もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第3話 到着!サン・イリア城

ルカ「サン・イリア城の起源は、巨大な聖堂だったんだ。そこから国家が発展して…そこの大司教様が王様になったんだって。」

カムロウ「へぇ……由緒正しい、歴史のある城なんだなぁ。」

ルカ「僕みたいな信仰深い冒険者なら、イリアス神殿とサン・イリア城にはぜひ足を運びたいところだよ。」

 

……しかし、ひとつ大きな問題があった。

サン・イリア王は、勇者に道を示してくれるというが__

ルカ「けど…僕は洗礼を受けていないから、正式には…勇者じゃない。」

カムロウ「おいおいおいおいおいおい……」

ラクト「大問題じゃねぇか。」

ルカ「うん………」

肩書としては自称勇者。ニセ勇者だ。

とりあえず勇者のような顔をして、僕は門の前に立つ。

マモル「もうちょい眉上げて。」

ルカ「こう?」

マモル「あと口角は……」

チリ「いや、何してるの?」

 

ちなみにパヲラは化粧を落とし、タキシードを着ていた。

ルカ「……いつの間に着替えた?」

ラクト「いや、なんでスーツ姿なんだよお前!?」

パヲラ「…何よ。礼装よ。」

ルカ「どこかで借りれる場所でもあったのか?」

パヲラ「自前よん。オーダーメイド。」

カムロウ「えぇ……」

 

アリス「ふむ、なんら不思議でもないな。」

ラクト「はいぃ?ダンスパーティーでもあるまいし……」

アリス「貴様ら人間にとって特別な場所なのだろう?それ相応の衣装を着用することは、一種のマナーでもあるだろう。」

チリ「それにしてもパヲラさん…こうして見ると整った顔立ちしてるんですね。」

パヲラは赤面して手で顔を隠した!

パヲラ「あらやだ恥ずかちい!!!」

ルカ「なんで??」

 

__辺りには、王への謁見を希望していると思われる冒険者達が暇そうにたむろしていた。

ルカ「この分だと、僕に番が回ってくるのは当分先になりそうだ……」

ラクト「うっへぇ!すげぇ数だぜ!」

ジョージ「こんなに並んでおるのか!?なんとも信仰深い者たちだ……」

アリス「ふん。まさかな。どうせ名声欲しさだろうに。」

パヲラ「そうとも見れるわね。それほど信頼されている王様なのでしょう。」

そうしていると、2人の衛兵が話しかけてきた。

衛兵A「む、お主も王への謁見を希望か。」

ルカ「は、はい……」

衛兵A「では、謁見許可の申請用紙に、名前を記入してもらいたい。」

渡された用紙に、名前と出身を書き込む。

その間やたら暇なのか、僕の仲間たちが何人か、近くで用紙を覗き見る。

ラクト「名前、出身、年齢……特に目立った欄は……無いみたいだなぁ。」

ルカ「そうみたいだ……」

洗礼を受けたかどうかの欄はなく、僕はほっと胸を撫で下した。

 

そして、書き終えた用紙を衛兵に渡す。

衛兵A「我らが王は、旅の勇者を歓迎する。」

衛兵A「……が、いつでも誰とでもお会いするというわけにはいかぬ。」

衛兵B「手続きが終わるまで3日程度、このサン・イリア城に滞在するがよかろう。」

カムロウ「そんなにかかるんですか……」

ラクト「ケッ!たかが謁見だけで、3日もかかるのかよぉ!」

パヲラ「それほど、王に謁見を望んでいる人がいる証拠よ。見たでしょあの長蛇の列を。」

ラクト「けど3日はねぇだろぉ。会って数分話して終わり!時間の損得勘定じゃあ大損だぜ!」

アリス「ならば、貴様だけどこかに行くと良いだろう。」

ラクト「やだねー!」

 

