もんむす・くえすと! 勇者ルカと仲間たち   作:J・チェプナクル

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第25話 鎮魂歌は令嬢を尊ぶ

僕たちは階段を駆け下り、再びエントランスに降り立つ__

 

そこにいたのはガタガタと震えるラクトとチリ。

拳を構え、警戒するパヲラ。

その3人の視線の先に……

さっきの少女が、1体のゾンビを従えて待ち構えていた。

謎の少女「なんなのだお前たちは。なぜ、儂の研究所で暴れておるのじゃ?」

ルカ「……お前こそ何者だ!?研究所って……!?どういう事なんだ!?」

謎の少女「質問に質問で返すでない。……ふん、まぁ良い。教えてやろう。」

 

謎の少女「儂の名はクロム!偉大なるネクロマンサーじゃ!」

 

ルカ「ネクロマンサーだって…!?」

クロム「この場所はかつては処刑場。その後は墓地として使われた場所なのじゃ。死体がゴロゴロしておるから、儂の研究には最適でのう……」

ルカ「研究って、いったい何を……?」

クロム「儂はネクロマンサーなのじゃからな。アンデッドの研究に決まっておるわ。」

 

チリ「死体を使って、どうしてそんなことを?」

クロム「それはな、特に…この屋敷で病死した富豪の娘は良い素材でのう!それを材料に、より高次元のアンデッドモンスターとして進化させるのが儂の野望じゃ!」

ルカ「……………」

パヲラ「話を聞くに…町の噂はそれぞれ別々だったけど……」

マモル「処刑場、墓場、病死した少女、悪い魔導師……全部本当だったってわけですかい。」

カムロウ「じゃ、じゃあ今まで俺たちが相手していたゾンビは…!」

ラクト「ここで埋葬されてたゾンビだったってことかよぉ…!」

 

ルカ「ってことは……この屋敷にうろついているゾンビ達も……まさかお前が!?」

クロム「その通りじゃ!ここの全てのゾンビは、全て儂の作品じゃぞ。」

ルカ「あれが作品だって……!?」

 

ジョージ「むぅ。亡くなった方の身体を許可も得ず弄ぶことも目に余るが……この場所でゾンビの量産という行為がよろしくない!もし、この屋敷からゾンビが溢れだし、近隣の町村への被害が出たとするとなれば……!」

 

ジョージ「貴様はその責任を償えるのかッ!?」

クロム「知ったことか!低能なサルどものことなどどうでも良いわ!!」

 

クロム「むしろ、実験に使える死体が増えるのであれば都合が良いわい。」

ルカ「なんだと……!?」

 

ルカ「ゾンビを意図的に作るなんて、死者に対する冒涜だ!そんな真似をイリアス様はお許しはしない!」

僕は剣を抜き、まっすぐに構えた。

ルカ「そんな事はすぐにやめるんだ!さもないと__!!」

クロム「__この儂を退治すると?笑わせてくれるわ。」

 

クロム「ふん、まだまだ儂は研究せねばならん事があるのじゃ。貴様のような邪魔者も、儂の実験体にしてくれるわ!」

 

クロム「やってしまえ、フレデリカ!!」

フレデリカ「………」

フレデリアと呼ばれたゾンビが、一歩ずつ前へと進み出た。

彼女が歩くたびに床が揺れる。それに体格が段違いに違う……僕たちが見上げるほど。

他のゾンビとは雰囲気が違い、かなり手強そうだ。

ルカ「………?」

しかし何故か、このゾンビには見覚えがあった……

このゾンビは__

 

ルカ「……こいつ、まさか……!」

体格は全く違うが……さっきの部屋で見た、あの肖像画の少女に面影があった!顔がそっくりだ…!

クロム「ふふっ、気付いたようじゃな。このフレデリカこそが、儂の最高傑作じゃ!」

 

クロム「さっきの話に出てきた、富豪の娘の死体を元に造った強化ゾンビよ。この娘の屍は魔素との適合率が高くてな……ゾンビの素材として最適なのじゃ!」

ルカ「……許せない…!生命を全うした少女を、こんな姿にするなんて……!」

クロム「ふん、なんとでも言うがいい!さあフレデリカ、人間どもを潰してしまえ!

フレデリカ「了解しました……ご主人様……」

ルカ「くっ……!

相手は、罪もない少女のゾンビ。

剣を振るいにくい相手だが……それでも、戦わなければならない!

 

クロム「しっかし数が多いのぉ……ならば、ここは儂自らも相手をしてやるわ!」

ルカ「え!?お前……戦えるのか!?」

クロム「なにを、この儂がゾンビどもより弱いとでも思ったか?ネクロマンサーの妙技、その目で見るといい!__」

 

 

 

ネクロマンサー・クロムが現れた!

アンデッド・フレデリカが現れた!

 

 

ルカ「一気に2人か…!」

けど、僕が狙うのはクロムだ!

剣を抜いて、クロムに向かって駆け出す僕だったが……

 

フレデリカ「……………」

大きな拳が、僕に向かって振り下ろされたのだった!

ルカ「…!」

 

ジョージ「禍津(マガツ)ッ!!!」

気付いた時、ジョージが体から赤い蒸気を吹き出しながら攻撃を庇ってくれていた!

