もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち 作:J・チェプナクル
__カムロウはドラゴンに変身__したが……
その姿は周知の姿とは異なっていた……!!!
しなやかさを感じさせる流線的な、細身の身体と表現するのが正しいだろう。
尻尾はまるで鞭のようにさらに長く、背中に翼は生えておらず前腕と一体化していた。
カムロウ「(ん?)」
何か違和感。そう感じたカムロウは、自身の身体をまじまじと見つめたが……
カムロウ「(うえぇぇ!?なに!?何この身体!?)」
口を開けて驚くような仕草をする。明らかに第三者から見ても驚いているようだ。
ルカ「え!?なんだあの姿!?」
チリ「なにあれ!?」
ラクト「いつもの姿じゃねぇぞ!?」
クラーケン娘「ドラゴン……!?…いや…これはワイバーン…!?何故、ワイバーンがここに現れるのですか…!?」
一同、驚愕。しかしそんなことをしている場合ではない。
クラーケン娘「良く分かりませんが…私の敵であるということに変わりありません!排除対象として打ち倒します!」
カムロウ「(なんの!受けてたとうじゃないか!!)」
カムロウは噛みつきにいった!
クラーケン娘「その程度!」
ひらりと避けられた!!!
カムロウ「(あっ避けられた。)」
身体に鉾が突き刺された!!!
カムロウ「(腹痛い!!!)」
クラーケン娘「予測しやすい動きでしたね。」
クラーケンは触手で乱撃を放ってきた!
カムロウ「(あばばばばばば!!!)」
カムロウは、自身の身体に伝わる痛みを認識した!
おかしい。
いつものドラゴンの身体は、丈夫な鱗と筋肉でがっしりしていた。
こんな鉾でも傷つくはずじゃあ……
いくら強い触手の攻撃でも耐えれるはずじゃあ……
パヲラ「カムロウちゃん!その身体じゃあ、今までの戦い方だと合わないわ!」
カムロウ「!?」
パヲラ「その身体は【受け】より【避け】が上手だと思う!動きながら長所を見つけて活かすのよ!!」
カムロウ「(【避ける】戦い方…!?)」
そうか!ちょっと動いてみて分かった!
言われてみればこの身体。いつものドラゴンの身体よりも軽い!
ならば、最大限に活かすまで!
クラーケン娘「はああッ!!!」
クラーケン娘は鉾を突き刺してきた!
カムロウ「(その程度!)」
カムロウは身を翻して避けた!
クラーケン娘「なっ…!?」
そしてそのまま、懐に接近する!
飛び掛かるのはやめた。
クラーケン娘のあの触手は今の身体であっても容易に締め付け、捕らえられそうだから。
だから、尻尾でぶっ叩く!
カムロウは身体を捻り、長い尻尾を振り回して薙ぎ払った!
強靭な尻尾が、クラーケン娘の胴体に命中した!
クラーケン娘「…ッ!!!」
間合いだ!早く動けるのなら、間合いがコツだ!
受け止めるんじゃなくて、早く動いて、避けて反撃する!
それがこの身体の戦い方だ!
クラーケン娘「触手乱舞!!!」
クラーケン娘は動かせる触手を総動員して、猛烈な連撃を放ってきた!
カムロウは翼の前腕を動かして一気に飛び退いた!
さらにそこから、水流の動きを上手くつかみ、高速で飛ぶように、優雅に泳ぐ!
パヲラ「そうか!あの身体なら容易に海流を受け流せる!」
ラクト「すげぇ!まるで飛んでいるみてぇだ!」
クラーケン娘「なんと優雅に…しかし!」
クラーケン娘「ここは地上ではなく、海底!空ではありません!地の利ではこちらが有利なのをお忘れなく!!」
クラーケン娘「
クラーケン娘が、大きな水の波動を放つ!
カムロウ「(この前腕…まるで刃物みたいだ。)」
この細身のドラゴンの姿。
翼と一体化してある前腕、人間でいう小指あたりから肘にかけて、弧を描くよう刃のようなモノが付いている。
おそらく爪が変化したモノだろう。
ならば!
カムロウはブレードクローを放った!