衛兵A「また、城内には自由に入ってよいが、二階より上への立ち入りは許可が必要だ。城内の修道院は開かれており、寝泊まりは自由となっている。」

ルカ「はい、分かりました。」

カムロウ「寝泊まりは自由っていうけど…俺達が泊まれるスペースはあるのかな。」

チリ「どうだろう……かなり埋まってそうだけどね。」

ルカ「行くぞ、アリス。」

アリス「……………」

なんとも退屈そうなアリスを引き連れ、僕たちは城の中に入っていった。

 

サン・イリア城内。

目を奪われんばかりの荘厳な建築、そして、イリアス様や天使様などを描いた美しい宗教芸術。

その素晴らしさに、僕たちは思わず目を奪われてしまう。

パヲラ「大理石…つまり素材は岩石。実際に触れば硬いことは確かなのに、視覚で訴えてくるこの絹の質感、そして柔肌の感触!……ビューティフル……素晴らしい…美しい……」

ジョージ「天井、壁、ステンドグラス…至る所の装飾……まるで我々が万華鏡の中にいるかのような感覚になる……」

マモル「以前はこうして、のんびり見る暇なんてなかったですからねぇ。」

チリ「なんか…こういう所に来ると、身体がこわばるなぁ。」

カムロウ「俺も………」

アリス「……………」

美味しいものなど影も形もなく、アリスは全く楽しくなさそうだ。

 

僕は、巨大なイリアス像の前で足を止めていた。

ルカ「すごいな、これ……」

カムロウ「でっけぇ!なんだこの像……」

ルカ「これが、有名な「壮麗たる女神イリアス像」だよ。こんな立派な像は、イリアスヴィルのイリアス神殿にもないんだ。」

アリス「ああ、そうか。」

マモル「お嬢(アリス)が楽しくなさそうなんですが、大丈夫なんですかい?」

ラクト「そりゃお前…敵対してんだからな。楽しくはないよな。」

 

ルカ「イリアス様は、まず原初の男女を形作られ……その二人を導くため、このイリアス像を授けられたんだ。それ以来、数千年……このイリアス像は、僕達人間を導き続けてきたんだよ。」

アリス「ふぅん。」

神官「ほっほっほ…よくご存じですなぁ。」

近くにいた神官が、話に割り込んできた。

神官「今から千年の昔、神と悪魔の大戦争があった……イリアス様率いる天使達と、初代魔王率いる軍勢との闘いは熾烈を極め……大地を揺るがす争いの果てに、イリアス様は魔王を打ち破ったのだ。今も世界のあちこちには、天魔大戦による破壊の跡が残っているとか。」

アリス「なんだ貴様は。いきなり現れて好き勝手語り始めるな。」

ルカ「なんてことを言うんだアリス!せっかくありがたいお話をしていただいたのに…」

アリス「余にとってはありがたくもなんともない。」

カムロウ「今の話…本当の話?」

パヲラ「神話よ。本当かどうかまでは判断できないけど、そう伝えられてきているのよ。」

 

ルカ「ところでみんな、このイリアス像の前では、みんな腰に添えた剣の向きを気にしているだろ。」

ルカ「なんでか分かるかい?」

アリス「知るか。」

ラクト「知っとけ。てかもう黙っとけお前。」

アリス「ふん!」

アリスはラクトのみぞおちを狙った!

ラクト「ぐわああああ………」

ラクトは痛みにもだえ苦しんでいる!

