もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち 作:J・チェプナクル
潮の匂いはしなくなり、平野を行く僕達。
ラクト「なぁ、ルカ。俺、ヘルメタル子守唄ってのを思いついた。」
ルカ「それ……寝かしつけれるのか?」
チリ「多分、無理。」
相変わらず仲間の談笑を聴きながら、順調に歩みを進めている。
サン・イリア城は目前__
というところで、一体の魔物に遭遇した!
ラミア「あら……洗礼を受けていない旅人なんて、珍しい……」
ルカ「こいつは…!」
僕たちの前に現れたモンスターは……
ラミア__
下半身が蛇の姿をした魔物。
モンスターの中でも知名度が高く、強力な個体も多い種族。
こいつはそこまで強力なラミアではなさそうだが、決して油断はできない!
ラミア「この私が巻き付いて……じっくり締め上げて、いたぶり抜いてあげるわ……」
ルカ「ぐっ…!」
どうやら、戦いは避けられないらしい。
襲い掛かる魔物を前に、僕たちは戦う態勢に入った!
ラミアが現れた!
ルカ「こいつと戦うには、力の強いメンバーの方が良いかもしれないな……」
ラミアというのは、高い魔力を持つ個体が多い。それだけではなく、強靭な肉体も持つ。つまり、強い力と魔力を兼ね備えている。
と、なれば……魔法を扱うラクトや、回復魔法を扱えるが戦闘は苦手なチリを選出するには合わない……
だから、カムロウ、パヲラ、ジョージ、マモルの4人を戦闘メンバーに選んだ!
前線に出すのは僕を含め、パヲラとジョージだ。
2人は力も強い。現状、僕のパーティの中では接近戦のエキスパートと言える人達だ。
ルカ「行くぞ、パヲラ!」
パヲラ「行くわよ、ルカちゃん!」
僕とパヲラは、一気にラミアに向かって駆け走り、接近戦を仕掛けた!
僕は剣による攻撃を、パヲラは足技による攻撃をした!
するとラミアは、僕たちが攻撃するタイミングに合わせて、尻尾を前に出して防御した!
ルカ「ウロコが固いッ!」
ラミアの蛇の身体は、固いウロコで覆われていた。
無傷、というわけでは…効いてないというわけではないが、ダメージを軽減されてしまった。
するとラミアは、下半身である蛇の身体をくねらせ、尻尾で薙ぎ払ってきた!
ジョージ「ここは任せよ!」
ジョージが前に出て攻撃を庇った!
仁王立ちで迫り来る大きく太い尻尾を、身体全体を使って受け止めた!
ラミア「へぇ……驚いたわ。私の尻尾を受け止めれる人間がいるなんて……」
ラミアは、尻尾を引き戻そうとしたが、動く気配がなかった。
ラミア「……?」
よく見ると理由が分かった。
ジョージはラミアの尻尾を受け止めた後、身体全体で掴んでいた!
ジョージ「パヲラ殿!」
パヲラ「ええ!」
パヲラも、ラミアの尻尾掴みに加わった!
すると2人は、息を合わせてラミアの身体を振り回し、さらに勢いをつけて地面に叩きつけた!
ルカ「なんて力技だ!」
しかし、地面に叩きつけられたラミアはすぐに起き上がった!
ラミア「それなりの実力はある旅人らしいわね……」
手で体に付いた土を払い除けると、手を前に突き出しなにやら構えを始めた。
ルカ「……まさか!」
ラミア「
突き出した手から炎が燃え噴き出し、ラミアは炎の塊を飛ばしてきた!
ラミアは高い魔力を有するモンスターだ。魔法を扱えるくらい、なんの不思議ではない!
パヲラ「
するとパヲラが僕たちの前に躍り出た!腕に水の魔法を纏ったパヲラは、なんと水のカーテンを造った!
パヲラが造り出した水のカーテンは、ラミアが放った
ラミア「ふぅん……次、これはどう?」
ラミア「
ラミアは手から、灼熱の光線を放ってきた!
太陽のような、溶岩のような、遠くからでもその熱さがじわじわと感じるくらいの熱光線だ!
ルカ「灼熱の光線!?なんだこの魔法は…!?」
パヲラ「灼熱魔法!高度な魔法だわ……!」
ジョージ「マモル!」
マモル「あいよ!」
マモル「
マモルの影が大きな巨人に変化した!マモルの影が変化した巨人は、腕を地面に突き差した!
腕はぐにょんと伸び、ルカ達の前に飛び出した!
マモル「
飛び出した腕は長方形の壁に変化して、熱線からルカ達を守った!
しかし、壁の横から漏れた熱線が、辺りを燃やして炎の壁を生み出す……!
これでは炎の壁で行動を制限されて自由に動けない!
