もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第14話 一度戻ってナタリアポート

そして、僕たちはナタリアポートに到着した。

一度歩んだ旅路だけあって、引き返すのは非常に楽だった。

 

ナタリアポートは、人魚学校の爆破テロがあったのにも関わらず賑やかだった。

周りを見ても、人とマーメイドが行き交っている。

 

マーメイドの少女「にんぎょのうたが~♪きこえてくるよ~♪」

誘惑の歌が響き渡った!

ジョージ「うっ!」

ジョージは誘惑されてしまった!

ジョージ「お、お嬢さん……!お、お、お、お嬢さん……!!」

マーメイドの少女「きゃぁぁぁーー!!」

青年「大変だ!人魚の子が襲われてるぞ!」

戦士「また、イリアスクロイツの連中か!?やっちまえ!」

ジョージは町の住人達にボコボコにされた!

ジョージ「ぐわぁぁぁ!!」

マモル「ジョージィィィ!!!」

マーメイドの少女「わわわ……あのうわ、うたっちゃいけなかったの……おにいさん、ごめんなさい……」

ルカ「なにやってんだ……」

 

ナタリアポートまで引き返したのは、依頼があるというメイアという人物に会うため。

しかし、わざわざ話を聞くために、多人数でゾロゾロと向かうのも……

なので、僕が要件を聞きに行ってる間、ほかのみんなは別行動をとってもらうことにした。

 

カムロウは用事があるらしくとチリも付き添いで路地裏に。

ラクトは防具屋に行った。

ジョージとパヲラもどこかに行ってしまった。

そして、僕の近くに残ったのは………

 

ルカ「…………」

アリス「…………」

マモル「…………」

 

アリスとマモルがいた。

 

ルカ「……なんでマモルがいるんだ?」

マモル「あ~…すみませんねぇ…お邪魔でしたね?じゃあどっかにいなくなりますね……」

ルカ「おい待てって!そういう意図はないんだよ!」

 

 

 

市街地に向かって移動してる途中、防具屋から出てきたラクトとばったり出会った。

ラクト「お、ルカ。お前もいるか?防災装備。」

ルカ「いいかな。今の装備で十分だよ。でも、防災装備って?」

防火ならまだしも、防災という単語が引っかかった。

ラクト「あん時のテロもあってか、耐火繊維の服とか、よく売れてるらしい。」

ルカ「…やっぱり、みんな不安なんだな………」

 

すると僕の目に、以前入店した道具屋が目に入った。

ラクト「行くか?道具屋……」

ルカ「……うん。」

 

店主「いらっしゃいませ。当店では、人魚用の婦人服を取り揃えております。」

相変わらず、女性服が多く展示されてある。

やはりマーメイド向けなんだろうか。

店主「最近は、胸元をギリギリまで露出させる服が流行ですよ。」

ラクト「……なんだって?」

ルカ「……本当に?」

店主「ウソです……今のところは。しかし人魚ファッション最先端の当店がそう宣伝しますと、実際に流行するのです。」

 

ラクト「ソレ詐欺じゃあねぇか?」

店主「嘘の流行が本物になる……この業界、そういうものですよ。」

ルカ「じゃあ、そうやって露出度の高い服を流行らせたんだ……」

店主「世の男性方のニーズにお応えした結果ですよ、ふふふふっ……」

ラクト「ケーッ!必要とあればってか!随分な商売してんなぁ……」

 

アリス「……………」

気付けば、アリスは冷酷な目で僕たちを見ていた。

ルカ「ひゃあ!アリス!?」

ラクト「い、いやこれはだな……」

店主「ただ、流行の先を行く宣伝を……」

アリス「………エロめ。」

 

ラクトはそのまま道具屋に残ると言うので…僕たちはラクトと別れ、市街地へと歩みを進める。

 

しかしまたしても、僕の歩みを止める出来事があった。

 

明らかに見たことある恰好だった。

あれはパヲラとジョージだ。

その2人が、マーメイドパブに入っていく光景を目にしたのだが……

ルカ「……………」

アリス「また入る気なのか?スケベめ……」

マモル「いやぁ…分かりますよ。若もね。お若いですモンね。」

ルカ「いや…!違ッ!そうじゃなくて…だって…!気になるだろ…!?」

あの2人がなんで入って行ったか気になるだろと言いたかったのに、言葉が詰まってしまった………

 