ジョージ「行くのだルカ殿!今は私に任されよ!」

ルカ「ああ、ありがとう!」

再び駆け出した僕を、フレデリカは止めようとするが………

 

カムロウ「風薙ぎ(かぜなぎ)!!!」

フレデリカの体に、衝撃波が当たった。

ジョージ「行かせはせぬぞ!貴様の相手は私たちだッ!!!」

フレデリカ「……………」

フレデリカはルカを追うのを止めた。

どうやら、標的をジョージたちに変えたようだ。

その様子を見たジョージは、腕を構えて仁王立ちした…!

ジョージ「来ませり、構えよ!」

パヲラ「ええっ!」

カムロウ「はいっ!」

 

ジョージ「ラクト殿とチリ殿は避難しても構わん!退けッ!」

ラクト「あ、あああ…じゃあ、そうさせてもらいますぅ……」

チリ「わ、わわわ私も、こ、腰が抜けちゃて………」

 

ジョージ「……来いッ!」

フレデリカとジョージ、互いの剛腕が激突したッ!!!

 

 

ルカ「クロム、覚悟!」

クロムに切りかかろうとした瞬間、突如空間から腕が現れて攻撃を防がれてしまった!

ルカ「腕…!?」

クロム「熟練したネクロマンサーならば、ゾンビの部分召喚なぞたやすい事じゃ!」

クロムはおもむろに呪文を唱え始めた!

亜空間から無数の腕が召喚される!

クロム「これらは全て、格闘家の腕じゃ!鉄拳の雪崩を食らうがよいわッ!__」

 

マモル「式神結界陣(しきがみけっかいじん)___」

ルカの前がバリアで覆われ、無数の鉄拳を防いだ!

クロム「む!?なんじゃこれは……魔法か!」

ルカ「これは……」

マモル「若ァ。何も考えずに突っ走るのは良くないですぜ。」

後ろからスタスタと、マモルが歩いてきた。

マモル「アンタ、クロムさんでしたっけ?随分自信家で高飛車なモンですなぁ。」

 

マモル「その自信に、王手かけてやらぁよ!」

クロム「何を!そう言うおぬしこそ自信家ではないかァ!」

 

クロム「身の程をわきまえよ!おぬしらが相手しておるのは、超一流の屍術師(ネクロマンサー)じゃあ!」

クロムは怪しげな呪文を唱えた!

亜空間から複数の棺が這い出て、中からゾンビ娘たちが現れた!

ルカ「ゾンビを呼び出したのか!?」

よくよく考えれば、ここはクロムの独壇場。

屍の多いこの場所じゃ、明らかに劣勢なのは僕たちじゃないか!

 

マモル「そぉい!」

マモルは紙式神を、ゾンビ娘たちに投げ飛ばした!

紙式神たちはゾンビ娘たちの体に札のようなモノを貼り付け始めた。貼ったのは、さっき呪いの人形娘を封印した破魔札だ!

破魔札を貼られたゾンビ娘は、次々に身体が動かなくなっていく……

クロム「ぬお!?なんじゃ!?」

クロムが呼び出したゾンビ娘は、全員ただの死体になってしまった!

 

クロム「どうした!?なぜうごかぬ!?」

クロムはブンブンと腕を前に突き出すが、ゾンビ娘は床に倒れ伏せたまま、動く気配がない。

クロム「これは……ただの浄化とは違う。おぬし、わしの呪法をかき消したのか!」

マモル「まあそういうことさぁ。アッシとアンタァ、同類ってことだよ。」

クロム「ふむ、そうか……ふふふ、ならば!」

不適に笑うクロム。すると再び、亜空間からゾンビ娘を呼び出したのだ!

クロム「おぬしのような、どこぞの馬の骨なんぞと一緒にされるのは心外じゃの!」

マモル「あぁそうかい!かかってこいやぁ!___」

 

 

一方、フレデリカと戦っているジョージたちは………

 

ジョージ「飛翔斬り……参るッ!」

ジョージは飛び上がって斬りかかった!

しかし、フレデリカは攻撃を避けた!

ジョージ「あの巨躯で…速い…いや、しなやかだな!」

 

パヲラ「カーディ贋(かーでぃがん)出二矛(デニム)!!!」

残像を残して移動したあとに、両足のつま先を鋭く突き刺した!!!

パヲラ「えっ……何よコレ…!?」

蹴りを終えたパヲラは衝撃を受けていた。

パヲラ「(あの感覚……恐らく筋繊維のスジ……にしては繊維一本一本が太すぎる!これが本当に死人の体かしら…!)」

 

ジョージ「禍津一閃(まがついっせん)!!!」

禍津(マガツ)を纏ったジョージは横に一閃した!

しかし、フレデリカはかがんで攻撃を避けた!

カムロウ「今だ、避けた瞬間ならすぐに行動に移せない…!そこを俺が!」

 

カムロウ「首が折れるほどの力で全力でぶん殴る!」

カムロウの右腕の筋肉が太く隆起した!

カムロウ「ドラゴニックブロー!!!」

部屋中に、殴音が響いた!___

 

フレデリカ「__……………」

フレデリカの眼はギョロりと、カムロウに狙いを定めていた。

 

__!?

 

カムロウ「首が……折れて……いない…!?」

カムロウ「(なんで耐えれた!?首が折れるくらいの力で……ドラゴンの力で殴ったんだぞ…!?)」

フレデリカ「……………」

カムロウの体を覆えるほど大きな拳。

__その大きな握りこぶしが、カムロウを貫いた!!!

 

カムロウ「__うがあああああっ!!!」

屋敷の壁を何枚も突き抜け、カムロウは吹っ飛ぶ。

ルカ「カムロウ…!?」

ゾンビ娘と交戦中でありながらも、予想外の事態に思わずよそ見をしてしまう。

ジョージ「馬鹿な……カムロウ殿の腕力は鉄をも捻じ曲げれるのだぞ!?それを耐えたというのか!?」

パヲラ「やっぱり、ただ体が大きなだけのゾンビじゃないみたいねぃ……」

ラクト「おいおい大丈夫かよアイツ…!」

吹っ飛んだカムロウの安否を確認するために、ラクトはその場を離れていった。

 

クロム「フレデリカ!こっちに加勢するのじゃ!」

フレデリカ「分かりました……」

ジョージ「ぬおっ!?何処へ行く!」

 

フレデリカはジョージたちから離れ、クロムのもとに向かう。

そして、ゾンビ娘を倒しつつあるルカを狙い定めて、攻撃を仕掛けた!

