もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第19話 秘めたる力、再び

__カムロウはドラゴンに変身__したが……

その姿は周知の姿とは異なっていた……!!!

しなやかさを感じさせる流線的な、細身の身体と表現するのが正しいだろう。

尻尾はまるで鞭のようにさらに長く、背中に翼は生えておらず前腕と一体化していた。

カムロウ「(ん?)」

何か違和感。そう感じたカムロウは、自身の身体をまじまじと見つめたが……

カムロウ「(うえぇぇ!?なに!?何この身体!?)」

口を開けて驚くような仕草をする。明らかに第三者から見ても驚いているようだ。

 

ルカ「え!?なんだあの姿!?」

チリ「なにあれ!?」

ラクト「いつもの姿じゃねぇぞ!?」

クラーケン娘「ドラゴン……!?…いや…これはワイバーン…!?何故、ワイバーンがここに現れるのですか…!?」

 

一同、驚愕。しかしそんなことをしている場合ではない。

クラーケン娘「良く分かりませんが…私の敵であるということに変わりありません!排除対象として打ち倒します!」

カムロウ「(なんの!受けてたとうじゃないか!!)」

 

カムロウは噛みつきにいった!

クラーケン娘「その程度!」

ひらりと避けられた!!!

カムロウ「(あっ避けられた。)」

身体に鉾が突き刺された!!!

カムロウ「(腹痛い!!!)」

クラーケン娘「予測しやすい動きでしたね。」

クラーケンは触手で乱撃を放ってきた!

カムロウ「(あばばばばばば!!!)」

 

カムロウは、自身の身体に伝わる痛みを認識した!

おかしい。

いつものドラゴンの身体は、丈夫な鱗と筋肉でがっしりしていた。

こんな鉾でも傷つくはずじゃあ……

いくら強い触手の攻撃でも耐えれるはずじゃあ……

 

パヲラ「カムロウちゃん!その身体じゃあ、今までの戦い方だと合わないわ!」

カムロウ「!?」

パヲラ「その身体は【受け】より【避け】が上手だと思う!動きながら長所を見つけて活かすのよ!!」

カムロウ「(【避ける】戦い方…!?)」

 

そうか!ちょっと動いてみて分かった!

言われてみればこの身体。いつものドラゴンの身体よりも軽い!

ならば、最大限に活かすまで!

 

クラーケン娘「はああッ!!!」

クラーケン娘は鉾を突き刺してきた!

カムロウ「(その程度!)」

カムロウは身を翻して避けた!

クラーケン娘「なっ…!?」

そしてそのまま、懐に接近する!

飛び掛かるのはやめた。

クラーケン娘のあの触手は今の身体であっても容易に締め付け、捕らえられそうだから。

だから、尻尾でぶっ叩く!

カムロウは身体を捻り、長い尻尾を振り回して薙ぎ払った!

強靭な尻尾が、クラーケン娘の胴体に命中した!

クラーケン娘「…ッ!!!」

 

間合いだ!早く動けるのなら、間合いがコツだ!

受け止めるんじゃなくて、早く動いて、避けて反撃する!

それがこの身体の戦い方だ!

 

クラーケン娘「触手乱舞!!!」

クラーケン娘は動かせる触手を総動員して、猛烈な連撃を放ってきた!

カムロウは翼の前腕を動かして一気に飛び退いた!

さらにそこから、水流の動きを上手くつかみ、高速で飛ぶように、優雅に泳ぐ!

 

パヲラ「そうか!あの身体なら容易に海流を受け流せる!」

ラクト「すげぇ!まるで飛んでいるみてぇだ!」

クラーケン娘「なんと優雅に…しかし!」

 

クラーケン娘「ここは地上ではなく、海底!空ではありません!地の利ではこちらが有利なのをお忘れなく!!」

 

クラーケン娘「大波魔法(ウェイブ)!!!」

クラーケン娘が、大きな水の波動を放つ!

 

カムロウ「(この前腕…まるで刃物みたいだ。)」

この細身のドラゴンの姿。

翼と一体化してある前腕、人間でいう小指あたりから肘にかけて、弧を描くよう刃のようなモノが付いている。

おそらく爪が変化したモノだろう。

ならば!

 

カムロウはブレードクローを放った!

水の波動を真っ二つに切り裂いた!!

