もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第3話 潰えた希望、勇気の一歩、パーティ結成

ルカ「…ぁぁ…ぉ…ぅぅ…」

カムロウ「わあ…あああ…」

時刻は正午過ぎ、ルカは呻きながらラクトに肩を貸してもらながらふらふらと、カムロウは泣きじゃくりパヲラに抱きかかえられながらイリアス神殿を出る。

ルカの顔面は蒼白で、ゾンビ状態と疑われる程だろう。今日は一生に一度、洗礼を受けられる日。それなのに、結局僕は洗礼を受けられなかったのだ。

決して遅刻したわけではない。

ちゃんと正午前には、神殿へと出向いたのだ。

にも関わらず__なぜか分からないが、イリアス様は降臨されなかったのだ。

神官様が言うには、イリアス様が洗礼を与えて下さるようになって以来の大珍事らしい。

イリアス様に会えなかったカムロウは母を助けるのは無理だと言いながら泣いていた。

パヲラ「どうしてイリアス様は現れなかったのかしら…」

神官「お主は、イリアス様に見放されたのではないか。イリアス様は、旅立ちを祝って下さるつもりはないのだろう…。」

ルカ「…ぁぅ…ぅ…ぁぁ…」

ラクト「おいおい神官様…少しは言葉を選べよ。こいつはもう重症だぜ?」

神官様の言葉が、ルカの胸にザクザクと突き刺さる。

こうして、僕は洗礼を受けることができなかった。

一生に一度のチャンスを逃したので、今後もう二度と洗礼を受けられない。もはや僕は、勇者にはなれないのだ__

ルカ「…ぁぅぅ…ぉぁ…ぅ…」

冒険者「た、大変だ!毒に冒されているのですか…!?この毒消し草をお使い下さい…!」

ラクト「いや大丈夫だぜ…別の毒に冒されてんだ。そっとしといてくれ…」

見知らぬ冒険家にまで、心配されてしまう僕。ふらつく体を支えてもらいながら、何とか家に帰った。

 

家に着き、ラクトにドアを開けてもらう。

ラクト「なんか水とか飲むか?」

パヲラ「カムロウちゃんも飲む?」

ルカ「うん…頼むよ…」

カムロウ「ぼくも…」

ルカはなんとか喋れるほど回復した。カムロウはしゃくりあげながら答えた。

妖魔「ふむ、遅かったな。」

ラクト「そりゃそうさ。なんてったって大事件が起きちまったんだからよ。」

パヲラ「全くよね…待たせちゃってごめんなさいね…」

そう会話したあと、しばらく沈黙が続いた。

 

ラクト「…ん?」

パヲラ「…あら?」

カムロウ「あれ?」

ルカ「うん?」

4人が視線を向けた先には…

ルカ「な、なんなんだー!」

カムロウ「えっ!?なんでここに!?」

ラクト「ルカがバーカとか言うからだろおおおお!」

絶望する僕たちを迎えたのは、なんとあの妖魔だった。いつの間にか、何食わぬ顔で家へと入り込んでいたのだ。

いったい、何から突っ込むべきだろうか。

ルカ「…僕は何者だ?」

妖魔「知るか。…壊れているのか貴様?」

カムロウ「ル…ルカ!?」

ラクト「お前まさか…さっきのショックで記憶が!?ぶん殴ろうか?」

パヲラ「ダメでしょ!」

ルカはパヲラのツッコミで正気に戻った。

 

ラクト「大体、なんでルカの家がわかったんだ?」

妖魔「匂いだ。貴様の初々しい匂いを辿れば、すぐに分かることだ。」

ラクト「犬かお前は。」

ルカ「だいたい、どうやってお前みたいなモンスターが村に入り込んだんだ…?」

スライム娘のような雑魚一体でも、あれだけの騒ぎになったのだ。

こんな強そうな妖魔が現れたら、大騒ぎでは済みそうもない。

妖魔「人目を盗むことなど容易。余を誰だと思っている…?」

ルカ「いや、知らないよ…」

とりあえず、この妖魔は鼻が利くらしい。

 

カムロウ「あの…あなたは…?」

妖魔「まぁ、旅のグルメといったところか…」

パヲラ「あら、旅の美食家だったの。」

カムロウ「良かった…悪い人じゃないみたいだね。」

ラクト「魔物だろ!どう見ても!」

見たところ、敵意のようなものは感じられない。ただ、まるで自分の家であるかのように偉そうなだけだ。

 