フレデリカ「排除する………」

ルカ「うわうわっ!」

ブオンッブオンッとブン回される巨大な腕。

動作こそ気持ち遅いくらいだが、目で追うのがやっとで、なんとか避けれる___

 

「わ___た_____し____」

ルカ「……?」

 

「わたし__を、__して……__」

不意に、誰かが僕に何かを囁いた……そんな気がした。

 

ルカ「え……?」

フレデリカ「お願い……私を倒して……」

無表情で僕に攻撃を仕掛けながら、フレデリカはそう口にする。

ルカ「な、なんだって……?」

フレデリカ「これ以上、こんな事は……もう、いや………」

ルカ「フレデリカ……」

 

クロム「なにをボソボソ言っておる……?ええいフレデリカ、やれ!」

フレデリカ「了解しました……」

ルカ「…………___」

 

チリ「__暗闇魔法(ブラインド)!!!」

 

突如、フレデリカの目の周りに黒いモヤがかかる……フレデリカは視界を塞がれた!

フレデリカ「………?」

チリ「離れて!!!」

ルカ「っ!わかった!」

 

チリ「麻痺魔法(パラライズ)!!!」

フレデリカの体にビリビリとした感覚が走る……フレデリカは麻痺した!

チリ「パヲラさん、動き止めました!けど少ししか持ちません!」

パヲラ「あら少しだけしか持たないの!」

 

パヲラ「十分すぎる時間だわねぇぇ~~!!!」

パヲラ「総技・ド烈鎖(ドレッサー)アアァァァ!!!」

貫手、ボディブロー、スレッジハンマー……

飛び蹴り、回し蹴り、かかと落とし………

パヲラは、持てる技全てをフレデリカの体にぶつけた!!!

 

フレデリカ「…っ~!!!」

フレデリカは床に倒れ、床が振動するほどの衝撃と倒れる轟音が鳴る。

パヲラ「ふぅ…………」

拳を前に突き出し、警戒の姿勢を緩めないパヲラ。

ジョージ「パヲラ殿。手ごたえは如何に?」

パヲラ「……ダメねい。全然効かない!」

 

その言葉通り、フレデリカは問題ないように起き上がった。

パヲラ「見た目通りの規格外だわ……急所を狙ったけどひるんでくれない、人体の常識が通用しないのよ!顎を殴っても脳震盪を起こさない!おそらく、首の筋肉か骨が太くて頑丈だから、しっかり固定されてるのだわ。」

パヲラ「これだけ大きな身体だもの。外部要因で改造をされていると推測できるわ。筋肉が女性由来の特徴じゃないのを見るに、第三者のモノが組み込まれているわね。」

クロム「ほほう!なかなか鋭いではないか!」

 

クロム「その通り!闘技場の闘士として散った女戦士の筋肉!若くして死んだ天才美女ピアニストの指!フレデリカの身体を基礎に、数10体以上の優秀な死体から選りすぐりの部位を移植しておるわい!」

 

クロム「これぞ強化ゾンビ!従来のゾンビを払拭した、儂の考える次世代型のゾンビじゃ!!巨躯でありながら繊細と敏速!巨躯ながらの剛力!剛と柔、フレデリカの奏でる技に溺れてしまうがよいわ!!!」

 

クロム「さぁ、フレデリカ!思う存分暴れまわれい!!」

フレデリカ「ふうううぅぅぅぅぅ…!!!」

ルカ「__! 防御態勢(ガードシフト)だ!早くッ!!!」

 

まるで闘牛のような深い呼吸をすると………

 

__フレデリカは暴れまわり始めた!!!

腕を振り下ろし、足を蹴り下ろし、狭い室内の中で、フレデリカは暴れ馬のように動く!

クロムが呼び出したゾンビ娘たちをも巻き添えにしているが……パヲラやジョージたちも攻撃をくらう!

ルカはフレデリカに蹴られて地面に伏す!

ルカ「うがあっ!!」

ジョージ「この巨体でこうも暴れると、手の付けようがない…!」

パヲラ「防御に徹しないとこっちがやられるわっ!」

 

ラクト「おい、カムロウ連れてきた……ってなんだこりゃああ!?とんでもねぇことになってるじゃねぇかよ!?」

ラクト「とにもかくにも!相棒!もう一回ぶちかましたれぇぇぇ!」

 

カムロウ「__ドラゴニック………」

壁から飛び出してきたカムロウは…

カムロウ「ブローォォォッ!!!」

暴れまわるフレデリカをぶん殴った!!!

 

カムロウ「うおおおおりゃああああああぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」

そして何度も何度も、ドラゴンの筋肉に変化させた腕でフレデリカを殴るが……

フレデリカ「ふしゅうううぅぅぅ……!!!」

それでも、フレデリカは止まらなかった…!

