もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第2話 サン・イリア、目前にして強敵

潮の匂いはしなくなり、平野を行く僕達。

ラクト「なぁ、ルカ。俺、ヘルメタル子守唄ってのを思いついた。」

ルカ「それ……寝かしつけれるのか?」

チリ「多分、無理。」

相変わらず仲間の談笑を聴きながら、順調に歩みを進めている。

 

サン・イリア城は目前__

というところで、一体の魔物に遭遇した!

 

ラミア「あら……洗礼を受けていない旅人なんて、珍しい……」

ルカ「こいつは…!」

僕たちの前に現れたモンスターは……

 

ラミア__

下半身が蛇の姿をした魔物。

モンスターの中でも知名度が高く、強力な個体も多い種族。

こいつはそこまで強力なラミアではなさそうだが、決して油断はできない!

 

ラミア「この私が巻き付いて……じっくり締め上げて、いたぶり抜いてあげるわ……」

ルカ「ぐっ…!」

どうやら、戦いは避けられないらしい。

襲い掛かる魔物を前に、僕たちは戦う態勢に入った!

 

ラミアが現れた!

 

ルカ「こいつと戦うには、力の強いメンバーの方が良いかもしれないな……」

ラミアというのは、高い魔力を持つ個体が多い。それだけではなく、強靭な肉体も持つ。つまり、強い力と魔力を兼ね備えている。

と、なれば……魔法を扱うラクトや、回復魔法を扱えるが戦闘は苦手なチリを選出するには合わない……

だから、カムロウ、パヲラ、ジョージ、マモルの4人を戦闘メンバーに選んだ!

前線に出すのは僕を含め、パヲラとジョージだ。

2人は力も強い。現状、僕のパーティの中では接近戦のエキスパートと言える人達だ。

 

ルカ「行くぞ、パヲラ!」

パヲラ「行くわよ、ルカちゃん!」

僕とパヲラは、一気にラミアに向かって駆け走り、接近戦を仕掛けた!

僕は剣による攻撃を、パヲラは足技による攻撃をした!

するとラミアは、僕たちが攻撃するタイミングに合わせて、尻尾を前に出して防御した!

ルカ「ウロコが固いッ!」

ラミアの蛇の身体は、固いウロコで覆われていた。

無傷、というわけでは…効いてないというわけではないが、ダメージを軽減されてしまった。

するとラミアは、下半身である蛇の身体をくねらせ、尻尾で薙ぎ払ってきた!

ジョージ「ここは任せよ!」

ジョージが前に出て攻撃を庇った!

仁王立ちで迫り来る大きく太い尻尾を、身体全体を使って受け止めた!

ラミア「へぇ……驚いたわ。私の尻尾を受け止めれる人間がいるなんて……」

ラミアは、尻尾を引き戻そうとしたが、動く気配がなかった。

ラミア「……?」

よく見ると理由が分かった。

ジョージはラミアの尻尾を受け止めた後、身体全体で掴んでいた!

ジョージ「パヲラ殿!」

パヲラ「ええ!」

パヲラも、ラミアの尻尾掴みに加わった!

すると2人は、息を合わせてラミアの身体を振り回し、さらに勢いをつけて地面に叩きつけた!

ルカ「なんて力技だ!」

 

しかし、地面に叩きつけられたラミアはすぐに起き上がった!

ラミア「それなりの実力はある旅人らしいわね……」

手で体に付いた土を払い除けると、手を前に突き出しなにやら構えを始めた。

ルカ「……まさか!」

ラミア「炎魔法(ファイア)!」

突き出した手から炎が燃え噴き出し、ラミアは炎の塊を飛ばしてきた!

ラミアは高い魔力を有するモンスターだ。魔法を扱えるくらい、なんの不思議ではない!

パヲラ「雨弧戸(レインコート)。」

するとパヲラが僕たちの前に躍り出た!腕に水の魔法を纏ったパヲラは、なんと水のカーテンを造った!

パヲラが造り出した水のカーテンは、ラミアが放った炎魔法(ファイア)を打ち消すと、音も無く消えてしまった……

 

ラミア「ふぅん……次、これはどう?」

ラミア「灼熱魔法(ブレイズ)!!!」

ラミアは手から、灼熱の光線を放ってきた!

太陽のような、溶岩のような、遠くからでもその熱さがじわじわと感じるくらいの熱光線だ!

ルカ「灼熱の光線!?なんだこの魔法は…!?」

パヲラ「灼熱魔法!高度な魔法だわ……!」

 

ジョージ「マモル!」

マモル「あいよ!」

マモル「大太法師(デイタラボッチ)!」

マモルの影が大きな巨人に変化した!マモルの影が変化した巨人は、腕を地面に突き差した!

腕はぐにょんと伸び、ルカ達の前に飛び出した!

マモル「塞壁(へきそく)!」

飛び出した腕は長方形の壁に変化して、熱線からルカ達を守った!

しかし、壁の横から漏れた熱線が、辺りを燃やして炎の壁を生み出す……!

これでは炎の壁で行動を制限されて自由に動けない!