ルカ「何をしに、ここへ来たんだ…?」

妖魔「まぁ…興味といったところか。それに、少し確かめておきたいこともあってな。」

パヲラ「なにかしら?確かめたいことって…」

なんだか、さっぱり分からない答えだ。結局、何一つ分からない。

なんだかガッカリうんざりしすぎて、逆に元気になってきた。

ラクト「まずこの状況やばくねぇか?魔物を家に上げたのがバレたら…」

イリアス神殿が鎮座するだけあり、このイリアスヴィルは魔物排斥の思想が非常に強い村である。魔物がいるのがバレたら、かなり厄介な事になるのだろう。

ルカ「…っていうか、いったい何をしに来たんだ?今の僕、洗礼を受けられなくて傷心なんだ。からかうなら、また今度に__」

妖魔「ふむ…それを聞くのも、余がここに来た理由の一つなのだ。そうか…イリアスは、現れなかったか…くくっ。」

なぜか、妖魔は満足げな笑みを浮かべた。

妖魔「余がこれだけの手傷を負わされたのだ、相応のお返しだ。「創世の女神」たる面目も丸潰れだろう…くくく。」

カムロウ「?」

ルカ「え…?どういうことなんだ?」

イリアス様が降臨されなかったのは、こいつと何か関連があるのか?

パヲラはそれを聞いて考え込んだ。

パヲラ「(どういうことかしら…?もしかしたら…だけど、まだ推測の域を超えないわね…)」

 

不意に妖魔が喋り始めた。

妖魔「食事だ。」

ルカ「はぁ?」

妖魔「食事を出せ、と言っている。気が利かん奴だな。」

ラクト「気が利いてないのはどっちだ。」

本当になんなんだ、いったい。なんで今日は、こんな理不尽な目に遭うんだ。

ルカ「仕方ないなぁ…」

なんだかんだ言いつつ、逆らうのが怖くないかと問われれば…

妖魔「今、余に対してなんと言った?」

ラクト「なにもいっでまぜん…」

ラクトは妖魔に首を絞められていた。

カムロウ「も、もうそこまでにしたほうがいいと思うよ…」

…否と答えることに若干の躊躇が必要と言えないこともない。要は逆らって、暴れられたりしたら怖い。

ルカ「でも、洗礼を終えたらすぐに旅立つ予定だったからなぁ…食材も調理用具も、全部片付けちゃって…」

台所に立ったはいいが、まるですっからかん。この家には、魔王を倒すまで帰ってくる気はなかったのだ。

持っているとすれば非常食として持参するつもりだった。

ルカ「ほしにく…」

カムロウ「ほしにく…」

ラクト「ほしにく…」

パヲラ「ほしにく…」

妖魔「ほしにく…」

妖魔は、露骨な溜め息を吐く。

妖魔「貴様には、うんざりさせられる…」

ラクト「ひでぇ暴言だ…」

妖魔「まあいい、余も疲れている…まずは前菜だ。」

妖魔は僕の手から干し肉をひったくると、不満そうな顔で噛み始めた。

妖魔「ん…美味いではないか。絶妙なスパイスの味付けが、肉の香ばしさを引き立てている。」

ラクト「ちゃんと評価してる…」

ルカ「そうだろう?未来の勇者として、料理の腕も磨いてきたんだから。旅に出る以上、野営もしなければいけないからね。…結局、勇者にはなれなかったけど。」

そう言って、がっくりと肩を落とす僕。剣の修行も料理の修行も、全部ムダだったってことか…?