フレデリカ「……………」

フレデリカは蹴り上げた!!

カムロウの腹部に、フレデリカのつま先が刺さる…!

カムロウ「ぅぐわあっっっ!!!」

そのまま天井を突き抜け、カムロウの姿が見えなくなる…!

 

ラクト「て、てめぇ!このっ!」

ラクトはバールのようなモノを投げた!

フレデリカの顔に命中したが、あまりダメージがないようだ……

ラクト「あっ!す、すんません…!」

フレデリカ「……………」

 

当たりは酷い有様だ。

室内はさらに崩壊している。高価そうな壺も割れ、シャンデリアだって粉々だ。

それでもフレデリカの暴走は、今だ健在であった。

フレデリカ「………………__」

 

フレデリカ「___こんなの、もう嫌……」

そんな声が、聞こえた。苦しそうな声だ。

ルカ「また……聞こえる………」

 

フレデリカ「私を倒して……解放して……」

フレデリカがそう、呟いた気がした……

ルカ「………!!」

その言葉を聞いた時…………

___僕は、勝手に体が動いていた。

 

雷鳴突きの要領で鋭く踏み込み、フレデリカの懐に入り込む!

ルカ「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」

剣を振り回して斬撃を浴びせる!

まだ封印までには至らない。それは分かってる!

でも僕は____

ルカ「待ってて……!」

 

ルカ「__必ず助けるから!!!」

フレデリカ「………………?」

クロム「むむっ、しぶとい奴め……こうなったら、お前の必殺技を見せてやれ!」

フレデリカ「了解しました……」

ルカ「ぐっ、何を……!」

 

クロム「調子に乗るではないぞ!」

クロムはおもむろに呪文を唱え始めた!

亜空間から無数の腕が召喚され、ルカの全身に群れ寄る!

ルカ「こ、これは……!?うわぁぁぁ……!」

ルカの体は、無数の腕に拘束されてしまった!

クロム「くくく………このまま、料理してくれるわ!」

 

クロム「剣闘士の腕!暗殺者の腕!!」

武器を持った腕、筋肉質な腕……亜空間から様々な腕が現れる!

クロム「このわしの実験の邪魔をする愚か者はこうじゃ!全てその身に受けるがよいわ!」

拘束され、身動きの取れないルカの体に、剣や暗器が突き刺さる…!

ルカ「ぐあああっ……!!!」

 

クロム「__さて、知っておるか?脚の筋力は腕の3倍強いと言われておるそうぞ。」

ルカ「え…!?」

 

クロム「フレデリカ!オーバーキルコマンドじゃーッ!」

フレデリカ「了解しました…!!!」

フレデリカは勢いをつけ、飛び上がって両足を突き出し……___

 

ドロップキックを放った!!!

ルカ「ッッッ!!!______」

 

人の何倍もの巨体から放たれるドロップキック。

しかも、改造されてさらに強くなっている脚力から放たれるそれは。

凄まじいの一言よりも大きいことだろう。

カムロウが受けた攻撃よりもさらに威力がある、それを確かに感じさせる威力であった。

壁に開いた穴がさらに大きくなっており、攻撃の余波がさらにひどくなっているのだ。

チリ「ルカが、やられた…!?今の受けて、大丈夫なのかな…!?」

 

クロム「はっはっは!どうじゃ見たか!これぞ我が最高傑作よ!!!だが、驚くのはまだ早いぞ!フレデリカの力はこれで終わりではないわい!!」

クロム「フレデリカの体は、まだ改造の余地がまだある。つまり、儂の研究が進めばさらに強くなるのじゃー!」

 

カムロウ「___だから俺が止める……!」

クロム「…む。」

カムロウ「さぁ来いよ…!俺はまだヤれるぞ!!!」

そうして立ち上がる、勇者の仲間たち。彼らの目にはまだ、闘志が燃えたままだ。

 

クロム「はぁ、まだ戦えるのか。丈夫な体じゃのぉ……じゃが、有効に使えそうな体じゃな。」

クロム「お前たちも死体にしてくれるわッ!!!」

またもゾンビを呼び出すクロム。

ラクト「また呼びやがったよ…!こ、ここは俺がバールで………」

マモル「ゾンビとクロムはアッシがやる。」

ジョージ「…ぬ。」

 

マモル「兄さんは若を頼む!行け!」

ジョージ「(……あのマモルが真剣(マジ)になっているとは…!それほどの強者か!)」

ラクト「じゃ、じゃあ行くか!チリも来い!今のはヤベェかも!」

 

マモル「__おい兄さん!」

投げつけるように紙の式神をラクトに飛ばした!

ラクト「あぁ…?」

マモル「後で読め!以上!」

ラクト「お、おう……」

 

 

___ルカを探しに来たラクトとチリ。

突き抜けられた壁を真っすぐに進むと、崩れた木片の中から、血が滴っているのが見える。

チリ「こ、これだよね……どうみても……」

ラクト「おいルカ…__!?」

 

木片を退かすと……満身創痍で血みどろで、しかも腕が今にも千切れそうになったルカがいた。折れた腕から骨が突き出ている。

 

ルカ「……肺に…肋骨が刺さった……歯もどっかいったし目も潰れた……骨盤も割れたし、脊椎も折れた……頭がぐわんぐわんする……吐き気がひどい……頭蓋骨、割れて脳みそがちょっと漏れてるかも……」

ラクト「うげぇ…生々しい…ってッ!お前ェ!?死ぬなよ!?」

 

