もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

82 / 105
第10話 library_A_live_rally

__65537ページが現れた!

 

本から這い出るように現れたのは、巨大な本の魔物だった。眼鏡をかけた長髪の女性の体を中心に、無数の触手がうねうねと動いている。

ラクト「おいちょっと待て!!こいつだけページ数おかしいだろ!!!」

65537ページ「魔王様の命により、この本を人間に読ませるわけにはいきません。特に、勇者なる下劣な連中には……」

ちなみにこの本を読むのを禁じたという魔王は、そこの本棚の後ろでイモを焼いている。

いっそ、それを教えた方が良い気もしたが__

 

ラクト「ケッ!下劣とは言ってくれるぜ!下劣だろうと何だろうと、俺たちはその本が必要なんだよ!」

ルカ「悪いけど、力尽くでも読ませてもらう!」

65537ページ「私は静寂を愛します……ゆれに、あなたのように粗野で乱暴な人間は好みません。」

やはり、戦いは避けられないようだ!

ルカ「でも……これほど体がデカいと、こんな場所で暴れられたらまずいな。」

とはいえ…この、サン・イリア城の地下図書館を、魔物との戦いでオシャカにするのは色々とまずい。

マモル「アッシなら、ソレなんとかできまっせ。」

ルカ「本当か…?どうやって……」

マモル「書物が傷つかない範囲で結界を張るんです。そうすれば、(ルカ)兄さん(ラクト)も思う存分戦えるでしょう?」

ラクト「そうか!本さえ傷つかないってんなら、俺も戦えるぞ!」

マモル「しかし、一つ問題がありましてですねぇ……アッシは結界を張るのに集中するんで、戦闘に加勢する余裕がないんですよぉ。すみませんがそこんトコロ、よろしくお願いしますぅ。」

どうやら、かなり大掛かりな作業になるようだ。

ルカ「よし…分かった!そっちは任せたぞ!」

マモル「まぁ、ボチボチやりますかぁ。」

ルカ「いや、急いでくれよ……」

 

__マモルが戦闘パーティから一時離脱しました。

 

マモルが結界を張って、内側から図書館を防護してくれるそうだ。しかしその間、マモルは戦えないのだ。

つまり、今、戦えるメンバーは僕を含め、パヲラとジョージ、ラクトだけだ。

前線は僕とパヲラとジョージ、後衛にはラクトについてもらう!

ルカ「いくぞ、みんな!気を引き締めろ!!」

「「「おうっ!!!」」」

 

 

__65537ページとの戦いが始まった!!

 

65537ページ「図書館では、静かになさい。」

ラクト「いいや、これから騒がしくなるぜぇ!!!」

魔導銃を取り出したラクトは発砲した!

ラクト「本の魔物なんだから、火が弱点なんだろうな!」

ラクト「燃えろーッ!火炎魔弾(フレイムショット)!!」

65537ページ「ファイア(炎魔法)。」

互いに放った魔法が!火炎同士が相殺した!

ラクト「………………」

ラクトは驚いてあっけらかんとしている……

65537ページ「………………」

65537ページは読書を続けている……

 

ラクト「土塊魔弾(アースショット)!!

65537ページ「アース(土魔法)。」

 

ラクト「水流魔弾(ウォーターショット)!!

65537ページ「ウォーター(水魔法)。」

 

負けじと魔法を放つラクトだが、全て65537ページに相殺されてしまう。

65537ページ「静粛に……」

65537ページは本を読み進めている。

ラクト「………………」

ルカ「無理だよ、諦めな。どうやってもお前じゃ勝てないんだよ。」

パヲラ「それって味方に言うセリフじゃないわよね…?」

ラクト「おっと……どうやら、俺の出番はもう無いらしいな!全力で援護するぜ!」

ラクトはルカたちの後ろに逃げた!

 

ルカ「行くぞッ!!!」

ルカは攻撃を仕掛けようとした!