結局、僕はマーメイドパブに入店していた。

そして最初に見たのは……

記入用紙になにか書いているジョージの姿だった。

ジョージ「これでいいのか?」

パヲラ「そうそう。あとは名前書いて……」

その横で、なにやら誘導させてるようにしか見えないパヲラがいる。

 

ルカ「おいお前……一体何に入会させようとしてんだ……?」

パヲラ「あら~ルカちゃんはまだ早いわよ~?マーメイドパブの会員は……」

ルカ「……………」

……それはちょっと気になる。

 

入店した僕たちに気付いて、マーメイドが近寄ってきた。

マーメイド「あら……いらっしゃい、可愛い勇者君。ご注文は、何にする?

ルカ「あ……お酒は、飲めないです……」

マーメイド「じゃあ、この町に伝わる人魚の伝説でも聞いていく?」

ルカ「人魚の伝説?__」

 

 

__……これは今から何百年も前の、とある青年と人魚の悲しいお話。

 

昔々、この町にアランっていう優しい青年がいたの。

彼は船乗りだったんだけど……

 

ある日、その船が難破したのよ。

漂流したアランはサメに襲われて、瀕死の重傷を負っちゃったんだけど……

 

彼を助けたのが、若く美しい人魚のローラだったの。

 

ローラはアランに一目惚れしたんだけど……

 

アランは、普通なら死んでもおかしくないほどの重傷だったのよ。__

 

 

マーメイド「__左肺は損傷、脊椎にも重度のダメージ、血液の3分の1を失っていた揚げ句に心配停止状態……」

マモル「医療診断書か何かで?」

ルカ「……なんだか、やけに細かく伝わってるんですね。」

マーメイド「ともかく、普通なら助からない……って言うか、もう半分ほど死んでたのよ。」

ルカ「ハッキリ言うなよ……」

 

 

人魚の血は万能の薬。

だから、ローラは自分の血をアランに飲ませたの。

 

それでアランは、なんとか命を取り留めたんだけど……

いかに人魚の血でも、すぐに全快とはいかなかったわ。

 

少なくとも一年の間…毎日マーメイドの血を飲ませないと、生命が保てない体になってしまったのよ。

 

そこでローラは人間に化け、町でアランと一緒に暮らそうと決意したの。

自分の血をこっそり食事に混ぜて与え、アランの命を保つためにね……

 

そうやって、アランの命を保ちながら1ヶ月の月日が経ったわ。

ローラとアランは、すっかり愛し合うようになっていたんだけど……

 

ある日、ふとした事でローラが人間でないのが明らかになってしまったの。

アランの愛は変わらなかったけど、町の人々は違ったわ。

 

人々はローラを恐れ、うと疎んじ、災厄の元として告発し……

とうとうローラは兵士に捕らえられ、処刑される事が決まったのよ。

 

ルカ「…でも、マーメイドなら逃げられるはずでしょう……?力も魔力も、人間より強いんだから……」

マーメイド「……確かにそうね。マーメイドの下半身の力って、かなり強いのよね。深度200メートルの水圧下で、15ノットで泳ぐ力があるんだから。普通の人間なんて、尻尾で一撃したら骨まで粉々……」

ルカ「え…?」

マーメイド「あらやだ、冗談よ!私達はとってもか弱いわよ、うふふふふ……!」

 

マーメイド「ローラが逃げれば、アランに人魚の血を与える者がいなくなってしまう。逃げるわけにはいかなかったのよ。」

ルカ「……………」

マーメイド「そしてローラは、自分から串刺しでの処刑を希望したの。処刑の際に流れ出る血を、アランに飲んでもらうように望んだのよ……」

ルカ「そのために……」

マーメイド「そして、ローラの意図を手紙で知ったアランは……毒を飲み、自ら命を絶ってしまったの。」

ルカ「……!」

 

ルカ「自害…したんですか…?どうして……!?」

マーメイド「人魚の血に縛られた自分がいなければ、ローラはいつでも逃げられる。自分のせいで、ローラが処刑される事に耐えられなかったのよ。」

ルカ「………」

 

アランの死を知ったローラは、そのまま処刑場から消えてしまった。

それから数日、まるでローラの嘆きのような嵐が吹き荒れたとか。

事の全てを知った町の人間達は、自分達の行動を心から悔いたわ。

 

