もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第2話 魔物撃退と謎の妖魔

森の中、三体のスライム娘と、三人の人間が対峙していた。

カムロウとルカは剣を構え、パヲラは攻撃の構えをとっていた。

パヲラ「相手は3体ねい…一人一体ってとこかしら。」

パヲラがそう言った。一気に相手するのではなく、別々に対応して戦うという考えだ。

パヲラ「そっちは任せるわ!」

スライム娘Cの前にパヲラは立ちはだかった。

カムロウ「ぼくはこっち!」

スライム娘Bの前にカムロウは立った。

ルカ「ってなると僕は_」

さっきまで戦っていた、スライム娘A。

でも戦うにしても、斬っても再生するんだ。突破策がわからない…。

 

パヲラ「カムロウちゃん!時間もないし悠長に教えていられないから、もう答えを教えちゃうわ!」

パヲラが構えを取りながらカムロウに語り掛けていた。

カムロウ「えっ!?答えって…!?」

パヲラ「この前戦った時もそうだけど…カムロウちゃん、こういう相手が苦手なところがあるよねい!?」

図星を当てられ、カムロウは驚きの表情をした。

パヲラ「その苦手の理由は戦い方にあるの!カムロウちゃん、攻撃するとき、一発一発力を込めて攻撃してるよねい!それではだめよ!攻撃には単発か連発かの選択肢があるの!」

スライム娘C「いつまで喋ってるつもり~?」

不意にスライム娘が攻撃を仕掛けてきた。体を広げ、包み込むつもりだ。

パヲラ「つまりこういうことよぉぉん!」

パヲラはそれを避けようとせず、迎撃の構えをとった。

パヲラ「魔導拳・手刀「槍」!」

両手を槍のような形にし、腰を深く落とした。

パヲラ「ストライクミリオン(百裂槍)!」

両手から無数の突きを放った!突きが当たるたびにスライム娘の粘液状の体がどんどん小さくなっていく。

スライム娘C「ちょっ、まっ」

パヲラ「待たない!絶対!」

喋る隙さえなく、どんどん崩れていく__

 

それを見ていたカムロウは、パヲラが言いたいことが分かった気がした。

確かに攻撃するとき、剣で一発、盾で一発ずつ攻撃していた。

なら今度はそれを止まらないように繋げるんだ。

カムロウ「行くぞ!」

スライム娘Bに対してまっすぐ駆け出した。

スライム娘B「そんなの簡単に当たるよーだ!」

スライム娘Bは粘液の触手を伸ばしてきた。

カムロウ「風薙ぎ(かぜなぎ)!」

伸ばしてきた触手を風の衝撃波で弾き返す。その隙に距離を詰め、攻撃が当たる距離まで近づいた。

スライム娘B「え…!?」

カムロウ「せいやぁ!」

まず剣で切りつける。そして盾で殴る。まだ終わらない、再び剣で斬る。殴る、斬る、殴る…当たるたびに粘液の体がどんどん崩れていく。

スライム娘B「もう~!」

スライム娘Bは距離をとって再生を始めた。しかし崩れ放題の体はなかなか治らない。

そうか、攻撃を連続で当てればよかったんだ。パヲラさんの言う通りだ。

カムロウは再び攻撃を仕掛けた__

 

それを見ていたルカもスライム娘の弱点を見つけた。

再生するといっても、少しだけ時間が掛かるようだ。こうなったら__

ルカ「てりゃぁぁぁ!!」

ルカは剣をメチャクチャに振り回した!やたらめった斬りってやつだ。

スライム娘A「ひゃっ!?」

ルカ「てりゃぁ!うぉぉ!それぇ!」

どんどんスライム娘Aの体は欠けていく…。

スライム娘A「ひ、ひどいよ~」

ルカ「はぁ…はぁ…」

スライム娘は必死で再生している…やっぱり、再生速度は早くないんだ!これなら…!

ルカ「たりゃぁぁ!!あぁぁ!!……はぁはぁ。はぁ、はぁ……」

再びやたらめった斬りを放った。…正直、もう体力はほとんどないが。

スライム娘Aの体は再生が追い付かいようだ。もはや体すら保っていられないようにも見える。

スライム娘A「ふぇ~ん!もうやだ~!」

スライム娘B「もう勘弁して~!」

スライム娘たちは、ずるずると体を引きずり、泣きながらその場を離れていった。

 

 

スライム娘を追い払った!