65537ページ「静粛に、と言っているのに……」

65537ページの触手が四方からルカの体に絡み付いてきた!

ルカの体は、65537ページの触手に絡め取られた!

ルカ「くっ…!」

体の四肢を、触手でぐるぐる巻きにされた。力を入れようにも動けない…!

65537ページ「さて、それでは…じっくりと料理して差し上げましょうか……」」

65537ページは麻痺の12ページを開い____

 

ラクト「___もらったーッッッ!!!」

マジックハンドが伸びてきた!

65537ページは持っていた本を一冊奪われた!

65537ページ「なっ!?」

伸びてきたマジックハンドは、ラクトが作った道具の一つだ。単純に、遠くからモノを取るという目的で作られている。

ラクト「どうやら、出番はあったようでっ!そんじゃとんずらー……」

ラクトは逃げ出した!

65537ページ「本の持ち逃げを!? なんと非常識な…!!人間のような下劣な連中というのは___」

 

パヲラ「__ソォレッ!」

65537ページ「っ!」

次の瞬間、パヲラは魔物に向かって飛び蹴りを放っていた!

しかし、65537ページは身体をのけぞって避けた!

パヲラは次に、拳による連続攻撃(ラッシュ)放った!!

パヲラ「YEAHHHHHHHHHHHHH(イエエアアアアアアアア)!!!」

65537ページ「どうして静かにできないのですか……」

魔物は触手を前に出し、防壁にすることでパヲラの攻撃を防いだ!

 

ジョージ「はあっ!!!」

ジョージは抜刀した!!!ルカを拘束している触手を根元から斬り伏せた!

ルカは拘束から抜け出せた!

ジョージ「ご無事で!?」

ルカ「ああ!助かった!」

65537ページ「拘束から逃れたのですか。しかし、これで私の触手を封じたと思わないことです……」

斬られた触手は、徐々に再生しつつあった……

ジョージ「どうやら本体を狙わなければならないようだ。」

ルカ「ああ。無理に触手を斬らないほうが良いかもしれない。」

触手を斬っても再生されてしまうなら、直接本体を攻撃したほうが手っ取り早いだろう。

 

65537ページ「三魔の333ページ……魔導の長たる三摂理、力を示せ!」

本から出てきたのは火炎、氷塊、雷電の塊。3つの属性魔法がルカ達に降り注いできた!

ルカ、パヲラ、ジョージは避けた……__

 

パヲラ「__ハッ…!いつものクセで避けちゃった…!」

ルカ「ヤバい!この場所で属性魔法を使われると…!!」

この場所で炎といった属性はマズい!本に影響が__

 

マモル「__式神穹窿結界陣(しきがみきゅうりゅうけっかいじん)!」

図書館の中に、ドーム状の結界が貼られていた!

マモルの結界のおかげで、魔物が放った攻撃は、図書館内の本に影響はなかった。

マモル「ふぅ、焦ったぁ…」

ルカ「そうだった、マモルが結界を張ってくれてたんだった!」

僕達は今、マモルが張ったドーム状の結界の内側にいる。だから、結界さえあれば、魔物が放つ魔法が外側に出ることはない。

ルカ「けど、ああいう属性魔法を放たれたら、僕達は避けるか受ける以外に方法がない!どうしたらいいんだ…!」

ジョージ「…………………」

 

ジョージ「ルカ殿、弾き返してみてはどうだろうか?」

ルカ「弾き返す?まさか、剣で?まるで曲芸みたいだな……」

ジョージ「ルカ殿の技量であれば造作も無いはず。私も加勢するゆえ、共に参りましょうぞ!」

ルカ「……ああ、やってみる!!!」

とはいえ、実用的な策だと思う。やってみる価値は十分…いや、十二分はある!

 

65537ページ「三魔の333ページ!炎、氷、雷よ…迸れ!」

再び、火炎、氷塊、雷電の塊が放たれた!

ルカ「くるぞーッ!」

ジョージ「うむ!」

迫り来る属性魔法を前に、僕とジョージは剣を構えた!