妖魔「ふむ、まあいい。この干し肉は前菜のつもりだったが、これで満足だ。喜べ、メインディッシュは必要ない。」

ルカ「え…?メインディッシュって…?」

干し肉の他には、食べ物なんてないはずだ。どこにも、メインディッシュにするものなんて__

妖魔「………」

まじまじと僕を見る妖魔、その視線に、思わず総毛立ってしまう。

ラクト「…ハッ!」

ラクト「おおおおおおおいおいルカ、こいつ俺たちを食うつもりだったぞ…!」

ああ、メインディッシュってそういうことか。干し肉の次は、生肉のつもりだったんだな。あらためて、身を震わせてしまう僕とラクトだった。

ルカ「それで…結局のところ、何が目的なんだ?勇者になれなかった僕を、からかいに来たのか?」

妖魔「ふ…先程は、少しばかり言い過ぎたと思ってな。未熟がゆえの幼稚な使命感、それは未熟ゆえに仕方がない。だからこそ見識を広めるのは重要なのだ。世界というものを旅し、様々なものを見、己の幼稚さを恥じる……それで良いのだ。」

ルカ「………」

妖魔「…なんだ、慰めてやっているのに、その辛気くさい顔は。」

ルカ「え…?慰めてたの…!?」

ラクト「は!?慰めてたのか今!?」

カムロウ「えっと…どういうこと?」

パヲラ「ルカちゃんの目的は、世界中を旅して正しいかどうか判断しろって言ってるのよ。」

カムロウ「そう言ってたんだ…。」

 

妖魔「それで、貴様はこれよりどうする?まさか、旅立ちを諦めたとは言うまいな?」

ルカ「予定通り、魔王退治の旅に出るよ。勇者じゃなくたって、旅はできるからね。」

魔王を倒すのは、何も勇者のみではない。ただの旅人にだって可能なのだ。と、いうことにしておこう。そうでないと、今の僕には悲しすぎる。

妖魔「くくく…それでいい。実は余は、少しばかり貴様に興味が湧いたのだ。」

ルカ「興味…?僕に…?」

妖魔「その通り。貴様は興味深い。人と魔物の共存などという世迷い事を、胸を張って口にするのだからな。」

ルカ「世迷い事なんかじゃない。僕は、そういう日が来るのを信じているよ。必ず、そういう世の中にしてみせる!」

妖魔「くくく…いつまでそんな世迷い事が言っていられるか、さぞかし見物だな。貴様の旅について生き、化けの皮が剥がれる瞬間を見てやろう。」

ルカ「え…?僕の旅に…?」

なんとこの妖魔は、僕の旅に同行するのだという。いったい、どういうつもりなんだ…?

妖魔「余は、この世界を見て回るつもりでいたのだ。どうせなら、貴様と世界の両方を見ようと思ってな…理に適っているだろう?」

ラクト「…いや、食うつもりだろ。絶対。」

ルカ「…勝手にしてくれよ。どうせ、僕が嫌がったって無駄なんだろ?」

妖魔「ああ、無駄だな。余を追い払うことの出来る実力などないだろう?」

ルカ「…」

悲しいが、その通りだ。それにほんの少しだけ、同行者がいることに安堵したのも事実。正直なところ、一人旅は心細かったのだ。

ルカ「じゃあ、好きなだけ付きまとうがいいさ。僕の信念が本物だって、証明してやるからさ。えっと、名前は?」

妖魔「アリスフィーズ・フェイタルベルン。特別に、「アリス」と呼ぶことを許そう。」

ルカ「アリス…?似合わないなぁ……」

ラクト「うーん…同じく…」

パヲラ「そうかしら?可愛らしい名前じゃない。」

カムロウ「ぼくもそう思うよ!」

アリスなんて呼び方は可愛すぎて全くイメージに合わないではないか。もっとおどろおどろしい呼び名が…

アリス「絞め殺されたいのか、貴様?」

ルカ「ひっ…!すみません…!」

ラクト「あれはいてぇぞ…あばら折れるぜ…」

しゅるしゅるととぐろを巻くしっぽを見て、僕は素直に謝るのだった。

何だか、よく分からないことになってしまったが、それでも、陰鬱な気分は消え失せたのも事実である。

 

アリス「貴様らはどうするのだ?」

アリスはカムロウ、パヲラ、ラクトの三人に質問した。

ラクト「結局…神様に会えなかったわけだしな…どうするんだぜ?」

パヲラ「打つ手なし…ね、セントラ大陸に戻ろうかしら…」

ラクト「おい待て…どうやって戻るつもりだ?」

パヲラ「また同じ方法で…」

ラクト「できるかぁ!あんな狂人じみたことをまた俺にしろって言うのかてめぇ!?最悪だぜ…前から思ってたんだけどよ…お前とはそりが合わねぇんだよ!悪いなカムロウ、俺は下りるぜ。」