 

ルカ「それは、イリアス五戒のひとつに「神に剣を向けるなかれ」という項目があるからなんだよ。」

ルカ「剣先がイリアス像の方を向いてしまわないように、みんな注意してるんだ。」

かくいう僕も、剣先は地面に向けているのである。

カムロウ「やっべ!俺も注意しないとまずいか…!?」

不意にカムロウは自分の服装、特に剣の鞘の位置を気にし始めた。

ルカ「そのままで大丈夫だと思うよ。イリアス像に向いてなければいいから。」

カムロウ「そ、そっか……」

 

アリス「……ふん、下らんな。ところでこの像、気に食わんから破壊してもいいか?」

ラクト「おー…やってみろよ。やれるもんならなぁ…こんな大衆の面前で。なぁ、良いよなぁ?ルカ?」

ルカ「いいわけないだろ!僕の話、ちゃんと聞いてたのかよ!!」

アリス「……ちゃんと聞いておるわ。相変わらず、人間はドアホだな。」

 

アリス「剣先をイリアス像の方に向けない……?「神に剣を向けるなかれ」とは、神に敵対しないよう戒めているのだろう。」

アリス「それを馬鹿正直に言葉通りに受け止めて、像にまで剣先を向けないようにするドアホがいるか。」

カムロウ「アリスさんそれはちょっと言い過ぎじゃないですか…?」

パヲラ「かなり辛辣な解釈でしょうけど…違う視点から見ると、そう解釈できるわけねぃ。」

ルカ「いや……まあ、そうなんだけど……確かに、アリスの言うことはもっともなんだ。」

ルカ「けど、多くの人達は、小さいころからイリアス五戒を教え込まれてきたんだ。イリアス様の姿をかたどったものに、剣先を向けるなんて恐れ多くてできやしないよ。」

 

ルカ「ともかく、しばらくはのんびり待とうよ。謁見の許可が下りるまで、3日はかかるっていう話だしね。」

チリ「じゃあ…外に行ってもいい?アイスクリームの屋台があって……」

ラクト「外に?あ…そうだ、俺も寄りてぇ所あんだよな。」

ルカ「じゃあ、それぞれ解散しようか。集合場所はここの休憩所で。」

なにせ3日もあるというのだ。それぞれ思い思いに行動したほうが時間も潰せるだろう。

 

アリス「3日も、こんなところで……退屈で退屈で、死んでしまうぞ。」

アリス「…もしかして、これは貴様の策か?魔王である余をヒマ殺し、世界を平和に導こうという魂胆か……?」

ラクト「どんな策だよ。」

ルカ「そんな事言ってないで、もう少し場内を見学しようよ。ほら、色々と楽しいよ。」

アリス「なんで貴様はウザいくらい元気なのだ……」

僕はぐずるアリスを引き連れ、僕は城内を見て回るのだった。

 

 

城内を見て回り、僕は衛兵と会話をしていた。

衛兵「このサン・イリア城の衛兵は、まさに選りすぐりの修道騎士。武勇に秀で、かつ敬虔(けいけん)な者のみがサン・イリアの衛兵として選ばれるのです。」

ルカ「へぇ…だからこんなにも警備が厳重で行き届いているんですね……」

衛兵「この仕事は、世界中の修道騎士の憧れでもあるんですよ。」

ルカ「今は何をしてるんですか?」

衛兵「城内を巡回中です。この城には、魔物一匹たりとも入れはしません。あなた達も、安心してゆっくりして下さい。」

アリス「………」

ルカ「………」

すでに入ってるぞ……魔王が。

 

すると遠くで、「壮麗たる女神イリアス像」の前にジョージとマモルがいるのが見えた。

ルカ「あれ…?さっき解散したはずだけど……」

ジョージ「ふむ……ここにも、「壮麗たる女神イリアス像」が………いくつもあるモノなのか。」

マモル「お前さん、それさっき若と見た像でっせ。」

ジョージ「なにっ!?」

マモル「もう2周目ですぜ。」

ジョージ「なにっ!!?」

アリス「ただの迷子のようだな。」

ルカ「何をしてるんだジョージは……」

そう呆れている時だった。

 

???「【サムライ・ジョォォォージィィィ】!!!」

 

聖堂で出すには場違いなほどの大声が、遠くから響いた。

駆け足で、その声の主がニコニコしながらジョージに近づいてきた。

???「ハハッ!間違いない。紛れもなく【サムライ・ジョージ】だ。」

現れたのは、筋肉質で骨太の、褐色肌の大男だった。なぜか包帯だらけの体だが。

しかし異様なのは着ている衣服や装飾品の数々!

