もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第20話 地上へ帰還、強引に

海底神殿の奥。

何本もあった石柱は折れており、広い石の床には大小のクレーターと無数の亀裂が走っている。

壁には大穴が空き、瓦礫が散漫していた。

カムロウ「話には聞いてたけど…なんだよコレ……」

カムロウは、ルカの暴れっぷりを見てひきつった顔をしていた。

 

カムロウ「……化け物か?お前………」

ルカ「そんなこと僕に言われても……僕にはなにがなんだかさっぱりで……」

ラクト「いや、化け物じみた力を持つお前らがする会話かよ……」

 

クラーケン娘「…あなた達が何者なのか、私は知りません。しかし、この命に代えてもオーブを渡すわけにはいかないのです。」

チリ「いや……オーブってなんですか…?」

 

クラーケン娘「勇者よ、なぜオーブを求めるのです?セントラ大陸の魔物を血祭りにあげるだけでは、飽き足らないとでも言うのですか……?」

チリ「ち…血祭りって………」

ジョージ「かなり惨いことを言っているようだが……」

 

ルカ「だからっ!僕はオーブってのを奪いに来たわけじゃないし、そんなの知らないんだから!!」

クラーケン娘「なんと……?」

 

「……………………」

 

クラーケン娘「ならば、ここへ何をしに来たというのです!?」

ルカ「だから、結婚の誓書を持ってきたんだよ!!!結婚する夫婦の代わりに、ここへ届けに来たんだ!」

 

「……………………」

 

クラーケン娘「……なぜ、それをもっと早く言わないのです!!!」

ルカ「言ったよ!僕、最初に言ったよ!!」

ラクト「言ってねぇよアホ!!!」

カムロウ「最初に勇者とか余計なこと言うから!!!」

ルカ「なんだよ!?僕が悪いのかよ!?」

「「うん。」」

ルカ「…………………」

 

ルカ「……はい、これがその誓書。」

カバンから一枚の紙を取り出して、クラーケン娘に渡す。

クラーケン娘「なんと、そういう事だったとは……どうやら、ひどく迷惑を掛けてしまったようですね。」

 

クラーケン娘「結婚の誓書、確かに受け取りましょう。」

【誓いの誓書】を受け取ってくれた。

クラーケン娘「おや…?机がありませんね……まぁいいでしょう。」

マモル「さっき自分で派手にぶっ壊してたよな……」

 

クラーケン娘「して勇者よ、あなたの結婚相手は誰です。そこの銀髪の妖魔ですか?」

ルカ「ち、ちがう!僕じゃないよ!」

アリス「違うわ、ドアホめ!」

ラクト「え、いいのか?せっかく結婚できるチャンスを……」

次の瞬間、ラクトの身体はアリスの蛇の身体に締め付けられた。

ラクト「ぎゅあああああ………!!!」

 

クラーケン娘「もしかして…そこの人間(パヲラ)と?英雄色を好むとは言いますが…まさか男色とは。しかし、そういうのはここでは受け付けていないですよ。」

パヲラ「あらやだ……幸せにしてね♪んーまっ!んーまっ!」

ルカ「こいつは絶対に違う。」

パヲラ「えええええええ!!!」

カムロウ「そりゃあそうでしょ……」

 

ルカ「……この女王、誤解と勘違いが本当にひどい。」

アリス「……やれやれ、とんだ勘違い女王だ。」

チリ「勘違いというか、せっかちというか………」

 

ルカ「さっき、代理人って言ったじゃないか…マーメイドに頼まれて、代理として持ってきたんだよ。」

クラーケン娘「代理……?なぜ、本人が来ないのです……最近の若い者は、まったく……」

クラーケン娘は愚痴をこぼす。

確かに、それももっともではあるが。

クラーケン娘「……まあ、構わないでしょう。本人が持ってこなければならない、という掟はないですし。」

マモル「やっぱりそれのせいなんじゃねぇの?」

ルカ「本当にそれでいいのか……」

こんな大雑把な女王に穴だらけの掟で、海の秩序は大丈夫なのか。

 

クラーケン娘「ともかく、確かに誓書は受け取りました。」

 

クラーケン娘「南海の女王として、メイアとその夫を真の夫婦と認めます。では、この「契りの指輪」を受け取りなさい。これをいかなる時も指に嵌め、互いに想い合う事を誓うのです。

ルカ「は、はい……」

僕は、クラーケン娘からペアの指輪を渡された。

 

「契りの指輪」を手に入れた!