クラーケン娘「ええい……これならどうでしょう!?」

 

クラーケン娘は飛び上がって、カムロウの身体に絡みついた!!!

 

そこからは、巨大なクラーケンとドラゴンのインファイトが始まった。

クラーケンの触手がドラゴンの身体に絡み、締め付ける。

ドラゴンはクラーケンの身体に噛みつき、爪で引っ掻く。

カムロウ「(いだだだだだだだ!!!)」

クラーケン娘「どうです!避けれないでしょう?いくら速い動きをしても、これほど密着されればどうすることもできないはず!」

 

ルカ「カムロウが苦戦してるぞ!?ドラゴンになったのに……」

パヲラ「速さを活かした攻撃なら威力は上がるでしょうけど……あの姿は特徴からするにスピードに特化している!その分、パワーも体重も落ちてる!!!」

ラクト「援護射撃したいところなんだが……ああもわちゃわちゃしてると狙えねぇ…!」

 

カムロウ「(こ…こうなったら!)」

ドラゴンの口から、淡い光が漏れだした!!!

カムロウは破壊光線(ドラゴンブレス)を放った!!!

しかしクラーケン娘は体勢を変えて避けた!!!

接触したモノ全てを破壊する光線は、石柱や壁を崩壊させる…!

カムロウ「(避けられた…!)」

クラーケン娘「どうやらインファイトは、私の方が得意のようですね。__」

 

ルカ「__僕たちがいることも忘れるなよ!!!」

そこにルカが飛び入りをし、クラーケン娘に斬りかかった!!

クラーケン娘「小癪な…!大波魔法(ウェイブ)!!!」

クラーケン娘はドラゴンを投げ飛ばすと、大きな水の波動で吹き飛ばした!

ルカは吹き飛ばされたドラゴンに巻き込まれ、壁に衝突する!

 

ルカ「カムロウ、大丈夫か?」

土煙を翼で吹き飛ばし立ち上がるカムロウ。

どうやらまだ大丈夫そうだ。

ルカ「そうだ…騎馬戦だ!!僕を背中に乗せてくれ!あいつの攻撃は僕が受ける!!」

カムロウは頷いた。

それを見たルカは、カムロウの背中に飛び移る。

ルカ「一度やってみたかったんだ…!ドラゴンに乗って戦うの!」

カムロウ「(やってみたかっただけか~い!)」

クラーケン娘「人間がワイバーンを従えているとは……やはり、あなたはここで排除するまで!!!」

 

クラーケン娘「はあっ!」

ルカ「せいっ!」

僕を乗せたドラゴンとクラーケン娘は、互いに何度も衝突し合った。

突き刺してくる鉾を剣で弾く。斬りかかってくる剣を鉾で防ぐ。

一進一退の攻防が続いた!!

クラーケン娘「中々…勝負が決まりませんね……!」

 

クラーケン娘「この深淵穿つ槍で、跡形もなく吹き飛ばすまで!!!」

水の波動が、クラーケン娘の手に集まり始めた__

 

ルカ「__今だ!!!」

ドラゴンは飛び上がって急接近した!

僕とカムロウは、これを待っていたんだ!

あの技は発動するのに時間がかかる!その間が攻撃できる瞬間なんだ!

そして今!一気に押す!

 

クラーケン娘「!?」

クラーケン娘は触手を前に出して防御の姿勢をした!

ルカ「意地でも放つ気か!」

それでも迷うことなく、加速して接近する!

カムロウ「(この勢いなら!切れる!!!)」

カムロウはブレードクローを連続で放った!!!

 

クラーケン娘が防御のために出した触手を数本、ぶつ切りにした!!!

クラーケン娘「ーーッ!!!」

ジョージ「あの触手をぶつ切りにしてしまうとは…!」

マモル「やるねぇ~!」

 

クラーケン娘「し…しかし!もう【完成】しました…!」

その手には、波動の槍が握られていた!

クラーケン娘「くらいなさ___」

 

その時、ドラゴンがクラーケン娘の腕に噛みついて、攻撃を阻止したのだ!!!

クラーケン娘の手から離れた波動の槍は、形を崩して消えていく……

クラーケン娘「くっ……離れなさい…!!!」

クラーケン娘の触手がドラゴンの顔に絡みついて、腕から引き剥がそうとする。

カムロウ「(た…ただで離すと思うなよ……!)」

カムロウは大口を開けて、破壊光線(ドラゴンブレス)を放った!!!