ラクトはそういうとドアに向かって歩き始めた。

カムロウ「えっ?ラクト?」

ラクト「俺様はこれから一人で放浪することにするぜ!短い間だったが、楽しかったぜお前との旅は…」

 

パヲラ「逃げるのね。」

壁に寄りかかり、腕組みをしていたパヲラがそう言った。

その言葉を聞いて、ラクトがピタッと止まった。

ラクト「…あ?」

パヲラ「逃げるのねって言ったのよ。あなたそうやって、自分にとって不都合なことになると逃げだしてきたんじゃないかしら?今までそうだったじゃない。戦いの時も逃げて、あたしたちを助けようともしなかった!」

ラクト「なんだとてめぇ…!」

ラクトがパヲラの胸倉をつかむ。それに動じず、パヲラは淡々と話を続ける。

ラクト「俺の気も知らねぇでべらべら喋りやがって…!」

それを聞いてパヲラも堪忍袋の緒が切れ、声を荒げる。

パヲラ「それはお前にも言えることだ!カムロウは自分の母親を助けようと必死なんだぞ!彼の気も知らないで、何が「楽しかった」だ!頼る人もいない彼の気持ちを考えたことがあるのか!?」

パヲラはラクトの胸倉をつかみ返した。

パヲラ「漢なら…自分にしか出来ないことを力のある限りやり遂げろよ!お前にその気力はないのか!?誰かを助けようともしたことがないのか!?臆病者め!」

カムロウ「…!」

ラクト「ふざけやがって…!」

まさに今、本気の殴り合いが始まろうとしたその時だった。

 

アリス「そこまでだ!」

アリスの目が光り、二人の動きが止まった。

パヲラ「…!?」

ラクト「あぁ…!?」

二人は動こうとしたようだが、全く動かなかった。

ルカ「…いまだカムロウ!二人を引き離すんだ!」

カムロウ「う…うん…!」

ルカはラクトを、カムロウはパヲラを取っ組み合いの姿勢から引き離した。

アリス「事情は知らんが、お互い熱くなりすぎではないか?」

少し間が空き、二人は口を開いた。

ラクト「…確かにそうだな……」

パヲラ「そうねい…熱くなりすぎたわ…」

どうやらお互い反省したようだ。ルカは自分の家で喧嘩が起きて、近所が心配するほどの大事にならなくてよかったと思った。

 

カムロウ「…あの……」

そんな中、カムロウが口を開いた。

カムロウ「わがままだけど…ぼく…ルカの旅についていこうと思うんだ。」

ルカ「えっ!?」

アリス以外が、その発言に驚いた。

パヲラ「でもカムロウちゃん、薬はどうするの…?」

カムロウ「いいんだ。でも、諦めたわけじゃないんだ。」

ラクト「どういうこった…?」

カムロウ「ルカの旅に付いて行きながら探すんだ。ルカは世界中を旅するんでしょ?」

ルカ「まぁ、そうだけど…」

カムロウ「だから、その途中で薬があるかもしれないし…お母さんならその手助けをしろって言うかもしれないし…」

カムロウはうつむきなからこう言った。

カムロウ「それに、「自分にしか出来ないこと」って考えたら、一緒に付いて行って役に立つことしかないと思ったんだ。だから…付いて行ってもいい?」

それを聞いてパヲラは涙ぐんでいた。

パヲラ「あたしも行くわルカちゃん…。カムロウちゃんの覚悟、しかと感じたわ!」

パヲラはラクトのほうを見た。

パヲラ「あんたはどうするの?」

ラクトは腕を組みながら答えた。

ラクト「…もう少しだけ付いて行ってやるよ…おめぇに臆病者って言われたのが腹立つしな。」

カムロウ「えへへ…ラクト、一緒にいてくれるんだね。」

ラクト「なんだよこのこの!」

ラクトはカムロウのほっぺをぐにぐにと撫でまわした。

 