 

クラーケン娘「どんな困難の中でも、互いの事を想い、支え合いなさい。さすれば南海の女王である私が、祝福を与えましょう!」

アリス「ふむ。ついでに、魔王たる余も祝ってやろう。」

「「「ついで!?」」」

ルカ「じゃあ、勇者見習いの僕もおめでとうを言わせてもらうよ!」

ジョージ「ならば私も。」

パヲラ「あたしもー!」

クラーケン娘「………」

アリス「………」

ルカ「………」

 

…………………………

 

チリ「虚しいね。」

カムロウ「しまらないね。」

マモル「まったくでぇ。」

ルカ「おい…!思ってても言うべきではないだろ…!!」

結婚する当人達が不在では、なんともしまらない。

ともかく勇者と魔王と女王は、新たな夫婦の誕生を海底にて祝ったのだった。

 

クラーケン娘「ところで……貴方様は、まさか……?」

アリス「……ふん、余は大した者ではない。偶然に通りかかった、旅のグルメだ。」

ラクト「お前、しれっと魔王って言ってただろうが。」

クラーケン娘「なんと、こんな海底にまで美食を求めに来るとは……しかしここには、大した食物はありませんよ。」

ルカ「おいおい、信じてるぞ。」

 

アリス「これで用事は終わったな。長居は無用だ、帰るぞ。」

ラクト「やっぱり早く帰りたかっただけかお前……」

「契りの指輪」を受け取った以上、もうここに用はない。

ルカ「ああ…今度はナタリアポートに戻って、メイアに指輪を渡さないと。」

 

ルカ「じゃあ、帰ろうか。」

僕たちは来た道を引き返そうとしたが……

ルカ「あっ…でも、またあの道を戻るのか……ちょっと面倒だな。」

体力もボロボロの状態で戻るというのも、すこし心もとない。

 

クラーケン娘「おや……それには及びません。失礼を働いてしまった詫びに、私が地上へと送って差し上げましょう。」

ルカ「ありがとう、それは助かります……」

カムロウ「けど、どうやって?」

ジョージ「魔法か道具ならば、すぐに地上へ移動できるはずだ。」

 

すると、クラーケン娘の触手が、ルカの胴体をしゅるりと巻き上げた。

 

「「「「「「えっ?」」」」」」

 

そしてルカの体は、ボールのように持ち上げられる。

ポンポンとお手玉のようにされながら。

クラーケン娘「だいたい、陸地はあっちの方ですね……」

しかもなにやら頭上を見上げ、方向を探っている様子だ。

ルカ「(こいつ、まさか…!)」

 

ルカ「あの、もしかして……」

クラーケン娘「人間と魔物の仲を取り持つ行動、南海の女王として嬉しく思います。また何かあれば、この神殿に訪れなさい。」

 

クラーケン娘「では、さらばです。」

そして、予想通り__

 

__クラーケン娘は、僕の体を斜め60度の方向に思いっきりぶん投げた!!!

ルカ「うわぁぁぁぁ……」

海底神殿の窓を通って、僕の体は海中に投げ出されてしまう。

ルカ「ごぼごぼごぼごぼ……」

そのまま一気に海の中を突っ切り、海面から投げ出された……

 

カムロウ「冗談だろッ。」

ジョージ「私は今ッ!身の危険を感じた…ッッッ!」

 

アリス「来い、チリ。」

チリ「えっ!?」

アリスはチリを抱き寄せると…移動魔法で海底神殿から移動した!

ラクト「うわっ!何アイツ!?ズルッ!」

 

ラクト「しかーし!俺様も緊急脱出魔法(エスケープ)を使えるのだ!!はやくここからおさらばしてやるぜ!」

カムロウ「流石ラクトだ!早く使ってくれ!」

ラクトは緊急脱出魔法(エスケープ)を使った!

しかし、不思議な力でかき消された!!!

