もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第6話 来たる勇者は我らが切り札

カムロウ「俺の中に宿る龍の力よ…! 秩序を乱す者あらば…その身、龍と成り…巨の体と怒りの光をもちて…悪を消し去らん!」

 

カムロウ「おおおおおォォォォ!!!____」

 

カムロウはドラゴンに変身した!

 

サン・イリア城内に突如現る、怪物。絵本に描かれた架空の存在が、飛び出して来たかのような姿をしている。

鱗、羽、角、爪、牙……それは誰もが知っている怪物……ドラゴンだ!

衛兵「なんだあれは!?」

衛兵「急になんだ!?バ、バケモノが!?」

突如出現した怪物によって、城内はさらにパニックになる。

チリ「こ…これは……だ、大丈夫です、召喚魔法です!!」

衛兵「しょ、召喚魔法!?」

チリやパヲラは、パニックに陥る衛兵たちへの対応に追われていた__

 

 

業火の嵐。

蛍火が舞う。

流れるは烈風。

その渦中、相対する者が2人。

ドラゴンと剣士。カムロウとグランベリア。古龍族と竜の魔物。

グランベリア「…なんと。」

目を細め、睨むカムロウ。目を見開き、驚くグランベリア。

グランベリア「……正直なところ、驚いてはいる。おとぎ話の存在がそのまま出てきたかのような……そんな感覚だ。」

グランベリア「本当に、話通りだったな……()()したな。ドラゴン……いや、龍…か。」

 

グランベリア「……では、見定めてもらうとしよう。その強さまでもおとぎ話の存在か!!!__」

 

__カムロウの先制攻撃!

カムロウのドラゴンクロー!大きな爪を振り下ろした!

グランベリアは巨剣を構えて受け止めた!

かなりヘビーな攻撃だったのだろう。グランベリアが立つ石の床にビシビシと大量の亀裂が走る!

グランベリア「ふむ…重量も力も申し分ない。巨体ゆえの、パワータイプか?」

グランベリア「次はタフさといこうか…!」

グランベリアの攻撃!グランベリアは正拳突きをした!

その威力は並々ならぬ強さだった。ドンッ!と大きな音と共に、ドラゴンの巨体が軽く宙に浮いたのだ!

しかし、大したダメージではないようだ。

カムロウはすぐさま反撃しようとする!

グランベリア「これくらいの力なら耐えれるのか。ならもう少し力を出しても大丈夫なようだな……」

カムロウは再び、ドラゴンクローを放った!

大きく手を振りかぶり、そこから一気に振り下ろす!

しかし、グランベリアはひらりと躱した!

カムロウ「(避けられたッ!)」

カムロウ「(……は……速いッ!速すぎる…!力なら同じくらいのはずなのに…!)」

外した攻撃は、石の床に大きな亀裂を走らせて終わる……

グランベリア「これはどうだ!」

グランベリアは巨剣で一閃した!

ドラゴンの身体にバシュッ!っと、深い斬り傷が付いた!

チリ「そんな……ドラゴンに成ったカムロウの体に斬り傷が!?鉄よりも硬いはずなのに……」

パヲラ「それほど、グランベリアの力量がドラゴンに成ったカムロウを大きく上回ってる証拠だ……!!」

 

カムロウ「(うおッ!い、痛ぇ!!この身体が傷を付くなんて初めてだ!)」

カムロウ「(やっぱりグランベリアが相手だとダメージを受けるな……)」

ドラゴンは噛みつこうと、大きく口を開け、鋭い牙を剥き出しにして襲い掛かった!

しかし、グランベリアは残像を残して消えた!

ドラゴンは、そのまま後ろの石柱に噛みついてしまったが、なんと石柱に歯型の穴が開いた!

カムロウ「(そうか!い…今ので分かった…()()()()()んじゃない…()()んだ!)」

カムロウ「(グランベリアは圧倒的な力と速さを兼ね備えているんだ!今の俺が同じ力を持ったとしても、肝心の速さが追いついてないッ!)

グランベリア「こっちだ。」

グランベリアはすでに背後に立っており、ドラゴンの尻尾を掴んだ!

