もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第7話 テスト・マッチ

僕は剣を抜き、グランベリアの前に立ちはだかる。相も変わらず、凄まじい威圧感。前に立っているだけでも、息が詰まりそうだ。

ルカ「グランベリア……!いったい、ここに何をしに来た!!」

グランベリア「ほう……確かに、随分と見違えたようだな。イリアスベルクで会った時とは、覇気も技量も別人のようだ。」

ルカ「……………」

構えを見ただけで、そこまで分かるのか!

ルカ「(褒めてもらって、ちょっと嬉しい__)」

とか、喜んでいる場合じゃない!

 

ルカ「今度は、サン・イリア城を陥落させる気か…!?」

グランベリア「冗談を言うな。虚飾の城に興味もなければ、潰す価値さえない。」

ルカ「じゃあ、何をしに…?」

グランベリア「今日は、お前と剣を交えるためにここまで出向いたのだ!」

ルカ「ぼ、僕と…!?」

パヲラ「……どうやら……目的が分かったようね。」

ジョージ「ここを壊滅するためでもなく、ルカ殿を始末しに来たのではなく……一戦交えるためだけに来たと!?」

 

グランベリア「お前の腕が、魔王様や他の四天王の買いかぶりなのかどうか……我が剣にて確かめる!」

グランベリアは巨剣を抜刀し構えた!

今の僕に、勝てる相手だとは思わないが__

ルカ「ぐっ…受けて立つぞ!」

ここは、戦うしかない!再び剣を握りしめて、自分自身を鼓舞、奮起させた!

グランベリア「いざ、尋常に勝負!___」

 

 

魔王軍四天王__グランベリアが立ちはだかった!!!

 

 

グランベリア「さあ、ルカ!お前の剣技を見せてみろ!」

グランベリアは、静かに剣を構えている!

こいつと戦うには、今の持てる技術、力、精神を全て総動員して、全力で戦わないと確実に負ける!

最初から全力だッ!!

ルカ「行くぞっ!雷鳴突き!!!」

ルカは雷鳴のように踏み込み、鋭い突きを繰り出した!

グランベリアは剣の刀身部分で、冷静に、滑らかな動きで雷鳴突きを受け止めた!

ルカ「うっ…!」

グランベリア「ほう……血裂雷鳴突きか。」

そう、この技の本当の名前は「血裂雷鳴突き」だ。血裂の部分が物騒だから、僕は雷鳴突きと呼んでいる。

グランベリア「その技、随分と使い慣れた様子だな。」

この技の特徴は何と言っても、俊足で動けるという点。

それでも、グランベリアには見切られてしまったが。

グランベリア「だがそれが、お前の全てというわけではあるまい!」

グランベリアは、剣の柄で打撃を放った!

ルカ「うぐっ!」

今の攻撃、かなりのダメージを食らった。けど、倒れるほどではない。

ルカ「やっぱり……強い……」

この感じ…やっぱり、手加減されてる。

イリアスベルクで街の衛兵を、殺さず生かすように手加減したのと同じように……

絶妙な力加減で攻撃してきてる!

グランベリア「さあ来い、まだまだお前は戦えるはずだ!」

ルカ「い…言われなくてもっ!!!」

剣を握りしめ、グランベリアに攻撃を仕掛ける!

 

ルカ「うおおおぉぉぉ!!!」

踏み込んで上段斬り!横一文字!!三連突き!!!

あとはやたらめったに剣を振り回す!!!

けれどグランベリアは、僕が全力で出す猛攻撃を、簡単に受け流してしまう。

だからといって、僕だってただ闇雲に攻撃を仕掛けたわけじゃない!

僕はこの攻撃の最中、ある技を組み込んだ!!

ルカ「【魔剣・首刈り】を食らえッ!」

ルカはグランベリアの懐に飛び込み、喉元に突きを繰り出した!

しかし、グランベリアはひらりと避けた!

ルカ「なっ…!」

イリアスベルクの時と同じように、アッサリと避けられた…!

グランベリア「魔剣・首刈り……あの時も、お前はこの技を使ったな。」

グランベリア「しかし以前と比べ、踏み込みの鋭さが格段に増している。相当の修練を積んだと見た。」

避けられはしたが、僕の攻撃を見ただけで、そんなところまで分かるのか!