ルカ「てりゃああああ!!!」

ジョージ「ぬぅぅぅぅん!!!」

飛んできた魔法を一閃!ルカとジョージは、剣で弾き返した!弾き返された魔法は、魔物に命中した!

 

65537ページ「……ッ!」

僕たちの攻撃によって、65537ページの髪がはらりと解けた。

ルカ「よ…よし、跳ね返せたぞ!」

65537ページ「……やりますね。では私も、本気を出すとしましょうか……」

ルカ「くっ…まだ本気じゃなかったか!?」

 

65537ページ「これならどうでしょう!!!」

魔物は一冊の本を取り出すと、おもむろに開いた!

すると、本から紫色のオーラが漂い始めた!辺りは闇に包まれ始め、周囲の風景が黒一色に染まり始める……

 

ルカ「なんだか嫌な予感がする…! みんな、防御態勢(ガードシフト)だッ!!!」

  「「了解ッ!!」」

ルカ達は攻撃に備え、防御の姿勢に移った!__

 

65537ページ「__終末の666ページ……避けられない終焉を告げよ!」

魔物は暗黒の衝撃波が放った!!禍々しい衝撃波が吹き荒れ、ルカ達に襲い掛かる!!!

ルカたちはなんとか吹き飛ばされまいと踏ん張り続ける。

ルカ「うおおお……なんて威力だ…!」

しかし、攻撃を受けた仲間たちの体に、異変が起きた!

ジョージ「ぬぅ!視界が…!まるで黒い霞がかかってるように…前が見えん…!」

パヲラ「ちょっと体が重いわねぇ…練り上げてた魔力を奪われちゃったみたい。」

急に、体の不調を訴え始めたのだ。

ルカ「どうしたんだみんな…!?まさかこれが【闇属性】の威力なのか……!」

魔物が持つとされる闇属性。

炎属性や水属性よりも高い力を持つとされ、どのような属性なのかは解明されていないが……今のように、闇の力で視界を奪ったり魔力を吸収することがあるようだ。

 

65537ページ「巨腕の256ページ……ネフィリムの腕、薙ぎ払え!」

すると魔物が、隙を突いて僕達に攻撃をしようとしていた!開いた本から一本の巨大な腕が生え、薙ぎ払おうとしていた!

ルカ「ぼ、僕で防げるか!?この大きさは…!」

状態異常で動けない2人を連れての移動なんてできっこない!

なんとか受け止めれるか?__

 

マモル「__電塊弾(でんかいだん)!!!」

遠くから、バチバチと迸る電気の塊が飛んできた!それは本の巨腕に命中し、巨腕は感電して動かなくなった!

65537ページ「ほう…巨腕を感電させて痺れさせるとは……」

 

この電気の塊を飛ばした主は…マモルだ!

マモルは自身の影を式神の能力で、(ぬえ)…猿の頭、虎の四肢、狸の胴体、蛇の尾の姿をした獣の形にし、その上にまたがっていた!

ルカ「マモル!?結界はどうしたんだ!?」

マモル「さっきの攻撃で壊れちまったんで!!紙人形もねぇもんなんで、また張りなおすのは無理なんすよぉ!」

ルカ「なら、早く倒したほうがいいな……!マモル、僕も乗せてくれ!」

ルカは、マモルの式神に同乗した!そして、後衛にいたラクトに指示を出してその場から離れた!

ルカ「ラクト!僕とマモルが戦ってる間に、2人を頼む!」

ラクト「わかってらぁ!」

ラクトはカバンから道具を取り出して、パヲラとジョージの2人に差し出す!