一言で現わせば、【ゴージャス】。

煌びやかな服装。アラビアンと言えば分かるだろうか。その服装でなおかつギラギラと光っている。

大量の宝石のネックレスに、金のブレスレットに指輪…所々、使われてる宝石は…ガーネットだろうか?おまけにピアスも金だ。

自身あり気のにっこり笑顔。口から見える歯は全部、金歯か何かかだろうか?金色に輝いている。

剣も持っている。しかしその柄といい鞘といい……輝きすぎて逆にかっこ悪く見える。

なんとも、この場所、サン・イリア城には不似合いな恰好だ。

さっき、【ジョージ】と聞こえたが…こんな奴が、ジョージの知り合いとでもいうのか?

マモル「んぁ?知り合い?」

ジョージ「まさか。初めて会う。」

どうやら違うらしい。

 

???「おっと、すまない!自己紹介が遅れたな!」

 

デンデケデケデケデンデケデケデケ……

???「俺の名は~~~!!!」

バ ァ ァ ァ ン ! ! !

???「ガータス!!!」

???「()()、【ゴージャス・ガータス】!!!」

 

マモル「……自称なのかよぉ。」

ガータス「そう呼んでくれる奴がいないからな。」

 

ガータス「いやぁ素晴らしい!今日はグッドデイだ!まさか【サムライ・ジョージ】と、こんなところで出会うなんて!」

【ゴージャス・ガータス】と名乗る大男は手を腰に当てて、なんとも嬉しそうな顔をしながらそう言った。

しかし、ジョージは困惑した表情を見せた。

ジョージ「待て。私はお主のことは知らない。今ここで、初めて会う。それに、【サムライ・ジョージ】とはなんの事だ?そんな風に名乗った覚えはないのだが……」

ガータス「当然!【サムライ・ジョージ】はこの俺が勝手にそう呼んでいるだけだ!」

ガータス「そして、俺を知らないのもまた当然!俺が一方的に知っているからな!」

マモル「一方的に知ってるってのは?」

ガータス「俺はお前たちに助けられたことがあるんだ!確かグランドノア地方の辺りだ。」

ややオーバーというか、過剰すぎるハンドジェスチャーをしながら、ダーカスは説明を始めた。

ガータス「簡潔に話そう!その時、俺は馬車に乗っていた。商団馬車だ。複数人いた。そして、グランドノア地方の道中で魔物に襲われた!しかし、その窮地をお前たちが助けてくれた!」

 

ガータス「覚えてないか?」

ジョージ「ふむ……そんな事があったような……」

マモル「確か…ヤマタイ地方から南に行く途中だったなぁ。」

ジョージ「では、お主はその時の者だと…?」

ガータス「そう!俺はその日以来、ずっと【サムライ・ジョージ】を探し、追っていた!」

ガータス「つまるところ……俺は【サムライ・ジョージ】のファンというわけだ!大ファンだ!!」

ガータスのニコニコ顔が、さらにニヤケを増した気がした。

若干引き気味のジョージは、話を続けた。

ジョージ「そ……そう、なのか。それで……その……私に何か用でも?」

ガータスは待ってましたと言わんばかりの、火山が噴火するような勢いで鼻息を吹き荒らした!

ガータス「ンーーッ!もちろんさっ!それはこの俺の、生涯の宿願でもある!!!」

デンデケデケデケデンデケデケデケ……

ガータス「そ・れ・は~~~!!!」

バ ァ ァ ァ ン ! ! !