カムロウ「ダメじゃん。」

ラクト「うわ最悪だ………………」

 

クラーケン娘「さぁ、他の皆様も遠慮せずに……」

クラーケン娘は清々しいほどにキラキラとした笑顔をこちらに向けてくる……

 

残った仲間たちは、互いに顔を合わせる。

ラクト「……なぁオイ。誰から行く…?」

 

「…………………」

 

ジョージ「地獄への道は善意で舗装されている……」

マモル「……南無。」

 

…………………___

 

 

 

__海底神殿から投げ飛ばされた僕たちは空を舞い……

 

赤く染まる夕陽が見え……

 

……そして砂浜に叩きつけられた!

ルカ「がふっ……!」

ラクト「ほげーっ!」

パヲラ「ハヤァァッ!」

カムロウ「あぶぎゃっ!」

ジョージ「ぬおっ……!」

マモル「だはぁっ……!」

 

砂浜に上半身が埋まったヤツもいれば、勢い余って岩にぶつかるヤツもいた。

 

パヲラ「着地点数!」

アリス「2点。」

チリ「3点。」

 

パヲラ「ちょっと~男子~!ダメでしょ~着地はちゃんと決めないと~!」

カムロウ「ちくしょうッ!」

ジョージ「不覚ッッ……」

ラクト「いや知るかァッッッ!!!」

 

ルカ「うぐぐ……!」

体がバラバラになりそうなほどの激痛に、僕たちは砂浜でのたうち回ってしまう。

ルカ「これ絶対……この海底神殿の一件で受けた最も大きなダメージだと思うんだけど……」

 

アリス「やれやれ……本当に大雑把な女王だな。」

苦悶する僕の横に立ち、アリスは溜め息を吐くのだった。

ルカ「あんな大雑把な魔物が女王だなんて……アリス、魔物世界の人事には問題があるぞ……」

 

ルカ「それはともかく……さっきは、助けてくれたんだな。ありがとう、アリス。」

クラーケン娘との闘いのさなか、間接的にだが手助けをしてくれたのだ。

僕を眠らせ、潜在能力を引き出してくれたのである。

アリス「……ふん。こういうのは、これで最後だ。今回ばかりは向こうの勘違いもひどく、放置するのもためらわれたからな。」

ルカ「本当に、今回はひどい目に合ったよな……」

カムロウ「いや……ルカ。」

ラクト「だいたいはお前のせいだぞ。」

ルカ「はぁ!?なんだよ!?結局僕が悪いのかよ!?」

「「うん。」」

ルカ「……………」

 

ともかく、これで依頼は済ませた。

ルカ「後は、ナタリアポートで待つメイアに指輪を渡すだけだ!」

 

ぐうううぅぅぅぅぅ~~~……

 

響く腹鳴り音。

 

ジョージ「すまない。腹が空いてな……」

カムロウ「やっぱり龍に変身すると腹空くんだよなぁ……」

ラクト「なんだ?スタミナ切れか?」

気付けばもう昼過ぎ。なんなら夕方に近い時間帯だろう。

昼食も取らずに海底神殿まで行ってたから、みんな腹が減ったんだろう。

ルカ「じゃあ、ナタリアポートに戻ったら何か食べようか。僕は先に報告してくるから。」

 

「「「「やったー!!!」」」」

 

カムロウ「肉!肉喰いたい!」

ラクト「待て待てカムロウ。ナタリアポートは港町だぜ。魚料理の方が美味いぞ。だからタラコパスタのほうが……」

ジョージ「私は海鮮丼を食べたいッッッ!!!」

アリス「マリネ。」

何を食べようかと騒ぐ仲間を引き連れて、僕はナタリアポートに戻ったのだった。__

 

 

__砂浜から離れた森の木々の上。

ルカ達を監視していた者が一人………

 

???「ワトライバくん。勇者たちが戻ってきたよ。なぜか海中から飛んできたけど……」

ワトライバ『なぜ海中から……いや、どうだ。何か言っていたか?』

 

???「それなんだけどさ。【糸】で会話を聞いてたんだけど…オーブなんて一言もなかったよ。」

ワトライバ『ではなんと?』

 

