだけだ。この先をどうするは、アイツ次第だ。」

テアラ「……そうね。」

 

 

 

__ルカ達はすでに、コロポ村の入り口に集まっていた。

アリス「……遅いな…仕方がない。置いていくか。」

ルカ「アリス。これやるからもう少し待て。」

ルカは干し柿を取り出した。

アリス「ふむ。干し柿か……」

チリ「餌付けされてる……」

そして遅れて、カムロウがやって来る。

ラクト「おせーぞ相棒。まーた寝坊してたんじゃあねぇのか?」

カムロウ「ごめんよ。身支度に時間が掛かったんだ。」

パヲラ「あらっ!カムロウちゃん、良い恰好じゃなぁい!」

パヲラは新しい衣服を着たカムロウを見て身体をくねくねした。

ルカ「どうしたんだ、それ。新調したのか?」

カムロウ「そうなんだ。母さんが作ってくれたんだ。どう?」

チリ「良いね、似合う!」

ルカ「いいなぁ。かっこ良いよ!」

ルカ「(見比べると僕が地味に見えてくるな……)」

ルカは自分の服と、カムロウの服を見比べてそう感じた。

マモル「お?若。アッシが縫いましょうか?」

ルカ「いや、いい。」

 

わちゃわちゃする皆をよそに、アリスは先に移動していた。

アリス「置いてくぞ。」

ラクト「おい待てやテメェ!!」

先を行くアリスを追いかけるように、ルカ達は慌てて走り出した。

こうしてルカ達は、慌ただしく出発をした。

 

そしてカムロウは、新たな旅立ちに大きな期待と、故郷を離れることへの寂しさを、身に染みるように感じていた。

カムロウ「(母さん……親父……姉ちゃん…行って来る!)」

カムロウ「(俺は、色んな所をみんなで旅して、より強くなって……)」

カムロウ「(この広い世界を、見て回るんだ!)」

 

カムロウ「(だから、俺は………)」

 

カムロウ「(俺は……!みんなを守れる男になる……!!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラクト「あ、そうだ。そういえば、ルカよぉ。」

ルカ「ん?」

ラクト「勝どき、上げてなかったな。」

ルカ「あー……え?しろって?やだよ。」

ジョージ「では、ルカ殿。旅の安全祈願としてというのはいかがで?」

ルカ「………それだったら良いかな?」

ルカは懐の鞘から剣を抜き、空高く掲げた!

ルカ「行くぞ!みんな!出発だ!!!_____」

 

 

 

 

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