グランベリア「はあああああぁぁぁぁ!!!」

カムロウ「(うおおおおああぁぁぁぁ!!!___)」

尻尾を担がれ、振り回され、遠心力で身体が円状に引っ張られる感覚を味わう。

ほら、重い袋の先端を持ってさ、思いっきりグルグル回ると袋に引っ張られるアレ。アレの袋の気分だよ。今。

 

次の感覚は、硬い床に叩きつけられる痛みだった。床に落ちたコインって、いつもこんな痛みを味わってるのかな__

 

__何度も何度も、幾度も幾度も、石の床に身体を叩きつけられる。

巨体なはずのこのドラゴンの身体が、指先で振り回される紐みたいな軽い感じで振り回されて、床にぶつけられて__

 

最後は尻尾を放されて、石柱に思いっきりぶつかる。

大、中、小、崩れた岩石が雨のように降ってくる。

このドラゴンの身体にはなんともないけど、さっきグランベリアに斬られた傷には染みる。

瓦礫を除けながら、身体を起こす。

炎と粉塵の中に、変わらず立つグランベリアがいる。表情は、どこか楽し気だった。

グランベリア「これでも立てるほど余力があるようだな。生命力も尋常ではないようだな……」

カムロウ「(ダ…ダメだ!このままじゃ、やられっぱなしになるッ!)」

 

カムロウ「(近接だとダメだ!小回りが苦手なことをすでに見破られてる!この距離を保ったまま戦わないと、俺が袋のネズミになるッ!)」

カムロウは大きく息を吸い込んだ__

 

グランベリア「__おっと、話では破壊光線を口から放つとかだったな……ここは屋内だぞ?火炎を吐けばさらに火事に、光線を吐けばこの城が崩壊するぞ。」

グランベリア「さぁ、どうする?どう出る?」

カムロウ「(ならこれしかないッ!!!)」

 

カムロウは氷の吐息(アイスブレス)を吐き出した!

凍り付く冷気が地面を這う!

グランベリア「氷風を吐き出すか……」

辺りに霜が走り、氷塊が生まれる中、グランベリアに「あ、ちょっと意外。」みたいな表情をされた。

グランベリアに凍り付く冷気が襲い掛かる!

しかし、グランベリアには効果がないようだ……

というより、涼し気な顔をしている。

これほどの氷風は、グランベリアにとって、木陰で受ける涼しい風程度なのだろうか?

グランベリア「ふむ……だいたい分かった。想像以上、ではあったが……まだ経験不足か?私が全力を出せるほどではないな……」

 

グランベリア「しかし、気になるのが……先ほど見せたあの【眼】……どこか引っ掛かる。」

先ほど見せた【眼】、武器が壊れてもなお、眼にまだ闘志が燃えている。あの時の眼だ。

グランベリア「イリアスベルクでの戦い…ルカと同じく、あの時から成長していることは確かだ。技も、このドラゴンに変身するという能力も身に付けている。だがあの【眼】は………いや、なんだ?」

グランベリア「ただの少年がする眼ではない!何か…瞳の奥に…()()()()()()()()を感じる…!闘志と表現するには違う……本能というべきか?潜在意識というべきか?そこから来るような【意思】を感じた……」

グランベリア「あの【眼】が何を意味するかは分からないが…この少年は、ルカとは違う……()()()()()がある…!それが吉と出るか凶と出るかは分からないが……!__」

 

グランベリア「__この技で終わらせよう!!!」

グランベリアは天井まで跳躍し、そこから身を躍らせた!

 

グランベリアは、天魔頭蓋斬・焔を繰り出した!!!

 

炎をまとった一撃が、ドラゴンの脳天に直撃する!

補足不可能の速度で繰り出される強力な一撃!

それが直撃したのだ!

あまりの威力に床が揺らいだ。それだけではない、風圧という余波が目に見えて感じられるほど!

床には亀裂、小規模のクレーターが生まれた。その中心には、ドラゴンが力なく地面に倒れ伏している……

グランベリア「(終わったか………?__)」

 

__しかし、ドラゴンは再び起き上がった!

グランベリア「……私の技を食らって、まだ立てるとは……」

ドラゴンは口を大きく開けた!

大きく開いた口から淡い群青の光が溢れ出す!!

グランベリア「ほう…来るか!?まだやれるのか!!まだ戦えるのか!!!底の見えない生命力だな…!」

グランベリア「レジリエンス……まさか、こいつは!再起する能力が並大抵ではない……!再起するということは、ただ立ち上がるというわけではない。何かしらの要素を得る!この能力……精神力や忍耐力とかではなく、この生物に元々備わっている物だ……!」

カムロウは、破壊光線(ドラゴンブレス)を___

 

 

__吐こうとした瞬間に、変身が解けた!!

ポンッと体が縮こまり、人間の身体に戻った!