水の波動を真っ二つに切り裂いた!!
クラーケン娘「ええい……これならどうでしょう!?」
クラーケン娘は飛び上がって、カムロウの身体に絡みついた!!!
そこからは、巨大なクラーケンとドラゴンのインファイトが始まった。
クラーケンの触手がドラゴンの身体に絡み、締め付ける。
ドラゴンはクラーケンの身体に噛みつき、爪で引っ掻く。
カムロウ「(いだだだだだだだ!!!)」
クラーケン娘「どうです!避けれないでしょう?いくら速い動きをしても、これほど密着されればどうすることもできないはず!」
ルカ「カムロウが苦戦してるぞ!?ドラゴンになったのに……」
パヲラ「速さを活かした攻撃なら威力は上がるでしょうけど……あの姿は特徴からするにスピードに特化している!その分、パワーも体重も落ちてる!!!」
ラクト「援護射撃したいところなんだが……ああもわちゃわちゃしてると狙えねぇ…!」
カムロウ「(こ…こうなったら!)」
ドラゴンの口から、淡い光が漏れだした!!!
カムロウは
しかしクラーケン娘は体勢を変えて避けた!!!
接触したモノ全てを破壊する光線は、石柱や壁を崩壊させる…!
カムロウ「(避けられた…!)」
クラーケン娘「どうやらインファイトは、私の方が得意のようですね。__」
ルカ「__僕たちがいることも忘れるなよ!!!」
そこにルカが飛び入りをし、クラーケン娘に斬りかかった!!
クラーケン娘「小癪な…!
クラーケン娘はドラゴンを投げ飛ばすと、大きな水の波動で吹き飛ばした!
ルカは吹き飛ばされたドラゴンに巻き込まれ、壁に衝突する!
ルカ「カムロウ、大丈夫か?」
土煙を翼で吹き飛ばし立ち上がるカムロウ。
どうやらまだ大丈夫そうだ。
ルカ「そうだ…騎馬戦だ!!僕を背中に乗せてくれ!あいつの攻撃は僕が受ける!!」
カムロウは頷いた。
それを見たルカは、カムロウの背中に飛び移る。
ルカ「一度やってみたかったんだ…!ドラゴンに乗って戦うの!」
カムロウ「(やってみたかっただけか~い!)」
クラーケン娘「人間がワイバーンを従えているとは……やはり、あなたはここで排除するまで!!!」
クラーケン娘「はあっ!」
ルカ「せいっ!」
僕を乗せたドラゴンとクラーケン娘は、互いに何度も衝突し合った。
突き刺してくる鉾を剣で弾く。斬りかかってくる剣を鉾で防ぐ。
一進一退の攻防が続いた!!
クラーケン娘「中々…勝負が決まりませんね……!」
クラーケン娘「この深淵穿つ槍で、跡形もなく吹き飛ばすまで!!!」
水の波動が、クラーケン娘の手に集まり始めた__
ルカ「__今だ!!!」
ドラゴンは飛び上がって急接近した!
僕とカムロウは、これを待っていたんだ!
あの技は発動するのに時間がかかる!その間が攻撃できる瞬間なんだ!
そして今!一気に押す!
クラーケン娘「!?」
クラーケン娘は触手を前に出して防御の姿勢をした!
ルカ「意地でも放つ気か!」
それでも迷うことなく、加速して接近する!
カムロウ「(この勢いなら!切れる!!!)」
カムロウはブレードクローを連続で放った!!!
クラーケン娘が防御のために出した触手を数本、ぶつ切りにした!!!
クラーケン娘「ーーッ!!!」
ジョージ「あの触手をぶつ切りにしてしまうとは…!」
マモル「やるねぇ~!」
クラーケン娘「し…しかし!もう【完成】しました…!」
その手には、波動の槍が握られていた!
クラーケン娘「くらいなさ___」
その時、ドラゴンがクラーケン娘の腕に噛みついて、攻撃を阻止したのだ!!!