???「え~っと……なんかユビワって言ってたような……」

ワトライバ『指輪…?……そういえば、海底神殿は婚姻の儀式を執り行っていたな。』

???「コンイン?ええと?つまり…どういうこと?」

ワトライバ『奴らの狙いはオーブじゃななかったということだな。』

???「そんなまさかぁ!?」

ワトライバ『ああ。まさかオーブを狙ってないとはな。あの勇者…一体何が目的だ…?あと誰と結婚したんだ…?』

 

ワトライバ『オーブがまだ海底神殿あるというのなら、それ以上そこにいても何の情報もないだろう。』

???「じゃあ、僕は一回戻った方がいいかな?」

 

ワトライバ『いや…恐縮だが一つ、雑用を頼みたい。ナツィオーネ。』

ナツィオーネ「雑用でもいいさ。ワトライバくん。要件は何だい?___」

 

 

 

 

 

__ナタリアポート市街地、メイア宅。

残念な事に、晴れて夫となった少年は漁に出かけて留守のようだ。

なおアリスや仲間たちは、しばらく市場をウロつくとかでここにはいない。

 

ルカ「……そういうわけで、南海の女王に誓書を届けてきました。どうぞ、これが契りの指輪です。

メイア「あ、ありがとうございます!」

メイアは指輪を受け取り、満面の笑みを浮かべた。

メイア「これで、旦那様もさぞ喜んで下さるでしょう。さて、お礼をしなければいけませんね……」

メイア「しかし私は、ただの一般市民。勇者様のお役に立つアイテムも、大金も持っておりません。

ルカ「いいですよ、お礼なんて……」

メイア「ですので……」

 

……………………

 

ナタリアポートの市街地に「あひぃぃぃぃ」という断末魔が響いた。

 

 

 

 

__ナタリアポート繁華街。飲食店。

仲間たちは早めの夕食をとっていた。

補給するかのようにバクバクと食事を平らげ、皿が何枚も積まれている。

チリ「ところでラクト。お会計どうするの?かなりの金額になりそうなんだけど……」

ラクト「それなんだけどよォ~~海底神殿行く途中に、岩盤の上歩いたろ?そこら中にあった石ころが金鉱石とかでよォ~。結構良い金になってくれたんだよォ。」

ラクト「ま、臨時収入ってことで気にせず食いなされって。デザートも良いぞ!」

チリ「本当に大丈夫なのソレ…」

 

そんな中、カムロウはあまり食べていない様子だった。

食べてはいるが、どうにも遅い速度だった。

アリス「どうした、カムロウ。食が進んでないぞ。」

カムロウ「いや…アリスさんは進みすぎな気がしますけど……」

アリス「平常だ。」

 

カムロウ「俺……龍変身がどういうモノか、少しだけ分かった気がするんです。強いことは強いけど、使い方が全く分からない武器のようなモノ……普通に使うことだって難しいかもしれないし、途中で予想外な事が起きるかもしれない代物なんだって……」

アリス「ほう……」

 

アリス「だが使うなとも言われてないだろう。」

カムロウ「えっ…!?いや、そう言われるとそうなんですが……」

アリス「確かに…お前のその身に宿る力の欠点は、その【不安定】そのものだな。」

 

アリス「今までの状況から察するにあのドラゴンの姿は、お前自身に影響した環境や事象、精神状態が引き金となったのだろう。」

カムロウ「そういえばあの時……すばしっこいって考えてたような……けど、俺の種族のドラゴンの姿って1つだけじゃ……」

アリス「成った以上、複数の姿があると考えた方が良いな。」

 

アリス「忘れているようだが、【不安定】な原因こそお前自身だ。人の血が混ざったからこそ発現したモノかもしれん。」

 

アリス「お前はまだ力に振り回されている。実践を繰り返して、何が出来て何が出来ないかをくまなく調べる必要があるぞ。どうしてあの姿になったのかもだ。」

カムロウ「力に振り回されている……か。」

 

アリス「海底神殿での戦いで実感しただろう。戦いというのは、何度も何度も検証し、研鑽され、鍛え抜かれた技術と身体しか通用しない。今までの積み、そして繋がってきたモノ全てが試される。」

アリス「突如、異変として現れた強大な力で勝てるかどうかなど所詮一握り程度……有り余る力の弱点は、その有り余る力自身。訓練されてもないのなら、誤って自身の身を滅ぼすというのも道理だ。」