 

 

ルカ「はぁ、はぁ、はぁ……」

カムロウ「ふぅ…逃げたのかな?」

スライム娘たちがその場から逃げ去った後__ルカは剣を取り落とし、がっくりと地に膝をついていた。どう考えても、無茶苦茶に疲れる戦い方だ。もう三十秒ほど相手が粘っていたら、こっちがへばっていただろう。それでも、勝利は勝利であることには違いない!

ルカ「や、やった…」

初めての勝利に、僕は打ち震えていた。稚拙な戦い方であっても、村を守ったことには違いないのだ。

ラクト「いやぁ…さすがだぜ、三人とも!」

マフラーを巻いた青年が拍手しながら、三人に近づいた。

ラクト「おめぇもすげぇよ、やたらめったに剣を振り回す姿はもう勇敢だったぜ?いやぁ惚れ惚れした_」

パヲラ「あんた真っ先に逃げたくせにどの面下げて話してんのよ!」

ラクト「ほぶっ!」

パヲラの飛び蹴りがラクトの顔に命中した。

ラクト「てめぇ!いてぇじゃねぇか!」

パヲラ「何よ!やる気!?上等だコラァ!」

二人はボコスカ喧嘩を始めた。それを横目にカムロウはルカに近づいた。そして手を差し伸べた。

カムロウ「えっと…ぼくカムロウっていうんだ。きみは?」

ルカ「あぁ、ぼくはルカ。助けてくれてありがとう。」

ルカはカムロウが差し伸べた手を取り立ち上がる。

カムロウ「怪我はないみたいだね、無事でよかったよ。」

ルカ「うん…それに、相手を殺さずに済んでよかった……」

剣を鞘に納めながら、僕は安堵の溜め息を吐いていた。決して僕は、魔物が憎いわけじゃない。むしろ、人と魔物は仲良くするべきだという信念を持っているのだ。だからこそ僕は勇者になり、魔王を倒すことを決意したのである。

ルカ「…村に戻るか。今日は、旅立ちの日なんだもんな…君たちも一緒に来る?」

カムロウ「村って、イリアスヴィルのこと?」

パヲラ「そうよ!こんなことしている場合じゃなかったわ!洗礼の日を忘れていたわ!」

ラクト「だったら早く行かねぇとな?」

喧嘩の手を止め、ラクトとパヲラはルカたちに近づく。

パヲラ「えーと、ルカっていう名だったわねい?ルカちゃん、イリアスヴィルまで案内してくれるかしら?」

ルカは奇抜な恰好をした男性の姿に驚きながらも頷いた。

そうだ、今日こそ女神イリアスの洗礼が受けられる。一人前の勇者として魔王退治に旅立つのだ!

勝利の余韻と旅立ちへの期待に心を躍らせながら、ルカたちは村へと戻るのだった。

 

 

 

ルカ「薬がどこにあるのか、イリアス様に聞くために来た?」

カムロウ「うん!イリアス様なら教えてくれるってパヲラさんが言ってた!」

ルカは歩きながら、カムロウの旅の目的を聞いていた。

ルカ「それならイリアス様も教えてくれると思うよ。」

カムロウ「ほんとう!?」

パヲラ「あぁ良かったわ!時間も間に合いそうだし、イリアス様にも会えるわけだし!」

ラクト「もしそうじゃなかったら無駄足だったしな。」

三人は安泰の表情の浮かべた。そして歩きながら、パヲラがルカに話しかけた。

パヲラ「ところで、さっき「旅立ちの日」って言ってたけど…ルカちゃん、勇者志望ってこと?」

ルカ「そうだよ、勇者になって魔王を倒すんだ。」

ラクト「へぇ、そりゃ大層な夢をお持ちで…」

カムロウはパヲラに質問した。

カムロウ「ユウシャって?」

パヲラ「魔王を倒す勇気ある人の事よん。ルカちゃんはすごい人になろうとしているの。」

カムロウ「へぇ…!すごい人になるんだね!」

ルカ「そ…そうかな…?」

そう言われてルカは照れた。

 

ルカ「魔王退治、か…」

ふと足を止め、ルカは空を見上げていた。

カムロウ「?」

ラクト「どうした?」

三人は足を止め、ルカに目を向けた。

ルカ「………」

ルカは三人に、ある事件について話し始めた。

 