ルカ「漏れた炎がさらに燃えて広がる!今からマモルの紙式神で、バリアを張れないのか!?」
ジョージ「申し訳ないのですが、それは出来ません!マモルの紙式神は、火の気と湿気には弱いのです!」
ジョージ「これほど火の手が広がっていると、【壁】を展開する前に火の気が移り燃えて、紙式神が使えなくなってしまいます!」
マモル「すいやせん。まぁなんせ紙ですし。」
ルカ「だったら………」
ルカ「やってくれ、カムロウ!!」
カムロウ「ああ!やってみる!」
カムロウ「
カムロウは、光り輝く風の一枚刃を放った!
その風の一枚刃は、弧を描いてルカ達の周りを通り過ぎ、燃え広がっていた炎を斬りながら、熱光線をも断ち斬った!
しかし、ラミアが放つ熱光線は一瞬斬れただけで、熱光線が止まることは無かった。
ラミア「無駄よ。私がこうして放ち続けてる間、この
カムロウ「いいや、ただ止めるためだけに放った技じゃない!」
ラミア「!?」
カムロウ「切り開いた風の通り道から!炎が巻き込まれて逆流するぞ!」
風の一枚刃が進んだ方向に沿って、渦が生まれた!
その渦は炎を巻き込み、次第に熱線をも巻き込んでラミアに襲い掛かった!
カムロウ「
炎が風と共に逆流した!
ラミアはその炎の渦に巻き込まれる!
ルカ「今だ!」
カムロウが炎を巻き込んだおかげで鎮火した。これで僕たちも自由に動ける!
ルカはすぐさま駆け出し、ラミアに一太刀浴びせた!
カムロウの攻撃でかなりダメージを受けたはず!
これで封印できる__
ラミア「ぐっ……」
ラミアは、ゆらりとよろめいた__
が、まだ倒してはいない!
ラミアは、強靭な尻尾を勢いよく振り回して周囲を薙ぎ払い、パヲラとジョージの二人を薙ぎ飛ばした!
ルカ「ま、まだ体力が残っているのか!?」
ラミア「人間なのに、かなりやるようね。私も、本気を出すわ……」
さすがは、有名な魔物だけあり、生命力も大したものだ。
ルカ「くっ、なんてしぶといんだ……」
ラミア「私を怒らせたわね。もう、逃がさないから……!」
ラミアはぎゅるぎゅると巻き付いてきた!
ルカの体が、強靭な蛇体にみっちりと巻き上げられる!
カムロウ「し、しまった!ルカがラミアに巻かれた!」
ラミア「もがいても無駄よ、絶対に抜け出せないわ……」
ルカ「ぐっ……!き、きつい……!」
ラミア「ふふっ、苦しいでしょう……もうすぐ、抵抗もできなくなってしまうわよ……」
ルカ「う……うう…………!!」
ラミア「そろそろ動けなくなってきたでしょう……あと一回締めたら、動けなくなるようね……」
今の僕は人質だ……僕がラミアに巻き上げられている間、仲間のみんなは不用意にラミアに攻撃することはできない。
攻撃をすれば、僕はすぐにでも骨を折られてしまうだろう。
かといって、このままでは僕がやられる…確かに拘束はきつく、抜け出せそうにない……
しかし……腕は自由だ!
まだ、攻撃はできそうだ……!
だから、
ルカ「きょえぇぇぇぇ!!!」
ルカは剣をやたらめったに振り回した!
ラミア「ちょ…あっ、あぶなっ…あぶないっ…」
ラミアの下半身…蛇の身体は固いウロコに覆われている。狙うとするなら、人の身体をしている上半身だ!
締められ続け、僕の体力はわずかしかない…
そのわずかな力を全て、渾身の一撃に込める!
ルカ「でやぁぁぁぁぁ!!!」
ルカは横一文字に斬り払った!
その一撃は、ラミアの身体に命中した!
ラミア「そんな……この私が、負けるなんて……」
ラミアは小さな蛇の姿になった!
ラミアをやっつけた!
ルカ「ふぅ、勝ったぞ!」
剣を鞘に納め、身体の調子を確かめてみる。骨は折れてなさそうだ。
ルカ「ラミアほどの強敵を倒すなんて、僕達もずいぶんと腕を上げたものだ。」
アリス「ふむ、片付いたか。では行くぞ。」
ルカ「…それだけ?強くなった、とか思わないのか?」
アリス「マシにはなった。」
ルカ「……それだけ?そりゃ、魔王から見れば大した違いじゃないかもしれないけど……」
パヲラ「フフフ…良いじゃない。ちょっとは良くなったって評価が貰えたじゃない。」
パヲラ「ルカちゃん、大事なのは自分がどう思うか!手応えを感じているかどうかなのよ!」
ルカ「ああ…そうだな!」
確かに、前の自分ならラミアなんて強敵を倒せるとは思えない。そう考えると、着々と僕は成長している気がする!
ともかく、サン・イリア城は目前。
サン・イリア王は、僕にも光を示してくれるだろうか……?