ラクト「ほら、飲むタイプの目薬だ!あとヒールポーション!!」

……ルカとマモルが応戦している間に、2人の治療に移るラクトだが、ある思いが募ってばかりいた。

ラクト「(……いや、やっぱ…俺だけ何も出来ねぇのはもどかしすぎるっ!)」

ラクト「けど、魔法で攻撃しようにも、同じ属性の魔法でかき消されるし……なにより威力が、インパクトが足りねぇ!俺だって何か攻撃してぇけど、何も思いつかねぇ…!__」

 

__するとふと、65537ページから奪った本が目に入る。

どうやら魔法に関する本のようだ。

ラクト「……………」

ラクト「そういえば……さっき戦った本の魔物。本を読んだりしてたな……」

さっき…257ページという魔物。彼女は戦う直前に読書をしていたのだ。そのことをラクトは思い出していた。

そして、今の自分に足りないモノ……

それらの事柄が、ラクトにある一つの行動をさせたのだ!

ラクト「足りない知識はこれで補うしかねぇってか!」

ラクトは魔物の魔導書を使った!ラクトはその場で読書を始めた!!

ラクト「今の俺に無いモノが…使える魔法がどこかにあるハズだ!一つでもいいから習得してやるッ!___」

 

__魔物は本から生やした巨腕を振り回して、ルカ達と交戦していた。

一回一回、重く巨大な腕が右往左往する。

この巨大な腕は、しっかりと捕捉すれば避けれることは容易だが、もし攻撃を食らうことを考えると油断はできない。

ルカ「僕に遠距離攻撃がないことが悔やまれるな……」

 

ルカ「マモル、どうにかして近づけれるか!?」

マモル「あいよ!若ァ、しっかりつかまってくだせぇ!一気に駆けますよぉ!」

ルカ達を乗せた式神・鵺が、徐々に加速し始めた!!

マモル「雷騰駆(らいとうく)!!!」

迸る電気を纏い、その速度は捉えられないほどの速さになっていく!

65537ページ「な、なんて速さ…!こ、この…!この…!」

魔物は、巨大な腕や触手で捕まえようとするが、次々に避けられる。

小さな虫を手で捕まえようとしても、簡単に逃げられて見失ってしまうのと同じような感覚だろう。

 

そしてマモルを乗せた式神は、ものすごい速度のまま、魔物に体当たりをした!

65537ページ「うっ…!」

魔物は一瞬、体勢を崩した。その隙を、ルカは逃さなかった!

ルカ「ここで雷鳴突きだ!!!」

マモルの式神から飛び出し、ルカはものすごい速さのまま、剣による突きを繰り出した!__

 

65537ページ「__……くっ!」

僕の攻撃によって、65537ページの眼鏡が落ちた。

床に着地した僕とマモルは、魔物の様子をうかがう。

マモル「どうですかぁ…!?」

ルカ「まだ倒せてない!もう少しダメージを与えれば封印できるはずだ!」

65537ページ「まさか、ここまでの猛者とは……あなたたちほどの人間を、野放しにはできません。我が全力をもって、ここで果ててもらいましょう!」

 

65537ページ「(しかし…このままでは私の方が不利でしょう……まずは人数有利で優勢に……!)」

65537ページは服従の24ページを開いた!怪しい光が、ルカを包み込んだ!

ルカ「あ、あうぅ…!」

ルカは65537ページに屈服してしまった!

ルカ「う……動けない……ッ!」

まるで石像になった気分だ。動けない…!体が言う事を聞いてくれない!

マモル「アンタァ!!若に何をした!!」

65537ページ「ふふっ……これで、私の言うことには逆らえませんよ。さあ、屈辱を与えながら逝かせて差し上げますね……__」

 

65537ページ「__仲間を殺しなさい。」

 

ルカ「え…?え…!?へ…!?」

なんだ!?身体が勝手に動き始めた!?

持っていた剣が、僕の体が、マモルの方を向いて……

僕の意思でもないのに、マモルに斬りかかっていた!!

ルカの異変に気付いたマモルは、槍を両手に持って、ルカの剣による攻撃を防いだ!