ルカ「ってことは、この場にいる全員。僕の旅に付いて行くってことでいいかな?」

カムロウ「うん!よろしくね!」

ラクト「俺様のこと、ちゃんと忘れるなよ?」

アリス「ふん…騒がしくなったな…」

パヲラ「いいじゃない。楽しそうでしょ?」

ここに人間4人と1体の魔物の、魔王退治のパーティが結成された。

ルカ「じゃあ、そろそろ行くか…」

旅の準備はすでに終わっている。イリアス神殿から帰ってきて、その足で旅に出るつもりだったのだ。結局、洗礼は受けられなかったが、それでも、旅に出ないという選択肢はない。僕にあるのは、魔王を倒すか、途中で朽ち果てるかのどちらか。それ以外に道などないのだ。

ルカ「アリスは、裏口から出てくれないか?他の村人に姿を見られると、色々と面倒だからね。村を出たところで合流しよう。」

アリス「分かった、余も無駄な騒ぎは好まん。村の外で待っているぞ。」

ラクト「俺もそうしようかな。」

カムロウ「ぼくも先に外で待ってるよ!」

パヲラ「ルカちゃんはゆっくり、村の人たちに挨拶してからでもいいからねん!いつまでも待ってるから!」

そう言い残し、お騒がせ妖魔と3人は裏口から出て行った。

ルカ「さて…」

いよいよ、旅立ちの時だ。今は亡き母さんと過ごしたこの家にも、しばらくは帰ることができない。

ルカ「行ってくるよ、母さん!」

亡き母にそう語りかけ、僕は住み慣れた家を後にする。

こうして僕は、冒険の一歩を踏み出したのだった__

 

ルカ「……でもその前に、村の人達に挨拶してからにするか。」

 

最初に立ち寄ったのは、武器屋。

僕の持っている剣は、この武器屋の主人であるスミスさんが作ってくれたカスタム品。

小柄な僕でも扱いやすいように作られている。

スミス「おお、ルカ!いよいよ旅立ちだな!

ルカ「は、はい……この剣、ありがとうございます。スミスさんが作ってくれた剣、大切にしますね。」

スミス「大切になんて、しなくていいよ。旅を続けていると、もっといい武器がいくらでも手に入るだろう。」

スミス「どんどん強い武器に乗り換えていかないと、魔王退治なんて夢のまた夢だ。変な義理で、弱い武器にこだわり続けるなんてのは良くないぞ。」

ルカ「は、はい……でも、大切に使わせてもらいますね。」

スミス「ああ、行ってこい!でも、絶対に無茶はするなよ。」

ルカ「はい、行ってきます!」

 

次に立ち寄ったのは道具屋。

剣を振り回して修行をしていると、当然ながらケガは絶えないものだ。

三日に一回は、この店で薬草を買った気がする。

ロニー「ルカ君じゃないか、わざわざ挨拶に来てくれたのか。私がこの村に来てそう長くはないが、君はお得意さんだったね。」

ルカ「はい、よく怪我しましたから……」

ロニー「……君が村に帰ってくる頃には、この店はないかもね。最近、どうも売り上げがはかばかしくないし……」

ルカ「最近は、イリアス神殿に巡礼者が来ませんよね。以前はあんなにいっぱい旅人が訪れたのに……」

ロニー「信仰が薄まってるのか、他に理由があるのか……まあ、君に愚痴っても仕方がないね。」

ロニー「ともかく、頑張ってくれ!私も応援させてもらうよ!」

ルカ「はい、頑張ってきます!」

 

最後に立ち寄ったのは、ベティおばさんの家だった。

ベティおばさん「ルカ…あんた、洗礼をうけられなかったって聞いたよ。それ、本当なのかい?

ルカ「ああ、うん……なんでか知らないけど……」

ベティおばさん「それでも、あんたは旅に出るのかい?やめときなよ、イリアス様の洗礼がなきゃ危ないよ……」

ルカ「おばさん……そう言って、僕が聞くと思うかい?」

ベティおばさん「……聞かないねぇ、あんたは。」

ベティおばさん「絶対に、無理はしちゃダメだよ。いつでもこの村に帰ってきていいんだからね。」

ルカ「うん、ありがとう。じゃあ、行ってくるよ!絶対に、魔王を退治して戻ってくるから!」

 

ベティおばさん「イリアス様、どうかあの子にご加護を……」

 

 

こうして、村の人達に挨拶は済ませた。あとは旅立つだけだ!

ルカ「よし……行くぞ!」

僕は、いよいよ旅立ちの一歩を踏み出したのだった。

次にこの村に戻ってくるのは、魔王を退治した後だ__

 

 

 

 

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