シャディク!君が!泣くまで!殴るのをやめない!
そんな事を考えておりました。
そんな事より進出状態の確認、誤字報告ありがとうございます!
では、どうぞ。
「ミオミオ。入学初日から決闘なんて、気が早すぎだと思うんだけど・・・」
「あら、私との約束を破る気?優しいアルマならそんなことしないわよね。なら、四の五の言わずにやりなさい」
「ニカ」
「頑張ってアルマ。私、絶対アルマが勝つって信じてるから。あんなプライドだけ高い奴なんて、簡単にやっちゃって」
「エラン」
「大丈夫。アルマならグエルを瞬殺できる」
「味方・・・味方が誰もいない・・・」
味方がいないことに頭を抱えて絶望しているアルマ。こうなったのは入学式まで遡る。
学園のモノレールを降りた時には、生徒が距離をおいて私を囲んでいた。こうなることはわかりきっていたことだが、実際に体験すると嫌な気持ちが私の中に渦巻いていた。
「あー!やっと見つけた」
声が聞こえた方を振り向くとアルマが手を振っていて、その隣でニカがあわふたしていた。
周りの生徒共はひそひそと話し始める。大方、総裁の娘に気安く話しかけられるあいつは何者なのだと。
私は早足でアルマのもとに向かい、頭に一発食らわせた。アルマは何故殴られたのか理解してないようで、頭を抑えながら涙目で私を見ていた。
「ナンデナグルノ・・・」
「あら、わからない?わからないなら、もう一発食らわせようかしら」
「ま、まぁまぁ。落ち着いて、ミオリネさん」
周りの奴らに気にすることなく私を探す。そんな愚かな事を平気でやってくれるアルマを見て、多少は(殴って)すっきりできた。
「まったく・・・。あんたも大変よね。こんな子供の世話しなきゃいけないんだから。本当は迷惑してるんでしょ、こいつの世話するの」
「私は別にアルマの世話をするのは嫌じゃ」
「おはよう!ミオミオ」
「ほ?」
抑えた手を戻し、アルマは無垢な笑顔で私に挨拶をした。だが、私の名前ではなく、ミオミオと言った。もしかして、私のあだ名なのだろうか
「おはよう、アルマ。てか、ミオミオって何よ?」
「え?」
「何って、あだ名?。あれから考えたんだけど、ミオリネってなんか言いづらくてさ。で、考えて考えた結果、ミオミオになりました」
やっぱり私のあだ名だった。というか、別れてからそんな事を考えていたのか、こいつは。てか、あだ名のセンスが無さすぎる。
「却下。というか、あんたと私、そこまで仲良くなった覚え、ないんだけど」
「え~。星が見える場所であんなぁ!?「あの事、言ったら殺す」ハイ、スミマセン。ホントウニ、スミマセン」
私はアルマの胸ぐらをおもいっきり強く引っ張り、耳元で忠告する。こいつ・・・!あの夜、交わした約束をベラベラ喋ろうとするな。周りの奴らに聞こえたらどんな噂を流されてしまったらたまったもんじゃない
「じゃあ黙ってるから、ミオミオって呼んでもいい?」
「ハァ・・・好きにすれば」
「やったー!」
だから、うるさい!と言ってから、先程から黙っているニカを見てギョッとする。ニカの目に光はなく、アルマ方に顔を動かす動作はまるで動きが悪いロボットそのものだった。
「アルマ、ミオリネさんのことミオミオって?星が見える場所ってなんのこと」
「ん~・・・内緒かな。それより、早く行かない?時間、間に合うとは思うけど初日から遅刻は不味いでしょ」
珍しくアルマの言うとおりで、周りにいたはずの生徒は数えるくらいしかいなかっただけではなく、時刻も式が始まる時間まであと一時間ぐらいだった。
「そうね。早く行きましょ」
「了解であります。ニカ。ニカ?」
「いつの間に仲良くなっていたんだろう。そんな素振りなんて、一度も見せなかったのに。まだ様子見した方がいいよね・・・もし、好きになったら・・・消すしか」ブツブツ
「ニカってば!」
「えっ!?」
「時間迫ってるから早く行こうよ」
「そ、そうだね。行こう」
私はアルマ達が動くより先に歩いていたのだが・・・何故だかわからないが、一瞬背筋が冷たくなり身震いする。
風邪を引く前兆だろうか。