 

カムロウ「そうだ…ルカはどうなんですか?あの寝てる時のアレ……」

アリス「ヤツのは一体何なのかはまだわからんが、あれは一種の防衛本能と仮定したほうが良いだろう。」

アリス「本来、人間にとって過度な魔力は、体を蝕む猛毒となる。」

アリス「あれほどの力に魔力は人の身では規格外だ。それを反動も無しで行使できるのは異常だな。」

カムロウ「そうなんですか……」

 

カムロウ「……もどかしいです。」

カムロウ「強大な敵を倒せる力を持っているのに、どうしようもできないってのは………」

アリス「ふむ……」

 

アリス「ではこうしよう。条件を変えよう。」

カムロウ「条件ですか?」

 

アリス「ドラゴンへの変身は【どうしようもない時】ではなく、【誰かを守りたい時】に使う。元々お前は、ルカ達を守りたいために付いてきたのではないか。」

カムロウ「………」

アリス「何もできないからと、内なる強大な力に頼ってしまっても無意味だ。むしろ、悪い方向に進むことになり得る。」

 

アリス「近いうちにかどうかはわからんが、いずれその内なる力も思うように扱える日が来る。そうするようになるかはお前次第だがな。」

カムロウ「…………」

アリス「ふぅ……腹八分か。そろそろ行くとしよう。ルカのやつも報告をし終えてるはずだ。」

最後、締めの料理を食べ終えたアリスは席を立った。

アリス「カムロウ。焦ることはない。お前もどうにかしようと奔走しているだろう?」

カムロウ「はい……」

アリス「なら、それで良い。今出来ることを、着々と身に付ける。それで良いのだ。」

 

ラクトはお会計の金額を見て、目を飛び出して驚いていた。

ラクト「ハアッ…!?なんだこの金額……!?り、臨時収入が…全部パアッ…!!!」

マモル「お嬢(アリス)、常人の10倍は平らげてましたよね……」

チリ「だから言ったのに……あ、デザートはちゃんといただきました~。」

ラクト「はぁぁぁ……!!!」

 

夕食を終えた仲間たちは席を立ち、市場のほうに歩みを進めた__

 

 

 

ルカ「………ふぅ……」

うっとりした顔で、ふらふらとナタリアポートを歩く。

ふらついた足取りで、市場の方に進んでいると__

 

ルカ「げえっ!アリス!!」

アリス「……どうしたのだ?魂の抜けたような顔をして……?」

マモル「そりゃあどっからどう見ても純度100%のアリスさんでしょうが。」

いきなり現れたアリスやみんなに、僕は度肝を抜かれてしまう。

アリス「な、なんなのだ……?何をそんなに驚いている……?なにか、悪さでもしでかしたのか……?」

パヲラ「ルカちゃん。疲れちゃったのかしら。」

ジョージ「なら、すぐにでも宿を……それと食事の用意をしなくては。」

 

落ち着け、落ち着くんだ……別に、悪いことをした訳じゃないんだ……

何度か深呼吸をして、平静を取り戻す。

 

ルカ「いや……大丈夫。なんでもない。メイアさん、とっても喜んでくれたよ。」

ラクト「ふーん。ま、喜んでくれたんなら良いっか。」

文句を言ってたラクトも、この結果には納得してくれたようだ。

アリス「……ふん、どうでもいい事だ。」

ルカ「そう言うなよ。人間と魔物が結ばれるのって、素晴らしい事じゃないか。」

これで、人と魔物が共存する世界に一歩近づいたはずだ。

それがどんなに小さな一歩であろうが、僕は満足である。

 

アリス「……確かに、素直に喜ぶべきなのかもしれんな。人と魔物の絆、まだまだ断たれた訳ではないのかもしれん。」

ラクト「……お?おぉ!?アリスはそう思うのか!?へぇ~!そうかぁ!」

ルカ「だろ!だろ!?……だろぉ?えへへへへへ……」

アリス「ウ……ウザっ!なんだこいつらっ!!」

 

こうして、メイアの依頼を無事に終わらせる事ができた。

色々と大変だったが、その結果に僕は大きく満足したのである。

 

 

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