今よりそう遠くはない昔、人間と魔物は共存していた。魔物の一部は人間の町や村で暮らし、人間側もそれを受け入れていた。

種族が異なる以上、時には諍いも起きたが__それでも、決定的な対立には至っていなかったのである。

しかし、三十年前__とある大事件が全てを変えた。

魔王城に最も近い町、レミナで発生した虐殺事件である。

魔物の群れが突然に街を襲撃、市内は惨劇の場となったのだという。

その結果、レミナは壊滅。現在は廃墟を残すのみらしい。

一人の生存者さえ残さなかった惨劇__

この「レミナの虐殺」以後、人間と魔物の関係は変化してしまった。

人間と共存していた多くの魔物は町や村を追い出され、そして野生の魔物は人を襲うようになった。全ての魔物を統べる魔王は、人間との全面戦争を宣言。人と魔物の関係は完全に決裂し、両者は憎み合うようになった__とは言え、地方によって温度差はあるらしい。

魔物の排斥が激しい地方もあれば、まだ共存している地方も少ないながら残っているという。

魔物全部を深く憎む人もいれば、魔物の全てが悪ではないと考える人もいるという事だ。とは言え、人間と魔物がかつてないほど険悪な関係になってしまったのは疑いのない事実である。

 

魔物に悪いことをさせている魔王さえ倒せば、きっと全ては元通りになる。昔のように、人間と魔物は仲良く暮らすことができるようになるはずだ。

 

ラクト「…どうやら夢ってわけじゃないようだな?すげぇことを成し遂げようとしてねぇか?」

パヲラ「おうっおうっ…!泣けるわよう…!」

カムロウ「魔物とのキョウゾンかぁ…!」

三人はそれを聞いて感動していた。ラクトは驚いていた。パヲラは鼻水を垂らしながら大号泣し、カムロウは言葉が出なかった。

カムロウ「…できると思うよ!ルカならできるよ!」

ラクト「本当かよ…?まず魔王を倒すなんてどんなに辛い道のりかわかってんのかよ?」

パヲラ「それでも…勇者になるつもりなのよねい…?」

ルカ「うん…」

みんな仲良く暮らす世界_そのために、僕は魔王を倒さなければならない__たとえ、この命を犠牲にしてでも。

 

 

 

不意に、凄まじい衝撃と轟音が辺りに響いた。この付近で、まるで何かが爆発したかのようだ。

ルカ「わわっ…なんだ!?」

パヲラ「まるで何かが降ってきたよな感じだったよねい…?」

カムロウ「…もしかしてパヲラさんの真似して、大砲でこっちに渡って来たって人が…」

ラクト「それはない、絶対ない、まずそんな人こいつだけだぜ。」

 

ルカ「かなり近いぞ…何があったんだ?」

ルカは、音の方向に駆け出していた。

カムロウ「あっ…待ってよ!」

パヲラ「そうよう!単独行動なんて危ないわよう!」

ラクト「お…俺を置いて行くなよ!」

三人も釣られてルカに付いて行った。

 

 

 

木々の間を抜けて、森の奥へと入る。そこには__綺麗な女性が、地面にめり込んで横たわっていた!

カムロウ「女の人…?」

ルカ「いや、あれは…」

下半身は大蛇、そして肌の色__どう見ても、人間であるはずはない。魔物…しかも見たところ、かなり強そうな魔物だ。いったい何が起きたのか分からないが、妖魔が倒れているのである。

パヲラ「さっきの音って、あのお嬢さんが落ちてきた音なのかしら…?普通じゃ死んでいるわよ?」

ルカ「あのモンスター、死んでるのかな…?」

奇妙なモンスターは横たわったまま、ぴくりとも動かない。

薙ぎ倒された木、へこんだ地面__状況を見るに、この妖魔は空から落ちてきたようだ。いったい、何があったんだ…?