入学式が終わった。教室で先生による軽い説明を受けた後はランチの時間になったので、私は食堂に向かうと何故か雰囲気がざわついている。
私は気にせずに辺りを見渡す。アルマの事だから、先に行って席を確保しているだろう。
案の定、アルマ達がいて、アルマが私を見つけると手を振った。食堂にいる全員の視線がアルマと私に向けられたが私は気にせずにニカの隣に座った。だが、なぜ
「ミオミオに紹介するね。パイロット科二年のペイル・テクノロジーズ社が擁立しているエラン・ケレス。でもって、僕の友達」
「初めまして」
なぜ、ホルダー候補の一人で、一年上の奴と一緒にランチを食べているんだろうか、こいつは。
「あんた、ペイル社とどういう関係よ。そいつは下手したら、あんたの敵に「ならないよ」」
「表沙汰にはされてはいないけど、ペイル社はアナハイム社から技術提供を受けている。だから、アナハイム社に楯突こうならペイル社は衰退するだろうね」
そう言って料理を口に運ぶ
「あんた、ペイル社に擁立されているのよね。なんでそこまでボロクソに言えるのよ」
「僕はペイル社にあまり良い思いはしてないから」
私の疑問を奴は涼しい顔で、ペイル社の待遇不遇を躊躇いもなく言った。この会話をペイル寮の人が聞いたら、間違いなく摘発される案件だ。なのに平然としているこいつに、私は余計に疑いの目で見るしかなかった。
そんな私に対して、ニカはエランさんはあまり感情は表に出さないけど、いい人ですよ。と助言したが、私にとっては危険分子に変わりない。だからこそ、どんな関係だろうと早急にアルマから離さなければならない。そう思っている時に奴が来た。
「よお、ミオリネ。久しぶりだな」
前髪だけマゼンタ色に染めた男、グエル・ジェタークとその取り巻きと思われる連中が私の隣に立つ。
グエル・ジェタークという男は小さい時からグループのパーティーに出席していて、最初は良い印象をもっていたのだが、年が経つごとに悪化した。
父親を尊敬し、会社を発展させることが自分の使命だと誇らしげに言うあいつを見て、私はただ嫌悪するしかなかった。
「そんな嫌そうな顔・・・おい。なんでケレスがいるんだよ」
グエルは私の嫌そうな顔を指摘したが、ケレスを見ると攻撃的な態度をとり始める。他社のライバルが食事の席にいる時点で自分にとっておもしろくないのだろう。
「僕は親友に会いに来ただけだ。彼女に興味はないよ」
「親友だと?まさか、そこの赤毛の奴じゃないだろうな」
「そうだけど、なにか問題でもあるのかい?」
グエルはアルマに向かって指をさすとケレスはグエルを睨んだ。しかし、グエルはその事に気づいていないのか、その場で笑い出す。
「いや、なに、氷の君と言われているお前がまさか、アーシアンの奴と親しいなんてな!」
「お前だろ、アーシアンが設立したアナハイムから推薦をもらった奴は」
グエルの問いにアルマは・・・何故か答えず、食事を続けている。そんなアルマに対し、グエルは段々と震え始めた。
「・・・(もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ)」
「く、食うのをやめろ!!」
グエルが大声を出してから、アルマはやっと食事の手を止め、目だけグエルの方を向いた。
「え?僕に言ってたの?あまりにもどうでもよかったから、気にしなかったんだけど」
「ふん、やっぱりアーシアンはアーシアンだな。低俗、そして馬鹿だ」
言われたアルマはグエルの方に顔を向けて睨む。完全にグエルはアルマに喧嘩を売っている。このままだと、この場で喧嘩するかもしれないが、これは私にとって好奇かもしれない。なにせ、企業代表が決闘を申し込み、アルマが勝てば私にとって好都合だ。
「お前、名前は」
「アルマ。アルマ・カーストン」
しかし、グエルはアルマに対し、名を聞くとアルマは真剣な目でグエルを見据えながら自分の名を言った。
「覚えておく。いくぞ」
グエルは一度、アルマを睨んでからこの場を去っていく。取り巻き達もグエルについていくが、その一人が凄い見幕で私達を見ていた。