マモル「わ…若!?どうしたんでぇ!?」

ルカ「それが……体が勝手に動くんだ!!」

僕の身体は言うことを聞かず、止まらない。

ずっとマモルに攻撃するのを止めてくれない。

魔物は不敵に笑いながら、その様子を見ている。

65537ページ「あなたたち人間の弱点は、その仲間意識……仲間ゆえに、手を掛けることがどれほど屈辱的なことか……よほど倫理観のない者でなければ、仲間を殺して止めることは出来ない…」

65537ページ「ふふっ…屈辱的でしょう…?強制的にさせられるというのは…」

マモル「若!?やめてくだせぇ!アブねぇ!!」

ルカ「止めてくれー!!殴ってでもいい!!!力尽くでもいいから、僕を止めてくれ!!!わざとでも本意でも何でもないのに、誰かを傷つけるのは嫌だ!!!」

 

怪我の治療を終えたパヲラとジョージが駆けつけた!しかし2人は、ルカ達の状況を見て愕然とした!

ジョージ「何事だ!?これは!?」

パヲラ「これは恐らく…対象を操る魔法かもしれないわね……」

65537ページ「来ましたか……」

65537ページ「(この2人は見るからに魔法の耐性が皆無と思える……なら、この2人も操らせて同士討ちに持ち込むべき!)」

65537ページは服従の24ページを開いた!

65537ページ「さぁ、互いに殺し合いなさい!!!」

怪しい光が、パヲラとジョージを包み込んだ!

 

パヲラ「……ん?」

ジョージ「……ん?」

65537ページ「……ん?」

 

しかし、効果はないようだ……

65537ページ「…!?どうしたのですか…!?なぜ言う通りに動かないのです…!?」

65537ページは再び、服従の24ページを開いた!怪しい光が、パヲラとジョージを包み込んだ!

 

パヲラ「…………ん?」

ジョージ「…………ん?」

65537ページ「…………ん?」

 

……しかし、パヲラとジョージに変化はないように見える。

65537ページ「まさか……!? 効いていない!?」

パヲラ「う~ん、効いてないわねぇ。」

ジョージ「どうやらその術は、我々には効果がないようだな。」

65537ページ「そんなまさか…!?」

65537ページ「(服従の24ページはよほど魔法への耐性が無ければ無効化することはできないハズ。もし、あるとすれば、精神力で打つ勝つことしか……だとすればこの人間は……!強い精神力の持ち主とでも!?」

ジョージ「引導を渡す時だな。観念するといい。」

65537ページ「くッ…!」

65537ページ「(もう…この辺り一帯が吹き飛ぶかもしれませんが…これを使うしか他に手がない…!)」

 

魔物は一冊の本を取り出した!

65537ページ「これで終わりです…!」

ゆっくりと、本を開き始める。次第に床が揺らぎ始め…いや、建物全体が揺らぎ、並々ならぬ雰囲気が感じられる!

そして徐々に魔物の体に、魔力のオーラを纏い始める…!

ジョージ「パヲラ殿!これはなにやら、マズい気が…!」

パヲラ「ええ、急いで止めるわよ!」

65537ページ「いいえ、もう遅いです…!もう私を止めることはできませんよ…!!」

65537ページ「無の99999ページ……全てを無に還せ!___」

 

ラクト「__バレットショット(魔弾射撃)!!!」

 

__その刹那、発砲音と共に、魔物が持っていた本が手元から飛ばされた!

65537ページ「ッ…!?」

本は床に転がり、魔物の攻撃が中断された!

魔物は発砲音がした方向に身体を向けると、そこには魔導銃を構えたラクトがいた!

ラクト「属性に変えないで放つ魔力の弾丸だ!魔力は属性に変えなければ、物理的なエネルギーとなる!」

パヲラ「ラクト!?アンタいままで何してたのよ!!」

ラクト「わりぃな!さっきまで読書をしてたもんでなぁ!」

 

ラクト「ソイツに攻撃をするためのなぁーッ!」

ラクト「バレットショット(魔弾射撃)ーッ!!!」

再び発砲した!銀色に輝く魔力の弾丸が、65537ページに放たれた!