ルカ「ど、どうしよう…生きているなら、助けないと…」

ラクト「い…いや、あれは関わらないほうがいいんじゃねぇか!?」

ラクトは体をガクブルと震えながら逃げることを提案している。

当然ながら、僕は魔物を敵視しているわけではない。むしろ、人と魔物が共存できる世界を望んでいるのだ。

魔物とはいえ、放置しておけないのだが__今の僕には、のんびりしていられない理由があった。

今日は、女神イリアスから洗礼を受けるという特別な日。

この勇者の洗礼を受けることができるのは、「旅立ちの年齢」になった日の正午なのである。

その時刻にイリアス神殿で儀式を行わなければ、もう二度と洗礼を受けることはできないのだ。一生に一度きりのチャンスというわけである。

まだ正午までしばらく時間があるが__ゴタゴタに巻き込まれて、洗礼の時間を逃してしまう可能性もある。目の前の状況を見るに、トラブルの匂いは濃厚。ここは、関わらないのが一番なのかもしれないが__

 

ルカ「でも、放っておくわけにもいかないし…」

少しだけ悩んだ後、僕は助けることにした。いくらなんでも、ここで見捨てたら勇者失格だよな…

ラクト「お、おい!やめとけって!きっと俺たちを殺しに来たんだ!逃げたほうがいいって!」

ルカは倒れている妖魔のところに駆け寄り、その顔を覗き込んだ。

とりあえず、生きているのか死んでいるのか確認しないと_

妖魔「………」

ルカ「え…?」

不意に、妖魔の目がぱっちりと開いた。彼女はまじまじと僕の顔を見据え、そしてむっくりと体を起こす。

カムロウ「良かった…生きてるみたいだね!」

パヲラ「しかも無傷…かなり強い部類に入るんじゃないの?」

ラクト「やっぱり俺たちを殺しに来たんだあああ!」

妖魔「…ここは?」

ルカの顔をじっと睨みながら、妖魔は口を開いた。

ルカ「え…?」

妖魔「…ここはどこか、と訊いている。」

無礼とも思える、突然の質問。それに対し、僕は素直に答えた。

ルカ「えっと…イリアスヴィルの近くだけど…」

呆気に取られた僕は、そう答えるのが精一杯だった。

妖魔「そんなところまで飛ばされたのか。あの女、なんという馬鹿力だ…」

ルカ「女…?」

妖魔「…で、貴様は何者なのだ?」

僕の疑問は無視され、矢継ぎ早に質問が浴びせかけられる。

ルカ「勇者見習いのルカだけど…この近くの、イリアスヴィル出身の…」

ルカは、素直に答えていた。

妖魔「勇者見習い…ということは、洗礼を受けていない身か。道理で、美味しそうな匂いがぷんぷんするわけだ…」

じゅるり…と、妖魔は舌なめずりをした。なぜだが知らないが、ぞわぞわと悪寒が走る。

ラクト「あああああ!俺たちを食いに来たんだああああ!」

ラクトがそう叫ぶと、妖魔はカムロウたちに視線を向ける。

妖魔「貴様らは?」

妖魔の質問に、パヲラが対応した。

パヲラ「あたしは旅芸人のパヲラ、こっちはカムロウちゃん。んでこいつはアホのラクト。」

ラクト「おいてめぇ今なんて言った!」

パヲラ「アホ以外になんて言えばいいのよ「ミスターほぶっ」」

ラクト「あぁ!?俺をおちょくってんのかこの野郎!?」

またラクトとパヲラはボコスカと喧嘩を始めた。

 