ルカ「大…丈夫……呼吸し…辛く、て回復速度は、遅い、けど……」

攻撃を受けた瞬間から、瞑想で回復を試みていたようだ。

やや治りは遅いが、傷が塞がり始める。

チリ「えっと、肺の方を治癒魔法で治せば良い?」

ルカ「うん…あとは自分で、治せる…………」

どういうわけか、潰れた目も元の形に戻り、千切れかけてた腕もくっつき始める。歯も新しいのが生えてる。

ラクト「なぁ、チリ……ハーブ食うよりもコイツの方がよっぽどおかしいんじゃあねェの?」

チリ「うん。それはそう。」

ルカ「ごめん何の話!?」

 

チリ「……ルカ、勝てる?アレに………」

ルカ「…分からない。けど………」

 

ルカ「__勝たないと………!」

 

ラクト「……逃げる気はないってか。あ~くっそ。どうすりゃいいんだ……にしてもマモルのやつ、後で読めって何を……」

カサカサと紙式神を開いて中を覗いたラクト……

ラクト「……ははぁん。」

 

 

__フレデリカ&クロムと戦っている仲間たちは………

 

 

 

パヲラ「ハアッ……ハァッ………」

ジョージ「パヲラ殿!もう退くべきだ!!それ以上は危険だ!!!」

カムロウ「(違う…限界なのは2人ともだろ!?俺は回復魔法(ヒールパウダー)を併用しながら戦っているけど……2人は回復手段を持ってないんだ。)」

フレデリカと相対していたパヲラ、ジョージ、カムロウの3人。

しかし、ゾンビならではの体力と強靭な肉体を持つフレデリカを前に、パヲラとジョージには限界が近づいていた。

カムロウ「(だから俺が、どうにかしなきゃいけないんだろ!?)」

 

カムロウ「ドラゴニッ___」

フレデリカ「……………」

殴りかかってきたカムロウを、フレデリカは殴り落とす。

カムロウ「ぎゃあっ!」

めげずに、もう一度特攻するカムロウ。

カムロウ「ドラゴニック……」

フレデリカ「……………」

今度は蹴り飛ばすフレデリカ。

カムロウ「うぎゃあっ!」

 

カムロウ「(だめだ速すぎる……!いや、俺が追いついてないのか……)」

カムロウ「(ドラゴニックライブの筋力龍化は、腕の力だけにしか作用していない。力だけが龍になっただけで、俺自身の速さの方は何も変わってない……考えろ…!アイツ(フレデリカ)の情報は蓄積し尽くしたんだ!後は対策するだけ!考えろ考えろ……!)」

 

カムロウ「(___そうだ……パヲラさんの体術を真似しよう!)」

カムロウ「(パヲラさんは魔導拳を使う時、体の魔力循環が高速で行われてるって…!それで強化してるんだって……!)」

 

カムロウ「(ドラゴニックライブは……古龍族の力を、人間の身体で引き出すために考えた体術……だったら!古龍族の力である生命エネルギーも、この身に宿す!!!体の内側に循環させるんだ!!!)」

 

カムロウ「ドラゴニックライブ……!!!」

今まで手から、剣を伝って出してきた暖かな光………

それをッ!逆流ッ!

身体の内側に!万遍なく流し込もうッ!!!

 

カムロウ「うおおおおぉぉぉぁああああああぁぁぁぁぁ!!!」

 

カムロウ「(龍の力を保持しながら……脚力を……!腕だけじゃなく脚まで……素早く……素早く………)」

 

カムロウ「ドラゴニックライブ………!!!」

カムロウの体に、淡い光が輪郭のように輝き始める………

 

フレデリカ「………」

その間にも、フレデリカはカムロウに攻撃を仕掛けようとしていた__

 

フレデリカが拳を振り下ろした瞬間、そこから稲光が走った!!

フレデリカ「…………?」

文字通り……稲光が走って移動していた。

人型の何かが、そこから離れた___

 

すでに稲光は、フレデリカの顔横にまで迫っていた__

それは、淡い光を纏ったカムロウであった!!!

 

カムロウ「ドラゴニックキックッ!!!」

フレデリカ「………っ!」

フレデリカの頬に、カムロウの回し蹴りが当たる!

 

ジョージ「む!?何事か…!?カムロウ殿の体に異変が…!?」

パヲラ「いえ……生命エネルギーを体内に込めて戦っているわね。」

ジョージ「なんと!では、カムロウ殿が新たな戦い方を!?」

パヲラ「ええ、あれは___」

 

カムロウ「__ドラゴニックライブ……【電蝗速化】!!!」

 

カムロウ「ドラゴニックキックッッッ!!!」

床を蹴り、壁を蹴って移動しフレデリカの背中に回り込んだカムロウは、強烈な飛び蹴りを放つ!!!

フレデリカ「っ…!!……ぁああああ!!!」

すかさず背後に回し蹴りを放つフレデリカ。

カムロウはさらに床を蹴り上げ、天井を蹴ってフレデリカの腹部に脚をめり込ませた!