しかし、魔物は触手から魔力を放ち、魔力の弾丸と相殺させた!

65537ページ「今のは不意打ちでしたが…魔力をそのまま放つことくらい、私にもできます。少し小細工が出来るようになったとしても、私とあなたとの対面勝負なら、私の方が優勢ですよ。」

ラクト「そう言うと思ってよぉ!もう一つあるんだぜ!」

再び魔導銃を構え、照準を合わせた!

ラクト「これならどうだーッ!」

 

ラクト「光線魔弾(ライトショット)!!!」

魔導銃から輝く光線が放たれた!光線は魔物の体に命中した!!

65537ページ「いッ…!」

焼けるような、焦げるような、高熱で焼かれる痛みが魔物の体中を走った!

ラクト「どうよ!光の速度で動く魔弾は!!これなら当たるだろ!!!」

そしてラクトは、次々に光線を連射する。

魔物は触手を前に出して防御するが、光線は触手を焼き焦がして貫通し、次々と体に命中する。

65537ページ「(この魔法は…!光属性の魔法…!こんな魔法、さっき使わなかったはずなのに…!)」

65537ページ「いつの間にこの魔法を…!?」

ラクト「さっき覚えたばっかりだよ!!お前が持ってた本を読んでな!!!」

65537ページ「速読で覚えたと…!?普通は焼き付き刃でしょう!?何がそこまであなたを……」

ラクト「仲間意識が弱点だとか言ってくれたな!?俺から一言、言わせてもらうぜッ!」

ラクト「【仲間意識】という弱点は、成長するためにある!その短所こそ!!人間が持つ長所の一つだってなァァーッ!!!」

 

ラクト「なんとか言ってみろよ!なぁ!?お前は今!その()()()()に押されてるんだぜェェーッ!?」

65537ページ「くッ……!五月蠅いッッ!!!」

魔物は攻撃をしようにも、ラクトの光線による攻撃で手出しができないようだ!

焼かれた触手を再生させ、それを次々と防衛に徹している。

ルカ「これは…攻撃をするチャンスか!?」

ルカ「今だ!みんな!そいつはあと少しダメージを与えれば封印できるハズだ!」

ルカ「そのまま攻撃を続けるんだァーッ!」

マモル「アッシは若の相手してるんで早くしてくだせぇーッ!!」

 

パヲラ「行くわよ~ジョージちゃん!」

ジョージ「共に参ろう、パヲラ殿!」

パヲラとジョージは、魔物に突撃した!

ジョージ「これにて……」

パヲラ「おしまいっ!」

ジョージは刀を振り回し、触手をぶつ切りにした!触手が無くなったことで、魔物は防御する術が無くなった!そこに、パヲラは魔物の腹部に目掛けて飛び蹴りを放った!

65537ページ「うぅッ……!!」

この攻撃が、決め手となった。魔物の体から粒子が流れ出てきた。

65537ページ「この私が、人間に……!__」

 

__65537ページは一冊の本の姿となった!

 

ルカ「やった!」

魔物を倒したことで、僕の体も自由になった!なんとか無事に勝てた__

 

ルカ「__…………あれ?」

と思っていたのも束の間。

なんと封印したはずの65537ページが、元の姿で再構築された!

ラクト「復活した!?」

ルカ「ど、どういう事だ…!?」

65537ページ「私は聖素の影響が薄い、極めて特殊な体質の妖魔。魔素封印の力は、私には通用しないのです。とんだ徒労でしたね、ふふふっ……」

ルカ「そ、そんな……」

65537ページ「無論、私の弱点は炎なのですが、剣士のあなたには使えないでしょう。そしてここは人間が集めたという知識の宝庫、闇雲に動いて本を傷つけるわけにもいかない。つまり、あなた方に私を倒す手段はないのです。」