クラーケン娘の手から離れた波動の槍は、形を崩して消えていく……
クラーケン娘「くっ……離れなさい…!!!」
クラーケン娘の触手がドラゴンの顔に絡みついて、腕から引き剥がそうとする。
カムロウ「(た…ただで離すと思うなよ……!)」
カムロウは大口を開けて、
顔に絡みついていた触手が真っ黒に焼き焦げる!!!
クラーケン娘「わ…私の触手が…!焼け焦げて……!」
ルカ「そこだッ!」
ルカはカムロウの背中から飛び出し、攻撃をした!
ルカ「雷鳴突きッ!!!」
鋭い突きを、クラーケン娘に放つ!!!
クラーケン娘「うぅッ……!」
クラーケン娘は、床に膝をつけた!
クラーケン娘「はぁッ…!はぁッ…!」
息切れもしている。
かなりダメージを与えたようだ。
ルカ「どうだ!もう戦うのはやめてくれ!僕は争いに来たんじゃないんだ!」
しかし、クラーケン娘はなんとか立ち上がってくる……
ルカ「まだ戦う気か!?」
クラーケン娘「私に、この術まで使わせるとは……!!!」
クラーケン娘は魔力を高め、水の波動を身に纏うと……
水の波動が魔法陣を描いた!
【アクアペンタゴン】が発動した!!!
ルカ「こ、これは!?」
チリ「魔法陣…!?一体何の……」
クラーケン娘の周りを漂うに、水の波動がバリアを形成している。
クラーケン娘「【アクアペンタゴン】は、水の絶対防御。これで、私に指一本触れることはできません。」
ルカ「くっ、こんな壁なんて!」
ラクト「全くだぜ!言ってくれるな!」
ルカたちの攻撃!
ルカ「はあっ!」
ラクト「
しかし、水の魔法陣が攻撃を阻む!
ルカ「なんだこれ……!?」
ラクト「なんか妙だな…?弾かれてる感じはしねぇな……」
攻撃が当たる瞬間に、水の波動が現れて邪魔をするのだ。
これは一体……
カムロウ「(これならどうだーッ!?)」
カムロウは
しかし、水のバリアは壊れる様子がない!
ルカ「カムロウの
マモル「そうか、ありゃあただの防壁じゃねぇな。」
マモル「どういうわけか、威力が消散されてんだな。途中で分散されてっから、届く前に威力が消えちまってんだ。」
ルカ「そんな……!攻撃が届かないなんて……!」
クラーケン娘「そう。これはただの防壁ではありません。使用できる者は世界で5人いないと言われる、究極の防御魔術。」
クラーケン娘「時空自体を歪め、物理的破壊力を消散させているのです。どんな怪力であろうとも、この法陣を壊す事は出来ませんよ。」
チリ「マモルさん!結界に詳しいのならどうにかして解除を……」
ルカ「ああ、どうにかできないのか!?」
マモル「いやいや…究極の防御魔術なんでしょ。アッシがそんなん出来ると思います?」
マモル「ただの魔法陣とか結界だったら時間はかかりますけど出来ますよ。けどアレ…時空を歪めるって言ってたでしょ。ムリですよ。その発想がまず初耳なんですから。」
ルカ「そ、そんな……」
チリ「そ、そんな……」
マモル「二人して同じ反応せんでも……」
ジョージ「
ラクト「
パヲラ「だだだだだだだだ!!!」
強力な一撃も、連続攻撃も、複数による一斉攻撃も全て効かない!
水の魔法陣に阻まれ、攻撃がクラーケン娘にまで届かない!
カムロウ「も…もう限界………」
カムロウの龍変身が、活動限界を迎えた!
身体が小さくなっていき…元の人の姿になって力なく倒れた!
ジョージ「なんと無力なことか…!力しか能のない私が、力でどうすることもできないとは…!!」
ラクト「ダメだ…!勝てっこねぇよ……!時空をねじ曲げる防御魔術なら、力技でどうにかなるはずがねぇんだ!!!」
クラーケン娘「ふふっ、勝ち目がないことを理解しましたか?それでは、とどめを__」
クラーケン娘「__おや?あれは……?」
柱の裏に不審な人影が見える……
アリス「おいドアホ。」
ルカ「え…?」
アリスは魔力を込めた瞳でルカを睨んだ!