カムロウ「ドラゴニックキックゥゥゥッッッ!!!」

フレデリカ「ああぁぁっ!!!」

 

カムロウ「(こいつ、さっきからノーガードだ。全く防御しようとしない……だったら何度も何度も何度も、何度でもぶつけてやる!!!」

カムロウ「うおおぉぉぉりゃああああぁぁぁ!!!___」

ジョージ「おお!見事な戦い方だ!!速さで圧倒し、あのゾンビを翻弄しておる!」

パヲラ「……………」

 

パヲラ「(なんだ、やるじゃないか……私の手ほどきも、必要なさそうだな………)」

光と電気を纏いながら戦うカムロウを見て、パヲラはどこか…安泰した表情をしていた。

パヲラ「(そう、そうだよ。そうやって……私を、この先を、超えていけ……!カムロウ君……!)」

 

 

マモル「禍津乱槍撃(まがつらんそうげき)!!!」

クロム「ゾンビよ!前へ!」

式神を駆使して戦うマモル。ゾンビを操って戦うマモル。

 

クロム「…むむむ!?フレデリカが押され気味ではないか!?」

マモル「おっと、行かせねぇよ!」

槍を持って、クロムの前に立ちはだかるマモルだったが__

 

クロム「貴様のようなヤツには、お注射じゃ!」

クロムは、注射器で変な薬を注射してきた!

マモルの体は麻痺してしまった!

マモル「(くっそ……こいつ……!)」

クロム「くくく、こうなっては何もできんな……そこでおとなしくしておるがいいわ。」

麻痺した体で倒れ込むマモルに、ゾンビ娘が群がり始めた!

マモル「いだだだっ!うわっ!いでぇ!」

クロム「おっと、そういえば儂のゾンビが残っていたの。ほれ相手してやれ。」

 

 

ラクト「__おいお前ら!ルカは生きてるぜ!って大丈夫か!?」

戦場に戻ってきたラクトとチリ。

ジョージ「ラクト殿!チリ殿!私はともかく、パヲラ殿に手当を!」

ラクト「んなら、これ飲め!調合したハーブだ!」

ラクトがカバンから取り出したのは、ガラスの筒状に入った薬。

中には緑と赤の粉が半分ずつ入っている。

クロム「はぁ。薬草如きで傷が塞がるなど………__」

 

パヲラ「__ん~ふっかーつ!」

クロム「は…はぁ!?」

服用したパヲラは、完治した!

クロム「い、い、いや、おかしいじゃろ!?」

ラクト「えぇ、だって……」

パヲラ「治るモノは治るし………」

 

クロム「魔法ならともかく、たかが薬草ですぐにでも傷が塞がる…いや、完治するなど!常識的に考えて不可解ではないか!?」

ラクト「え、だって……」

パヲラ「赤と緑が混ざってるから……」

クロム「どういうことじゃ…人間の身体は全てこうなのか…!?」

 

 

ルカ「__隙ありッ!雷鳴突きッ!!!」

あっけにとられているクロムに向かって、ルカは雷鳴のように踏み込んで突きを放つ!

クロム「うおっ!?なんじゃこやつ!フレドリカのオーバーキルコマンドを受けて、何故生きておる!?」

クロムは懐からノコギリを出して防御する。

 

クロム「まさか、ハーブか!?」

ルカ「いやハーブって何の事!?」

 

カムロウ「ルカ!作戦は!?」

ルカ「いや、全く無い!けど思いつくといったらもう……」

 

ルカ「……もうごり押すことしか思いつかないな……!」

剣を構え、いざ戦おうとしたとき…ラクトが耳打ちをしてきた。

 

ラクト「それと…分かったぜ!ゾンビの弱点!」

ルカ「ゾンビの弱点!?それって火とか聖なる力とか……」

ラクト「あぁ、いや…そういうのじゃあなくてな。」

 

ラクト「さっきマモルが調べてくれたんだ。」

紙の式神を開いて中を見せてきた。

箇条書きであるが、殴り書きで文章が書き連ねてあった。

ラクト「クロムの作ったあのゾンビ……他のゾンビと違ってクロムの命令こそ聞くが、むしろクロムから具体的な指示が出ねぇと複雑な行動が出来ねぇらしいんだ。」

ラクト「マモルがクロムの相手してる理由はそれだ!クロムの妨害をして、命令させねぇように陽動してるんだ!」

 

ラクト「相手はネクロマンサーだ。でかいゾンビはどっかに誘導させて、その間にクロムとかいうアイツをぶっ潰せばオシマイだぜ!」

ルカ「…………………」

 

ルカ「先に、フレデリカを倒さないと……いや……」

 

ルカ「__助けないと…!」

ラクト「た、助ける…?」

ルカ「あの人……泣いているんだ………!」

 

ルカ「僕には聞こえたんだ…フレデリカが語り掛けてきたんだ…!もう嫌だって…!解放してくれって……!!」

ルカ「だから、僕は……彼女を……!」

 

ルカ「__フレデリカを助けたいッ!!!」

 

クロムによって安らかな眠りを邪魔され……

そして意に沿わぬ体にされてしまったフレデリカ。

しかしクロムの命令には逆らえず、僕たちに襲い掛かってくる__

そうしながらも、彼女の魂は抵抗しているのだ。

僕に出来る事はただひとつ。忌まわしい肉体を倒し__

フレデリカを解放してやることだ!

 

パヲラ「泣いているレディだなんて、ルカちゃん粋なこと言うじゃない。」

パヲラ「あたし、そういうの見過ごせないのよねぇ!」

 

パヲラ「ラクト!なにか陽動できる!?」

ラクト「い、いやぁ俺に言われたってよ、魔力すっからかんなんだよ。」

パヲラ「魔法でも道具でも何でもいいわよ!」

 

パヲラ「彼女(フレデリカ)の視覚は本能に従って光るモノとか動くモノに反応していると思うわ!!ただ視界に入った情報を整理するまでの能力は無くなっているだけよ!」

ラクト「はっは~ん。そういうことか!だったら丁度良かった、それにビッタなモンを丁度仕入れてよ!この俺様が天才的な発明と改良と改造を重ねて作り上げた傑作があってよ!娯楽にも陽動にも使える素ン晴らしいシロモンだと自負しちゃうくらい___」

チリ「早くしてよ能書き垂れてる場合っ!?」

 

ラクト「特製!空中炸裂ネズミ花火!!!」

ラクトは花火を点火した!世にも奇妙な、宙を舞うネズミ花火が炸裂した!