そんなことより私は、アルマに何故、あの場で決闘を申し込まなかったのかを聞こうと前を向いた時には
「・・・きゅ」バタリ
「アルマ?人を怒らせることはしちゃいけないよ」
「ニカ、これ以上はいけない。アルマは完全に伸びてる。・・・相変わらず力が強いね、君」
いつの間にか、隣にいたニカはアルマの背後にいて、首を絞めていた。あの技はたしかチョークスリーパーという技だったはず、アルマは既にぐったりしていて、ケレスがアルマを救いだそうとしているがニカの細い腕はびくともしない。
「ちょっと!なにしてるのよ!?」
「見てわかりませんか?お仕置きです」
「そいつは私にとって大事な(決闘代行)奴なの!そんなことしないで!!」
「だ、大事・・・!」
私は大事な事だから強くニカに言うと、ニカは首から手を離し、ぶつぶつと小さな声で何かを喋っていたが私は気にせず、アルマの状態を確認する。
幸いにも意識はあったので、私はケレスにアルマを保険室まで運ぶよう命令した。
保険室で寝ているアルマの隣で、私は端末で中継映像を見ていた。内容は決闘の勝利者に私と結婚する権利を授与するというもの。
そして今、ホルダーの権利を持つ者はグエル。まさかグエルの奴が学園最強になっていたとは夢にも思わなかった。
私はため息をついてから映像を切るとアルマの方を見た。そしたら、アルマがうめき声を出したので、覚醒させるためにペチペチと頬を叩いた。
うにゅ・・・?と情けない声を出してから上半身を起こすと大きな欠伸をした。
「やっと起きたのね」
「んー・・・ミオミオ?なんで・・・あー、ニカが首を絞めて、気絶した僕をエランが運んでミオミオが付き添いかつ、サボるために看病してくれたんだね」
「なんでわかるのよ」
「僕、エスパーだから」
「なにそれ。アホらしい」
本当なのに。とアルマが小さく言うと保健室のドアが勢いよく開かれ、私とアルマはビックリしながらドアの方を見ると息を切らしているニカがそこにいた。
「み、ミオリネさん!アルマは起きましたか!?」
「起きたわよ。それよりあなた、アルマに言うことが」
「ごめんね!アルマ、首を絞めて本当にごめん!」
「別にいつもの事だから、いいけど・・・。それよりどうしたの?そんなに慌てて」
私が言いきる前にニカはアルマに駆け寄り、両手でアルマの両手を握りながら、アルマに謝った。というか、いつもあんなことをしているのか、ニカは。
しかし、ニカの慌てようが今一番気になる。アルマが訳を聞くとニカは自身を落ち着かせながら、小さな声で。
「決闘」
「え?」
「さっきの食堂で会った人から決闘を申し込まれたの!それもアルマを名指しして!」
「は・・・?はぁあああ!?どうして!?」
「多分、あのときの出来事を根にもってたんだよ、きっと!」
「嘘っ!?あんなことで!?御曹司とあろう人が!?」
私は慌てるアルマを横目に端末に映っていた中継映像を巻き戻した。クソ親父が新入生に決闘のシステムを教えるため、ホルダーが指名した者と決闘をすることになっていた。
しかし、これは好機だ。アルマがホルダーに勝利すれば私の願いに一歩近づくだろう。
「別に良いじゃない。アルマ、ホルダーの権利を奪えるチャンスよ。受けなさい」
「いや、でも・・・。ニカ、学園に持ってきた機体って
「ちょっと待って・・・。駄目、試作機は学園で社のスタッフと組み立てる事にしてたからバラバラの状態。量産機は運搬途中で来るまで数日かかるよ」
「学園の教習機は・・・。駄目だ、セッティングをする時間はないし・・・そうだ!エランの機体を」
しかし、肝心のアルマは決闘を行うのが嫌そうな顔をしていた。更に、アルマは自身の専用機を使うどころか、他社の機体を使用しようと考えている。
なぜ、自分の専用機を使おうとしないのだろうか?と疑問に思った時だった。
「無理だよ。機体を貸すのは社の規約違反になる」
いつの間にかニカの隣にケレスが立っていて、相変わらず無表情で無慈悲なく言い放つ。あれだけペイル社をボロクソに言っていたのに規約は守るらしい。