それからナタリアポートの人々は、町に人魚を受け入れる事になったのよ。__

 

 

マーメイド「__……おしまい。」

ルカ「……悲しい話ですね。」

マーメイド「あくまで伝説だから、どこまで本当かも分からないんだけどね。この町に昔から伝わる、悲しいお話よ。」

 

パヲラ「あぁ…いつ聞いても哀しいわよホントに…!」

ジョージ「なんと…!なんと…!」

2人は大量に涙と鼻水を垂れ流していた。

ルカ「うるさいなぁ…騒がしい……」

 

ルカ「……なんでローラは、自分が人魚である事を明かせなかったんですか?」

マーメイド「当時はこの町も、魔物排斥の風潮が強かったのよ。だからローラは正体を隠し、人間としてアランの側にいるしかなかったの。」

ルカ「……………」

 

ルカ「今でも、魔物排斥の風潮は強いですよね……」

マーメイド「人魚学校のテロね……」

マーメイド「あんな事件があった後も…この町の人たちは、私達に温かく接してくれるの。だから私たちも…この町の人を巻き込みたくはないわ。__」

 

 

__それからして、僕たちは港市場に来ていた。

イリアスポート行きの船には、慌ただしく人の動きというのがあった。

やっぱり、アルマエルマが起こしていた嵐というのはかなりの影響力だったんだと感じる。

 

僕の耳にふと、町の人の会話が耳に入ってきてしまった。

おじさん「こないだの人魚学校爆破事件の犯人が手配されました。なにやら、イリアスクロイツのトップだそうですね。今も逃走中で、北に向かったらしいです。」

神官「ふむ…イリアスクロイツの行為は、もしかしたらイリアス様のご意思を代行しているのかもしれんな。この町のように人と人魚が共に暮らすのは、やはり神の思し召しに反しておろう。」

おじさん「そうなんですかね。」

神官「本当かどうかは分からぬが……私はそうとしか思えん。」

 

ルカ「……………」

そういった話を聞き流しながら、僕は市場に売られてる商品を流し目で見る。

魚に工芸品、焼きイソギンチャク……焼きイソギンチャク!?

マーメイド「新しい商品を売り出してみたわ!焼きイソギンチャクよ!」

ルカ「うわぁ。また変なの売ってる……」

マーメイド「でも、やっぱり売れないの……」

ルカ「……なぜ、かたくなに焼く事にこだわるんですか?」

マモル「焼けば良いってモンじゃねぇだろ。」

ルカ「いや、まず素材がおかしい……」

マーメイドの商人「いいから買ってよ……いい加減、このボロ布を着替えたいのよ……」

「焼きイソギンチャク」を買わされた!

 

アリス「お前というやつは…また余計な出費を出してるのはドアホめ。」

ルカ「うるさいなお前……」

お前の食費で無くなってるという自覚はあるのか。

ルカ「マモル。悪いんだけど食べ物だったら何でも良いから、なんか買ってきてくれないか。」

マモル「あいあいさー。」

 

アリス「むう……「ヤマタイせんべい」、深みのある食感だな……」

アリスは、買ってきたせんべいをバリバリとかじっている。

こいつ、こまめにエサをやらないと、うるさくてしょうがない。

さて、メイアという人の家を訪れるとするか__

 

 

 

 

 

カムロウ「__ここか………」

ルカ達と別れた後、俺とチリは裏路地に入って工房を探した。

古い鍛冶屋の工房……確かにそれっぽい家があった。

廃墟なのか、手入れされてないだけの家なのか、入居者がいるかどうかの判断が難しい家だった。

近寄りがたい雰囲気に、チリは躊躇していた。

チリ「…ホントに入るの?」

カムロウ「まぁ家に帰るよりは良い。」

チリ「おいっ。」

さび付いているドアノブを持ってドアを開けた。

軋む音を響かせながら入ってみると___

 

__薄暗い室内の中に、悪辣そうな恰好をしているのが何人かいた。

壁に寄りかかったり、あるいはソファに座ったりしているが……

幾つもある強面の形相が、一気に視線をこちらに向けてきたのだ!