フレデリカ「………?」

宙を回転し、炸裂するネズミ花火。

フレデリカはそれを理解できないまま、ただ眺めていた。

そこに____

 

カムロウ「ドラゴニックブロー!!!」

パヲラ「魔導拳奥義・鎧砕き(クラッシュボーン)!!!」

身体に鈍い衝撃が走る!!

 

フレデリカ「__ぅ!!!」

振り払うように、腕を動かす__

 

また、光るナニかが、またフレデリカの視線を奪う___

 

ルカ「はああっ!!!」

ジョージ「ぬおおおっ!!!」

今度は背中に、剣や刀が突き刺さる!!!

 

フレデリカ「__ぁぁあ!!!」

背中の違和感を掴んで、投げ捨てる__

 

どうして。

痛みなんて感じないはずなのに___

どうして振り払おうとしているの____

 

ルカ「ふぐぅぅっ…!」

 

何度も何度も振り払われ……

床に叩きつけられても……

血を吐いても……

 

ルカ「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

剣を構え、奮い立ち。

傷付きながらも何度も立ち上がり、何度も立ち向かうルカ。

その背姿を、マモルは倒れ伏しながらも眺めていた……

マモル「……………___」

 

 

マモル「__最近さ、感じる時があるんだ。」

ジョージ「__感じる?何を思う。」

マモル「__(ルカ)が、ショウトと同じように見える。」

ジョージ「__…………」

 

マモル「__重なっちまうんだ。どういうわけか。」

ジョージ「__無茶をするところとかか?」

マモル「__そう!そうそう!そういうトコ!ショウトのヤツもさ、結構無茶してたんだぜぇ?」

 

マモル「__自分の事より相手の事、体が先に動いちまうんだと。お前さんと出会った時もそうだったさ。後で聞いた話なんだけどさ、アッシらの見えない裏でえらい頭下げてたんだってさ。」

 

ジョージ「__【自己犠牲の精神】……か。」

マモル「__お前さんもどこか引き継いじまったトコあんのよな。」

 

マモル「__……(ルカ)さ……死ぬよな。あのままじゃ。」

ジョージ「__うむ。自己犠牲が行き過ぎる。だからこそ、そうはさせん。ショウトの時と同じようなことには。」

マモル「__アッシも同じさ。御恩がある。死なせるつもりはねぇ。」

 

マモル「__(ルカ)のために、命尽くすまでよ!」

 

破門された時の事を思い出す。

「仇のために一族の術を使うなど、私利私欲のために行使するのと同意。」

そう咎められた。

ムカついたから一族全員、一人一人丁寧に殴って縁切ってやった。

 

…けど。

……そうじゃあ、ねぇんだよなぁぁ…………

 

善のための悪……善を成すために、悪に染まらなけらばならない時もある。

綺麗事じゃ済まねぇんだよ……旧い考えした旧世代の阿呆共がよぉ…!

 

__アッシらは!汚れ仕事しなきゃァいけねぇときもあんだよ!

 

 

クロム「ええい、寄ってたかってフレデリカを狙うか!ゾンビたちよ!援護するのじゃ!!」

クロムはゾンビ娘たちに指示を下した!

しかし___

 

クロム「……むむ!?」

どういうわけか何人かのゾンビ娘は、クロムに襲い掛かる!

クロム「どうした!?なぜ儂を狙う!!!」

止めると命令を下すも、まったく効かない。

仕方なく実力行使で、ノコギリで切り払って動きを止めた。

動作不良?なぜだ?なにがあった___

 

ハッ…と気付いたクロムは、床に倒れたマモルに視線を向ける。

クロム「さては貴様だな…!?そうに違いない!何をした!!!」

マモル「おぉ、物分かりの良いヤツだなぁ。」

 

マモル「なぁに。どうせ一縄筋じゃいかねぇと思ってさ。お前さんは、アッシと同じ……式使いで、搦め手が得意………」

 

マモル「___だから、先手を打たせてもらったぜぇ。」

 

クロム「…!このゾンビは、今もまだ麻痺で動けないハズの貴様を襲っていたゾンビではないか!?」

マモル「あぁ。これがアッシの先手さ。」

 

マモル「お前の使役するゾンビの(プログラム)を書き換えたのサァ!」

 

クロム「ほう!驚いたぞ。呪法を消すだけでなく、利用するとは。ここまでやるとは知らなかったぞ。」

クロム「じゃが、相手が悪かったのう!ゾンビの動きを乗っ取ったところで、儂にはまだ死体が残っておるわい!!」

クロムはゾンビを読み出した!

亜空間から、新たなゾンビ娘が現れる……!

 

マモル「おっとっと、一つ言っておくぜ。」

 

マモル「アッシの書いた式なァ。()()ぜ。」

クロム「……なんじゃと?」

 

新たに呼ばれたゾンビ娘に、マモルが操るゾンビ娘が嚙みつくと……

なんと、クロムに襲い掛かるように行動を変えた!!!