顔に絡みついていた触手が真っ黒に焼き焦げる!!!

クラーケン娘「わ…私の触手が…!焼け焦げて……!」

 

ルカ「そこだッ!」

ルカはカムロウの背中から飛び出し、攻撃をした!

ルカ「雷鳴突きッ!!!」

鋭い突きを、クラーケン娘に放つ!!!

クラーケン娘「うぅッ……!」

 

クラーケン娘は、床に膝をつけた!

クラーケン娘「はぁッ…!はぁッ…!」

息切れもしている。

かなりダメージを与えたようだ。

ルカ「どうだ!もう戦うのはやめてくれ!僕は争いに来たんじゃないんだ!」

しかし、クラーケン娘はなんとか立ち上がってくる……

ルカ「まだ戦う気か!?」

クラーケン娘「私に、この術まで使わせるとは……!!!」

クラーケン娘は魔力を高め、水の波動を身に纏うと……

水の波動が魔法陣を描いた!

 

【アクアペンタゴン】が発動した!!!

 

ルカ「こ、これは!?」

チリ「魔法陣…!?一体何の……」

クラーケン娘の周りを漂うに、水の波動がバリアを形成している。

クラーケン娘「【アクアペンタゴン】は、水の絶対防御。これで、私に指一本触れることはできません。」

ルカ「くっ、こんな壁なんて!」

ラクト「全くだぜ!言ってくれるな!」

ルカたちの攻撃!

 

ルカ「はあっ!」

ラクト「ルーンアロー(魔導弩撃)!!!」

しかし、水の魔法陣が攻撃を阻む!

ルカ「なんだこれ……!?」

ラクト「なんか妙だな…?弾かれてる感じはしねぇな……」

攻撃が当たる瞬間に、水の波動が現れて邪魔をするのだ。

これは一体……

 

カムロウ「(これならどうだーッ!?)」

カムロウは破壊光線(ドラゴンブレス)を放った!!!

しかし、水のバリアは壊れる様子がない!

ルカ「カムロウの破壊光線(ドラゴンブレス)でも壊せないのか!?」

マモル「そうか、ありゃあただの防壁じゃねぇな。」

 

マモル「どういうわけか、威力が消散されてんだな。途中で分散されてっから、届く前に威力が消えちまってんだ。」

ルカ「そんな……!攻撃が届かないなんて……!」

クラーケン娘「そう。これはただの防壁ではありません。使用できる者は世界で5人いないと言われる、究極の防御魔術。」

クラーケン娘「時空自体を歪め、物理的破壊力を消散させているのです。どんな怪力であろうとも、この法陣を壊す事は出来ませんよ。」

 

チリ「マモルさん!結界に詳しいのならどうにかして解除を……」

ルカ「ああ、どうにかできないのか!?」

マモル「いやいや…究極の防御魔術なんでしょ。アッシがそんなん出来ると思います?」

マモル「ただの魔法陣とか結界だったら時間はかかりますけど出来ますよ。けどアレ…時空を歪めるって言ってたでしょ。ムリですよ。その発想がまず初耳なんですから。」

ルカ「そ、そんな……」

チリ「そ、そんな……」

マモル「二人して同じ反応せんでも……」

 

ジョージ「禍津一閃(まがついっせん)!!!」

ラクト「魔導砲(まどうほう)ーッ!!!」

パヲラ「だだだだだだだだ!!!」

強力な一撃も、連続攻撃も、複数による一斉攻撃も全て効かない!

水の魔法陣に阻まれ、攻撃がクラーケン娘にまで届かない!

 

カムロウ「も…もう限界………」

カムロウの龍変身が、活動限界を迎えた!

身体が小さくなっていき…元の人の姿になって力なく倒れた!

ジョージ「なんと無力なことか…!力しか能のない私が、力でどうすることもできないとは…!!」

ラクト「ダメだ…!勝てっこねぇよ……!時空をねじ曲げる防御魔術なら、力技でどうにかなるはずがねぇんだ!!!」

クラーケン娘「ふふっ、勝ち目がないことを理解しましたか?それでは、とどめを__」

 

クラーケン娘「__おや?あれは……?」

柱の裏に不審な人影が見える……

アリス「おいドアホ。」

ルカ「え…?」

アリスは魔力を込めた瞳でルカを睨んだ!