ルカ「アリス、何を__」
ルカは眠ってしまった!
ルカ「ぐぅ……」
「「「「「あっ。」」」」」
クラーケン娘「今の人影は、いったい…?」
ラクト「なぁ。俺はこの状況にデジャブって奴を感じるんだ。」
チリ「私もよ。」
クラーケン娘「ともかく、とどめを刺してあげましょう!!」
クラーケン娘の触手が、ルカに迫ってきた!
ルカ「むほうにしてむじょう……」
しかし、ルカはひらりとかわした!
クラーケン娘「まさか……!?寝ながら避けたというのですか……!?」
クラーケン娘「それに、この奇妙な雰囲気……まるで、人が変わってしまったかのような……」
カムロウ「寝ながら避けた…?」
チリ「うん。避けたね。完全に避けたね。」
ラクト「ってことはだな。」
チリ「撤退!撤退!!」
ラクト「全員逃げろッ!とにかくここから離れろ!!!」
ラクトたちはその場から逃げ出した!
クラーケン娘「眠った仲間を置いて逃げるとはいったい……?」
ルカはぐっすり眠っている……」
ルカ「ZZZ……」
ルカの攻撃!
しかし、水の魔法陣が攻撃を阻む!
クラーケン娘「寝ながら立ち上がり、攻撃するとは……」
ルカ「かべ……?」
クラーケン娘「なんと器用な……奇妙な……!?」
ルカ「こわれろ~!」
ルカの刃が一閃する!
その威力は時空を裂き、水の絶対防壁を破壊した!
クラーケン娘「そんな……!」
ルカ「わがはは、は…」
クラーケン娘「物理攻撃で、多次元隔壁が破れる道理がない……!」
ルカ「あけのみょうじょう…」
クラーケン娘「時空の理に干渉でもしない限り、このような芸当は……!?」
ルカ「あけぼののこ…」
ルカの体から光が迸る!!!
クラーケン娘「くっ…!?」
ルカ「ちになげおちたほし…」
クラーケン娘「なんと凄まじい魔力……!!!」
ルカ「しょうりをえるもの…」
__眩い星は冥府に墜ちるッ!!!
ルカは光を纏い、クラーケン娘に突撃した!!!
高速のような、綺羅星のような勢いで迫りくるルカ。
クラーケン娘は防御が間に合わず、無防備の状態で攻撃を受けた!!!
クラーケン娘「うあああああぁぁぁッ!!!」
凄まじい勢いが、凄まじい威力が。
クラーケン娘の身体から水中全てに伝わり、この海底神殿を揺るがす。
ルカ「……ぐぅ……」
クラーケン娘「はあっ…はあっ…!?」
ルカ「らせつのあぎとー!はぐんにいたりてじゃをはらうー!」
さらにルカは、踊るような剣技を繰り出した!
クラーケン娘「ぐああああああッッッ!!!」
クラーケン娘「(まさか、このような悪夢が……!)」
繰り出される無数の斬撃を、その身に受ける!
クラーケン娘「(こ……この私が、まるで歯が立たないなど……!)」
クラーケン娘「どういうことですか…!?こんな力を、なぜ人間が……!?」
クラーケン娘は動揺している!
問答無用。
ルカはそのまま攻撃を続け____
アリス「___その勝負、待った!」
アリス「下らん戦いもここで終わりだ!」
アリスは魔力を込めた瞳でルカを睨んだ!あらゆる状態異常が治癒される!
ルカは目を覚ました!
ルカ「…………あれっ?僕は、何を……?」
クラーケン娘「いったい、何がどうなっているのです……?」
ルカが起きたことで、物陰に隠れていた仲間たちが顔を出す。
ジョージ「む、どうやら終わったようで……」
チリ「し…心臓に悪い…!絶対寿命縮んだって……」
ラクト「おいアリス!お前なぁ!眠らせるんだったら俺たちに一声かけてからにしろよ!」
アリス「そんな余裕が貴様らにあったか?」
クラーケン娘「ともかく、私に余力はありません……」
クラーケン娘は戦意を失った……
クラーケン娘をやっつけた…でいいのかな?