「そこをなんとかならない?」
「ごめん。本当に無理」
「は、八方塞がりはこの事?」
アルマは食い下がらず、ケレスに詰め寄るが、彼は頑なに拒否した。本当に二人は友達なのかと思うほど、ケレスは無慈悲だった。
しかし、アルマにMSがあるなら私にとって何一つ問題はないのだ。
「あの子がなんだか知らないけど、機体があるならしなさいよ。決闘」
「いや、あの子はまだ使うわけには・・・」
まだ決断ができないようなので、私は笑顔でアルマを脅迫することにした。
「いいから、やりなさい」
「は、はい・・・」
そして今に至る。あの後、アルマは学園で配布されるパイロットスーツを身に纏い、企業専用のMSデッキがあるドア前に立つと深呼吸してから私の方を向いた。
「じゃあ、ここから先は関係者以外立入禁止だから。二人はどこか決闘が見える場所に移動して」
「じゃあ、ケレスは入れないわね。ほら、とっととどっかに行きなさい」
「ミオミオもだよ」
「はあ?なんで」
私は手でケレスに消えるよう促す。しかし、アルマは私が入ることを許可しなかった。
「これから起きることにミオミオを巻き込みたくないから。エラン、ニカ、よろしくね」
巻き込みたくない?一体何のことだと聞こうとする前に私の両腕は二人にガッチリ掴まれていた。
「わかった」「うん。勝ってきてね、アルマ」
「ちょっと離しなさい!ち、力が強い・・・」
抵抗はしたがアルマがドアの向こうに消えても、二人の手が緩むことはなかった。
ミオミオ達と別れたドアから少し進むとMSデッキのエリアに入った。
そこから少し歩いた先の奥であの子は静かに佇んでいた。あの時から姿は変わっているけども、あの子と初めて会った時の姿を僕は忘れることはないだろう。
昇降機でコクピットの付近まで上がると操作もしていないのに独りでにコクピットハッチが開き、僕を招き入れるかのようにコクピット内に光が灯った。
アルマが私の元にやってきた。
久しぶりだな、アルマ。地球で私を輸送艦に乗せて以来か。今日は確か、学園の入学式だったはずだが・・・難しい顔をしているってことは、私の力が必要になったのだろうか?
アルマが入って来たことを確認してからハッチを閉めて、コンソールをアルマの前に出した。アルマの細い手が画面に触れた瞬間、私が傍にいない間の彼の記憶が私の中に流れ込んできた。
なるほど、これはまた・・・厄介な案件を抱えたようだな。グループの総裁の娘を守るためとはいえ、事態が速急に進みすぎてしまったか。
「・・・出来れば、あの子が来た時にお披露目したかったんだけど・・・ごめんね」
アルマは触れていた画面をゆっくり離し、操縦桿を握って久しぶりの感触を味わいながら、私に謝る。
そう言ってはいるが、久しぶりに暴れたいんだろう?なら、私の体を壊れない程度に扱ってくれるなら、存分に戦えばいい。
「ティターニア。もう僕は弱虫じゃなくなったけど・・・また一緒に戦って欲しいんだ」
アルマは操縦桿をさっきより強く握っている。力みすぎだぞ、アルマ。アルマは気楽に戦えばいいのだから。
ここはアルマにこの言葉を送ろう。
モニターの画面の端に単語が表示されて、僕は微笑んだ。やっぱり君は僕にとって、大切な家族の一人だ。だからこそ、君を戦場に出したくはなかった。でも、君がそう言ってくれるなら、
「・・・ありがとう。じゃあ、行こう!」
フロント内に用意された戦場で俺は奴を待っていた。総裁からホルダーに任命されたが、俺の心の中は嬉しい気持ちになるどころか、荒れていた。
食堂で会った時に気づいたが、肝心のミオリネの心はあのふざけた奴に向けられている。今まで、俺を含めて多くの奴らがあいつに詰め寄り、拒絶されていたのを見てきた。だからこそ奴を、ミオリネを惑わす存在はこの決闘で消えてもらう。
所詮、アーシアンが作ったのMSなど、ロールアウトされたディランザの敵ではないのだから。
「兄さん。相手が来る」
「了解」
弟からの通信が来た時には、地面のゲートが開き始めていた。まもなく奴がくる。