ルカ「アリス、何を__」

 

ルカは眠ってしまった!

ルカ「ぐぅ……」

 

 

「「「「「あっ。」」」」」

 

 

クラーケン娘「今の人影は、いったい…?」

ラクト「なぁ。俺はこの状況にデジャブって奴を感じるんだ。」

チリ「私もよ。」

 

クラーケン娘「ともかく、とどめを刺してあげましょう!!」

クラーケン娘の触手が、ルカに迫ってきた!

ルカ「むほうにしてむじょう……」

しかし、ルカはひらりとかわした!

クラーケン娘「まさか……!?寝ながら避けたというのですか……!?」

クラーケン娘「それに、この奇妙な雰囲気……まるで、人が変わってしまったかのような……」

 

カムロウ「寝ながら避けた…?」

チリ「うん。避けたね。完全に避けたね。」

ラクト「ってことはだな。」

 

チリ「撤退!撤退!!」

ラクト「全員逃げろッ!とにかくここから離れろ!!!」

ラクトたちはその場から逃げ出した!

 

クラーケン娘「眠った仲間を置いて逃げるとはいったい……?」

ルカはぐっすり眠っている……」

ルカ「ZZZ……」

ルカの攻撃!

しかし、水の魔法陣が攻撃を阻む!

クラーケン娘「寝ながら立ち上がり、攻撃するとは……」

ルカ「かべ……?」

クラーケン娘「なんと器用な……奇妙な……!?」

 

ルカ「こわれろ~!」

ルカの刃が一閃する!

その威力は時空を裂き、水の絶対防壁を破壊した!

クラーケン娘「そんな……!」

ルカ「わがはは、は…」

クラーケン娘「物理攻撃で、多次元隔壁が破れる道理がない……!」

ルカ「あけのみょうじょう…」

クラーケン娘「時空の理に干渉でもしない限り、このような芸当は……!?」

 

ルカ「あけぼののこ…」

ルカの体から光が迸る!!!

クラーケン娘「くっ…!?」

ルカ「ちになげおちたほし…」

クラーケン娘「なんと凄まじい魔力……!!!」

ルカ「しょうりをえるもの…」

__眩い星は冥府に墜ちるッ!!!

 

ルカは光を纏い、クラーケン娘に突撃した!!!

高速のような、綺羅星のような勢いで迫りくるルカ。

クラーケン娘は防御が間に合わず、無防備の状態で攻撃を受けた!!!

クラーケン娘「うあああああぁぁぁッ!!!」

凄まじい勢いが、凄まじい威力が。

クラーケン娘の身体から水中全てに伝わり、この海底神殿を揺るがす。

ルカ「……ぐぅ……」

クラーケン娘「はあっ…はあっ…!?」

 

ルカ「らせつのあぎとー!はぐんにいたりてじゃをはらうー!」

さらにルカは、踊るような剣技を繰り出した!

クラーケン娘「ぐああああああッッッ!!!」

 

クラーケン娘「(まさか、このような悪夢が……!)」

繰り出される無数の斬撃を、その身に受ける!

クラーケン娘「(こ……この私が、まるで歯が立たないなど……!)」

 

クラーケン娘「どういうことですか…!?こんな力を、なぜ人間が……!?」

クラーケン娘は動揺している!

問答無用。

ルカはそのまま攻撃を続け____

 

アリス「___その勝負、待った!」

 

アリス「下らん戦いもここで終わりだ!」

アリスは魔力を込めた瞳でルカを睨んだ!あらゆる状態異常が治癒される!

ルカは目を覚ました!

ルカ「…………あれっ?僕は、何を……?」

クラーケン娘「いったい、何がどうなっているのです……?」

 

ルカが起きたことで、物陰に隠れていた仲間たちが顔を出す。

ジョージ「む、どうやら終わったようで……」

チリ「し…心臓に悪い…!絶対寿命縮んだって……」

 

ラクト「おいアリス!お前なぁ!眠らせるんだったら俺たちに一声かけてからにしろよ!」

アリス「そんな余裕が貴様らにあったか?」

 

クラーケン娘「ともかく、私に余力はありません……」

クラーケン娘は戦意を失った……

 

クラーケン娘をやっつけた…でいいのかな?

 

 

 

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