ルカ「(やっぱり褒めてもらって、ちょっと嬉しい__)」

いやいや、だから喜んでいる場合じゃない!

 

グランベリア「これしきの攻撃で、まさか屈しはするまいな!?」

グランベリアは、剣で軽く斬り払った!

ルカ「うわぁぁっ!!」

まただ!またしても、やられそうでやられない。殺さず生かす程度の攻撃だ!

ルカ「まだだあああぁぁぁ!!!」

ルカは再びグランベリアに攻撃を仕掛けた!

雷鳴突きも、魔剣・首刈りも見切られた。正直、もう打つ手は残っていない。

それでも戦う!戦わなければ!!

僕が来るまでここを守ってくれたみんなのためにも!!!

ここでグランベリアを退けなければ!!!

ルカ「うりゃあっ!そりゃあっ!てりゃあっ!」

袈裟斬り!下段突き!!

とにかくもう闇雲でもなんでもいいからめちゃくちゃに剣を振り回す!!!

ダメだ…全部捌かれる!!!

ルカ「はぁっ……!はぁっ……!」

気付けば、もう体力の限界に近かった。グランベリアから受けたダメージもあるが……

グランベリア「どうした?それがお前の全てか…?私とて、いつまでも遊んではおらんぞ!」

ルカ「もう、これ以上は……!」

グランベリア「まだあるはずだ、お前の力を見せろ!」

 

まだ、ある……

そうだ!まだある!

ややクセがあり、周囲の状況で使えるかどうか変化するあの技が!

アルマエルマを退けるために使った、あのワザが!!

ルカ「うおおおおおおぉぉぉぉ!!!」

ルカはグランベリアに向かって…と思いきや、横の石柱に向かって走り出した!

グランベリア「…?何だ?何をするつもりだ……」

ルカ「うぎぎぎぎぎぎぎぎ………」

滑り落ちそうになるも、なんとか手をばたつかせてよじ登る。

僕がこれから放つ技…それは、天魔頭蓋斬!

高いところから飛び降りて、頭上から一撃を食らわせる必殺剣だ!

もう僕にはこれしか残されていない!

これでダメなら、もう後はお天道様に任せる他ない…!

 

ルカは天井によじ登り、そこから身を躍らせた!

ルカ「もらったーッ!天魔頭蓋斬!!!」

 

強烈な一撃が、グランベリアの脳天に繰り出される!

…が、やはりこの攻撃も、グランベリアは剣で受け止めた。

ルカ「(やっぱり…ダメか…!)」

グランベリア「天魔頭蓋斬……か。そこまで癖のある技を、自分のものにしているとはな。」

すると、グランベリアは静かに剣を納めた。

グランベリア「なるほど、お前の技は見せてもらった。まだ未熟なれど、確かに光るものはある……」

ルカ「え…?」

グランベリア「……面白い、その命はしばし預けておこう。」

剣を納めたグランベリアを前に、僕は戸惑うばかり。

グランベリア「くれぐれも、私を失望させるような事はするな。下らん魔物に不覚を取るなど、許さんぞ……」

そう言い残して、グランベリアは消えてしまった。

嵐のように現れ、嵐のように去っていったのだ__

 

グランベリアを追い払った!

 

ルカ「やった…なんとか、追い払ったぞ……!」

向こうはまるで本気を出していなかったようだが__

それでも、グランベリアを撃退したのに違いはない。

ルカ「アルマエルマの時に続き、四天王を破ったのは二回目だ!」

……どっちも、まるで本気を出してなかったのは置いといて。

ラクト「けどよぉ…命がいくつあっても足りねぇぜ。こんなの。四天王に目ェ付けられるのってよぉ。」

アリス「グランベリアが、二度までも敵を見逃すとは……貴様、相当気に入られているようだな。」

ルカ「気に入ってるんなら、剣を振り回して襲い掛かって来ないでほしいんだけど……」

アリス「そういう付き合い方しか知らん女なのだ、あいつは。」

ラクト「お前それでいいのか。それで。」

 

衛兵「うう…」

衛兵「どうなったのだ…?勇者様が勝ったのか…?」

グランベリアに一蹴された兵達も、みな命には別状ないようだ。

けど、仲間たちはどうなのだろう?