カムロウ「えっと…ルカ?時間って大丈夫?」

ルカ「そうだ、洗礼だ!そろそろ、村に戻らないと!」

_そうだ、こうしている場合ではない!この妖魔は、どこからどう見ても怪我などしていなさそうだ。

それならもう放っておいて、村に戻らなければならない。

ルカ「じゃあ、僕はこれで__」

妖魔「…待て。」

妖魔の下半身__大蛇の尻尾が、しゅるりと僕の胴に巻き付く。そして、去ろうとしていた僕を強引に自分の方へと向けた。

ラクト「!? お、おいルカ!?」

カムロウ「ル…ルカをどうする気なんだ!?」

ラクトは喧嘩の手を止め、カムロウは剣を構え、ルカの心配をした。

妖魔「なるほど、事情は分かった。今日はイリアスの降誕日、洗礼を受けようとしていたわけか。」

ルカ「その通りだよ。だから、離してくれないか…?」

勇者になると誓った幼い日から、この時を心待ちにしていたのだ。

あれだけ憧れた勇者になる、まさに今日がその日なのである。

妖魔「イリアスの洗礼など受けるな、くだらん。」

ルカ「く、くだらん…!?」

くだらん__僕の生き方を、一言で否定されてしまった。腹が立つより先に、なんだかがっくりくる。

なぜ会ったばかりの妖魔が、僕の生き甲斐を堂々と否定するのか。

パヲラ「…まぁ納得はするわね…魔物からすれば都合が悪いものね…」

ルカ「…もう、なんだっていいよ。とにかく、離してくれないかな?」

妖魔「………」

しかし妖魔は、尻尾で僕の胴を巻き上げたまま離そうとしない。

妖魔「…なぜ、気を失っていた余に止めを刺そうとしなかった?」

ルカ「え…?とどめ…?」

妖魔「人間が余を討つ、千載一隅の好機だったはず。仮にも勇者を目指す者が、なぜそれをしなかったのだ?」

そんな事を言われても__返答に困ってしまう。

ルカ「良い奴か悪い奴かも分からないのに、いきなりトドメ刺したりするわけないだろ…」

妖魔「…ほう。人間にとって、魔物は敵であるはずではないのか…?」

ルカ「確かに、そういう考えの人もいるけど…」

だが、僕は違う。魔物を魔物だからという理由で憎むような人間ではない。

妖魔「まして貴様は、勇者志望なのだろう。魔物を敵だと思っていない者が、いかなる理由で魔王を倒そうとする?それは英雄願望か?功名心か?それとも__」

ルカ「…僕は、英雄になりたいわけじゃない。魔王だって、別に憎いわけじゃないんだ。ただ、悪いことをやめさせたいんだよ。」

妖魔「…はぁ?」

ルカ「僕は、魔王や魔物を倒したいわけじゃない。人間と魔物が手を取り合って暮らす世の中を築きたいんだ!」

ラクト「もうそこまでにしといたほうがいいぞルカ!下手に刺激しないほうがいいって!」

その障害になるのなら、魔王だって倒してみせる__僕はそう誓ったのだ。

妖魔「…ドアホだろう、貴様。」

ルカ「ぐ…!」

胸にグサリと来る、冷たい一言。

ルカ「なんでドアホなんだ…!僕は人間と魔物が__」

妖魔「幼稚な善悪の二元論を土台に、歯が浮くようなお花畑の世迷い言__ドアホと言わずに、何と言うか。」

ルカ「う、ぐ……!」

何も言い返せない。

妖魔「世の中というものを知らん年齢でもあるまい。人間と魔物が手を取り合って暮らす?人間は、いつから起きたまま寝言を言うようになったのだ?」

ルカ「…でも、僕は…!」

妖魔「なるほど、理解した。未熟がゆえの幼稚な使命感、といったところか。」

妖魔「もう行っていいぞ…未熟者の坊や。」

馬鹿にしきったような顔で、妖魔は僕の肩を軽く叩いた。同時に、胴を封じていた尾が解かれる。

ラクト「よ…よし!逃げるぞ!」

ラクトが逃げる姿勢をとった。

ルカ「お…お前なんかに何が分かる…!このバーカ!!」

ラクト「おい!もうこれ以上刺激すんなって!」

ダッシュでその場を離れながら、僕は叫んだのだった。…これじゃあ子供じゃないか…

カムロウ「ぼくたちも行こうよ、パヲラさん。」

パヲラ「そうねい…それではさようなら、お嬢さん。」

カムロウとパヲラも二人を追いかけ走り出した…

 

 

ルカ「あぁもう、なんだよ…」

…だいたい、あいつは何なんだ。なぜ助けようとしたのに、あそこまで馬鹿にされなきゃいけないんだ。

ラクト「ま…まぁこうして命があるだけ良かったぜ…」

ルカ「…めちゃくちゃ強そうだったな、あいつ…」

ちょっと怖かったから、逃げながら罵声を浴びせたほどだ。

今の僕では、どう足掻いても傷一つつけられないだろう。

まさか、噂に名高い魔王軍四天王の一人とかじゃないだろうな…

パヲラ「気にすることはないわよルカちゃん。あれはただ、魔物からの観点ってことにしとけばいいのよん。」

カムロウ「それよりも早く村に行かないとだよ!」

そうだ、今日はとっても素晴らしい日なんだ。ずっと憧れてきた勇者に、とうとうなれるのだから__

ああ、イリアス様…!僕は…ルカは、きっと魔王を倒してみせます…!

一転して、足取りも軽やか。こうして僕たちは、村へと戻ったのであった。

 

 

 

 

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