ガータス「お前と勝負したい!!!」

 

ジョージ「……………」

マモル「…………」

 

ジョージ「しょ、勝負…?」

マモル「そんだけ?」

ガータス「そう!一対一の真剣勝負!この俺と、お前で!!」

ガータス「そして、【サムライ・ジョージ】に勝つこと!それが俺の宿願だ!」

ガータスは親指と人差し指で、自分とジョージを交互に指差しながらそう言う。

ジョージ「そ、そうか……試合…か?では外に出よう。もしくはここの衛兵の訓練場を借りるとしよう。しばし待たれよ。今、掛け合ってみる。」

ジョージは近くの衛兵に声を掛けようとした__

 

ガータス「__ちょっと待った!まさか【試し合い】とでも思ってないか?」

ジョージ「…なに?」

ガータス「試合は試合でも…俺の望む勝負ってのは…」

 

ガータス「__殺死合い(ころしあい)…さ!!!」

 

殺死合い(ころしあい)……

その言葉を耳にした途端、ジョージの目付きが鋭くなった。

ジョージ「……それは……本気で言っているのか?」

ガータス「ムフフ………」

ガータスはニヤニヤした顔を崩すことはなかったが、ジョージと同じように目付きが鋭くなっていた。

すると2人の動きが、ピタリと止まった。

その2人の間だけ、時間が、空気が止まったような感覚が、こっちにも伝わってくる。

周囲の音がどんどん消え失せ、感覚が無くなり、色が無くなり、モノクロの相手の姿しか映らない__

 

ガータス「__やめておこう!」

しかし、その空気感は破られた。

ガータスは急に両手を上げ、これから始まるかもしれない戦いを棄権したのだ。ジョージはまだ鋭い目つきのままだ。

ジョージ「む?なぜだ?」

ガータス「理由は単純さ。ここは神聖な場所だ。血を流すなんてとんでもない!」

ガータス「あと、ここには…かの有名な「壮麗たる女神イリアス像」もあるしな。わざとでなくても、剣を向けてしまう。」

イリアス像を指さしながら、棄権した理由を述べるガータス。

ガータス「どう思う?」

ジョージ「……………」

その理由にジョージは納得したようだ。鋭い目つきから、いつもの目付きに戻った。

ジョージ「確かにそうだな。この場所で妙な騒ぎを起こすべきではないと私も思う。」

ガータス「だろう?」

ジョージ「しかし…勝負はどうするのだ?」

ガータス「ハーハッ!問題ない!!お前達の居場所は常に把握できる!!いつでも勝負はできる!」

ジョージ「把握…?」

ガータス「覚えておいて欲しい。【サムライ・ジョージ】!」

 

デンデケデケデケデンデケデケデケ……

ガータス「お前は近いうちに~~」

バ ァ ァ ァ ン ! ! !

ガータス「この【ゴージャス・ガータス】と勝負する!!!」

 

ジョージ「………」

マモル「………」

 

ガータス「さて、今日のところは、帰って昼寝でもするか。何しろ興奮が抑えきれないっ!!」

ガータス「さらばだ!その日を楽しみにしておくぜ!」

ガータス「ハーッハッハッハッ!!!」

盛大に笑い声を響かせながら、ガータスは去っていった……

 

マモル「……何だったんだぁアイツ。」

ジョージ「分からん。だが……変に嫌いになれん。」

マモル「うっそだぁ。」

ルカ「…………」

アリス「…………」

遠くから一部始終を見ていたが……

何だったんだ?アイツ………

 

 

__しばらく城内をうろついていると、パヲラと合流した。

パヲラ「あらルカちゃん。そうそう聞いてよ、面白い話があってね。」

どうやら色々と情報収集をしていたようだ。

パヲラ「このサン・イリア城には、イリアス様に授かった宝剣…「女神の宝剣」と呼ばれる剣があるらしいわ。選ばれし真の勇者には、その剣が授けられるんだとか。」

ルカ「その話があるってことは…まだ誰にも授けられてないのか?」

パヲラ「かもしれないわね。少し、欲のある話になっちゃうんだけど…サン・イリア王に謁見を希望してる冒険者は、「女神の宝剣」目当てかもしれないわね。」

ルカ「女神の宝剣か………」

どんな剣なんだろう。神聖な剣なのかな。

想像した女神の宝剣と、鞘に入った堕剣エンジェルハイロウを見比べる。

ルカ「……僕を選んでくれないかな。」

???「おぉぉぉぉ………」

ルカ「ひぃっ!」

堕剣エンジェルハイロウから呻き声が聞こえた気がした!