ゲートの向こう側にある闇の中から、MSが入ったコンテナが勢いよく出てきた。コンテナに付いているブレーキが急制動をかけて止まる。
コンテナの急制動は新入生にとっては辛いところがある。急制動をかけたことで発生するGに耐えることができず、気分がワルくなったり、胃の中のものが逆流することもある。
あいつはどちらに該当するのだろうかと思いながら、開いていくコンテナを見た。
奴のMSのシルエットが現れていく中、俺は段々と笑いが込み上げてきた。
奴のMSは童話に出てくるお姫様のドレスをイメージしたような装甲と翼と思わせるようなバックパック。これを見て笑わない奴はいないだろう。
「おいお前、ここは仮装場じゃないってこと知ってるのか?」
「・・・」
「命を取らない決闘とはいえ、ここは戦場だ。仮装するなら別の場所でやって「見た目で力量を測るパイロットは戦場で早死にするってこと、知らないのかな?」ああ?」
オープン回線で反論してきた奴に対し、俺は怒気を含んだ声を出す。しかし、奴は動じることなく話を続けた。
「いちいち、下らないことで突っ掛かるのやめなよ。食堂で会った時から思っていたんだけど。君、そうとう弱く見えた」
「君もパイロットなら、軍に入れば機体の良し悪し関係なく、乗ることぐらい承知のはず。そんなこともわからないのなら、君はパイロットに向いていないよ」
奴が俺を煽り終えると、奴のMSから発する雰囲気が真っ黒に染まっていくように見えた。
「それにさ・・・私の友達を君は侮辱した。それ相応の覚悟は・・・できているんだよね?」
その言葉を聞いた瞬間、俺は寒気を感じ、体を震わせた。すぐにハッとなり、操縦桿を強く握って体の震えを抑える。相手はアーシアンだというのに、あろうことか恐怖を感じたのか、俺は!
「なら・・・やってみやがれ」
『双方、よろしいか』
俺が奴を睨むと、冷徹な声が聞こえてきた。その相手は間違いなくデリング総裁だ。くそ、総裁が見ていることを忘れていたとは、馬鹿なのか俺は。
「「はい」」
『新入生諸君、本来であれば決闘は、決闘委員会の立ち会いの元、決闘を行うことができる。決闘は相手のブレードアンテナを折ったものが勝者となる』
『決闘は双方が自分自身が望むものを掛けて戦う。グエル・ジェタークに問う、貴様はこの決闘に何を掛ける』
「アルマ・カーストンの謝罪、そして退学です」
わー、入学初日から退学処分にされそうになるなんて誰が思うんだろ。こんな横暴を決闘の名の元に正当化されるのだから、本当におかしなシステムだ。
『アルマ・カーストン。貴様は何を掛ける。」
「私の親友であるエラン・ケレス、ニカ・ナナウラ、そしてミオリネ・レンブランに対し、謝罪を求めます」
対して私は、グエル・ジェタークに謝罪を求める。食堂の時から友達を嘲笑う奴に対して、怒りでどうにかなりそうになるのを抑えるのに必死だったのだから、当然だ。
『
『両者交顔』
モニター画面に映されたグエル・ジェタークの顔はイライラが隠しきれてはいなかった。それを見て私はクスリと笑ってしまう。相手も笑われたことで、更に腹の居所が悪くなったようだ。
『アルマ・カーストン。口上は知っているか?』
「はい。何度か見ていましたから」
そう言って、私は最初の言葉を言い始める。
後は立会人の号令で始まる。それに備えて・・・
引き金を引くだけ。
「なっ!?」
総裁の号令が終わった瞬間に、奴のビームライフルからビームが放たれる。なんとか初撃を回避できたが、奴は間髪いれずに攻撃を続ける。
なんて奴だ。今まで何度も決闘をしてきたが、大抵の奴は一呼吸置いてから撃っていた。だが、こいつの場合は構えから撃つまでのロスタイムを感じさせなかった。
だが、俺も負けじと回避しながらライフルを撃つ。しかし、最小限の動きで、全て躱されてしまう。
俺は躱す奴の動きを予測し、回避しようとした位置に向けて、ライフルを撃つ。俺の予測は当たり、奴が回避した場所にビームが向かっていく。
当たれば奴の体制が崩れ、大きな隙が生まれる。その隙を利用して、俺が得意な白兵戦にもっていけば俺の勝ちだ!