ルカ「くっ……!どうしたらいいんだ…!」

敵の言う通り、僕は炎の技や魔法など使えない。

ましてはこんな場所で火気などご法度。

ルカ「コイツを倒す事が…!方法がないじゃないかッ!!!」

65537ページ「私には勝てないという事を悟りましたか…?では、料理して差し上げましょう……」

ルカ「くっ…!」

僕がおののいた、次の瞬間だった。__

 

__何の前触れもなく、周囲に炎が広がり始めたのだ!

65537ページ「こ、これはいったい何事です…!?まさか、あなたたちが__!?」

ラクト「まさか!俺たちも分からねぇよ!」

ルカ「わわっ……な、何だ?」

当然ながら僕の仕業ではなく、何が何だか分からない。

ルカ「まさか、アリスが助けてくれたのか__!?」

 

アリス「わわわ……余としたことが、イモの焼き加減を失敗するとは…!まずい、あたりに延焼しているではないか…!」

ルカ「……ただの失火かよ。」

65537ページ「この火では、体の維持が不可能に…!魔王様、申し訳ありません__」

 

……その魔王様が、この火災の元凶なんだけどな。

 

65537ページをやっつけた!

 

ルカ「や、やった…!…って、この状況は……!」

マモル「まずいですねぇ!今のところ本棚が燃えてるだけみたいですがぁ…このままだと本にまで燃え移る!」

あたりはみるみる炎に包まれ、僕たちまで危ない状況だ!

ラクトは魔導銃から水魔法を放つが、炎の勢いは増すばかり。

ラクト「ひぃーッ!消火が追いつかねーッ!」

ジョージ「どうするべきだ…!?しかし、このまま退くわけには……!」

アリス「むむむ、どんどん燃え広がっていくぞ……!」

ルカ「なにがむむむだ、どうにかしろよ…!魔王なんだから、水の魔術くらい使えるだろ…!」

アリス「余は魔王、この城を水没させるほどの大洪水を起こす事などたやすい!」

ラクト「おおっ!流石は魔王!じゃあ威力を弱めてもらって……」

アリス「…しかし威力を絞るとなると、逆に困難でな。制御には、正直自身がないぞ。」

ルカ「なんなんだよ、それ!」

アリス「余は、水系の魔術は得意ではないのだ……」

ラクト「ほーん…魔王にも不得意があるモンなんだなぁ。」

パヲラ「悠長な事言ってる場合!?このままだと、この図書館全部丸コゲになるわよ!!」

ルカ「うぐぐ……」

城が水没してしまうのもまずい。

なすすべもなく、僕たちとアリスがあわあわしていると__

 

衛兵隊長「__何の騒ぎなのです、ルカ殿……」

地上に続く階段から、衛兵隊長が様子を見に来たのだ。

衛兵隊長「うわっ、これは何事だ!?」

ルカ「えっと、これは…」

 

ルカ「えっと、グランベリアが……!さっき追っ払ったグランベリアが、腹いせに放火したみたいです…!」

ラクト「(こいつ嘘吐きやがった…!)」

ジョージ「(しかし、その誤魔化しは通用するのだろうか?)」

衛兵隊長「グランベリアめ、なんと姑息な真似を…!騎士道精神に篤い(あつい)という噂は、嘘だったのか…!?」

ジョージ「(通用した~…!)」

衛兵隊長「ともかく、一冊でも多くの本を救い出さねば!消火も急げ!これ以上、燃え広がるのを防ぐのだ!」

階段から、衛兵隊長の指示により、大勢の衛兵が駆けつけてくる。

 

そのどさくさに紛れて、僕達とアリスは地下図書館を後にしたのだった。

ルカ「……ごめんなさいグランベリア。絶対にそんな事しなさそうなキャラにも関わらず、罪をなすってしまいました。でも、あなたの主君である魔王がやらかした事なので、我慢して下さい。」

ルカ「……以上、懺悔おわり。」

ラクト「それのどこが懺悔だよ……」

ルカ達は地上へと続く階段を駆け上り、逃げるように城を抜け出した__

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。