クロム「…! ()()とは…まさか!儂の呪法が、ゾンビを介して上書きされるとでもいうのか!?」

 

マモル「へはははは!!!はっははははははははは!!!ゾンビの作りすぎが仇になっちまったなァァァ!!!どれがどれだか分からねぇだろ!?」

クロム「くっ…!」

そうして迫りくるゾンビ娘を、ノコギリで切り払うクロム。

クロム「な、なんじゃこやつら!このような動きなどしなかったハズ……」

マモル「そりゃアッシが動かしてんだからな。アッシとお前さんじゃあ、思考の根底が違う。今、アッシが動かしているゾンビたちはな。身に付けている恰好や身体から推測して、最も力を引き出せるような動きをさせてるのサ。」

 

マモル「お前さんは一人の人間を強くするために、幾多の人間を食いつぶした………………なぁ。何が言いたいか、分かるか?」

 

マモル「__てめぇは故人を無礼(ナメ)たんだよ!!!」

 

 

 

パヲラ「マモルちゃんがクロムを妨害しているわ!その間に早く倒すわよ!」

 

パヲラ「…って陽動は!?なにやってるの!?」

ラクト「いやもう在庫ねぇのよ!」

花火の入っていた袋はもう、すっからかんであった。

陽動なしの間でも、ルカたちはフレデリカと交戦を続けている。

 

ラクト「だあ~!何使えりゃいいんだよ~!」

魔導銃、トンカチ、ロープ……カバンからあれやこれやと道具を取り出してはしまう。

チリ「…………」

横目で見ていたチリは、()()()()が目に入ると……

チリ「拝借!」

 

不意にそれを奪った!

ラクト「あああ~!俺の土人形(ゴーレム)!」

チリ「しばらく借りるよ!今のアンタが持ってても意味ないでしょ!」

それは、ラクトがマモルから教わって作った土人形(ゴーレム)

魔力を込めることで、使用者の動作に連動して動かす代物だが………

 

チリ「パペット・クレイドール(操土人形)!!!」

チリが操る土人形(ゴーレム)は一味違った!

まるで波のようにうねり、変幻自在を強調するかのような使い方であった!

チリ「私がこれで彼女の動きを止める!!!」

チリが土人形(ゴーレム)を操る。

地を這うように波打ち、フレデリカの体に纏わりつくと……フレデリカの四肢を拘束した!!!

 

カムロウ「今だ……!電蝗速化(ドラゴニックライブ)!!!___」

体中から迸る光と電流を束ね、カムロウは高速移動してフレデリカに接近する!

 

クロム「いかん!今ここで、フレデリカがやられるわけには__」

ルカ「__邪魔はさせない……!」

クロム「くっ!」

 

クロムのノコギリと、ルカの剣が衝突した!

 

ルカ「クロム。お前が作り上げたゾンビは確かに凄いよ。けど………その力を…それをフレデリカは望んだのか!!()()()()()が!誰かを傷つけるだけの力が強さか!?」

ルカ「そんなのが強さであってたまるかあああぁぁぁーーーッ!!!」

クロム「ええい癪なぁ!はよう離れろ!!!」

 

クロム「お前たちさえここに来なければ、こんなことにはならなかったというに__」

 

「「だから()たちはここにいる!!!」」

 

カムロウ「(ドラゴニックライブ…力みすぎるとダメだ……龍の力を出しすぎると、龍の姿に変身するような感覚に身体が引っ張られる……)」

カムロウ「(でも……!今ァ!!!持てる力の全てを叩き込まないとッ!!!)」

 

カムロウ「ドラゴニックライブ!!!!!」

その象形、腕を振り下ろす龍の姿なり!!!

カムロウ「ドラゴニック・ハンマーアアアアアアァァァァァァッ!!!!!」

カムロウは縦拳を振り下ろしたッ!!!

 

フレデリカに、カムロウの縦拳が叩き込まれる!!!

地を揺るがすような衝撃が、周りに響く____

 

……すると、床がグラグラし始めた…!?

ルカ「ふぅ……わわっ!床が!」

激しい戦いを繰り広げられたからか、それとも今のカムロウの拳の衝撃が強すぎたのか、足元の床がグラグラになってしまった。

さっきアリスが暴れた時も簡単に床が抜けたが、この屋敷は相当に脆いらしい。

そんな事を考えている間にも、床はミシミシと崩れていく……

ラクト「おおおお!?なんだなんだ!?」

ルカ「ま、まずいぞ……!これは……!」

クロム「わわわ、儂の研究所が……!」

このままだとそのまま床が一気に抜け、僕たちとクロムは地下へと落ちてしまう……!

けど…まだだ!

まだ僕には、やらなければならないことがある!

ルカ「ジョージ、ごめん!」

ジョージ「御意!」

床が崩れ落ちる前にジョージを踏み台にして、僕は宙に飛ぶ!

ルカ「(今…助けるから…!)」

 

真下を見ると、床の下にあった空間が広がっている。

その中に、仰向けで倒れるフレデリカの姿が見える___

 

フレデリカ「お願い、私を……___」

ルカ「……ああ、分かった!」

 

フレデリカ、これが今僕にできる精いっぱいの___

鎮魂歌___

 

ルカ「天魔……頭蓋斬ッッッ!!!」

 

全体重を剣に乗せて、フレデリカの胸に突き刺す!!!

フレデリカ「ありが……とう……___」

フレデリカの身体から溢れる粒子が、散らばり、消え失せていく。

これで、フレデリカの魂は解放されたのだろうか__

 

フレデリカをやっつけた!______

 

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