……やっぱりこの剣、おっかない。

 

 

__外に出ると、アイスクリームの屋台に並ぶカムロウとチリの姿があった。

しかし、そのメニューにするか選んでいる最中のようだ。

……というか、カムロウが妙に熱心に何かを話しているようだ。

カムロウ「俺さぁ。チョコレートは邪道だと思うんだよね。」

チリ「なら、バニラを選べば良いでしょ。ほら、キャラメルだってあるよ。ストロベリーもグレープも。」

カムロウ「いや、違う、チリ。そういう話をしてるんじゃあないんだ。別にチョコレートは嫌いじゃないし、普通に好きだ。」

カムロウ「俺が嫌なのはッ!!!バニラとチョコレートがミックスしたやつだよ!バニラを味わいたいってのにッ、チョコレートが混じってくるって感覚が嫌なんだよッ!大嫌いなんだよッ!!!」

カムロウ「バニラこそ覇道の俺にとっちゃあ、ミックスされたチョコレートは邪道なの。」

チリ「じゃあ、バニラだけ頼めば?」

カムロウ「いや、だからそうじゃなくて……」

チリ「私、マンゴーにしよ。ナタリアポート産の。」

カムロウ「頼むチリ、聞いてくれ。俺が嫌なのはチョコじゃなくて……」

 

ルカ「…………」

あの会話に入るのはよそう……

 

 

__途中で、外の行商人から何かを買っているラクトと合流した。

ラクト「お、ルカ。」

ルカ「ラクトか。寄りたい所があるって言ってたけど…何だったんだ?」

毒消し層、目薬、満月草……かなり買い占めているようにも見えるが………

ラクト「買い物。道具だよ。アイテム。備えあれば患いナシだぜ。」

どうやら、戦いに向けての準備だったようだ。

ルカ「アイテムを使って戦うのか?」

ラクト「俺なんて魔法以外にできることなさそうだからな。そうだ!これ、ルカに決めてもらうかな。」

ルカ「?」

ラクト「薬草とヒールポーション。どっちが良いと思う?」

ラクト「回復は遅いが安値の薬草。速効性だが高値のヒールポーション。どっちにしようか悩んでてな……」

ルカ「うーん、そうだな………両方、買えばいいんじゃないか?どっちも使えそうだし。」

ラクト「無難だな。そうさせてもらうぜ。」

ラクトは会計を済ませると、僕達と一緒に行動するようになった。

 

__僕たちは、サン・イリアの大礼拝堂にいた。

サン・イリア城内とは打って変わって、この大礼拝堂さらに広く感じる。天井が高いのと、奥行きがあるからかな?

ルカ「うわぁ、ここが大礼拝堂かぁ。すっごく広いなぁ……」

アリス「ふん……魔王の間の方が数倍広いわ。」

ラクト「だからお前は何と張り合ってんだよ。」

 

ルカ「さあ、祈ろうよ!」

ラクト「クソっ、またかよ!」

アリス「さわやかに祈りに誘うな!」

 

ルカ「どうか、旅が上手くいきますように……人間と魔物が、共存できる世の中が来ますように……」

アリス「こんな城など粉々に潰れますように……イリアスが滅びますように……」

ラクト「せめて安全祈願にしてくれよ…ソレ邪神に祈る内容じゃねぇか?」

 

こうして僕たちは、順調に時間を費やしていったのだった__

 

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