だが、その思惑を奴は覆した。迫るビームに対して左腕に付けられたシールドを構えると、シールドに当たる前に何らかの力によって弾かれてしまう。
俺は心の内で驚いた。ビームを弾くシールドなど、今まで見たことがなかった。奴は俺が驚いた隙を見破ったのか、俺のライフルを狙撃した。
撃たれたライフルを手放し、誘爆からは逃れたが、爆発の煙が晴れたときには、奴のライフルの銃口から赤い光が見えていた。
すぐに両腕で頭部をカバーするが、所詮、一時しのぎにしかならない事はわかっていた。
俺の脳内にはすでに敗北の二文字しか浮かんでこなかった。大見得はっただけではなく、アーシアンに敗北するなどあってらならないというのに・・・!
奴から放たれたビームはカバーしている腕に当たる
事はなく、脚部周辺の地面を抉っただけだった。
「やめた。このまま一方的にやるのは面白くないし、公平じゃないしね」
奴はそう言ってライフルを収めると、脚部からサーベルを抜き、ビームの剣を出す。
「役者ならこう言うとき、何て言うんだろ。・・・来い、獅子よ。お前が数多の強者から勝利を掴みとってきたその牙、我が栄光の玉座に飾ってやろう!・・・かな」
「こ・・・このアーシアンふぜいがぁ!!」
俺は機体のスラスターを全開にし、奴に接近する。ビームサーベルを出し、奴を突き刺そうとするが、奴はその攻撃をシールドで防ぐ。ビームを弾いたシールドは、俺が思っていたより出力が高かった。
何故なら・・・俺のサーベルがシールドに刺さることなく、ビームを発生させている根元から拡散されているからだ!
「煽られて逆上し、突っ込んでくると思っていたよ」
言われてハッとなった時には遅かった。奴のサーベルが下から上に振るわれ、ディランザの左腕、そしてブレードアンテナを斬り落とした。
勝った。アルマがグエルに勝った。ブレードアンテナが斬られた後、試験区域の上空にはWINNER表示とアルマの名前が表示されている。
だけど、私は喜ぶより恐怖を感じていた。戦いが始まる前の口上の時から戦いが終わるまで、旅客船でアルマに詰め寄られた時と同じ感覚を感じていた。
私はアルマに戦うことを約束させたが、もしかしたらそれは間違いだったのかもしれない。アルマは戦うごとに人として何かを失ってしまう・・・そんな予感がする。
そんな事を考えながら中継映像を見ているとアルマが乗っているMSのコクピットハッチが開き、その中からアルマが出てきた。手には携帯端末を握っていて、端末を自身の前に持っていく。
『デリング総裁。如何でしたでしょうか。アナハイム・・・いえ、私の』
シャディク親衛隊が全員可愛く、個性的でしたが、私は一人だけ凄く可愛いと思いました。
・・・彼女をこちらに引き込むか、散々使い倒して、ボロ雑巾の様に捨ててやるか・・・。うーん、迷います。