ルカ「漏れた炎がさらに燃えて広がる!今からマモルの紙式神で、バリアを張れないのか!?」

ジョージ「申し訳ないのですが、それは出来ません!マモルの紙式神は、火の気と湿気には弱いのです!」

ジョージ「これほど火の手が広がっていると、【壁】を展開する前に火の気が移り燃えて、紙式神が使えなくなってしまいます!」

マモル「すいやせん。まぁなんせ紙ですし。」

ルカ「だったら………」

 

ルカ「やってくれ、カムロウ!!」

カムロウ「ああ!やってみる!」

 

カムロウ「勇者ノ風(グラディリオン)!!!」

カムロウは、光り輝く風の一枚刃を放った!

その風の一枚刃は、弧を描いてルカ達の周りを通り過ぎ、燃え広がっていた炎を斬りながら、熱光線をも断ち斬った!

しかし、ラミアが放つ熱光線は一瞬斬れただけで、熱光線が止まることは無かった。

ラミア「無駄よ。私がこうして放ち続けてる間、この灼熱魔法(ブレイズ)を止める方法はないわよ。」

カムロウ「いいや、ただ止めるためだけに放った技じゃない!」

ラミア「!?」

カムロウ「切り開いた風の通り道から!炎が巻き込まれて逆流するぞ!」

風の一枚刃が進んだ方向に沿って、渦が生まれた!

その渦は炎を巻き込み、次第に熱線をも巻き込んでラミアに襲い掛かった!

カムロウ「烈風巻(れつしまき)!!!」

炎が風と共に逆流した!

ラミアはその炎の渦に巻き込まれる!

ルカ「今だ!」

カムロウが炎を巻き込んだおかげで鎮火した。これで僕たちも自由に動ける!

ルカはすぐさま駆け出し、ラミアに一太刀浴びせた!

カムロウの攻撃でかなりダメージを受けたはず!

これで封印できる__

 

ラミア「ぐっ……」

ラミアは、ゆらりとよろめいた__

 

が、まだ倒してはいない!

ラミアは、強靭な尻尾を勢いよく振り回して周囲を薙ぎ払い、パヲラとジョージの二人を薙ぎ飛ばした!

ルカ「ま、まだ体力が残っているのか!?」

ラミア「人間なのに、かなりやるようね。私も、本気を出すわ……」

さすがは、有名な魔物だけあり、生命力も大したものだ。

ルカ「くっ、なんてしぶといんだ……」

ラミア「私を怒らせたわね。もう、逃がさないから……!」

 

ラミアはぎゅるぎゅると巻き付いてきた!

ルカの体が、強靭な蛇体にみっちりと巻き上げられる!

カムロウ「し、しまった!ルカがラミアに巻かれた!」

ラミア「もがいても無駄よ、絶対に抜け出せないわ……」

ルカ「ぐっ……!き、きつい……!」

ラミア「ふふっ、苦しいでしょう……もうすぐ、抵抗もできなくなってしまうわよ……」

ルカ「う……うう…………!!」

ラミア「そろそろ動けなくなってきたでしょう……あと一回締めたら、動けなくなるようね……」

今の僕は人質だ……僕がラミアに巻き上げられている間、仲間のみんなは不用意にラミアに攻撃することはできない。

攻撃をすれば、僕はすぐにでも骨を折られてしまうだろう。

かといって、このままでは僕がやられる…確かに拘束はきつく、抜け出せそうにない……

しかし……腕は自由だ!

まだ、攻撃はできそうだ……!

だから、()()()()()()()()()()()()()()()

 

ルカ「きょえぇぇぇぇ!!!」

ルカは剣をやたらめったに振り回した!

ラミア「ちょ…あっ、あぶなっ…あぶないっ…」

ラミアの下半身…蛇の身体は固いウロコに覆われている。狙うとするなら、人の身体をしている上半身だ!

締められ続け、僕の体力はわずかしかない…

そのわずかな力を全て、渾身の一撃に込める!

ルカ「でやぁぁぁぁぁ!!!」

ルカは横一文字に斬り払った!

その一撃は、ラミアの身体に命中した!

 

ラミア「そんな……この私が、負けるなんて……」

ラミアは小さな蛇の姿になった!

 

ラミアをやっつけた!

 

ルカ「ふぅ、勝ったぞ!」

剣を鞘に納め、身体の調子を確かめてみる。骨は折れてなさそうだ。

ルカ「ラミアほどの強敵を倒すなんて、僕達もずいぶんと腕を上げたものだ。」

 

アリス「ふむ、片付いたか。では行くぞ。」

ルカ「…それだけ?強くなった、とか思わないのか?」

アリス「マシにはなった。」

ルカ「……それだけ?そりゃ、魔王から見れば大した違いじゃないかもしれないけど……」

 

パヲラ「フフフ…良いじゃない。ちょっとは良くなったって評価が貰えたじゃない。」

パヲラ「ルカちゃん、大事なのは自分がどう思うか!手応えを感じているかどうかなのよ!」

ルカ「ああ…そうだな!」

確かに、前の自分ならラミアなんて強敵を倒せるとは思えない。そう考えると、着々と僕は成長している気がする!

 

ともかく、サン・イリア城は目前。

サン・イリア王は、僕にも光を示してくれるだろうか……?

 

 

 

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