男性「……なんだぁ、ガキ共。」

青年「……ただの迷子じゃ、なさそうだな。」

カムロウ「…………」

チリ「…………」

 

カムロウたちはとんでもなく戦慄した!!

「「(ひえええぇぇぇ~~~おっかないのが数人いるぅぅ~~~………!!!)」」

 

カムロウ「(聞いてた話と全然違うじゃん~~!一人だけだと思ってたのに~~!)」

チリ「(え、なに?もしかして関わっちゃいけないところに入っちゃった?)」

とんでもなく冷や汗がダラダラ流れ出る。いっそのこと逃げ出してしまいたいが……

もしかしたらここは……何かしらを企んでいる集団の集まりなんだろう。きっとそうだ。多分そうだ。そうじゃなきゃこんなところに工房があるのがおかしい。

俺たちは武器屋の店主に騙されたのか?

1秒も満たない時間の間で、色々なことが頭の中を通り過ぎる。

 

と、とにかく目を付けられている以上、下手な行動は、状況の悪化を招く。このまま突っ立っているのもまずい……

まず…アチャボーグという鍛冶屋がここにいるか聞いてみよう。

 

カムロウ「こ、ここに……あ、あ、…アチャボーグ…さん…は…いますか?」

俺はガタガタと震えるような声を絞り出した。

男性「……………」

すると、俺たちを睨むように見ていた強面の視線が、一気に部屋の奥に移った。

部屋の奥には、いかにも鍛冶職人のような恰好をした中年の男がいた。

椅子に座りながら、机に脚を乗っけているその人は、横目で俺たちを見ていた。

 

???「……あぁ…俺がアチャボーグだ……」

カムロウ「(良かった合ってた…!)」

ちょっと安心した。

その人は、めんどくさそうに机から脚をゆっくり下し、椅子から立ち上がった。

機嫌悪そうに、頭をガシガシと掻きながらこちらに歩み寄ってくる。

 

アチャボーグ「あ゛あ゛……まーたァ、そこらのヤツらに吹き込まれて来たやつかぁぁ………?」

カムロウ「(あ、ダメなやつだこれ!!!)」

束の間の安心だった。これ駄目だ。ハズレ引いた。

機嫌を損なわせたということがなにかまずい気がしている!

名前を呼んで聞いた以上、「すみません間違えました。」なんていう逃れ方もできない!

 

そしてアチャボーグは、俺たちの前まで近寄った。明らかに不機嫌そうな顔を覗かせる。

俺たちはただ立ったまま、汗を滝のように流してガクブルと震えることしかできなかった。

アチャボーグ「ん………」

大人と子供の身長差。アチャボーグを僕達を見下ろす。

アチャボーグ「……その剣、壊れてんのか?」

カムロウ「え、は…はい………」

腰に差してある剣の事を言われた。刀身が壊れて無いので、鞘から落ちないように縄でぐるぐる巻きにしている。

アチャボーグ「……………」

 

 

 

アチャボーグ「__オイ、客人だ。出迎えろ。」

その一声で、重々しい空気感が一瞬にして切り替わった。

室内にいた数人の男たちは、跳ねるように動き出した。

物が散乱した机の上は片付けられ、窓のカーテンが開かれ室内が明るくなった。

男性「いらっしゃいませ……」

青年「どうぞこちらに……」

強面の人達の印象も変わった。さっきまで近寄りがたい雰囲気だったのだが、今では物腰柔らかな店員のようだ。

カムロウ「…………」

チリ「…………」

「「(えぇぇぇぇ~?待遇が変わったぁ~~??)」」

カムロウ達はひどく困惑した!!!

 

 

 

__古い工房の室内。

カムロウとチリは、誘われるがままにソファに座った。

アチャボーグ「失敬。無作法な態度してすまなかったな……」

対面に座っているのは、この工房の主。アチャボーグだ。

アチャボーグ「俺は……【アマラプルクル・アチャボーグ】だ。改めてよろしく。」

カムロウ「あ、は…はい……」

チリ「よ……ヨロシクオネガイシマス………」

さっきまでの事が衝撃的で、気の抜けた返事をしてしまった……

アチャボーグ「いや、本当に悪かった。また見栄張ってる馬鹿が来たと思ってよ。どれくらいぼったくろうか考えてたんだ……」

チリ「(ぼったくりの話は本当だったんだ……)」

 