グランベリア「うん…?」

パヲラ「しまった…活動限界(タイムリミット)!」

今のカムロウがドラゴンの姿を維持するには限界がある。長くて5分程度。それも、受けたダメージによって変動する。

グランベリア「なんだ、これからだと思っていたが……これでは拍子抜けではないか。」

少し物足りないような顔をしながら、グランベリアは剣を納める。

カムロウ「く…くそぅ…後、もう少しだけ…戦えさえすれば…!」

うつ伏せのまま倒れたカムロウは、身体を動かそうとしているが全く動かない様子だ。

グランベリア「どうやらもう立てないようだな……安心しろ、命までは奪わん。」

グランベリア「……それにしても思ったよりも時間を浪費してしまったな。私は、先を急がせてもらう。__」

 

カムロウ「__悪いが、グランベリア……今ので、俺の()()()は無くなったと思うんなら、それは間違いだ……」

グランベリア「なに…?」

思わずグランベリアは歩みを止め、カムロウの方を振り返る。

カムロウ「俺の…いや、()()()()()()()はまだ残ってるんだ…」

 

カムロウ「グランベリア……ここに来るんだったら、もう少し静かに来れば良かったなぁ…?これだけ騒ぎを起こせば、()()()の耳にも届くだろうに…!」

 

カムロウ「もう()()()()()()はずだ…()()()()()()()()()んだろ…?()()()()()()()に…!__」

 

__すると次第に、遠くから人混みの中を掻き分けて、こちらに向かってくる2人の人影が見える。一人は何か叫んでるように聞こえる。

その声の主は__

 

ラクト「どけどけぇ!どきやがれぇ!勇者サマのお通りだぃ!」

ルカ「すみません、通してください!」

間違いなく、ルカとラクトの2人だった!

 

カムロウ「ほら来た………」

グランベリア「……お前達が戦い続けるのは…それが理由か…!!」

 

 

駆けつけたルカは、現場を見て驚愕した。

石造りの床や柱が壊れ、削られ、今だ炎が絶えず燃えている。

衛兵が未だそこら中に倒れている。

チリは無事らしい。けどカムロウ達は床に倒れたままだ。意識はあるらしい。

ルカ「みんな……グランベリアにやられたのか!?」

チリ「う…うん……」

ルカ「そうなのか…!」

みんな、僕が来るまで、こんなになるまで……!

ラクト「グランベリア!テメェ!!何しに来やがったァァ!!!」

ラクトはカバンから乱暴に何かを取り出した。

それは筒状のモノが、何個も紐で結ばれ、連なっている。

ラクト「食らえッ!ラクト特製マジックミサイル!!!」

それを空中に放り投げると、連なっていた筒状のモノが個々に分離し、下部から炎が勢いよく噴き出して動き回る!

ただ不規則に動き回るのではなく、次第に狙いを定めるかのようにまとまって動き始めた!

狙いは全部、グランベリアだ!

グランベリア「花火?」

グランベリアは真顔のまま、飛んでくるミサイルを全て跳ね返した!

跳ね返されたミサイルは、ラクトに向かって一直線に飛ぶ!

 

ラクト「あっ!__」

 

__命中すると、花火のような色とりどりの爆発を起こした。

ルカ「何やってんだアイツ!」

グランベリア「なんだ、手品師から花火師に転職したのか?だが、人に花火を向けるとはとんでもない職人だな。」

中から、黒焦げになったラクトが出てきた!どうやら無事だったみたいだ。

ラクト「あのヤローッ!はじき返しやがって!」

グランベリア「覚えておくといいな。こういった道具の類は、相手に利用される可能性があるということを。」

ラクト「うるせっ!!今、身に染みたよ!!」

 

グランベリア「なんだお前……こいつが心配なのか?」

近くで倒れたままのカムロウに視線を向けて、グランベリアはラクトに問う。

ラクト「何かするってンなら、こっちも色々と__」

グランベリア「いいぞ、連れていけ。」

ラクト「あぁ!?」

答えを返す間もなく、即答された。

そしてグランベリアは、ルカの方に向き直る。

グランベリア「用があるのは……ルカ、お前だけだ!」

ルカ「!?」

ぼ、僕に!?用があるだって!?

……いや、だとしても、僕からも用はある!!

みんながグランベリアにやられた。僕はそれを黙って見過ごすほどのお人好しじゃない!!

ルカ「ラクト!カムロウを連れて下がってくれ!」

ラクト「はぁ!?何言ってんだ!?お前一人だけで戦うってのかよ!?俺も戦う__」

 

ルカ「__グランベリアは卑怯な手は使わない。だから頼む。」

ルカは冷静に、ラクトに向かって凄んだ。

怒りとか、八つ当たりとかそういうのはナシだ。

そういうつもりはなかった。

ただ、無意識にそうなっていた。

ラクト「お、おう、分かった……」

あまりの勢いに、カンカンに怒っていたラクトも冷静を取り戻したようだ。

恐る恐る、ラクトはグランベリアを警戒しながら、カムロウを担いで退いた。

ラクトが退いたのを確認した後、僕はグランベリアの前に立ちはだかった__

 

 

 

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