宇宙世紀0077
時は早いもので、俺が士官学校に入校してから一年が過ぎ去っていた。そうなってくるとまぁ、宇宙はすんごいきな臭くなっていた。どっかの馬鹿野郎がサイド3の農業プラントをぶっ壊しやがったからな。
「おいおい、嘘だろ…」
「うわぁ…マジかよ」
まぁそんな事件が起きたので食堂では多くの士官候補生達が集まってテレビに齧り付いていた。無論俺もだ。なんてたってそんなの知らんかったからな。情報収集としても最前列で見ていた。
まぁ農業プラントが吹っ飛んだ理由が連邦軍所属、サラミス級の管制無視からの接触事故、そしてそのまま誘爆だって言うんだから心の中で笑ったが。馬鹿な事をしやがったとすら思ってる。
『その為サイド3では独立運動の機運が高まっており、現在大規模な暴動が起こっています。これに伴い連邦軍駐留部隊は治安維持活動を強化。ガーディアンバンチからズムシティへと治安部隊が派遣されています。特に一部市民は武装蜂起しており、かなり強力な治安部隊が派遣される模様です』
「わぁ…こりゃあもう戦争か?」
「まっさかぁ、こんなので戦争したらジオンは直ぐに負けるぞ。なんてたって首都にも他のバンチにも駐留部隊がいるんだからな」
「だよなぁ?」
そんな駄弁りを聞き流しつつ、俺はテレビを見る。映像では行進している市民に発砲する連邦軍の兵士や、武装蜂起した市民に戦車で吹き飛ばす映像が流れていた。
…正直な事を言うと、連邦軍に入ったのはミスだったかも知れない。だってこんな虐殺してたら恨まれて当然だ。ただでさえ宇宙では死活問題と言える農業プラントを吹き飛ばして物資と人命を失わせている。大義なんて何処にもありゃしない。だというのに暴動を起こす市民達に銃撃まで喰らわせている。これじゃあどちらが正義かなんて明白だ。
「まぁ、連邦が勝つだろ」
「だなぁ。飯食おうぜ、ヤナギ」
「あ、あぁ…そうだな」
そんな学友達の呑気な会話に相槌しつつ、俺はテレビから目を離して昼食を食べた。
ーーー
それから数日後。事態は大きく動いた。
『緊急速報です!!ガーディアンバンチにてジオン軍士官候補生達が武装蜂起、隣接していた駐留部隊の一個連隊を武装解除させました!この影響によりサイド3のズムシティで治安維持活動を行なっていた駐留部隊は活動を中止、駐屯地へと退却した模様です!』
「うっそだろ!?士官候補生達が武装蜂起して、しかも勝つだって!?」
「おいおい、冗談だろう!?」
「…こりゃあ、流れが変わったな」
そう呟き、考える。明らかに流れが変わる事に。
(まさかと思ったが、まさかだなぁ。確かに一個大隊はズムシティの治安維持に駆り出されて居なかった。だが2個大隊はそのままいた筈なんだ。しかも戦車だって少なくとも一個小隊、いや二個小隊はいる筈だ。なのにそれで負けるとかどんだけボンクラなんだよ)
そんな悪態を心の中で言いながら、制圧されたガーディアンバンチ駐屯地の映像を見たんだ。
尚あまりの集まりに教官達から説教された。