アチャボーグ「そんで早速だが…その剣を見せてくれないか。」

俺は、俺が壊した【鋼鉄の剣】を机の上に置く。

その剣の縄と解き、アチャボーグは壊れた【鋼鉄の剣】の刀身をじっくり眺める。

アチャボーグ「こりゃあ…おまえさんからしてみれば、柔い木の枝同然だな。このまま別の使っても、振るだけで壊れるな。」

 

アチャボーグ「それで俺を訪ねたのか。」

カムロウ「はい……」

 

壊れた【鋼鉄の剣】を机に置くと、アチャボーグは本題を切り出した。

アチャボーグ「んで…どうする?ウチは作り置きってのをしてねぇんだ。新規に作るから、かなり値ェ張るぞ。」

カムロウ「どのくらいするんですか?」

アチャボーグ「安くて10000ゴールド。」

カムロウ「えっ。」

アチャボーグ「ウチは卸売りじゃねぇし…受注生産だし…」

カムロウ「あっ。そうですよね…すみません……」

 

アチャボーグ「これでも、昔は表で経営してたよ。今は雲隠れみたいなモンだよ。」

チリ「なんで雲隠れしてるんですか?」

すると、アチャボーグが突然怒り出した!!

アチャボーグ「その辺の口だけの勇者や冒険者に、強い剣を売ったところで割に合わねぇんだよ!アイツら魔物相手に大抵尻尾撒いて逃げるくせに!外見ばっか気にしやがんだよォ……対して使いこなせねぇくせによォ!!」

チリ「ヒイィッッッ!!!」

 

アチャボーグ「…………」

チリ「…………」

 

アチャボーグ「失礼、客人相手に愚痴っちまった。」

チリ「(感情の寒暖差が砂漠のよう………)」

 

アチャボーグ「そんなに金ないか?」

カムロウ「はい………」

アチャボーグ「なら、試作品の剣だったらタダでやってもいいぞ。」

カムロウ「良いんですか!?」

アチャボーグ「だが品質は悪いぞ。作るときに失敗してな……」

カムロウ「それでも良いです!使えるなら!」

アチャボーグ「ちょっと待ってな……__」

 

__しばらくして、アチャボーグが一本の剣を持って戻ってきた。

アチャボーグ「コレがそうだ。」

その剣は銀色に輝いていた。

アチャボーグ「素材はミスリル合金。ロングソードタイプ。踏み込みによる斬撃を強くするために、グリップはあえて両手で持つツーハンドソードを採用してある。」

 

アチャボーグ「試作品の中でも出来の良いほうの…マシな失敗作だけどな。けど今のお前さんなら、しばらくはその剣で十分だろ。」

失敗作と聞いて、俺は耳を疑った。

カムロウ「これで失敗作なんですか?」

アチャボーグ「あぁー…あるモン作ろうとして失敗したやつさ。」

失敗作とはいえ、素人の目には立派な剣にしか見えない。

プロフェッショナルならではの些細なミスによるモノなのだろうか。

カムロウ「…コレ、本当に貰っても良いんですか?お金なら払える分、払えますよ。」

アチャボーグ「良いんだよ。剣は使われてナンボ。」

カムロウ「じゃあ…貰いますね。コレ。」

アチャボーグ「おう。」

 

カムロウは、【ミスリルソード】を手に入れた!

 

カムロウ「…最後に一つ……聞いてもいいですか?」

アチャボーグ「ん?なんだ。」

 

カムロウ「貴方は…気難しい人だとお聞きしています。なのに、なぜこのような待遇を?」

アチャボーグ「……ま、同業者のよしみってとこかな。__」

 

 

カムロウ「__……同業者………?」

アチャボーグと別れ、通りに出た俺は……

その同業者という言葉がどうしても引っかかっていた。

チリ「昔、剣士だったから同じ悩みがあったからわかるとか?」

カムロウ「う~ん…そういう意味なんかなぁ。__」

 

 

アチャボーグ「__いいか?おまえさん。」

 

アチャボーグ「剣が壊れても、武器を無くしても、へこたれんなよ。」

 

アチャボーグ「本当の武器ってのは【心】なんだからよ。__」

 

 

カムロウ「__……………」

なぜか別れ際に言われた、あの言葉が忘れられない……

 

 

 

 

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