チリに駆け寄って聞いてみる。

ルカ「そういえば、みんなは?無事か?」

チリ「致命傷じゃなかったみたい。みんな、回復魔法ですぐに治ったよ。」

パヲラ「いえーい!バッチシッ!」

何故かパヲラはブリッジをしていた……

ルカ「そうか……良かった……」

チリ「この異様な元気の良さは無視するんだ……」

 

ラクト「しっかし!グランベリアもひでぇ奴だよな!ルカと戦うだけってんならまだしも、こんなになるまで暴れまわりやがって!!なぁ、ルカ!お前もそう思わねぇか?」

ルカ「……たぶん、グランベリアは悪人じゃない。」

ラクト「お…?」

ルカ「やみくもに他者を虐げ、命を奪うような奴じゃない」

ジョージ「ルカ殿の仰る通りだ。」

 

ジョージ「一度、剣を交えてみて分かった。グランベリアの剣には、殺意や悪意は感じられなかった。むしろ、相手に敬意を払うかのような立ち振る舞いだった……」

ジョージ「恐らく…【待っている】のだろう。好敵手と出会うことを。自身の技、力、持てる力全てをぶつけることができる相手と戦うことを。ゆえに、ルカ殿を見逃したのかと……」

ルカ「そうなのか……?」

ラクト「いや、まぁ、それはそうとしてよぉ……」

ルカ「けど今回みたいに、事情はあれど、かなり迷惑な振る舞いをするのもまた事実だ。人間と魔物の溝をこれ以上広げないためにも、何とかしないとな…__」

 

 

 

 

サン・イリア…城下町…路地裏。

誰も通りそうにない、薄暗い通り。

そこにはジョージに突っかかっていた男、ガータスがいた。

一人でいるようだが……小さな水晶玉を片手に持って、誰かと話している様子だった。

まるで水晶玉越しに、誰かいるみたいに。

???『サン・イリアにグランベリアが現れた?』

ガータス「ハハァッ!なんともアメイジングでエキサイティングなイベントだったさ!」

???『フッ……そうか。そのイベントはオレも一目でも見たかったな。』

 

???『ところで、ガータス。話を逸らすようで悪いが…()()()は見つかったか?』

ガータス「OH(オー)、ごめんよ、ワトライバ…それがまだなんだ…何せ情報が少ないんでね。」

どうやら、水晶玉越しに話している相手は、ワトライバというらしい。

???『……すまない、言葉が足りなかった。お前自身の探し物の方だ。』

ガータス「そっちか!ハッハ!【サムライ・ジョージ】のことだろう?バッチリ見つかったさ!俺は実に運が良い!!」

ガータス「後は決闘を申し込むだけさ!!なぁに、バトルステージは俺がピックアップする!」

???『そうか。』

 

ガータス「ワトライバはこれからどうするんだ?」

???『オレは今からサン・イリアに向かう。』

ガータス「ほーう?気になるんだな?グランベリアを撃退した勇者と、突如現れたドラゴンが。」

???『フッ……まぁな。』

 

???「お前はそのまま調査を続けてくれ。』

ガータス「OH(オー)!まかせてくれ!この【ゴージャス・ガータス】に!ただ、あんまり期待はするなよ?」

???『何を言う。期待しているのはお前が無事に帰還することだ。最近、何かと妙なことが起きている。』

ガータス「それもそうだな!気を付けておくよ!!」

???『では、失礼する。__』

 

__サン・イリアから遠く離れた平原。

そこに一人佇む者がいた。手には、ガータスが持っていた水晶玉と同じモノを持っていた。

???「……勇者に……ドラゴン……か。」

漆黒のマントに身を包んだ男が一人立っていた。

???「最近の冒険者は所詮口だけの弱い奴等ばかりだ。ナタリア地方もハズレかと思っていたが……」

???「ようやく骨のある奴が現れたか……!」

漆黒のマントに身を包んだ男……

風に吹かれ、その場から姿を消した___

 

 

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